JPS6212843Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、内燃機関のアイドル空気流量調整
装置に関する。

（従来の技術とその解決すべき問題点） 従来のアイドル空気流量調整装置としては、例
えば第１図より第３図に示すようなものがある。

第１図で、絞弁１が略閉弁するアイドル運転時
に、絞弁１を迂回するバイパス通路２に入つた吸
入空気は、調整ネジ３の先端のテーパ部４と座部
５より形成される可変オリフイスで空気流量を調
整され、下流の吸気通路６に供給される。

一方、機関本体より発生するブローバイガス
は、例えば第２図に示すインジエクター７を有す
るEGI機関のような場合、及び第３図に示すLPG
燃料機関の場合では、通常はクランクケース８か
らブローバイホース９，９ａを通つてバイパス通
路２の上流に還流される。ただし、第３図の装置
では、ブローバイガス発生量がブローバイホース
９ａのコントロールバルブ１１の容量を越えた場
合に破線で示すようにエアクリーナ１０へと逆流
する。

このように、ブローバイガスがエアクリーナ１
０側へ還流されると、ブローバイガス中の油成分
がバイパス通路２に流れ込むことになる。

ところが、こうしたブローバイガスの流れに対
して、第１図に示すものでは、吸気通路６内に形
成された前記座部５が平面段部形状であるから、
バイパス通路２を流れる空気中のほこりやブロー
バイガスの油成分等が次第に座部５の平面部分に
付着し、堆積物となつてオリフイス面積が少なく
なり、空気流量が低下する。そのため、アイドル
回転数が下がり、エンジン不調のトラブルを発生
したり、燃料に対する空気量が足りないために
COが増加するという問題が生じる。

これに対して、実開昭54−25914号公報には、
開口部を有する可動板と固定板とが互いに接触し
ながら相対運動して開口部の面積を可変とするも
のが開示されているが、この装置では可動板及び
固定板の肉厚がそのケースと略等しいほどの厚肉
であるため、この厚肉の開口縁部にカーボン等が
多量に付着して通路面積を大幅に小さくしてしま
う。また、可動板を固定板に押圧する手段を有し
ないので、可動板と固定板の開口部端面が全周的
に当接できず、即ち可動板と固定板との間に隙間
が生じるため、この隙間へのカーボン等の堆積に
よる作動性不良や空気漏れを起こすおそれもあ
る。

（問題点を解決するための手段） この考案は、かかる従来の問題を解決するため
になされたもので、アイドル時の空気流量を調整
するオリフイスを、薄い板材からなる孔付の固定
板と、これに摺接して孔の面積を可変とする薄い
板材からなる可動板と、この可動板を前記固定板
へ押圧する弾性シール部材と、前記可動板を駆動
する調整ネジとで構成した。

（作用） 上記構成にあつては、可動板並びに固定板が薄
板であるためその開口縁部にカーボン等が付着し
にくく、仮に付着しても容易に剥離するのでオリ
フイス開口面積の経時変化が起こらない。

また、可動板と固定板とは薄板である程度たわ
むため互いに馴染みやすく、しかも弾性シール部
材を介して押圧されることから、両者間に隙間を
生じることがなく、従つて隙間に油分やカーボン
が固着して作動不良を引き起こしたり、隙間から
の漏洩等により計量精度が低下するといつた問題
を起こすことも無い。

（実施例） 以下、この考案の実施例を図面に基づいて説明
する。

第４図において、バイパス通路２には、アイド
ル時の空気流量を調整するオリフイス２０が設け
られるが、このオリフイス２０は薄い鋼材（例え
ば、肉厚0.1〜0.3mm）からなる孔付の固定板２１
と可動板２２とで形成される。

上記薄板材からなる固定板２１と可動板２２
は、すり合せ状に互いに密着した状態で組み合わ
され、バイパス通路２を形成するカバー２３に取
り付けられる。可動板２２の方は、連結する調整
ネジ２４の回転に応じて図面上下方向に移動する
ことができる。

固定板２１と可動板２２には、それぞれオリフ
イス２０を形成するため、例えば第５図Ａ，Ｂに
示すように円形や方形の孔２１ａと２２ａが形成
されており、固定板２１に対して可動板２２をス
ライドさせることによりオリフイス２０の開口面
積を変えて空気流量を増減させられる。

なお、上記カバー２３は図示しないＯリングな
どの弾性シール部材を介してスロツトルチヤンバ
２５の側壁に装着される。なおまた、第６図にも
あるように、可動板２２を固定板２１側へ押圧し
て当接させるとともに可動板２２の摺動間隙を密
封するように弾性シール部材が設けられる。ちな
みに、可動板２２にはこれをネジ２４の侵入方向
と対抗する方向に付勢するスプリングを備えるの
が、遊びを抑えるうえで好ましい。

ところで、オリフイス等の開口縁部におけるブ
ローバイガス中の油分による塵埃やカーボンの堆
積量はほぼ開口縁部の厚さに比例し、仮に上記固
定板２１、可動板２２の肉厚が１mmとすれば付着
物の堆積高さも１mmほどに達し、しかも開口縁部
への付着面積が大で剥離しにくいため、この堆積
付着物により時間経過に従つてオリフイス面積は
大幅に減少してしまい、この結果空気流量が減少
するため機関のアイドル安定性や燃焼性が悪化す
ることになる。これに対して、固定板２１と可動
板２２を上述のとおりの薄肉、例えば0.2mmとす
ることにより、付着物の堆積高さは0.2mm程度に
抑えられ、またこの場合開口縁部に対する付着物
の付着面積も小さいので、オリフイス部分を通過
する空気流や振動によつて付着物は容易に剥離す
る。従つて、本考案の構成によればオリフイス２
０の初期の開口面積を長期間にわたつて維持し、
機関を快調に保てるのである。また、固定板２１
と可動板２２とが互いに密に当接した状態で摺動
するので、隙間による計量精度の低下を起こすこ
とが無く、また両者間に油分や塵埃が侵入するこ
とが無いので可変オリフイスとしての作動性も長
期間にわたつて良好に維持されるのである。

次に、他の実施例を第６図と第７図に示す。こ
れはアイドル空気流量調整装置３０をユニツト部
品として構成したものである。

すなわち、固定板２１や可動板２２などの構成
部品はスロツトルチヤンバとは別体のケーシング
３１に装着されており、オリフイス２０の位置に
対応してバイパス通路２（第１図〜第４図参照）
の途中に連結するためのソケツト部３２，３３が
設けられている。３４，３５は弾性シール部材と
してのＯリングであり、その他の構成は前記実施
例と略同様なので説明を省略する。なお、このア
イドル空気流量調整装置３０は第３図に示すよう
な空気取入口がエアクリーナ１０に開口している
比較的長いバイパス通路２に良く適合する。

上記各実施例では、２個の円形の孔２１ａと２
２ａとの重ね合せと、その相対変位によりオリフ
イス２０の開口面積を変えているが、この孔２１
ａと２２ａは円形に限定されず、例えばスリツト
状でもよい。

（考案の効果） 以上説明したように、この考案は空気流量を調
整するオリフイス部分が薄い固定板と可動板の開
口部または縁部で構成されるので、バイパス通路
を通る空気中の油分やほこりがオリフイス部分に
堆積されず、初期のオリフイス部分の開口面積が
長期間維持される。そのため、アイドル空気流量
の経時変化に対応したアイドル回転数の調整作業
を廃止できる等のメンテナンスフリーが実現され
るとともに、COの発生やエンジン不調などのト
ラブルが防止されるという効果が得られる。

また、可動板は弾性シール部材により押圧され
て固定板に当接するので、可動板と固定板との間
に隙間がなく、従つて安定した計量精度と作動性
とが確保されるという効果も得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図より第３図は、それぞれ従来装置の断面
図である。第４図は本考案の一実施例の断面図、
第５図Ａ，Ｂはその要部であるオリフイス部分の
実施例を示す右側面図、第６図は本考案の他の実
施例の断面図、第７図はその要部である可動板の
左側面図である。 ２……バイパス通路、３，２４……調整ネジ、
８……クランクケース、９……ブローバイホー
ス、１０……エアークリーナ、２０……オリフイ
ス、２１……固定板、２２……可動板、２１ａ，
２２ａ……孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 絞弁を迂回するバイパス通路に、アイドル空気
   量を制御する可変オリフイスを設け、この可変オ
   リフイスを、薄い板材からなる孔付の固定板と、
   これに摺接して孔の面積を可変とする薄い板材か
   らなる可動板と、この可動板を前記固定板へ押圧
   する弾性シール部材と、前記可動板を駆動する調
   整ネジとで構成したことを特徴とする内燃機関の
   アイドル空気流量調整装置。