JPS6210402Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はランキンサイクルの起動装置に係る。

ランキンサイクルの系統を第１図に示し、その
方式の概要について説明する。

コンデンサ１の下部（ホツトウエル）に集めら
れた作動流体の凝縮液は、ポンプ２で高圧とな
り、加熱器３に入つて気化蒸発し、高温蒸気とな
る。高温蒸気はタービン４に入つて仕事をし、温
度圧力が低下して、コンデンサ１に戻り、冷却表
面７に触れて凝縮する。タービンの仕事は、例え
ば、発電機６で消費され、また一部の仕事は、例
えば歯車列５を介してポンプ２の駆動に使用され
る。

このようなランキンサイクルの始動には、ポン
プ２及びコンデンサ１に所要量の作動流体を充て
んした後、発電機６をモータとすることによつ
て、あるいは図示しない外部駆動源によつてポン
プ２を駆動し、その吐出高圧液を加熱器３で蒸気
とし、タービン４の駆動を行う。タービン４の出
力増加によつて図示しない外部駆動源又は発電機
６のモータリングは中止され、系は自立する。こ
の間当初系内に充満していた空気（もしくは非凝
縮成分ガス）は、例えばコンデンサ１から真空ポ
ンプ８によつて排出され、ランキンサイクルの始
動自立が完了する。

このようなランキンサイクルを水中航走体の動
力源として使用する場合には、(イ)外部電源または
外部動力源が得にくいので、何らかの加圧給液装
置を保有しなければならないこと、及び(ロ)系内の
初期残留非凝縮ガスの分離装置を保有しなければ
ならないという問題点がある。

第２図は上記の場合の実施例である。

タービン４の出力は、プロペラ６等の駆動に使
用される。始動に際しては、図示しない高圧ガス
源及び調圧装置によつて調圧された作動液加圧タ
ンク２１から加圧された作動液がしや断弁２０、
一方向弁１９を経て、ポンプ２の吐出側に供給さ
れる。

ポンプ２の吐出側には、一方向弁１８が付いて
おり、上記加圧液がポンプ２側へ逆流することを
防ぐ。

コンデンサ１は通常のランキンサイクル用コン
デンサと異なり、例えば、蒸気側もパイプ構造と
するように所要体積を極度に切りつめた構造とな
り、場合によつては、ホツトウエルを省略して、
入口から出口まで一本のパイプで構成されるもの
もある。このような場合、冷却面積不足のため、
コンデンサ１の作動圧力は、大気圧以上となるこ
とも多い。

コンデンサ１で凝縮した作動液は、非凝縮ガス
成分の分離のために、例えば、ポンプ２で同軸で
駆動さたる真空ポンプ１５に入り、ここでガス成
分と液成分に分離されて、ガス成分１６は系外に
投棄され、作動液１７はポンプ２に入り昇圧され
る。ポンプ２の吐出圧が加圧タンク２１の圧力よ
り高くなれば、一方向弁１８，１９の作用によつ
てポンプ２の吐出液が加熱器３に入るようにな
り、始動課程が終了する。

真空ポンプ１５による非凝縮ガス成分の分離は
作動は確実であるが、初期起動時の如く系内に充
満している多量のガスが数秒程度の短時間のうち
に放出されなければならぬ状態では充分に機能せ
ず、分離されなかつたガス成分がポンプ２側に吸
込まれ、数回系内を循環する間にようやく分離脱
気が完了する状態となる。

本考案は、上記したような従来型の欠点を解消
せんとして提案するもので、ランキンサイクル系
内の初期残留非凝縮ガスを排出するための真空ポ
ンプを省略して装置の小型軽量化を図るととも
に、水中航走体等に使用される場合のランキンサ
イクルの作動上の特色を生かして、上記のように
軽量化し、かつ、より短時間に非凝縮ガスの分離
を行うことを目的とする。

蒸気発生器からの蒸気を蒸気原動機で膨張利用
したのち、復水器で復水させ、給水ポンプで前記
蒸気発生器へ戻すべく、前記蒸気発生器と前記蒸
気原動機、同蒸気原動機と前記復水器、同復水器
と前記給水ポンプ、同給水ポンプと前記蒸気発生
器とを管路で接続したランキンサイクルにおい
て、本考案のランキンサイクルの起動装置では、
ガス加圧式作動液容器をそれぞれしや断弁及び逆
止弁を介して前記復水器入口側管路に設けられた
しや断弁の後流、及び前記給水ポンプ出口側管路
に設けられた逆止弁の後流に接続するとともに、
前記復水器入口側管路に設けられたしや断弁の前
流に、しや断弁を介してガス排出管路を設けるこ
とにより、ガス加圧式作動液の加圧力を利用した
サイクル管路内のガス置換を可能可能にしたこと
を特徴としており、飛翔体や水中航走体の動力源
として使用されるランキンサイクルの起動装置と
して応用できるものである。

次に本考案の具体的実施例について第３図を参
照して詳細に説明する。

始動液は、加圧タンク２１からしや断弁３１、
調整された固定絞り３２、一方向弁３６を経て、
コンデンサ１の入口に導入される。しや断弁３３
が閉じているので、一方向弁３６から導入された
始動液はコンデンサ１およびポンプ２ならびにそ
の間の管路の中の非凝縮ガス成分を押し出しなが
ら一方向弁１８を経て、加熱器３まで達する。こ
の時、しや断弁３５が開いているので、始動液に
押し出されたガスの一部は、しや断弁３５を経
て、系外へ排出される。この課程で、コンデンサ
１からポンプ２までのいわゆるプライミングが完
了し、しや断弁３１は調整されたタイミングで閉
になる。続いて所定の時間遅れをもつてしや断弁
２０が開き、一方弁１９を経て高圧の始動液がプ
ライミングを終つて液が充満しているポンプ２の
吐出側の一方弁１８の後に供給され、高圧液が加
熱器３に流入することにより、高温高圧の蒸気が
発生し、非凝縮ガス成分の押し出しは急速に進行
し、タービン４は回転を始める。

非凝縮ガス成分の押出しが完了する時点で、あ
らかじめ調整されたタイミングで、しや断弁３５
が閉じ、しや断弁３３が開となつて、タービン４
を出た蒸気はコンデンサ１へ流入を始め、コンデ
ンサ１で凝縮し、コンデンサ１内のプライミング
液と合流する。この間ポンプ２はタービン４の回
転上昇とともに回転上昇し、その吐出圧力が加圧
タンク２１からの始動液の圧力を越えるに至つ
て、一方向弁１８及び１９の作用によつてポンプ
２の吐出液が加熱器３に流入するに至り、サイク
ルの始動が完了する。

なお、ポンプ２には加速過程での圧力、流量調
整のために、吐出口と吸込口を連絡する図示され
ないバイパスラインが存在してもよい。

以上の構成により、真空ポンプ及びそれを駆動
するための外部電源なしで系内のガス排出が出来
るので装置が小型軽量化される。

【図面の簡単な説明】

第１図はランキンサイクルの系統図、第２図は
加圧給液装置と非凝縮ガスの分離装置を保有する
例の系統図、第３図は本考案の構成を示す系統図
である。 １……コンデンサ、２……ポンプ、３……加熱
器、４……タービン、５……歯車列、６……発電
機、７……冷却表面、１８，１９……一方弁、２
０，３１，３３，３５……しや断弁、２１……加
圧タンク、３２……固定絞り、３６……一方向
弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 加圧作動流体の注入によつて系の始動を計るラ
   ンキンサイクルにおいて、ガス加圧式作動液容器
   をそれぞれしや断弁および逆止弁を介して復水器
   入口側管路に設けたしや断弁の後流および給水ポ
   ンプ出口側管路に設けた逆止弁の後流に接続する
   と共に、前記復水器入口側管路に設けられたしや
   断弁の前流にしや断弁を介してガス排出管路を設
   け、ガス加圧式作動液の加圧力を作用してサイク
   ル管路内のガス置換もしくは非凝縮成分ガスの排
   出を行うようにしたことを特徴とする、ランキン
   サイクルの起動装置。