JPS6211176Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は電動機に係り、軸受部分の構成に関す
る。

〔従来の技術〕

従来電動機において回転数が増すとボールベア
リングの外輪とこのボールベアリングを収納した
ベアリング収納部との嵌合部分に微小すべりによ
る摩耗（クリープ）を生じ、カーボン異常摩耗の
原因となつていた。そこでこのような現象を防止
するために、ボールベアリングの外輪とベアリン
グ収納部とを接着する構成が得られている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記従来のボールベアリングの外輪とベアリン
グ収納部とを接着した構造ではクリープは防止で
きるが隙間嵌めの電動機において、接着前にばね
等で予圧がない場合には接着後スラスト予圧がか
からないためスラスト方向にがたを生じ振動音を
発することになる。またシヤフトの熱膨脹により
過大予圧がかかつた場合フレームの軸方向への弾
性がないと、軸受寿命を縮める原因となつてい
た。

本考案は上記問題に鑑み、電動機のフレームの
一方のベアリングが支持されるベアリング収納部
を軸方向に弾性移動可能にし、他方のベアリング
収納部に収納されたボールベアリングを予圧ばね
で軸方向に予圧を与えた状態でこのボールベアリ
ングの外輪を前記ベアリング収納部に接着し、高
速回転時のクリープを防止するとともに軸方向に
弾性移動可能に支持しベアリングの損傷を防止す
るとともにベアリング接着を容易にした電動機を
提供するものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は電動機本体を収納し回転軸を回転自在
に支持するボールベアリング収納部を両端に形成
したフレームを備え、前記一方のベアリング収納
部は前記フレームに穿設した切孔によつて形成さ
れた支腕によつて軸方向に弾性的に移動可能に設
け、他方のベアリング収納部は外端面に開口を有
し、この他方のベアリング収納部に予圧ばねを収
納し、この予圧ばねとボールベアリングとの間に
このボールベアリングの外輪の端面に当接されボ
ールベアリングの内輪より径大の膨出凹部を有す
る抑え板を介在させ、前記他方のベアリング収納
部に嵌着されたボールベアリングに予圧ばねで予
圧を与えた状態でこのボールベアリングの外輪を
前記ベアリング収納部に接着してなるものであ
る。

〔作用〕

電動機本体の回転数が増すと、他方のボールベ
アリングとベアリング収納部間に微小すべりによ
るクリープが発生しようとしてもこの他方のボー
ルベアリングとベアリング収納部との間は予圧を
かけて接着されており、クリープの発生は防止さ
れ、また回転軸の熱膨脹によりボールベアリング
に過大なスラスト方向の圧力がかかつてもフレー
ムの支腕部分で軸方向に弾性的に移動して両ベア
リングに過大なスラスト方向の圧力がかかること
が防止される。

〔実施例〕

次に本考案の実施例の構成を添附図面について
説明する。

１は電動機本体であり、回転軸２にはボールベ
アリング３，４が嵌着固定されている。

５はフレームであり、電動機本体１が収納され
た容体部６と蓋板７とより構成され、この蓋板７
と容体部６の底板中心より外方に膨出させ端面に
開口を有するベアリング収納部８，９が形成さ
れ、このベアリング収納部８，９にそれぞれ電動
機１の回転軸２に嵌着されたボールベアリング
３，４が嵌着されている。

また前記蓋板７は中心に一方のベアリング収納
部８を残して周縁部との間が数本の支腕１０で支
持されるように切孔１１が形成され蓋板７の中心
のベアリング収納部８は軸方向に弾性移動が可能
となつている。

さらに他方のベアリング収納部９に嵌着された
ボールベアリング４の端面には抑え板１２が当着
され、この抑え板１２とベアリング収納部９の端
面との間にリング状の予圧ばね１３が張設されス
ラスト方向に予圧した状態でボールベアリング４
の外輪１４とベアリング収納部９間が接着剤で接
着されている。

また前記抑え板１２はボールベアリング４の外
径と同径の円盤形で中心にボールベアリング４の
内輪１５の外径より稍大径で外方に膨出させた膨
出凹部１６が形成されている。また第５図に示す
ように抑え板１２の周縁数ケ所に切欠部１７を形
成し、予圧ばね１３を取付けた後ベアリング収納
部９の内壁とボールベアリング４の外輪１４の外
壁間にベアリング収納部９の外端面開口から接着
剤を注入し易いようにする。

次に上記実施例の作用を説明する。

予圧ばね１３によりボールベアリング３，４に
は予圧がかけられており、電動機本体１の回転数
が増すと、ボールベアリング４とベアリング収納
部９間に微小すべりによるクリープが発生しよう
とするが両者間は予圧をかけられた後に接着され
ているから、クリープの発生は防止される。また
回転軸２の熱膨脹によりボールベアリング３，４
に過大なスラスト方向の圧力がかかるような場合
にはフレーム５の一側蓋板７がベアリング収納部
８を支持した支腕１０部分で軸方向に弾性移動
（伸長）するため、ボールベアリング３，４に過
大なスラスト方向の圧力がかかることが防止され
る。

さらに接着剤を使用する側のボールベアリング
４の端面には、この内輪１５よりも大径の膨出凹
部１６を有する抑え板１２を当着したため、ベア
リング収納部９の外端面開口から注入した接着剤
が内輪１５に介入するのを防ぐことができる。

〔考案の効果〕

本考案によれば、電動機本体が収納されたフレ
ームの両端に形成されたベアリング収納部の一方
がフレームの軸方向に弾性移動し得る一方端に形
成され、それぞれのベアリング収納部にボールベ
アリングを支持するとともに、他方のボールベア
リングが予圧ばねで押圧されかつ外周を前記ベア
リング収納部に接着したため、電動機の高速回転
によつて発生するクリープは、ボールベアリング
とベアリング収納部の接着によつて防止されると
ともに予圧ばねによる予圧によつてスラスト方向
のがたを発生することがなく、また一方のボール
ベアリングはフレームの軸方向に弾性移動可能な
一方端に形成されたベアリング収納部に収納され
ているから、ボールベアリングとベアリング収納
部が接着されているにもかかわらず回転軸の熱膨
脹によつてもボールベアリングに過大な負担をか
けることがなく、またベアリングの外輪を接着す
る接着剤が内輪に接触することがなく、回転が損
なわれることがないとともに接着は他方のベアリ
ング収納部の外端面から行なうことができ、接着
が容易にできるものである。

したがつてクリープ防止のためにベアリング収
納部の寸法精度を高めたり、回転子のバランス量
を減少させる等の工程数を複雑化することなく簡
単な構造でコストを低減することが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す電動機の一部
を切欠いた側面図、第２図は同上フレームの正面
図、第３図は同上ベアリング部分の縦断側面図、
第４図は同上抑え板の正面図、第５図他の実施例
を示す抑え板の正面図である。 １……電動機本体、２……回転軸、３，４……
ボールベアリング、５……フレーム、８，９……
ベアリング収納部、１０……支腕、１１……切
孔、１２……抑え板、１３……予圧ばね、１４…
…外輪、１５……内輪。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 電動機本体を収納し回転軸を回転自在に支持す
   るボールベアリング収納部を両端に形成したフレ
   ームを備え、前記一方のベアリング収納部は前記
   フレームに穿設した切孔によつて形成された支腕
   によつて軸方向に弾性的に移動可能に設け、他方
   のベアリング収納部は外端面に開口を有し、この
   他方のベアリング収納部に予圧ばねを収納し、こ
   の予圧ばねとボールベアリングとの間にこのボー
   ルベアリングの外輪の端面に当接されボールベア
   リングの内輪より径大の膨出凹部を有する抑え板
   を介在させ、前記他方のベアリング収納部に嵌着
   されたボールベアリングに予圧ばねで予圧を与え
   た状態でこのボールベアリングの外輪を前記ベア
   リング収納部に接着したことを特徴とする電動
   機。