JPS6213183B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、金属蒸着を施した透明硬質合成樹脂
製装飾体に関するもので、さらに詳言すれば、金
属蒸着による金属感模様を模様成形時初期のまま
劣化させることなく保持しかつ深みのある金属感
模様を得ることを目的とするものである。

他の目的は、金属感模様を地とした浮ぼり模様
を得ることにある。

また、他の目的は、単一装飾体で２つの異質の
金属感模様を得ることにある。

さらに他の目的は、金属感模様に自由な色づけ
をすることにある。

従来、合成樹脂製品の外観に装飾効果の高い金
属感を出すため、合成樹脂製品の表面に金属蒸着
を施したものが数多く製作され使用されている。

これら、従来の金属蒸着を施した合成樹脂製品
は、例外なく製品の外表面に金属蒸着を施すもの
であるために、単に表面が金属感のあるものにな
つたというだけのものとなり、金属感模様は平面
的で立体感に乏しいものとならざるを得なかつ
た。

また、この単調となる表面外観に少しでも変化
を与えるために、金属蒸着を施した製品の表面に
凹凸模様を形成したものもあるが、この凹凸模様
により確かにある程度の立体感が得られるとは言
うものの決して満足する程度ではなく、またこの
凹凸により金属蒸着層が製品本体から剥離し易く
なり、長期間金属感を保持するようなことはでき
なかつた。

さらに、この表面に金属蒸着を施したものは、
表面が金属蒸着の色だけの単色となり色変化に乏
しいものとならざるを得なかつた。

本発明は、上記した従来例における不満点およ
び欠点を解消すべく創案されたもので、透明硬質
合成樹脂製の母体の裏面に凹模様を形成すると共
にこの凹模様を形成した裏面に金属蒸着を施して
構成されるものである。

以下、本発明の実施例を図面に従つて説明す
る。

本発明による装飾体１は、透明硬質合成樹脂
（例えばAS樹脂とかアクリル樹脂）製の母体２の
裏面に所望形状の凹模様８を削設成形し、この凹
模様８を形成した母体２の裏面に透明な第１アン
ダーコート３を被覆形成し、この第１アンダーコ
ート３の凹模様８以外の母体２裏面部分に対向す
る部分上に第１金属蒸着層４と不透明な印刷層５
とを順に積層形成したものであり、またさらには
上記した構成のものの第１アンダーコート３、第
１金属蒸着層４そして印刷層５を積層形成した母
体２裏面全域にさらに透明な第２アンダーコート
６と第２金属蒸着層７とを順に積層して構成され
たものである。

まず、第２図に示した構造のものは、凹模様８
を形成した母体２の裏面全域に透明な第１アンダ
ーコート３を施し、この第１アンダーコート３上
に第１金属蒸着層４を積層形成し、さらにこの第
１金属蒸着層４上に、前記凹模様８を除く母体２
裏面部分に対向すべくマスク印刷またはホツトス
タンプ等の手段によつて不透明な印刷層５を施し
（第１図参照）、しかる後、これを溶液内に浸し
て、凹模様８内に位置した第１金属蒸着層４を溶
融して取去つて構成される。

それゆえ、第２図に示された装飾体１は、凹模
様８部分だけが透明となつて装飾体１の表面側か
ら観察され、他の部分は第１金属蒸着層４により
外観が形成されることになる。

すなわち、第２図に示された装飾体１は、第１
金属蒸着層４によつて形成される金属感地に凹模
様８により形成された透明部分が“抜き模様”状
に形成されたものとなる。

このように、第２図に示した装飾体１は、金属
感地に抜き模様を形成した外観となるものである
が、この抜き模様部分はなにも無色透明である必
要はなく、場合によつては第１アンダーコート３
を所望色の有色透明として装飾体１の表面全体を
上記所望色とするのも良いし、また金属感地表面
に色のつくのを好まない場合には、装飾体１の取
付けられる物体の色を適当な色に設定して、この
物体の色が透明な抜き模様部分から見えるように
しても良い。

さらには、第２図に示した装飾体１の裏面に、
さらに積層体の保護を兼ねてトツプコートを施す
場合には、このトツプコートに所望の色を施し
て、抜き模様部分にトツプコートの色をつけても
良い。

いずれの場合にせよ、第２図に示された装飾体
１は、金属感地の抜き模様状に形成されるので、
必然的にその模様が深みのあるものとなり、立体
感と明暗による高い模様効果を得ることができ
る。

次に第３図に示した装飾体１は、第２図に示さ
れたものの裏面全域に、さらに第２アンダーコー
ト６および第２金属蒸着層７を順に積層形成した
もので、金属感地の中に異なる金属感で模様を浮
彫状に形成したものである。

すなわち、第３図に示された装飾体１は、第１
金属蒸着層４により形成される金属感地の中に、
第２金属蒸着層７により形成される金属感模様が
浮き出し形成されることになる。

この第３図に示した装飾体１の場合、その構成
から明らかな如く、第１金属蒸着層４と第２金属
蒸着層７とを全く同一外観となるよう形成したの
では、たとえ第２金属蒸着層７が凹模様８内に位
置しているとは言え、第２金属蒸着層７の形成す
る模様の浮き出し効果がさほど効果的には得るこ
とができず、それゆえ第１金属蒸着層４と第２金
属蒸着層７とは適当な手段によりその外観を異な
るようにすることが望ましい。

例えば、第１金属蒸着層４に艶消し処理を施
し、これに対し第２金属蒸着層７に艶出し処理を
施すことにより、第２金属蒸着層７が形成する金
属感模様すなわち凹模様８部分が輝く金属感模様
となるので、この凹模様８部分の金属感が強調さ
れ、艶消しされた地模様と相俟つて格調高い金属
感模様を得ることができる。

またこれとは別に、第２アンダーコート６を第
１アンダーコート３とは別の色に設定することに
よつて、第１金属蒸着層４が発揮する金属感と第
２金属蒸着層７が発揮する金属感とを全く別金属
のものとすることができることになり、単一装飾
体１に異なる金属の金属感模様を与えることがで
きる。

例えば、第１アンダーコート３を無色透明と
し、第２アンダーコート６を黄色の透明なものと
することによつて、第１金属蒸着層４は銀色にそ
して第２金属蒸着層７は金色に形成されることに
なる。

さらに、上記２つの手段を同時に使用しても良
いし、また第１金属蒸着層４を形成する金属と第
２金属蒸着層７を形成する金属とを別金属として
も良いことは言うまでもない。

所で、本発明による装飾体１は、透明な硬質合
成樹脂製の母体２の裏面に形成されたものを、こ
の母体２を通して見るようにしたので、母体２の
厚さ分だけ深みのある状態で模様が形成されて、
それだけでかなりの立体感のあるものとなるが、
この母体２を球弧殻状に成形すると、球弧殻状に
成形された母体２のレンズ効果により、母体２の
裏面に形成された模様はより立体感のあるものと
なり、本発明による装飾体１の装飾効果がより高
められる。

なお、第３図における符号９は保護のためのト
ツプコートで、このトツプコート９は必要により
設ければ良い。

このように、本発明による装飾体１は、母体２
のもつレンズ効果およびプリズム効果等の光学効
果を有効に利用して金属感模様に深みを与えるこ
とができ、これにより従来平担となり勝ちであつ
た金属感模様に充分な立体感を与えることができ
ることになる。

また、装飾体１の金属感模様は２つの金属蒸着
層４，７によつて形成されかつこの２つの金属蒸
着層４，７は印刷層５により完全に分離して外表
面を形成するので、従来単調となり勝ちであつた
全体的な外観に変化を与えることができる。

さらに、本発明の装飾体１の成形には、特別な
技術を要することなく、従来からの蒸着技術をそ
のまま使用することができるので、実施が容易で
確実に成形製作することができる。

この本発明による装飾体１の利用形態としては
種々のものが考えられるが、最も代表的でより高
い装飾効果が得られるものとしては、第４図に示
す如く、コンパクト１０の蓋体に取付ける場合で
ある。

この第４図に示した装飾体１の利用態様の場
合、コンパクト１０の蓋体表面に装飾体１をぴつ
たりとはめ込める凹部を形成しておき、この凹部
に装飾体１を嵌着固定する。

装飾体１が組付け固定されるものとしては、コ
ンパクト１０の他に種々の容器の蓋体表面とか箱
状容器の表面とかが考えられる。

また、他の物品に組付けることなく、装飾体１
の裏面側を適当な材料によつて覆つて装飾体１を
それ単体で装飾品として使用することもできる。

以上の説明から明らかな如く、本発明による装
飾体１は、金属感模様に充分な立体感を与えるこ
とができると共に金属感模様自体に変化を与える
ことができて金属感による装飾効果を大幅に高め
ることができ、またその成形に特別な技術および
装置を要することがなく簡単にかつ確実に所望の
製品を成形することができ、さらにあらゆる種類
の製品に対して簡単に取付けることができて製品
の商品イメージを高めることができる等多くの優
れた作用効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明による装飾体の印刷層を成形
した所までの構成を示す要部拡大縦断面図であ
る。第２図は本発明による装飾体の基本的構造を
示す要部拡大縦断面図である。第３図は、本発明
による装飾体の他の構造例を示す要部拡大縦断面
図である。第４図は、本発明による装飾体をコン
パクトの蓋体に取付ける場合の使用例を示す分解
斜視図である。 符号の説明、１；装飾体、２；母体、３；第１
アンダーコート、４；第１金属蒸着層、５；印刷
層、６；第２アンダーコート、７；第２金属蒸着
層、８；凹模様。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 透明硬質合成樹脂製の母体２の所定形態の凹
   模様８を削設成形した裏面に透明な第１アンダー
   コート３を被覆形成し、該第１アンダーコート３
   の前記凹模様８を除く母体２の裏面部分に対向す
   る部分上に第１金属蒸着層４と不透明な印刷層５
   とを順に積層形成して成る透明硬質合成樹脂製装
   飾体。 ２ 透明硬質合成樹脂製の母体２の所定形態の凹
   模様８を削設成形した裏面に透明な第１アンダー
   コート３を被覆形成し、該第１アンダーコート３
   の前記凹模様８を除く母体２の裏面部分に対向す
   る部分上に第１金属蒸着層４と不透明な印刷層５
   とを順に積層形成し、さらに前記第１アンダーコ
   ート３、第１金属蒸着層４そして印刷層５を積層
   形成した母体２裏面全域に透明な第２アンダーコ
   ート６と第２金属蒸着層７とを順に積層形成して
   成る透明硬質合成樹脂製装飾体。 ３ 母体２を球弧殻状体の凹面を裏面とした特許
   請求の範囲第１項または第２項に示した透明硬質
   合成樹脂製装飾体。 ４ 第１アンダーコート３と第２アンダーコート
   ６とを異なる色とした特許請求の範囲第２項に示
   した透明硬質合成樹脂製装飾体。 ５ 第１金属蒸着層４に艶消し処理を施し、第２
   金属蒸着層７に艶出し処理を施した特許請求の範
   囲第２項に示した透明硬質合成樹脂製装飾体。