JPS6211161B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、複数個の気筒を有する多気筒ロータ
リピストンエンジンの改良に関するものであり、
さらに詳しくは、気筒間に介在する中間サイドハ
ウジングのスペースの有効活用を図つた多気筒ロ
ータリピストンエンジンの改良に関するものであ
る。

（従来技術） 多気筒ロータリピストンエンジンには、たとえ
ば、特公昭58−20371号公報に開示されているよ
うに、一対の偏心部を有する偏心軸の軸方向中間
部分であつて気筒間に介在されるサイドハウジン
グに臨む軸部に、デイストリビユーター、オイル
ポンプ等の補機を駆動する駆動手段としての補機
駆動ギヤを形成したものが知られている。

この従来のものは、気筒間に介在されるサイド
ハウジングのスペースの有効活用を図つてエンジ
ン全体としてのコンパクト化を図つたものである
が、補機類駆動手段を一対の偏心部間の軸部に形
成する構成であるがために、ロータ嵌合用の偏心
部が邪魔となつて、補機類駆動手段の製作が困難
であるという問題がある。

また、補機類駆動手段が破損、摩耗したときに
は、偏心軸そのものを全体的に交換しなければな
らず、気筒数が増えれば増える程コスト的に好ま
しくなくなるという問題もある。

（発明の目的） 本発明は、上記従来技術が有する問題点に鑑み
てなされたもので、その目的とするところは、偏
心軸への補機類駆動手段の製作が容易で、かつ、
補機類駆動手段が破損、摩耗した場合であつても
その交換に際してコスト的に好ましい多気筒ロー
タリピストンエンジンを提供することにある。

（発明の構成） 本発明は、偏心軸を、気筒間に介在されるサイ
ドハウジングを貫通して延びる第１偏心軸と、外
周に偏心部を有してその貫通軸部に着脱可能に嵌
合される第２偏心軸との分割構成とし、その第２
偏心軸をそのサイドハウジング内に臨むようにそ
れに向かつて延在させて、その延在端部に補機類
駆動手段を形成したところにある。

このように構成すると、偏心部が邪魔とならず
に補機類駆動手段を第２偏心軸に形成することが
できることになり、補機類駆動手段の製作が容易
となる。また、補機類駆動手段が摩耗等したとき
には、その第２偏心軸のみを交換すればよいこと
となるから、気筒数が増えた場合であつてもコス
ト的に好ましいものとなる。

（実施例） 以下に本発明に係る多気筒ロータリピストンエ
ンジンの一実施例を図面に基ずいて説明する。

第１図において、１は多気筒ロータリピストン
エンジン本体であつて、この多気筒ロータリピス
トンエンジン本体１は、端部サイドハウジング
２，３と中間サイドハウジング４〜６とロータハ
ウジング７〜９とを有しており、ロータハウジン
グ７は端部サイドハウジング２と中間サイドハウ
ジング４とにより気密性を保持されて第１気筒の
作動室１０を形成し、ロータハウジング８は中間
サイドハウジング４，５により気密性を保持され
て第２気筒の作動室１１を形成し、ロータハウジ
ング９は端部サイドハウジング３と中間サイドハ
ウジング６とにより気密性を保持されて第３気筒
の作動室１２を形成しており、１３〜２０は冷却
水通路である。各ハウジング２〜９は中空形状の
位置決めピン２１〜２４によつて互いに位置決め
されると共に、テンシヨンボルト２５により締付
けられて結合されており、第２図において、２６
はこのテンシヨンボルト２５の挿通孔、２７は吸
気孔、２８は排気孔を示す。

多気筒ロータリピストンエンジン本体１には、
端部サイドハウジング２から端部サイドハウジン
グ３に向かつてこの多気筒ロータリピストンエン
ジン本体１を貫通する第１偏心軸２９が設けられ
ている。この第１偏心軸２９は、その軸方向に延
びる大径部３０とこの大径部３０よりも小径の小
径部３１とを有しており、ここでは、大径部３０
は端部サイドハウジング２から中間サイドハウジ
ング５にまで渡つて延びる構成とされ、小径部３
１は、中間サイドハウジング５から中間サイドハ
ウジング６、ロータハウジング９、端部サイドハ
ウジング３を経由して外部に突出する構成とされ
ている。大径部３０には、作動室１０に臨む部分
に偏心部３２が形成され、作動室１１に臨む部分
に偏心部３３が形成されて、この偏心部３２，３
３には、第２図に示すような三角形状のロータ３
４，３５がそれぞれ取付けられている。ここで
は、この第１偏心軸２９には、その大径端部にフ
ライホイル３６が取付けられ、３７はそのフライ
ホイルに取付けられたリングギヤを示し、その小
径部３１の小径端部３８には、ボルト部３９が形
成されると共に、カラー４０が嵌挿されている。

端部サイドハウジング２と端部サイドハウジン
グ３と中間サイドハウジング５とには、固定ギヤ
４１，４２，４３がボルト４４によつてそれぞれ
取付けられており、固定ギヤ４１，４２は第１偏
心軸２９の軸受け部を兼用する構成とされてお
り、４５，４６はそのベアリングを示し、４１ａ
〜４３ａは各固定ギヤ４１〜４３の歯部を示して
いる。各ロータ３４，３５には、インタナルギヤ
４７，４８が取付けられ、その歯部は歯部４１
ａ，４２ａに螺合されて、インタナルギヤ４７，
４８はロータ３４，３５とともに固定ギヤ４１，
４２の周囲を遊星的に回転するものとされてい
る。

第１偏心軸２９の小径部３１には、中空形状の
第２偏心軸４９が設けられている。この第２偏心
軸４９は、その軸方向に延びる貫通孔５０を有し
ており、小径部３１はこの貫通孔５０に嵌合する
構成とされている。第１偏心軸２９には、その大
径部３０と小径部３１との間にテーパ部５１が形
成されており、このテーパ部５１は小径部３１か
ら大径部３０に向かつて延びるに伴なつて次第に
拡径するものとされ、貫通孔５０はそのテーパ部
５１に近い側がテーパ孔５２とされて、このテー
パ孔５２はテーパ部５１に圧入嵌合されており、
テーパ部５１とテーパ孔５２とは第２偏心軸４９
に形成されている偏心部５３の軸方向位置決め手
段として機能するものである。偏心部５３は作動
室１２に位置するものとされて、この偏心部５３
にはロータ５４が取付けられており、ロータ５４
にはインタナルギヤ５５が固定されてその歯部は
固定ギヤ４３の歯部４３ａに噛合され、インタナ
ルギヤ５５はこの固定ギヤ４３の周囲をロータ５
４とともに遊星回転するものとされている。ここ
で、固定ギヤ４３は第２偏心軸４９の軸受け部を
兼用しており、５６はそのベアリングである。

第２偏心軸４９は、小径端部３８から小径部３
１に挿通されるものであり、小径部３１と第２偏
心軸４９との間には、第２偏心軸４９の偏心部５
３の回転方向の位置決めを第１偏心軸２９の各偏
心部に対して行うためのキー５７が設けられてい
る。この第２偏心軸４９は、ボルト部３９に螺合
するナツト５８によつてカラー４０を介して小径
部３１の軸方向であつてかつテーパ孔５２がテー
パ部５１に接近する方向に押圧されるものであ
り、第２偏心軸４９は、ボルト部およびナツトの
締結部材によつて一体回転可能、かつ、着脱可能
に第１偏心軸２９に結合されるものとなつてい
る。

ここでは、中間サイドハウジング５と中間サイ
ドハウジング６とが気筒間に介在して補機類を設
置する設置空間５９を構成しており、偏心軸２９
の小径部３１は中間サイドハウジング６を貫通し
て延びる貫通軸部となつている。第２偏心軸４９
は、設置空間５９に在されており、その延在端部
４９ａの外周には、補機類駆動手段としてのギヤ
６０、プーリ部６１、スプロケツト部６２が軸方
向に互いに一定間隔をあけて形成されており、こ
こでは、スプロケツト部６２は第２偏心軸４９の
延設端に設けられて固定ギヤ４２すなわち第１偏
心軸２９のベアリング４６に近接する構成とさ
れ、第２偏心軸４９の回転中のぶれが極力生じな
いようにされている。中間サイドハウジング６に
は、その下部に補機としてのオイルポンプ６３が
設置され、その入力軸６３ａには、チエーン６４
が連結されて、第２偏心軸４９の回転によつて駆
動するものとされ、中間サイドハウジング５に
は、その上部に補機としてのウオータポンプ６５
が設置され、その入力軸６６は、プーリ６７、ベ
ルト６８を介してプーリ部６１に連結されて、第
２偏心軸４９の回転によつて駆動するものとさ
れ、ギヤ６０はギヤ６９を介して図示を略す補機
としてのデイストリビユータを駆動するものとさ
れている。

なお、中間サイドハウジング５，６を分割して
いるには、これらサイドハウジング内の空間部に
補機を組込む際、その組込みができるようにする
ためである。

以上実施例においては、気筒数が３個の構成の
ものに本発明を適用した実施例を説明したが、本
発明は、気筒数が２個のものにも適用でき、ま
た、気筒数が４個以上のものにも適用できるもの
である。

（発明の効果） 本発明は、以上説明したように、偏心軸を２分
割構成として、隣接する気筒の中間サイドハウジ
ングの設置空間内に第２偏心軸の延設端部を設
け、この延設端部に補機類駆動手段を設けること
としたので、その偏心軸の製作が容易であるとい
う効果を奏する。また、補機類駆動手段が摩耗し
たときには、その第２偏心軸のみの交換を行なえ
ばよいことになるから、気筒数が多くなればなる
程コスト的に安価となるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る多気筒ロータリピストン
エンジンの全体構成を示す断面図。第２図は本発
明に係る多気筒ロータリピストンエンジンの内部
構成図。 ５，６……中間サイドハウジング、２９……第
１偏心軸、３１……小径部、３２，３３……偏心
部、４９……第２偏心軸、４９ａ……延在端部、
５０……貫通孔、５３……偏心部、５９……設置
空間、６０……ギヤ、６１……ベルト部、６２…
…スプロケツト部、６３……オイルポンプ、６５
……ウオータポンプ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 隣接する気筒との間に介在されたサイドハウ
   ジングと、 外周に偏心部を有し、前記サイドハウジングを
   貫通して延びる貫通軸部が形成された第１偏心軸
   と、 外周に偏心部有し、かつ、前記貫通軸部が延び
   る方向に貫通孔が形成され、しかも前記貫通軸部
   に前記貫通孔が嵌合されて、前記第１偏心軸と一
   体回転可能、かつ、着脱可能に結合された第２偏
   心軸とを備えた多気筒ロータリピストンエンジン
   であつて、 前記サイドハウジングには、補機類の設置空間
   が形成され、前記第２偏心軸は前記設置空間に延
   在されて、その延在端部に補機類駆動手段が形成
   されていることを特徴とする多気筒ロータリピス
   トンエンジン。