JPS6161358B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は時計の報時機構、特に正時における告
時作動に先立つて予鈴作動が得られる改良された
報時機構に関するものである。

所望の告時時刻、即ち分針が０分の位置を指す
正時及び30分の位置を指す半時に時打或いはチヤ
イム鳴りを行う報時時計が周知であり、時刻指示
針を目視することなく時刻を知ることができ、掛
時計或いは置時計に広範囲に利用されている。し
かしながら、従来の報時時計においては、各告時
時刻において時打或いはチヤイム鳴りが何らの予
告なしに行われるので、実際上鳴り初めの報時数
を聞き逃して正確な時刻を知ることができないと
いう欠点が生じていた。

本発明は上記従来の課題に鑑み為されたもので
あり、その目的は、正時における告時作動に先立
つて予鈴作動を行うことのできる改良された時計
の報時機構を提供することにある。

上記目的を達成するために、本発明は、電気的
予鈴装置と、該予鈴装置の作動を制御するために
可動接点板と接離する予鈴制御接点板と、電気的
告時装置と、該告時装置の作動を制御するために
前記可動接点板と接離する告時制御接点板と、時
計輪列と同期回転し外周面に高さの高い正時用カ
ム突起と高さの低い半時用カム突起とを有する時
カム車と、前記時カム車のカム周面に追従接触し
て前記可動接点板の位置を制御するアゲカマと、
時計輪列と同期回転して外周に１分間隔のピツチ
で配列された１分カムが形成された１分カム車
と、前記１分カム車と係接可能な係合子が一端に
設けられ他端には前記アゲカマにて位置制御され
る可動接点板の先端と係合する作動子が設けられ
た１分制御レバーと、を含み、 前記１分制御レバーの作動子にはその端面に形
成された係止溝から成り前記可動接点板の先端を
係止する半時用係止部が設けられ、また１分制御
レバーの作動子先端に沿つて前記予鈴制御接点板
の先端が伸延して前記可動接点板を係止する正時
用係止部を形成し、 正時の報時作動時には、前記アゲカマが時カム
車の正時用カム突起から谷部に落込んで前記可動
接点板が１分制御レバーの可動子先端に伸延して
いる予鈴制御接点板と接触して予鈴作動が行わ
れ、次に１分カム車が１分制御レバーを回動して
前記予鈴制御接点板による可動接点板の係止を解
除して可動接点板が告時制御接点板と接触するこ
とによつて告時装置の告時作動が行われ、 一方、半時の報時作動時には、前記アゲカマが
時カム車の低い半時用カム突起から谷部に落込ん
で前記可動接点板を１分制御レバーの半時用係止
部である係止溝に係合させ可動接点板と予鈴制御
接点板との接触を防いで予鈴作動を禁止し、その
後に１分カム車が１分制御レバーによる可動接点
板の係合を解除して可動接点板と告時制御接点板
とを接触させて告時装置の告時作動のみを行うこ
とを特徴とする。

本発明によれば、正時の直前に短時間の例えば
10秒程度の予鈴作動が行われた後に正時における
告時作動が得られ、又、半時においては予鈴作動
が禁止されて告時作動のみを得ることが可能と成
り、正時と半時との識別が極めて容易であり、特
に正１時と半時のように告時回数がともに１回の
告時時刻の識別を容易に行うことができる。

以下図面に基づいて本発明の好適な実施例を説
明する。

第１図〜第５図には、本発明に係る報時機構の
好適な実施例の各動作変化に伴なう態様を平面方
向から見た配置図が示されている。

図示されてはいないが、実施例における電気的
予鈴装置はメロデイ吹奏装置から成り、合成され
た電子音信号により音響発生器を駆動して所望の
予鈴作動を得ることができる。前記予鈴装置の作
動を制御するために可動接点板１０が設けられ、
実施例において、可動接点板１０の近傍には予鈴
制御接点板１２が接離可能に設けられている。前
記可動接点板１０は接点基板１４に固定され、
又、予鈴制御接点板１２は時計基板にねじ固定さ
れている。

電気的告時装置は、図示されていないが、周知
のモータ駆動による機械的な時打装置からなり、
モータ作動を電気的に制御するために前記可動接
点板１０と隣接して接点基板１４に固定された告
時制御接点板１６が設けられ、実施例において、
可動接点板１０は両制御接点板１２，１６に対し
てそれぞれ独立に協働する。

前記両制御接点板１２，１６のオンオフ作動を
制御するために、時計輪列と同期回転する時カム
車１８が設けられ、時カム車１８の接点駆動力が
アゲカマ２０を介して前記可動接点板１０に伝達
されている。時カム車１８は図示していない分針
車に一体形成され、分針車とともに１時間に１回
転する。時カム車１８には正時に対応する高さの
高い正時用カム突起２２及び半時に対応する高さ
の低い半時用カム突起２４が約180度間隔で形成
され、それぞれ正時及び半時の報時作動の開始を
可能とする。両カム突起２２，２４の先端部２２
ａ，２４ａはそれぞれ正時及び半時の約10秒前に
対応して後述する報時セツト作用を行なうよう位
置決め設定されている。

アゲカマ２０は時計受板に固定された軸２６に
揺動自在に軸支され、その一端部に形成された突
起２８が前記時カム車１８のカム周面に周接さ
れ、また他端部に形成されたピン３０，３２がそ
れぞれ後述する数取機構の数取カマ３４及び前記
可動接点板１０に係接されている。このアゲカマ
２０は常時矢印Ａ方向に弾性付勢され、その突起
２８が時カム車１８のカム周面に追従して揺動制
御され、時カム車１８のカム突起２２，２４と突
起２８とが係接する時には、各ピン３０，３２が
数取カマ３４および接点板１０を押圧移動させる
ように構成されている。

以上のようにして、時計輪列の回転と同期して
所定の報時時刻に両制御接点板のオンオフ作動が
制御され、この時の告時時刻に対応した告時作用
を得るために、告時機構には数取機構が設けられ
ている。図示した実施例において、告時作用はモ
ータの回転数を制御することにより時打回数が告
時時刻に対応して設定されている。数取カマ３４
は時計受板に固定された軸３６に揺動自在に軸支
され、その一端に形成された突起３８がクシバ４
０のラツク歯４０ａと適宜係接可能に延び出して
いる。この数取カマ３４は付勢スプリング４２に
より常時矢印Ｂ方向に弾性付勢され、また円弧状
の押圧部４４が告時制御接点板１６とと係接可能
に設けられている。

クシバ４０は時計受板に固定された軸４６に揺
動自在に軸支され、常時矢印Ｃ方向に弾性付勢さ
れている。クシバ４０はそのラツク歯４０ａの揺
動位置により、モータの回転数すなわち時打回数
を選択し、この揺動位置が数取カム４８により制
御されている。

数取カム４８は図示していない時針車と一体に
成形され、その外周にはアナログ表示針による12
時間表示の各１時間づつに対応する12段のカム面
４８ａが形成されている。前述したクシバ４０に
は数取カム４８のカム面４８ａと適宜係接する当
接面４０ｂが形成されている。

図示していない駆動モータの回転軸５０には送
りカム５２が固定され、送りカム５２に固定され
た送りピン５４がクシバ４０のラツク歯４０ａと
噛合い、モータの１回転毎に数取カマ３４の突起
３８とクシバ４０のラツク歯４０ａの係接を解除
しラツク歯４０ａを１歯づつ送り駆動するように
形成されている。

以上のようにして、所定の報時時刻に時カム車
１８がアゲカマ２０を介して両制御接点板をオン
作動可能とし、予鈴作動及び数取機構により選択
された時打回数の告時作動が行なわれるが、時カ
ム車１８は１時間に１回転し、その回転速度が遅
いため高精度の報時作用を得ることができず、本
発明においては、報時時刻を高精度化するため
に、告時制御接点板１６のオン作動が時カム車１
８とは別個に設けられた１分カム車５６により制
御されている。

１分カム車５６は時計輪列と同期回転するため
に、３番車に一体成形され、その外周には８個の
１分カム５８が形成され、各１分カム５８は１分
間で１ピツチ回動するように構成されている。

図示した実施例において、１分カム車５６のカ
ム駆動力は１分制御レバー６０を介して可動接点
板１０へ伝達され、１分制御レバー６０は時計受
板に固定されたピン６２に揺動自在に軸支され、
その一端に設けられた係合子６４が各１分カム５
８と係接可能に設けられ、また他端に設けられた
作動子６６が可動接点板１０と適宜係合可能とな
るように設けられている。

本発明において、１分制御レバー６０はその作
動子６６に正時用係止部と半時用係止部を含み、
実施例において、正時用係止部は作動子６６の先
端に伸延して１分制御レバー６０と一体に揺動す
る予鈴制御接点板１２の先端６８から形成され、
又、半時用係止部は作動子６６の端面に形成され
た係止溝７０から形成されている。予鈴制御接点
板１２は１分制御レバー６０に沿つた導電性バネ
材から成り、１分制御レバー６０を常時矢印Ｄ方
向に押圧付勢し、１分制御レバー６０の係合子６
４を１分カム車５６のカム周面に弾性保持する作
用を行う。この弾性保持は、単に１分制御レバー
６０のふらつきを防止するためにのみ必要であ
り、レバー６０と１分カム５８との係接時に時計
輪列へ与える負荷の影響を軽減させるために弱い
弾性付勢とすることが望ましい。

本発明の好適な実施例は以上の構成から成り、
以下にその作用を説明する。

第１図には正時における報時作用を行なう前の
時刻を示し、半時における報時作用が終了した時
の動作状態が示され、例えば、12時35分頃の時刻
と対応する。この状態で、アゲカマ２０はその突
起２８が時カム車１８の谷面に係接され、数取カ
マ３４はクシバ４０を図のように突起３８がラツ
ク歯４０ａの右端面に当接する位置に係止してい
る。この純態で、両接点板１６，１０はそれぞれ
数取カマ３４の押圧部４４及びアゲカマ２０のピ
ン３２により位置決め保持され、両接点板１０，
１６は解放状態にある。従つて告時装置は非作動
状態に保たれている。同様に、予鈴用の接点板１
０，１２も非接触状態にあり、予鈴装置も非作動
状態に保たれている。

第２図には、正時における予鈴作動の第１段階
のセツト完了状態が示され、時カム車１８が第１
図の状態から反時計方向に回転してほぼ12時59分
頃の時刻になつた状態が示されている。この状態
では、アゲカマ２０が時カム車１８のカム突起２
２により時計方向に回動され、この結果、数取カ
マ３４が反時計方向に回動されてその突起３８が
クシバ４０から離脱した位置まで移動されてい
る。この結果、クシバ４０はその当接面４０ｂが
数取カム４８の１時に対応するカム面４８ａに当
接する位置まで時計方向に回動する。この時、接
点板１０，１６はそれぞれ数取カマ３４の押圧部
４４及びアゲカマ２０のピン３２により図示した
位置まで押圧移動され、依然として両接点板の開
放状態が保持されている。

第３図には、正時における報時作用の第２段階
のセツト完了状態が示され、12時59分50秒頃の時
刻に対応する。この状態では、アゲカマ２０が時
カム車１８の回転によりカム突起２２の先端部２
２ａから谷部に落下移動し、反時計方向へ回動す
る。この結果、ピン３０による数取カマ３４の押
圧を解除し、数取カマ３４は時計方向に回転し、
その突起３８がクシバ４０のラツク歯４０ａの１
時に対応する歯を噛合係合する。同時に、アゲカ
マ２０のピン３２による可動接点板１０の押圧保
持が解除される。従つて、接点板１０は第２図か
ら時計方向へ回動するが、接点板１０はその先端
が１分制御レバー６０の作動子６６の正時用係止
部６８に係合して図の位置に保持される。従つ
て、第３図においても、第２の接点装置のオン作
動が行なわれることなく、告時装置の告時作動が
行なわれることはない。しかしながら、この状態
では、可動接点板１０が予鈴制御接点板１２と接
触するので、この結果告時作動に先立つて予鈴装
置による予鈴作動が行なわれることと成る。

第４図には、正時における告時作用が開始され
た状態が示され、１時00分00秒に対応する時刻を
示す。この状態では、秒表示針の制御位置に同期
設定された１分カム車５６の１分カム５８が１分
制御レバー６０の係合子６４と当接してレバー６
０を時計方向に移動させ、この結果、レバー６０
の作動子６６が接点板１０から離脱し、接点板１
０はその弾性作用により告時制御接点板１６と接
触する位置まで復帰回動し、第２の接点装置のオ
ン作動が得られる。

第２の接点装置のオン作動により、電気的告時
装置の駆動モータが回転して時打動作が行なわ
れ、この時、モータと連動する送りカム５２が回
転して１回の時打作動毎にクシバ４０のラツク歯
４０ａを送り駆動する。従つて、１回の時打作用
完了後、数取カマ３４はその突起３８がクシバ４
０と離脱し、第１図の状態に復帰し、両接点板１
０，１６を開放させる。従つて、各告時時刻毎に
指示時刻に対応した数取カム４８の位置により定
まる回数だけ時打作用が行なわれることになる。

以上のように、本発明によれば、正時において
告時作動に先立つた予鈴作動が得られ、又１分カ
ム車５６により接点装置をオン作動可能に制御し
ているので、極めて高精度の報時作用を得ること
ができ、秒表示針の50秒から正秒までの範囲で予
鈴作動が、そして正秒から少なくとも10秒までの
範囲で告時作動を行なうことが可能となる。

第５図には、半時における報時作用の第２段階
のセツト完了状態が示され、12時29分50秒頃に対
応する時刻を示す。第５図は第２図の正時の状態
とほぼ同一であるが、時カム車１８のカム突起２
４が正時のカム突起２２に比較して低いカム高さ
を有する点で異なり、この結果、アゲカマ２０に
より回動される数取カマ３４の移動量が少ないこ
とが理解される。すなわち、半時においては、数
取カマ３４の突起３８はクシバ４０を完全には解
除することなく、突起３８がラツク歯４０ａの右
端にある歯と噛合した位置までクシバ４０を解除
する。従つて、指示時刻に拘わりなく常に１回の
時打作用が得られ、半時の告時作動が行なわれ
る。

更に、半時のカム突起２４の高さが低いことに
より、アゲカマ２０のピン３２による可動接点板
１０の移動量も正時の場合と比較して少なく、こ
の結果、可動接点板１０はその先端が１分制御レ
バー６０の半時用係止部７０に係止される。従つ
て、半時においては、可動接点板１０が予鈴制御
接点板１２と接触することなく、半時の告時に先
立つ予鈴作動は確実に禁止されることと成る。以
上の結果、本発明によれば、１回の時打回数の告
時作動を予鈴の有無にて正１時と半時とに識別す
ることが可能と成る。

以上説明したように、本発明によれば、正時の
告時作動に先立つて予鈴作動を行なうことがで
き、告時の聞き違い等を防止した良好な報時時計
を得ることができ、又、その報時精度は比較的回
転速度の早い１分カム車により定まり、従来と比
して著しい精度向上を図ることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１，２，３，４，５図はそれぞれ本発明に係
る報時機構の好適な実施例における各動作状態を
示す平面図である。 １０……可動接点板、１２……予鈴制御接点
板、１６……告時制御接点板、１８……時カム
車、２２……正時用カム突起、２４……半時用カ
ム突起、５６……１分カム車、５８……１分カ
ム、６０……１分制御レバー、６８……正時用係
止部、７０……半時用係止部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 電気的予鈴装置と、該予鈴装置の作動を制御
   するために可動接点板と接離する予鈴制御接点板
   と、電気的告時装置と、該告時装置の作動を制御
   するために前記可動接点板と接離する告時制御接
   点板と、時計輪列と同期回転し外周面に高さの高
   い正時用カム突起と高さの低い半時用カム突起と
   を有する時カム車と、前記時カム車のカム周面に
   追従接触して前記可動接点板の位置を制御するア
   ゲカマと、時計輪列と同期回転して外周に１分間
   隔のピツチで配列された１分カムが形成された１
   分カム車と、前記１分カム車と係接可能な係合子
   が一端に設けられ他端には前記アゲカマにて位置
   制御される可動接点板の先端と係合する作動子が
   設けられた１分制御レバーと、を含み、 前記１分制御レバーの作動子にはその端面に形
   成された係止溝から成り前記可動接点板の先端を
   係止する半時用係止部が設けられ、また１分制御
   レバーの作動子先端に沿つて前記予鈴制御接点板
   の先端が伸延して前記可動接点板を係止する正時
   用係止部を形成し、 正時の報時作動時には、前記アゲカマが時カム
   車の正時用カム突起から谷部に落込んで前記可動
   接点板が１分制御レバーの作動子先端に伸延して
   いる予鈴制御接点板と接触して予鈴作動が行わ
   れ、次に１分カム車が１分制御レバーを回動して
   前記予鈴制御接点板による可動接点板の係止を解
   除して可動接点板が告時制御接点板と接触するこ
   とによつて告時装置の告時作動が行われ、 一方、半時の報時作動時には、前記アゲカマが
   時カム車の低い半時用カム突起から谷部に落込ん
   で前記可動接点板を１分制御レバーの半時用係止
   部である係止溝に係合させ可動接点板と予鈴制御
   接点板との接触を防いで予鈴作動を禁止し、その
   後に１分カム車が１分制御レバーによる可動接点
   板の係合を解除して可動接点板と告時制御接点板
   とを接触させて告時装置の告時作動のみを行うこ
   とを特徴とする時計の報時機構。