JPS6211192B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は車両等のエンジンの潤滑のために使
用される微量潤滑油ポンプの改良に関する。

従来、自動２輪車などに用いられている２サイ
クルエンジンの潤滑あるいはロータリエンジンの
ガスシールの潤滑には、燃料とエンジンオイルと
をあらかじめ一定の割合に混ぜた混合燃料をエン
ジンの気筒内に導入する混合燃料式あるいは燃料
とエンジンオイルとを別々のタンクに入れ、エン
ジンの回転に応じてオイル供給量を増減して燃料
に混合させ、エンジンの気筒内に導入する自動混
合式とが主として採用されている。

そして、上記自動混合式の場合、燃料に混合さ
せるオイル（潤滑油ともいう）の量は微少である
ため、オイルを送給するために使用されるポンプ
は吐出精度の高いことが必要である。一般に、こ
の種のポンプは、エンジンの回転に連動してポン
プハウジング内で回転及び往復運動を行なうプラ
ンジヤを使用し、このプランジヤの外周部に、軸
線に平行な切欠きを設け、このプランジヤの回動
によつてポンプハウジングの吸入口と吐出口との
間をプランジヤの切欠きが連続的に往復移動する
ことにより、微量の潤滑油を給送するようになつ
ている。そして、この種のポンプでは微量のオイ
ルをエンジンの負荷回転数に応じて精度よく、か
つ連続的に吐出させるために、例えば第５図に示
すようにポンプ３１に小径のプランジヤ３５を設
け、ポンプの作動室４０の断面積（プランジヤ３
５のストロークに直角な断面積）を小さく取り、
吐出量を可変とするためのプランジヤ３５のリフ
ト量を大きくとつていることが多い。このよう
に、プランジヤ３５の直径が小さいとプランジヤ
の周方向のシール断面積が第７図に示すように小
さいので、ポンプの吸入口３２ｃに油圧がかかつ
た場合、オイルはポンプハウジング３２とプラン
ジヤ３５との間隙を通つて吐出口３２ｄに漏出し
やすくなるので、ポンプの吐出量が変化しオイル
消費の悪化原因の１つとなつていた。

この発明は上記にかんがみ、プランジヤの周方
向のシール性能の良好な微量潤滑油ポンプの提供
を目的とするものである。

つぎに、この発明を図面に示す実施例にもとづ
いて説明する。

第１図〜第４図において、１は微量潤滑油ポン
プであり、２はそのポンプハウジングである。こ
のポンプハウジング２は略円筒状をしており、そ
の内部は大きな穴径をもつ大径中空部２ａと、こ
の大径中空部２ａに続き大径中空部２ａより僅か
に小さな穴径をもち大径中空部２ａと同軸に形成
された小径中空部２ｂとがあり、大径中空部２ａ
の図示下部には互に半径方向に対向して設けられ
た吸入口２ｃと吐出口２ｄとがある。大径中空部
２ａの側方には、大径中空部２ａの軸心と所定の
距離をもつて直交する位置に、ウオームギヤ３が
設けられており、大径中空部２ａ内にはこのウオ
ームギヤ３と噛み合うウオームホイール４が設け
られている。このウオームホイール４は、ウオー
ムギヤ３により大径中空部２ａ内で回転させられ
るとともに、大径中空部２ａの軸心方向に摺動可
能になつている。ウオームホイール４はその一端
（図示上方）の側部に、後述する円筒カム６の縦
動節となる端部突起４ａと、一端の中央に後述す
る制御カム１１の縦動節となる中央突起４ｂとが
それぞれ設けられている。ウオームホイール４は
その他端に溝部４ｃが形成されており、この溝部
４ｃに後述するプランジヤ５の一端部（図示上
端）に設けられた突部５ｃが係合する。プランジ
ヤ５は、ポンプハウジング２の大径中空部２ａの
内側面と油密に嵌合し、かつ、摺動可能に構成さ
れた大径部５ａと、小径中空部２ｂの内側面と油
密に嵌合し、かつ、摺動可能に構成された円筒状
の小径部５ｂとからなつている。プランジヤ５は
大径部５ａの外周部に切欠き５ｄが形成されてい
る。この切欠き５ｄは第２図に示すように、小径
部５ｂと大径部５ａとの段差部からプランジヤ５
の軸線に平行に所定の長さ（上部を残して）切欠
かれている。さらに、プランジヤ５はその軸心部
に小径部５ｂの端部から大径部５ｂに達する中心
孔５ｅがあけられている。

６は円筒カムであり、大径中空部２の図示上端
部近傍の内側に固着されており、さらにこの円筒
カム６の上部で大径中空部２の端部に上蓋７が密
封状に取りつけられている。そして、円筒カム６
は上蓋７と反対側の面に、カム面６ａが形成され
ており、このカム面６ａにウオームホイール４の
突起４ａの先端が当接する。

ポンプハウジング２は上蓋７と反対側端部に下
蓋８が密封状に取りつけられている。プランジヤ
５の中心孔５ｅの底部５ｆと下蓋８との間には圧
縮ばね９が設けられており、この圧縮ばね９によ
りプランジヤ５及びウオームホイール４は共に円
筒カム６方向に押圧され、ウオームホイール４の
端部突起４ａが円筒カム６のカム面６ａに圧接さ
れている。

上記の状態において、ポンプハウジング２の大
径中空部２ａとプランジヤ５の小径部５ｂの外側
との間に円環状の作動室１０が形成されている。
この作動室１０は、プランジヤ５が回転してその
切欠き部５ｄが吸入口２ｃと合致している間その
容積が大きくなるように、又切欠き部５ｄが吐出
口２ｄと合致している間その容積が小さくなるよ
うに、円筒カム６のカム面６ａが形成されてお
り、この作動室１０の容積変化によつて、吸入口
２ｃから作動室１０内に流入したオイルは吐出口
２ｄから外部に送り出される。

ここで、ウオームホイール４がウオームギヤ３
により回転させられ、ウオームホイール４の端部
突起４ａが円筒カム６のカム面６ａに沿つて動く
と、プランジヤ５は圧縮ばね９により円筒カム６
方向に押圧されているので、プランジヤ５には円
筒カム６のカム面６ａの形に応じたストロークが
与えられる。

１１は偏心円盤状の制御カムであり、この制御
カム１１は円筒カム６が固着された個所でポンプ
ハウジング２に取りつけられたカム軸１２に固着
されている。この制御カム１１は円筒カム６の内
側でウオームホイール４の中央突起４ｂの図示上
部に位置している。カム軸１２、従つて制御カム
１１は例えばアクセルペダルあるいはスロツトル
バルブ（いづれも図示しない）の開度に応じて所
定量だけ回転させられるようになつている。従つ
て、例えばスロツトルバルブの開度が少なく、ウ
オームホイール４の端部突起４ａが円筒カム６の
カム面６ａに当接する前に、制御カム１１と中央
突起４ｂとが当接した場合には、プランジヤ５の
動きが制限されて吸入口２ｃから吸入されるオイ
ル量は少なくなる。

つぎに、この実施例の作用について説明する。

ウオームギヤ３がエンジンの回転により回転さ
れると、ウオームホイール４が回転される。ウオ
ームホイール４は前述のように圧縮ばね９により
常時円筒カム６に押圧されているので、ウオーム
ホイール４はその端部突起４ａが円筒カム６のカ
ム面６ａに当接しつつ回転し、ウオームホイール
４およびプランジヤ５は軸線のまわりの回転運動
と軸線方向の往復運動とを同時に行なう。そして
プランジヤ５が回転してその切欠き５ｄがポンプ
ハウジング２の吸入口２ｃに合致すると、この時
プランジヤ５は最上端部に位置しているので、作
動室１０は容積が最大となる。従つて、エンジン
に取りつけられたオイルポンプ（図示しない。）
から微量潤滑油ポンプ１の吸入口２ｃに送られて
来た潤滑油は、吸入口２ｃから切欠き５ｄを通つ
て作動室１０内に入る。

上記のように、作動室１０の容積が最大になつ
て、この作動室１０内に充満された潤滑油は、プ
ランジヤ５が回転する（第３図において反時計方
向）と切欠き５ｄが移動するので、吸入口２ｃは
プランジヤ５の周側部により閉じられる。従つ
て、プランジヤ５がさらに回転すると、プランジ
ヤ５は円筒カム６により作動室１０の容積が小さ
くなる方向（第１図の図示下方）に押圧されるの
で、作動室１０内の潤滑油は圧縮される。つい
で、プランジヤ５がさらに回転して、その切欠き
５ｄがポンプハウジング２の吐出口２ｄと合致す
ると、作動室１０内の潤滑油は吐出口２ｄから吐
出される。さらに、プランジヤ５が回転すると、
吐出口２ｄはプランジヤ５の周側部により閉じら
れる。この状態からさらにプランジヤ５が回転す
ると、プランジヤ５は上昇して作動室１０の容積
は増大し作動室１０内は負圧になるので、プラン
ジヤ５の切欠き５ｄと吸入口２ｃとが合致すると
作動室１０内に吸入口２ｃから潤滑油が流入す
る。

従つて、プランジヤ５が回転を継続することに
より潤滑油は吸入口２ｃから作動室１０内に吸入
され、吐出口２ｄから吐出される。

ここで、従来の微量潤滑油ポンプ３１は前述の
ように、プランジヤ３５の直径を小さくして、作
動室４０の断面積を小さく取つている。そして、
プランジヤ３５及びウオームホイール３４を円筒
カム３６方向に押圧する圧縮ばね３９はプランジ
ヤ３５の外側に設けられている。このようにプラ
ンジヤ３５の直径を小さくしたことにより、プラ
ンジヤ３５はその周方向のシール断面積A′が小
さくなつており、吸入口３２ｃに油圧がかかつた
とき、プランジヤ３５の外周の漏れ経路は短か
い。

この実施例の微量潤滑油ポンプ１のプランジヤ
５は、ポンプハウジング２の大径中空部２ａと嵌
合する大径部５ａと、小径中空部２ｂと嵌合する
小径部５ｂとを有し、プランジヤ５及びウオーム
ホイール４を円筒カム６方向に押圧する圧縮ばね
９はプランジヤ５の中心孔５ｅに嵌挿されてい
る。そして、吸入口２ｃと吐出口２ｄとはポンプ
ハウジング２の大径円筒部２ａに設けられてお
り、プランジヤ５の大径部５ａの直径は従来のプ
ランジヤの直径より大きくなつているので、プラ
ンジヤ５の大径部５ａのシール部の断面積Ａは従
来のプランジヤ３５のシール部断面積A′よりは
るかに大きくなつている。このため、吸入口２ｃ
に油圧がかかつた時、潤滑油が吸入口２ｃから吐
出口２ｄへプランジヤ５の外周を通つて流れる経
路が従来より長くなつており、潤滑油の漏れは防
止される。

又この実施例の円環状の作動室１０の容積は、
プランジヤ５の大径部５ａの直径を大きくして
も、小径部５ｂの直径を大きくすること等によ
り、小さくすることができるので、吐出口２ｄか
ら吐出され潤滑油の量を可変とするためのプラン
ジヤ５のストローク（上下方向の移動量）を多く
とることができる。

なお、ポンプハウジング２の大径中空部２ａと
プランジヤ５の大径部５ａの嵌合クリヤランスは
できるだけ小さくする方が大径部５ａの外周部か
らオイルの漏れるのを防止する上で有利である。

さらに、ポンプハウジング２の小径中空部２ｂ
にＯリング１３を嵌着し、Ｏリング１３を介して
プランジヤ５の小径部５ｂを摺動させれば、オイ
ルの漏れを防ぐ上で効果的である。

この発明は上記にように、車両用エンジンの潤
滑用として使用される微量潤滑油ポンプのプラン
ジヤをポンプハウジングの大径中空部内を摺動並
びに回動嵌合する大径部と、小径中空部内を摺動
並びに回動嵌合する円筒状の小径部とにより形成
して、ポンプハウジングの大径中空部及び小径中
空部とプラジヤの大径部及び小径部とにより作動
室を形成し、プランジヤの大径部の外側面に上端
が閉鎖され、下端が前記作動室に通ず切欠きを形
成し、この切欠きはプランジヤの回動によりポン
プハウジングの吸入口及び吐出口に交互に連通
し、前記小径部内にプランジヤをウオームホイル
方向に押圧するばねを設けたことにより、プラン
ジヤの外径を従来のプランジヤの外径より大きく
でき、プランジヤの外周を通つて吸入口から吐出
口へ流れるオイルの通路を長くすることができる
のでプランジヤのシール性能を向上することがで
き、かつプランジヤの円周部外側に設けた作動室
を小断面積にできるので、プランジヤのストロー
クを大きくできて微量潤滑油ポンプの吐出量をこ
まかく調整できるので、オイルを精度よく、か
つ、連続的に吐出させオイル消費の悪化を防ぐこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図はこの発明の一実施例を示し、
第１図は微量潤滑油ポンプの縦断面図、第２図は
プランジヤの斜視図、第３図は第１図の−線
断面図、第４図は第１図の−線断面図、第５
図〜第７図は従来の微量潤滑油ポンプの一実施例
を示し、第５図はポンプの縦断面図、第６図はプ
ランジヤの斜視図、第７図は第５図の−線断
面図である。 １……微量潤滑油ポンプ、２……ハウジング、
２ａ……大径中空部、２ｂ……小径中空部、２ｃ
……吸入口、２ｄ……吐出口、３……ウオームギ
ヤ、４……ウオームホイール、５……プランジ
ヤ、５ａ……大径部、５ｂ……小径部、５ｄ……
切欠き、５ｃ……中心孔、６……円筒カム、６ａ
……カム面、７……上蓋、８……下蓋、９……圧
縮ばね、１０……作動室。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 大径中空部と小径中空部とを有し両端が蓋体
   により閉鎖された円筒状のポンプハウジングと、
   このハウジングの大径中空部に設けられてエンジ
   ンのクランク軸の回転に連動して回転するウオー
   ムギヤと、前記ポンプハウジングの大径中空部内
   に設けられて前記ウオームギヤと噛合つて回転す
   る、一端部に突起を有するウオームホイールと、
   前記ポンプハウジングの一端部内側に固着され
   て、前記ウオームホイールの突起と当接するカム
   面を有し、ウオームホイールが回転する時ウオー
   ムホイールをその軸方向に往復動させる円筒カム
   と、外周面に上端閉鎖された切欠きを有しウオー
   ムホイールの他端部に取り付けられて、ウオーム
   ホイールにより往復動と回転運動とを与えられ、
   前記切欠きを介してポンプハウジングの一側に設
   けられたた吸入口から潤滑油を吸入して吸入口と
   反対側に設けられた吐出口から吐出するプランジ
   ヤとを有する車両用エンジンの微量潤滑油ポンプ
   において、前記プランジヤをポンプハウジングの
   大径中空部内に摺動並びに回動可能に嵌合する大
   径部と、ポンプハウジングの小径中空部内に摺動
   並びに回動可能に嵌合する円筒状の小径部とによ
   り形成して、ポンプハウジングの大径中空部及び
   小径中空部、プランジヤの大径部及び小径部間に
   作動室を形成し、前記潤滑油の吸入口及び吐出口
   をポンプハウジングの大径中空部に設け、前記切
   欠きをプランジヤの大径部の外周面に設けてその
   下端を前記作動室に連通させ、この切欠きはプラ
   ンジヤの回動によりポンプハウジングの吸入口及
   び吐出口に交互に連通し、前記小径部内にプラン
   ジヤをウオームホイール方向に押圧するばねを設
   けたことを特徴とする微量潤滑油ポンプのプラン
   ジヤ構造。