JPS6212911Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は流体継手付動力伝達装置、詳しくはエ
ンジンの出力軸軸線上に流体継手、摩擦クラツチ
及び変速機を配置して成る動力伝達装置に関す
る。

一般に此種動力伝達装置においては、前記流体
継手と摩擦クラツチとの間に、ハウジングに結合
する隔壁を設け、この隔壁にクラツチホイールを
もち、前記流体継手のタービンを結合した中間軸
及び変速機の入力軸を支持すると共に、前記流体
継手のポンプのボス部を支持しているのであつ
て、前記ポンプは、ドライブプレートを介して前
記出力軸に結合しながらボス部は前記隔壁に支持
しているのである。

所で前記中間軸及び変速機の入力軸を隔壁で支
持すると共に、前記ポンプのボス部も前記隔壁に
支持していることから、前記ドライブプレートを
剛性の小さい薄板として前記隔壁に柔結し、前記
出力軸の軸心と中間軸の軸心とがずれても、その
ずれを吸収できるようにしている。

所が以上の構造によると、支持壁を用いるから
動力伝達装置全体の軸方向長さが長くなり、特に
エンジンを横置きするフロントエンジン、フロン
トドライブ方式において不都合が生ずると共に、
剛性の小さいドライブプレートを介してポンプを
柔結するため流体継手の剛性が小さくなる問題も
生じ、その上流体継手を用いない既存の動力伝達
装置を利用して流体継手付動力伝達装置を構成で
きず、その結果コスト高となる問題もあつた。

本考案は、以上の如き従来の問題点に鑑み考案
したもので、エンジンの出力軸上に流体継手、摩
擦クラツチ及び変速機が配置され、中間軸及び変
速機の入力軸が前記出力軸軸線上に位置している
ことに注目し、前記ポンプの前記出力軸に対する
支持剛性を高めて、該ポンプに前記中間軸及び入
力軸を支持することで、これら中間軸及び入力軸
を支持する隔壁をなくして動力伝達装置の軸方向
寸法を短くするようにしたのである。

しかして本考案は、出力軸に厚肉のドライブプ
レートを固定して、該ドライブプレートの外周に
前記流体継手のポンプを剛結すると共に、前記流
体継手のフロントカバーの外周を前記ポンプに固
定し、且つ該フロントカバーの内周を前記ドライ
ブプレートの径方向中間部で前記フロントカバー
との対向面に嵌入固定する一方、前記変速機の入
力軸と前記出力軸との間にクラツチホイールを備
えた中間軸を配置して、この中間軸の出力軸側端
部を前記出力軸の軸端に形成した軸受孔に、また
変速機側端部を前記ポンプのボス部にそれぞれ軸
受を介して挿嵌支持し、前記中間軸に前記流体継
手のタービンを相対回転不能に支持し、且つ前記
中間軸の変速機側端部に前記変速機の入力軸を嵌
入支持させたことを特徴とするものである。

以下本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

図において１はハウジングで、変速機（図示せ
ず）を内装するミツシヨンケースと一体に形成す
る後部ハウジング１ａとエンジンケースを兼ねる
前部ハウジング１ｂ及びこれら両ハウジング１
ａ，１ｂの中間に介装するサブハウング１ｃから
成り、内部には摩擦クラツチ２及び流体継手３を
内装している。

前記流体継手３、摩擦クラツチ２及び変速機は
エンジンの出力軸４の軸線上に配置するのであつ
て、前記流体継手３をエンジン側に位置させ、剛
性の高い厚肉板から成るドライブプレート５を介
して前記流体継手３のポンプ３１を前記出力軸４
に剛結するのである。

又６は、前記ハウジング１の内部に突入する前
記変速機の入力軸であり、７はこの入力軸６と前
記出力軸４との間に配置する中間軸であつて、こ
の中間軸７のエンジン側端部を小径として、この
小径軸部を前記出力軸４の端部に設ける軸受孔４
ａに軸受ブツシユ８を介して回転自由に支持する
のであり、また変速機側端部に、クラツチホイー
ル９を固定すると共に前記ポンプ３１のボス部３
１ａにボールベアリング１０を介して回転自由に
支持するのである。

そして以上の如く出力軸４と、剛性を高くした
前記ポンプ３１のボス部３１ａとで支持される前
記中間軸７に前記流体継手３のタービン３２を、
ハブ１１を介してスプライン結合すると共に、前
記変速機の入力軸６の先端を、前記中間軸７の変
速機側端部に設けた軸受孔７ａに嵌入し、ニード
ルベアリング１２を介して回転自由に支持したの
である。

図面に示したものは、前記流体継手３のポンプ
３１を変速機側に、またタービン３２をエンジン
側に配置すると共に、前記タービン３２のエンジ
ン側にフロントカバー３３を配置し、このフロン
トカバー３３の外周にスペーサー３４を固定し
て、このスペーサー３４を前記ポンプ３１のシエ
ル外周に固定し、前記スペーサー３４に前記ドラ
イブプレート５の外周に形成した複数個の取付部
５１を当宛つてボルト１３により固定する一方、
前記フロントカバー３３の内周を前記ドライブプ
レート５の径方向中間部で該フロントカバー３３
との対向面に嵌入固定している。また前記出力軸
４には前記軸受孔４ａに開口する給油通路１４を
設けると共に、前記軸受孔４ａに嵌入する前記中
間軸７には、前記給油通路１４に連通し、前記流
体継手３の作動空間に開口する連絡通路１５を設
けて、エンジンの潤滑油の１部を前記作動空間に
供給するごとく成し、そして前記ドライブプレー
ト５の中心部と出力軸４とにはエンジンルームに
開口する排油通路１６を設けている。

又図面において１７は前部ハウジング１ｂと出
力軸４との間に介装するオイルシール、１８は前
記ポンプ３１のボス部３１ａと中間軸７との間に
介装するオイルシールであり、また２１は前記入
力軸６にスプライン結合されるハブ２２に固定の
クラツチデイスク、２３はプレツシヤプレート、
２４はダイヤフラムスプリング、２５はアクチユ
エータ（図示せず）の動作により作動するシフト
ホーク、２６はこのシフトホーク２５の作動でエ
ンジン側に移動して前記ダイヤフラムスプリング
２４を押圧するレリーズベアリングである。

又３５は前記ポンプ３１に設けたフイン、３６
は前記フロントカバー３３に設けたフインであ
り、ａは空気孔である。

しかして以上の構成において、前記ポンプ３１
を剛性の高い厚肉のドライブプレート５と前記フ
ロントカバー３３を介して前記出力軸４に支持さ
れるから、該ポンプ３１の前記出力軸４に対する
支持剛性を充分確保することが出来るのであつ
て、しかもかくのごとく前記出力軸４に剛結され
た前記ポンプ３１のボス部３１ａと前記出力軸４
とで前記中間軸７を支持するので、従来のごとく
隔壁を用いずとも前記中間軸７及び前記入力軸
６、さらには前記流体継手３全体の支持剛性が充
分得られ、従つて全体としてこれら各部材６，
７，３の定位置への組付が簡単且つ確実に行うこ
とが出来る。

従つてエンジンの運転による出力軸４の回転力
は、ドライブプレート５を介してポンプ３１に確
実に伝達ロスなく伝わるのであり、また前記ポン
プ３１の回転により前記回転力は前記流体継手３
の作動空間に供給される作動油を介してタービン
３２に効率よく伝えられるのである。そしてター
ビン３２に伝達された回転力は、前記中間軸７か
らクラツチホイール９、クラツチデイスク２１を
経て入力軸６に伝達されるのである。

尚以上説明した実施例は、前記ポンプ３１を変
速機側に、タービン３２をエンジン側に配置した
が、逆の場合でもよい。この場合前記ポンプ３１
のシエルにリヤカバーを設け、このリヤカバーの
ボス部に、前記中間軸７の変速機側端部を支持す
るのであつて、本考案においては前記リヤカバー
もポンプ３１の範疇に属する。

又前記中間軸７の軸受孔７ａに嵌入する入力軸
６はニードルベアリング１２により支持したが、
単に嵌入させるだけでもよい。

以上の如く本考案は、エンジンの出力軸線上に
流体継手、摩擦クラツチ及び変速機を配置して成
る動力伝達装置において、前記出力軸に厚肉のド
ライブプレートを固定して、該ドライブプレート
の外周に前記流体継手のポンプを剛結すると共
に、前記流体継手のフロントカバーの外周を前記
ポンプに固定し、且つ該フロントカバーの内周を
前記ドライブプレートの径方向中間部で前記フロ
ントカバーとの対向面に嵌入固定する一方、前記
変速機の入力軸と前記出力軸との間にクラツチホ
イールを備えた中間軸を配置して、この中間軸の
出力軸側端部を前記出力軸の軸端に形成した軸受
孔に、また変速機側端部を前記ポンプのボス部に
それぞれ軸受を介して挿嵌支持し、前記中間軸に
前記流体継手のタービンを相対回転不能に支持
し、且つ前記中間軸の変速機側端部に前記変速機
の入力軸を嵌入支持させたことにより、前記出力
軸への前記中間軸及び前記ポンプの組付が簡単に
行えるのは勿論のこと、従来のごとく隔壁を用い
ずとも、前記中間軸及び流体継手全体の前記出力
軸に対する支持剛性も高くなり、全体として簡単
な構造でしかも前記流体継手、中間軸及び入力軸
を定位置に簡単且つ確実に組付けることが出来る
のである。

しかも前記隔壁を設けなくともよいので流体継
手を備えていない一般的な動力伝達装置を利用
し、中間軸を組込むことにより流体継手を備えた
動力伝達装置を簡単に構成できるのである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案装置の一実施例を示す縦断面図で
ある。 ２……摩擦クラツチ、３……流体継手、４……
出力軸、５……ドライブプレート、６……入力
軸、７……中間軸、９……クラツチホイール、３
１……ポンプ、３１ａ……ボス部、３２……ター
ビン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンの出力軸線上に流体継手、摩擦クラツ
   チ及び変速機を配置して成る動力伝達装置におい
   て、前記出力軸に厚肉のドライブプレートを固定
   して、該ドライブプレートの外周に前記流体継手
   のポンプを剛結すると共に、前記流体継手のフロ
   ントカバーの外周を前記ポンプに固定し、且つ該
   フロントカバーの内周を前記ドライブプレートの
   径方向中間部で前記フロントカバーとの対向面に
   嵌入固定する一方、前記変速機の入力軸と前記出
   力軸との間にクラツチホイールを備えた中間軸を
   配置して、この中間軸の出力軸側端部を前記出力
   軸の軸端に形成した軸受孔に、また変速機側端部
   を前記ポンプのボス部にそれぞれ軸受を介して挿
   嵌支持し、前記中間軸に前記流体継手のタービン
   を相対回転不能に支持し、且つ前記中間軸の変速
   機側端部に前記変速機の入力軸を嵌入支持させた
   ことを特徴とする流体継手付動力伝達装置。