JPS6161201B2 - - Google Patents

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JPS6161201B2
JPS6161201B2 JP54034484A JP3448479A JPS6161201B2 JP S6161201 B2 JPS6161201 B2 JP S6161201B2 JP 54034484 A JP54034484 A JP 54034484A JP 3448479 A JP3448479 A JP 3448479A JP S6161201 B2 JPS6161201 B2 JP S6161201B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
impregnated
electrical equipment
film
insulating oil
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired
Application number
JP54034484A
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English (en)
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JPS54132762A (en
Inventor
Atsushi Sato
Isoo Shimizu
Eiichi Matsuzaka
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Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Petrochemicals Co Ltd
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Filing date
Publication date
Priority claimed from US05/894,117 external-priority patent/US4175278A/en
Application filed by Nippon Petrochemicals Co Ltd filed Critical Nippon Petrochemicals Co Ltd
Publication of JPS54132762A publication Critical patent/JPS54132762A/ja
Publication of JPS6161201B2 publication Critical patent/JPS6161201B2/ja
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  • Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)
  • Organic Insulating Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
本発明は油含浸電気機器に関する。更に詳しく
は、不飽和成分を含有する熱分解油を酸触媒で処
理して得られる電気絶縁油用組成物を含浸してな
る、たとえばコンデンサー、電力ケーブルなどの
油含浸電気機器に関する。 従来電気絶縁油としては精製した鉱油、ポリブ
テン、アルキルベンゼンなどの合成炭化水素油、
又は塩素化ビフエニル等が使用されていたが、塩
素化ビフエニルは生体に対して悪影響を及ぼすと
され、その使用が制限され汎用絶縁油としては使
用されなくなつた。また鉱油系絶縁油、合成系炭
化水素絶縁油等も電力ケーブルの超高圧化、コン
デンサや変圧器の高圧化、軽量化に対する要求に
はかならずしも満足できる性能を有する物ではな
く、高圧電界下での特性の優れた合成系絶縁油の
出現が望まれている。 近年、油含量の電力ケーブル、コンデンサ、変
圧器は高圧化に伴い絶縁油に対して要求される特
性は、絶縁破壊電圧(BDV)の高い事、誘電損
失の原因となる誘電正接(tanδ)の低い処の他
に高圧電界内に於ける電気特性に対する要求が厳
しくなり、電圧電界内で優れた特性を示す絶縁油
が望まれる様になつてきている。すなわち使用中
に高電界ストレスを受ける可能性のある、電力ケ
ーブル、コンデンサ、変圧器等高圧電機器に含浸
される絶縁油には、グロー放電、コロナ放電に対
する安定性が重要視される事になる。 コロナ放電に対する安定性はコロナ発生電圧
(corona starting voltage、CSV)とコロナ消滅
電圧(corona ending voltage、CEV)により測
られる。すなわち、CSVが高い程コロナ放電が
発生しにくく、またCEVが高い程たとえコロナ
放電が発生しても放電の消滅が容易であるので、
絶縁油にはCSV、CEVともに高い方が良い。 高圧電界内の絶縁体中で起きるグロー放電、コ
ロナ放電により絶縁油の分解が促進され分解ガス
が発生し、絶縁破壊が起きるとともにコンデンサ
の様に密閉容器では電機器自体の破壊の原因とも
なる。この場合高圧電界下で絶縁油から発生する
ガスは主として水素ガスである。従つて高圧電界
内での絶縁油の水素ガス吸収性の大小がコロナ放
電、クロー放電に対する絶縁油の安定性に影響す
るものである。 一方、前述の電気機器の高圧化の要求に対し
て、油含浸の電力ケーブル、コンデンサー等の電
気機器に使用されている絶縁体又は誘電体には、
従来の絶縁紙の代りにポリオレフイン、ポリスチ
レン、ポリエステル、たとえばポリエチレンテレ
フタレートなどのプラスチツクフイルム、この中
でも特にポリプロピレンフイルム(以下PPフイ
ルムと言う)が絶縁体もしくは誘電体の一部また
は全部に使用されるようになつて来た。 このように絶縁耐力の強いプラスチツクフイル
ム、たとえばポリエチレンフイルム又はPPフイ
ルムを、絶縁体もしくは誘電体の一部又は全部と
して使用するならば、絶縁体単位厚みの課電圧を
上げることができ、電気機器の小型化または高圧
化が可能となる。 しかし、プラスチツクフイルムを用いた油含浸
電気機器たとえば油含浸コンデンサーにおいて
は、含浸する絶縁油に要求される特性は前述の
BDV、tanδ、CSV、CEV等の他にもプラスチツ
クフイルムに対する含浸性が重要である。 従来、絶縁体もしくは誘電体として用いられて
いる絶縁紙は微細な繊維の集りで多孔質構造であ
つて、絶縁油が含浸する際には毛細管現象により
その含浸が容易であるために絶縁油の種類による
含浸性の差はあまりないが、プラスチツクフイル
ムを用いる場合には絶縁油の含浸性が重要であ
る。 油含浸の電力ケーブル、コンデンサー等の油含
浸電気機器では絶縁体もしくは誘電体に良好に絶
縁油が含浸して初めてその電気特性が発揮される
のであるから、絶縁油のプラスチツクフイルムに
対する含浸性は電気機器の性能が十分に発揮され
ることおよび該電気機器の故障率等の信頼性に重
大な影響を及ぼすことになる。 たとえば、誘電体の一部又は全部として用いる
プラスチツクフイルムと電極層とを、巻回、積層
して、電気絶縁油を含浸してなる構造の油含浸コ
ンデンサーにおいては、含浸させるべき油がプラ
スチツクフイルムに良好に含浸しないならば、ボ
イド(油が含浸しないところ)が生じ、このボイ
ドに電界の局部集中が生じ、またこの為、
CSV、CEVがいちじるしく低下し、コロナ放電
による機器の劣化が促進されることになる。 さらにまた、油含浸電力ケーブルでは、前述の
如く高電圧化の要求から、従来の絶縁紙からなる
絶縁体の一部又は全部に絶縁耐力の高いプラスチ
ツクフイルムが用いられるようになつているが、
主としてケーブル内における絶縁油の油流抵抗の
点から、従来の絶縁紙も絶縁体の一部に使用せざ
るを得ない。 すなわち、高電圧用の油含浸電力ケーブルには
従来の絶縁体である絶縁紙とプラスチツクフイル
ムからなる複合フイルムが導体の絶縁層に用いら
れている。 また、この場合プラスチツクフイルムには絶縁
耐力、tanδ、ε等からポリオレフインフイルム
特にポリプロピレンフイルム、架橋ポリエチレン
等のポリエチレンフイルムが使用されているが、
これらポリオレフインフイルムは電気絶縁油に含
浸された時、その油の種類により或程度は膨潤、
溶解をする。フイルムが膨潤すると絶縁層厚みが
増し、ケーブル内の電気絶縁油の油流抵抗が増し
好ましくない。 しかしながら、従来から使用されている、鉱
油、アルキルベンゼン、アルキルナフタリン等は
BDV、tanδは或程度実用的に満足しうるもので
はあるが、水素ガス吸収性は十分ではない。 また、これら従来の絶縁油はプラスチツクフイ
ルムに対する含浸性が十分でないこともあつて、
誘電体もしくは絶縁体の少くとも一部にプラスチ
ツクフイルムを用いた油含浸電気機器、たとえば
油含浸コンデンサー等におけるCSV、CEVは満
足すべきものではなかつた。さらに、BDVすな
わち、絶縁耐力についても、誘電体又は絶縁体に
絶縁耐力の高いプラスチツクフイルムが採用され
て来ているのに相応したものを、従来の絶縁油が
有していることは必らずしも言えない。 油含浸電力ケーブル等において問題になる、プ
ラスチツクフイルム、たとえばポリプロピレンフ
イルムなどに対する膨潤性、溶解性等も従来の絶
縁油は不満足である。 本発明者らは、好ましい絶縁油の探索の結果、
BDV、tanδ、水素ガス吸収性はもちろん、
CSV、CEV、プラスチツクフイルムへの含浸性
および溶解性、膨潤性の良好な電気絶縁油用組成
物を含浸してなる油含浸電気機器を完成したもの
である。 すなわち、本発明は、石油系炭化水素を700℃
以上で熱分解して得ることができる単環芳香族を
主成分とする沸点範囲75℃〜198℃の成分を主と
して含み、かつこの沸点範囲の芳香族オレフイン
を含む炭化水素混合物を酸触媒存在下、液相で、
反応温度0℃〜200℃、液滞留時間0.1時間〜5時
間、反応系中の芳香族オレフイン濃度10重量%以
下の条件で処理して得られる沸点(常圧換算)
265℃〜360℃に含まれる留分を含浸してなる誘電
体もしくは絶縁体の一部または全部にプラスチツ
クフイルムを用いた油含浸電気機器に関する。 本発明に使用し得る炭化水素混合物は、石油系
炭化水素を700℃以上で熱分解して得ることがで
きる単環芳香族を主成分とする沸点範囲75℃〜
198℃の成分を主として含み、かつこの沸点範囲
の芳香族オレフインを含むものである。 この炭化水素混合物として、原油、ナフサ、灯
軽油、LPG、ブタン等の石油系炭化水素を700℃
以上の温度で熱分解して、エチレン、プロピレン
を製造する際に得られる副生留分のうち、沸点75
℃〜198℃の成分を主として含む留分を使用する
ことができる。この留分は、熱分解に供給する石
油系炭化水素によつて組成は異なるものである
が、炭素数6〜10の単環芳香族を主成分とし、他
に飽和脂肪族炭化水素を5〜15重量%、不飽和脂
肪族炭化水素を2〜10重量%含み、かつ芳香族オ
レフインを2〜15重量%含むものである。この留
分はそのまま本発明における炭化水素混合物とし
て使用することができるが、この留分に含まれる
成分を単離もしくは合成したものを、適宜添加、
混合して、または前記留分に添加混合して使用す
ることができる。あるいは、石油系炭化水素、た
とえばナフサ、の接触改質油から得られる前記沸
点範囲の留分に、この沸点範囲に含まれかつ石油
系炭化水素の熱分解により得ることができる他の
成分を添加、混合して、前記熱分解副生油と同等
の組成としたものも本発明における炭化水素混合
物として使用できる。 石油系炭化水素を700℃以上で熱分解して得ら
れる沸点範囲75℃〜198℃の成分のうち、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、キユメン、プロピルベ
ンゼン、メチルエチルベンゼン、トリメチルベン
ゼン、ジエチルベンゼン、テトラメチルベンゼン
等の単環芳香族成分が、他の成分であるオレフイ
ン類と酸触媒存在下に反応して電気絶縁油として
有用な沸点範囲(常圧換算)265℃〜360℃に含ま
れる重質成分となると考えられる。この重質成分
は各種の芳香族炭化水素の混合物であるが、原料
炭化水素混合物中にスチレン、メチルスチレン、
エチルスチレン等の芳香族オレフインが存在する
ものを使用することによつて得られた重質生成物
の存在が、本発明の目的とする電気絶縁油には必
要である。 原料炭化水素混合物中の芳香族オレフインの含
有量は特に制限はないが、芳香族オレフイン以外
の芳香族炭化水素に対する比率が5〜100モル%
の範囲内であることが好ましい。5モル%以下で
は、電気絶縁油用留分の取得が不充分であり、
100モル%以上では、芳香族オレフインの不飽和
重合体の生成が多くなり、これが電気絶縁油用留
分中に混入し、性状を劣化させる。 原料炭化水素混合物は沸点範囲200℃以上の成
分を含まない。石油系炭化水素の熱分解で得られ
る沸点が200℃以上の成分はナフタリン、アルキ
ルナフタリン、アントラセンのごとき縮合多環芳
香族炭化水素であつて、これはアルキル化活性炭
素が多いので、この成分を含む原料を使用した場
合には、ポリアルキル化による重質物が多く本発
明の電気絶縁油の収率が低下するのが好ましくな
い。一方、石油系炭化水素の熱分解で得られる沸
点が75℃未満の留分は、シクロペンタジエン等の
ジエン類が多くなり、これを原料中に含む場合
は、これらジエン類の重合反応が生じ、粘稠物質
の生成が多くなり、酸触媒処理反応の進行を阻害
し、電気絶縁油の収率を著るしく低下させるの
で、好ましくない。 本発明で使用する酸触媒は固体酸触媒、鉱酸、
又はいわゆるフリーデルクラフト触媒が好ましく
用いられる。例えば酸性白土、活性白土のごとき
産性粘土鉱物、弗化水素、硫酸、燐酸、塩化アル
ミニウム、塩化スズ、弗化ホウ素等が使用でき
る。 固体酸触媒として好ましく使用できる例として
は天然粘土鉱物がある。代表的な粘土鉱物として
はカオリン族ハロサイト系粘土鉱物やモンモリロ
ナイト系粘土鉱物で、これらは酸性白土、サブベ
ントナイトとして知られている。或は前記粘土鉱
物を例えば硫酸、塩酸等の無機酸、又は酢酸、蟻
酸の如き有機酸或はこれ等の水溶液で処理した活
性白土を使用する事ができる。又天然粘土鉱物の
外に合成シリカ−アルミナも好ましい固体酸触媒
である。硫酸、燐酸、弗化水素等の無機酸も好ま
しく使用できるが、装置の腐食に充分な考慮をす
る必要がある。 本発明で酸触媒との接触は熱分解油が液相を保
つ必要がある。従つて反応圧力は反応温度0〜
200℃の範囲で当該熱分解副生油留分が液相を保
つに必要な加圧を要する。この圧力は分解油の組
成、反応温度によつて当然変動するものであるが
通常は40Kg/cm2以下の圧力範囲である。すなわち
反応温度で分解油が液相であればよく圧力は本発
明の本質的要素ではない。 本発明によつて反応温度は重要である。0℃未
満では分解油に含まれる不飽和成分中のスチレン
類の重合反応によるタール状物質が生成して絶縁
油の収量が減少して好ましくない。200℃以上で
は熱による分解のため絶縁油留分の性状が劣化す
る原因となる。用いる触媒によつて反応温度は異
るものであつて固体酸触媒では100℃以上、鉱酸
或はフリーデルクラフト触媒では100℃以下の反
応温度が好ましい。 液滞留時間は0.1〜5時間が好ましい。0.1時間
未満では原料炭化水素混合物に含まれる芳香族オ
レフインを主とする不飽和成分が反応を終了せ
ず、有用な電気絶縁油の収率がそこなわれ好まし
くない。一方5時間を越えて酸触媒と接触する事
は反応生成物の再分解が生じ電気絶縁油として好
ましくない不飽和成分が増加し、電気絶縁油の性
状に悪影響を与え好ましくない。 絶縁油留分を収率よく得るためには、反応系内
に存在する芳香族オレフインは10重量%以下で反
応する事が好ましい。反応系内の芳香族オレフイ
ンその他の不飽和成分濃度が高すぎる場合は不飽
和成分の重合による重質タール分が増加して絶縁
油留分の得率が著るしく減少する。また、不飽和
重合体の生成により電気絶縁油への混入が生じ、
電気絶縁油の性状を劣化させる。通常の熱分解油
の上記沸点範囲の留分では芳香族オレフイン含有
量は10重量%以上であるから、具体的な実施では
反応物を再循環するか蒸留で回収された留分を再
循環して不飽和成分の濃度を調整することが好ま
しい。 上記炭化水素混合物を上記条件で酸触媒により
処理して得られる反応生成物のうち、沸点(常圧
換算)265℃〜360℃に含まれる留分が本発明の電
気絶縁油として使用できる。この沸点範囲の留分
の成分は原料炭化水素混合物の酸触媒処理による
重質芳香族炭化水素の混合物であると考えられ、
従来の鉱油、アルキルベンゼン、ジフエニルアル
カンおよびアルキルナフタレン等の芳香族炭化水
素系のいずれの電気絶縁油よりもすぐれた電気絶
縁油特性を有するものである。 360℃より高沸点の成分を含む留分は、高粘度
でありコンデンサー、変圧器、POFケーブルへ
の含浸性が悪く、微細な残留空孔による電気機器
の絶縁破壊の原因となる。又高沸点留分は低温流
動性がなく電気機器の低温始動性能を悪化して電
気絶縁油として好ましくない。一方265℃より低
沸点の成分は引火点が低くなり電気機器製造時の
作業安全面から好ましくない。 次に酸触媒反応で得られた沸点265℃〜360℃の
絶縁油留分を、モンモリロナイト族粘土鉱物又は
カオリン族ハロサイト系粘土鉱物或はこれ等の酸
処理物の存在下で処理するいわゆる白土処理は当
該留分を絶縁油として使用する場合は重要であ
る。この白土処理の目的は微量の溶解水分の除
去、又は極性物質を吸着除去する事によつて電気
特性を最高の状態に保持する事にある。具体的に
実施する場合は回分式、固定床連続式いずれの方
法でも好ましく行いうる。 白土処理は上記絶縁油留分の生成時と白土処理
する時点とに時間的制限はない。すなわち絶縁油
留分を直ちに白土処理する場合も、未処理絶縁油
を電気機器含浸する時点で白土処理する場合も水
分の除去、微量不純物を除去し精製する本発明の
目的と合致し本発明の実施と解されるべきであ
る。 本発明の白土処理で使用できるモンモリロナイ
ト族(系)粘土鉱物の代表的なものとしては酸性
白土やサブベントナイトが知られている。これら
は天然鉱物でありその産地によつて組成は異る
が、SiO2及びAl2O3を主成分とし、その他MgO、
Fe2O3、CaO、Na2O、K2O、MnO等の各種成分
を含有するものである。又上記粘土鉱物を例えば
硫酸、塩酸等の無機酸又は酢酸、ギ酸の如き有機
酸、或はこれ等の水溶液で処理した活性白土も好
ましく使用される。 処理温度は150℃を越えない事が重要である。
極度の高温では上記粘土鉱物は酸触媒としての活
性が顕著になり当該絶縁油留分の分解、異性化を
生ぜしめtanδ、BVDを劣化させる原因となる。 本発明の絶縁油は、その引火点が高く安全性に
優れていて、良好なBDV、tanδ、水素ガス吸収
性を有しており、CSV、CEVが高いために電気
絶縁油として好ましい。 また本発明の絶縁油はプラスチツクフイルム特
にPPフイルムへの含浸性、すなわちフイルム表
面への油の拡がり性が優れているので、プラスチ
ツクフイルム特にPPフイルムを誘電体もしくは
絶縁体の一部又は全部に使用している油含浸電気
機器に本発明の絶縁油を含浸させるならば、該電
気機器のCSV、CEVが更に高くなり、耐コロナ
放電性が優れたものになることが明らかとなつ
た。 すなわち、絶縁油のプラスチツクフイルムへの
含浸性が劣る場合には、前記電気機器の誘電体又
は絶縁体中でボイドが生じ、このボイドに電界の
局部集中を起し、また耐コロナ放電性(CSV、
CEV)がいちじるしく低下し、コロナ放電によ
る劣化が促進され、該電気機器の寿命がいちじる
しく短かくなるのであるが、本発明の絶縁油はプ
ラスチツクフイルムへの含浸性が他の絶縁油と比
較して良好であるから上記の様な欠点を有してい
ないので好ましく、またプラスチツクフイルム特
にPPフイルムを絶縁体もしくは誘電体の一部ま
たは全部として巻回し、絶縁油を含浸してなる油
含浸電力ケーブル、コンデンサー等の油含浸電気
機器であつて、本発明の絶縁油が含浸されたもの
は、絶縁油から期待される該電気機器の電気特性
が十分に発揮され、また寿命が長くなるなど故障
率が低下するので有利であり、また良好な本発明
の絶縁油の電気特性により該電気機器は小型化、
高圧化されたものになる。 また、本発明の絶縁油は他の絶縁油と比較して
プラスチツクフイルムへの含浸性がすぐれている
ため、プラスチツクフイルム使用の電気機器に使
用したときは、本発明の絶縁油自体が他の絶縁油
と比較してすぐれている電気特性を有しているこ
ととの相乗効果で、他の絶縁油使用のものと比較
してきわめてCSV、CEVが高いすぐれた電気機
器が得られる。 本発明の絶縁油が特に好適に含浸される油含浸
コンデンサーは、誘電体の一部又は全部として用
いるところの、表面が平滑もしくはエンボス加工
等により粗面化されたプラスチツクフイルム特に
PPフイルムと、電極用として用いる金属箔、真
空蒸着金属薄層あるいはメツキ金属薄層とを巻回
し、積層して、絶縁油を含浸させて作られる油含
浸コンデンサーである。 上記のコンデンサーは電気機器の小型化に最も
重要な特性であるCEVが極めて高いところから
好ましいものである。 また、絶縁体の少くとも一部がポリプロピレ
ン、架橋ポリエチレン等のプラスチツクである絶
縁層を有する油含浸電力ケーブルに本発明の電気
絶縁油用組成物を含浸させるならば、絶縁層を構
成するプラスチツクフイルムの膨潤が少く、ま
た、これらフイルムの溶解もすくないので、ケー
ブルシース内の含浸油の油流抵抗を小さくするこ
とができる。 本発明の絶縁油用組成物が好適に含浸される油
含浸電力ケーブルは、ポリプロピレンフイルム又
は架橋ポリエチレン等のポリエチレンフイルムと
絶縁紙の複合フイルムで導体を巻回し、更に絶縁
油を含浸してなる構造のものである。 上記の構造で、かつ本発明の電気絶縁油用組成
物を含浸してなるものは、絶縁層を構成するプラ
スチツクフイルムの膨潤少く、さらに本発明の絶
縁油の熱膨張係数の小さいこともあつて、ケーブ
ルシース内の油流から生じる問題を軽減すること
ができる。また油それ自体の絶縁耐力も高く、プ
ラスチツクフイルムへの油の拡がりも良好である
ので、油が十分に含浸し、従つて、電力ケーブル
それ自体の課電電圧を高くすることが可能となる
のである。 実施例 1 エチレン分解の副生油で初留出温度68℃、97%
留出温度175℃で沸点75℃〜198℃の成分を94.6重
量%含む脂肪族飽和分13.7%、芳香族分68.5%、
オレフイン17.8%の組成である熱分解副生油1
と酸性白土100gとを容量10のオートクレーブ
に仕込み窒素で30Kgに加圧する。撹拌し加熱し温
度150℃に保つ。加熱によつて温度110℃付近で反
応熱による急激な温度上昇が認められる場合には
加熱を一時停止するのが好ましい。次に上記副生
油5をさらに3時間で滴加する。滴加終了後1
時間加熱撹拌する。 冷却後、酸性白土をロ過分離する。常圧で留出
温度190℃までの軽質留分3.65Kgを回収し、次に
3mmHgの減圧蒸留により各留分を分離回収し
た。
【表】 留分1〜3に対して25重量パーセントの活性白
土を添加し窒素雰囲気で温度50℃で2時間白土処
理を行いこの各留分と従来公知の鉱油系絶縁油
MO、アルキルベンゼン系絶縁油AB、アルキル
ナフタリン系絶縁油AN、ポリブテン系絶縁油PB
の一般性状を表に示す。
【表】 留分1は低引火点のため、電気機器の安全性か
ら絶縁油としては好ましくない。又留分3は流動
点が高く粘度も高いため、油含浸電気機器への油
注入時に絶縁素子間に残留気泡を生じやすい事、
寒冷地では電気機器の性能が劣化し好ましくな
い。 本発明品は他の炭化水素系絶縁油と比較して低
粘度であるわりに引火点が高い。この事は油含浸
電気機器への油注入作業性と安定性に対して好ま
しい事である。 本発明品は誘電率が高く、特にコンデンサオイ
ルとして使用した場合コンデンサの小型化に好ま
しい。 つぎに、水素ガス吸収特性を本発明品Aと比較
例の製品MO,AB,AN,PBについて測定した結
果を添付の第1図および第2図に示した。測定法
は絶縁油部会法によつた。 第1図は水素ガス吸収特性(温度50℃、課電圧
8KV)を横軸に時間(単位方)をとり、縦軸に水
素ガス吸収量(単位mm−Oil)をとつて示したも
のである。第2図は課電圧と水素ガス吸収性との
関係(温度50℃、時間10分)を横軸に課電圧(単
位KV)をとり、縦軸に水素ガス吸収量(単位mm
−Oil)をとつて示したものである。 第1図、第2図からも明らかなごとく本発明に
よる絶縁油は放電による分解ガスの吸収性が優れ
ている。 特に高課電下での水素吸収性が優れており、電
機器の高圧に対する要求には好ましい合成油であ
る事は明らかである。 実施例 2 実施例1で使用したエチレン分解の副生油を用
いて次の方法により電気絶縁油を得た。酸触媒と
して90%硫酸、初期の稀釈剤として実施例1で回
収した軽質留分0.5を使用する。 稀釈剤と90%硫酸200gとを容量10の撹拌
機、温度計付きの反応器に仕込み温度7〜12℃に
冷却する。温度が15℃を越えない様冷却しつつ分
解副生油5を8時間で滴加する。滴加終了後さ
らに80分撹拌する。 反応終了後中和、水洗して、常圧で留出温度
190℃までの軽質留分3.2Kgを回収した。次に3mm
Hgの減圧で120℃〜160℃の絶縁油留分0.76Kgを
得た。 白土処理は実施例1と同様に行つた。 電気的特性については表2に示す。 実施例 3 酸触媒として無水塩化アルミニウム10gを使用
して反応温度50〜55℃で実施例2と同様に処理し
て、絶縁油留分として0.68Kgを得た。白土処理後
の電気特性については表2に示す。
【表】 実施例 4 白土処理の温度の影響 実施例2で得られた絶縁油留分に対して2.5重
量パーセントの活性白土を添加し窒素雰囲気で温
度20℃、50℃、100℃、150℃、200℃で2時間白
土処理してtanδを測定した結果を下に示す。
【表】 実施例 5 実施例1で用いた各種絶縁油について、PPフ
イルム層間への広がり性を測定した。測定装置は
添付の第3図の如く、室温でガラスプレートGP
上の2枚の二軸延伸PPフイルムPPFの間に絶縁
油(約5×10-3ml)を滴下し、直ちに、ガラスブ
ロツクGBW(4.3g/cm2)を置いて、5分間隔
で、上から目視により油の広がり具合を測定し
た。添付の第4図にその結果を示した。 第4図の結果から、本発明の絶縁油AがPP層
間へのひろがり性にすぐれていることがわかる。
なお、第4図の横軸は時間(単位分)を示し、縦
軸は油の面積(単位cm2)を示す。 実施例 6 誘電体として表3に示す構成でPPフイルムと
絶縁紙を用い、電極としてアルミニウム箔(厚み
6μ、巾80mm)を用いて、長さ9.5mのものを常
法にしたがつて巻回、積層し、誘電体に占める
PPフイルムの割合が異なるモデルコンデンサー
を作つた。 該コンデンサーに真空下にて、本発明の絶縁油
である実施例1で得られた留分2および実施例1
で比較のために用いた公知の絶縁油を封入し、静
電容量約0.5μFの油含浸コンデンサーを得て、
電圧を印加しコロナ放電開始電圧(corona
starting voltage;CSV)およびコロナ放電消滅
電圧(corona ending voltag;CEV)を測定し
た。その結果を第5図および第6図に示した。な
お、第5図は30℃で測定したCSVを示すグラフ
であり、横軸は絶縁体に占めるポリプロピレンフ
イルムの割合(%)を示し、縦軸はCSV(単位
KV/mm)を示す。また第6図は30℃で測定した
CEVを示すグラフであり、横軸および縦軸の単
位は第5図と同じである。 第5図および第6図の結果から、本発明の絶縁
油を含浸させたコンデンサーはCSV、CEVが高
く、しかも誘電体中に占めるPPフイルムの割合
が高くなる程、CSV、CEVがより高くなること
がわかる。これに反して、従来公知の絶縁油を用
いた場合には元々CSV、CEVが低く、またPPフ
イルムの占める割合に従つて高くなるCSV、
CEVの上昇率も本発明の絶縁油ほどではない。
【表】
【表】 実施例 7 クラフト絶縁紙/PP/クラフト絶縁紙(厚み
43μ/49μ/43μ)の構成のクラフト絶縁紙と
PPフイルムの複合フイルムを10枚重ねて、1
Kg/cm2の圧力をかけながら、100℃で24hr乾燥
後、一定加圧のまま、同温の絶縁油を含浸させ、
厚みの変化を測定した。 結果は第7図に示した。なお、厚さ変化率は乾
燥前の厚みを基準とした。第7図において横軸は
100℃経過時間数(単位hr)を示し、縦軸は厚さ
変化率(%)を示す。 実施例 8 押し出しPPフイルム(厚み49μ)を100℃の絶
縁油に70日間浸積後、油に溶解したPPをメタノ
ールで折出させPPの溶解率を求めた。 結果はMO,AB,ANともほぼ2.9%の溶解率で
あり、一方、本発明の電気絶縁油は約2.2%であ
つた。
【図面の簡単な説明】
第1図は水素ガス吸収特性(温度50℃、課電圧
8KV)を本発明品Aと比較例の製品MO,AB,
ANおよびPBについて測定した結果を図示するも
のである。横軸は時間(単位分)を示し、縦軸は
水素ガス吸収量(単位mm−Oil)を示す。第2図
は課電圧と水素ガス吸収性との関係(温度50℃、
時間10分)を本発明品Aと比較例の製品MO,
AB,ANおよびPBについて測定した結果を図示
するものである。横軸は課電圧(単位KV)を示
し、縦軸は水素ガス吸収量(単位mm−Oil)を示
す。第3図はポリプロピレンフイルム間への油の
拡がり性を本発明品Aと比較例の製品MO,
AB,ANおよびABについて測定するための測定
装置の概要図であつて、第4図はその結果を図示
したものである。第3図においてGPはガラスプ
レート、PPFはPPフイルム、GBWはガラスブロ
ツクをそれぞれ示す。第4図において横軸は時間
(単位分)を示し、縦軸は油の面積(単位cm2)を
示す。第5図と第6図はモデルコンデンサーによ
り測定されたCSVおよびCEVと誘電体中に占め
るPPフイルムの割合との関係を本発明品Aと比
較例の製品MO,AB,ANおよびPBについて図示
するものである。第5図は30℃で測定したCSV
を示すグラフであり、横軸は絶縁体に占めるポリ
プロピレンの割合(%)を示し、縦軸はCSV
(単位KV/mm)を示す。また第6図は30℃で測定
したCEVを示すグラフであり、横軸および縦軸
の単位は第5図と同じである。第7図は本発明に
係る電気絶縁油Aと比較例の製品MO,ABおよ
びANについて、クラフト絶縁紙とPPフイルムの
複合フイルム含浸時の厚さ変化率を図示したもの
であり、横軸は100℃経過時間数(単位hr)を示
し、縦軸は厚さ変化率(%)を示す。 第1図ないし第7図において、A……本発明の
絶縁油組成物、MO……鉱油系絶縁油、AB……
アルキルベンゼン系絶縁油、AN……アルキルナ
フタリン系絶縁油、PB……ポリブテン系絶縁
油。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 石油系炭化水素を700℃以上で熱分解して得
    ることができる単環芳香族を主成分とする沸点範
    囲75℃〜198℃の成分を主として含み、かつこの
    沸点範囲内の芳香族オレフインを含む炭化水素混
    合物を、酸触媒存在下、液相で、反応温度0℃〜
    200℃、液滞留時間0.1時間〜5時間、反応系中の
    芳香族オレフイン濃度10重量%以下の条件で処理
    して得られる、沸点(常圧換算)265℃〜360℃に
    含まれる留分を含浸してなる誘電体もしくは絶縁
    体の一部または全部にプラスチツクフイルムを用
    いた油含浸電気機器。 2 油含浸電気機器が油含浸コンデンサーである
    特許請求の範囲第1項記載の油含浸電気機器。 3 油含浸コンデンサーが誘電体の一部又は全部
    として用いるプラスチツクフイルムと電極層と
    を、巻回、積層して、電気絶縁油を含浸してなる
    構造の油含浸コンデンサーである特許請求の範囲
    第2項記載の油含浸電気機器。 4 プラスチツクフイルムがポリオレフインフイ
    ルムである特許請求の範囲第3項記載の油含浸電
    気機器。 5 油含浸電気機器が油含浸電力ケーブルである
    特許請求の範囲第1項記載の油含浸電気機器。 6 絶縁体がプラスチツクフイルムを使用した複
    合フイルムからなる特許請求の範囲第5項記載の
    油含浸電気機器。 7 プラスチツクフイルムがポリオレフインフイ
    ルムである特許請求の範囲第5項または第6項記
    載の油含浸電気機器。 8 ポリオレフインフイルムがポリプロピレンフ
    イルムである特許請求の範囲第7項記載の油含浸
    電気機器。
JP3448479A 1978-04-06 1979-03-26 Composition for electric insulating oil Granted JPS54132762A (en)

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JP6187898B2 (ja) * 2013-01-31 2017-08-30 国立大学法人 岡山大学 ダイオキシン類吸着剤、重金属吸着剤及び該吸着剤の製造方法
JP6421402B2 (ja) * 2017-07-21 2018-11-14 国立大学法人 岡山大学 ベンゼン吸着剤、その製造方法及びベンゼン処理方法

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JPS6015086A (ja) * 1983-07-20 1985-01-25 バシリイ・フエドロビチ・ポポフ 非消耗電極および消耗電極を備えたエレクトロスラグ溶接装置

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