JPS6160965B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はエンジンの囲い装置に形成されるエン
ジン騒音低減装置に関する。

従来、土工車輛や建設機械等のエンジンの囲い
装置は、例えば第１図に示すごとくフード２、サ
イドガード４、ダツシユボード６、ラジエータガ
イド８、ラジエータグリル１０およびアンダーガ
ード１２等により形成されているのが一般的であ
る。そしてエンジンはフード又はサイドガードの
開口部より吸込んだ空気を冷却フアンにより車輛
等の前方へ吐き出すことにより冷却システムが成
立つている。しかし、これが為にエンジン騒音や
その他の機械騒音等が車輛等の前部開口より排出
空気と共に吐き出される。エンジンルームの前面
を完全に包囲すれば、これらの騒音は実質的に除
去されるが、エンジンルームをこの様に密閉する
とエンジン冷却システムが大巾に制限されてオー
バーヒートの原因となる。そこで、エンジンの冷
却特性を損わず同時に好適な騒音減衰特性を得る
ための方法が先に本願出願人により提案された。
該提案の方法は、冷却フアンによりラジエータガ
ードの開口部より冷却空気が吐き出されるエンジ
ンの騒音低減装置において、前記ラジエータガー
ドの前方に該ラジエータガードとの間に空間部を
おいてほぼ該ラジエータガードの全面をカバーす
るラジエータサイレンサ装置を設け、該空間部の
上部に冷却空気の排出口を設けるとともに該空間
部の下部をエンジンのアンダーガードを二重構造
として形成した誘導路の入口に接続し、該誘導路
の出口をエンジンルームに開口せしめ、これによ
り排出空気の一部を誘導路を介してエンジンルー
ムへ再循環せしめることによりエンジン囲い装置
外への騒音放出を最小限に規制するようにしたも
のである。該方法は車輛等の通常の使用状況下に
あつては良好な結果が得られるが、排出空気の一
部をエンジンルームへ再循環せしめるものである
ために夏季使用や高温地域での使用等高温状況下
においては長時間使用時にエンジンの冷却特性が
損われ易い欠点がある。

本発明は上記従来の欠点を除去すべくなされた
ものであつて、このため本発明は冷却フアンによ
りラジエータガードの開口部より冷却空気が吐き
出されるエンジンの騒音低減装置において、前記
ラジエータガードの前方に該ラジエータガードと
の間に空間部をおいてほぼ該ラジエータガードの
全面をカバーするラジエータサイレンサ装置を設
け、該空間部の上部に冷却空気の排出口を設ける
とともに該空間部の下部をエンジンのアンダーガ
ードを二重構造として形成した誘導路の入口に接
続し、該誘導路の出口をエンジンルームに開口せ
しめるとともに前記アンダーガードの一部に該誘
導路を介してエンジンルーム内に導かれる冷却空
気を選択的にエンジンルーム外へ排出可能とする
切換装置を備え、これにより車輛等の使用環境の
変化に拘らず良好なエンジン冷却特性を維持しつ
つ騒音減衰特性が得られるようにしたことを特徴
とする。

以下、本発明の内容を添付図に示した実施例に
沿つて説明する。

第２図および第３図は本発明を土工車輛のエン
ジン囲い装置に応用した場合を示しており、同図
において１はエンジン、３は冷却フアン、５はラ
ジエータコア、２はフード、４はサイドガード、
８はラジエータガード、１２はアンダーガード、
１４はラジエータガード８の開口部に設置された
消音ルーバ装置、１６は該消音ルーバ装置１４の
前方においてラジエータガード８に組付けられた
サイレンサ装置をそれぞれ示す。

上記フード２には図示のように冷却空気吸入口
１８が設けられ、該吸入口１８を介してエンジン
ルーム１９内に冷却空気が取入れられる。また該
フード２の内側面には吸音材２０が張設されてい
る。

上記消音ルーバ装置１４は、複数の横形ルーバ
ー２２を含み、これらルーバー２２は図示しない
固定枠に取付けられていて固定枠ごとラジエータ
ガード８の開口部９に着脱自在に取付けられてい
る。各横形ルーバーは、第４図に示すように、吸
音材２４を十分な開口率を有するパンチングメタ
ル２６で包囲して形成されており、冷却フアン３
で吐き出される騒音空気の流れに対し或る角度を
以て設置されている。また、第２図に示すように
ルーバー２２はその断面形状が異つており、横形
ルーバー２２ａは騒音空気を上方に、また横形ル
ーバー２２ｂは騒音空気を下方へ、さらにクサビ
形をした横形ルーバー２２ｃは騒音空気の一部を
上方へ残りを下方に排出できるような形状とされ
ている。各ルーバーの間隔および個数はエンジン
がオーバーヒートを起さぬだけの通風量をもち、
且つ十分な吸音効果を発揮できるような各車輛に
よつて決定される。

上記ラジエータサイレンサ装置１６は、消音ル
ーバ装置１４との間に空間部２８を形成するよう
に該ルーバ装置１４から若干引離されて設置され
ている。該ラジエータサイレンサ装置１６はラジ
エータガード８のほぼ全面をカバーするようにそ
の巾はラジエータガード８の巾とほぼ同じで、そ
の上端はフード２と同一高さにまで伸び、かつそ
の下端はアンダーガード１２の傾斜した底面と滑
らかに結合されている。該ラジエータサイレンサ
装置は外側のほぼ平面状のプレート３０と該プレ
ート３０の内側面全面に亘つて張設された吸音材
３２とにより構成されている。本装置１６とラジ
エータガード８および消音ルーバ装置１４とで囲
まれて形成された空間部２８を数個の部屋に仕切
つて消音効果を高めるために複数（１〜３個）の
縦形仕切板を外側プレート３０に着脱自在に装着
することができる。本装置１６により形成された
空間部２８の上端は騒音空気が車外へ排出される
開口部３４とされ、該開口部３４は車外から異物
が侵入しないように十分な開口率を有するパンチ
ングメタル等３６にてカバーされている。上記空
間部２８の下端は騒音空気の一部を二重構造とし
たアンダーガード１２により形成された誘導路３
８に導くため該アンダーガード１２に滑らかに接
続されている。

上記アンダーガード１２は内部プレート４０と
外部プレート４２とにより二重構造とされて誘導
路３８を形成され、該誘導路３８の入口４４を上
記空間部２８の下端に接続され、かつ出口４６を
エンジンルーム１９に開口せられている。上記誘
導路３８のエンジンルーム１９へ通ずる出口４６
付近には該誘導路３８を通る排出空気を選択的に
エンジンルーム１９内またはエンジンルーム外へ
誘導可能とする切換装置５０が設けられている。
該切換装置５０は、第２図および第３図に示すよ
うに、誘導路３８の後端において内部プレート４
０に上縁部をヒンジ５２止めされた開閉板５４を
含み、該開閉板５４は図示実線位置と２点鎖線位
置間を揺動できるようになつている。開閉板５４
は、図示実線位置では、Ｕ字形断面をなす外部プ
レート４２の出口部まわりに固着されたアングル
部材５６ａ，５６ｂ，５６ｃの内縁によつて形成
された排出開口５８を閉じて誘導路３８の後端面
を形成し、また図示２点鎖線位置では上記エンジ
ンルーム１９に通ずる出口４６を閉じるとともに
上記排出開口５８を開くようになつている。な
お、開閉板５４はそれぞれの位置に位置保持され
るべくアングル部材５６ａおよび内部プレート４
０にボルト６０止めされる。

次に上記実施例装置の作用につき述べると、冷
却フアン３の送風作用により冷却空気はフード２
の冷却空気吸入口１８を通して車外よりエンジン
ルーム１９内に吸入される。

上記吸入口１８からエンジンルーム１９内に吸
入された冷却空気はエンジン１の周辺を通り、冷
却フアン３によりラジエータコア５へ吐き出され
る。ラジエータコア５はバツフル６２，６４によ
り隙間をふさがれているので冷却フアン３により
吐出される騒音空気の大部分はラジエータコア５
を通過して消音ルーバ装置１４に導かれる。

消音ルーバ装置１４は冷却フアン３により吐出
される騒音空気の吸音作用をなすが、上述したよ
うに各ルーバー２２が騒音空気の流れに対し角度
付けられているために良好な吸音効果を得ること
ができ、また各ルーバー２２の断面形状が異るこ
とによつて騒音空気は上下に分散される。

消音ルーバ装置１４を通過した騒音空気は該ル
ーバ装置１４前方のラジエータサイレンサ装置１
６に導かれる。該ラジエータサイレンサ装置１６
は吸音材３２にて騒音空気を消音すると同時に該
騒音空気を空間部２８に沿つて案内し、その一部
を上部開口３４より車外に排出するとともに残り
を下端部入口４４より誘導路３８に導く。なお、
この際吸音材３２は騒音空気の衝突或は車体の振
動によるプレート３０のびびり音を防止する。

空間部２８より誘導路３８内に導かれた騒音空
気は、通常は開閉板５４を図示実線位置に位置固
定することにより、該誘導路３８を通つて出口４
６よりエンジンルーム１９内に導入され、そこで
フード２の冷却空気吸入口１８から吸入された冷
却空気と混り合つて再び冷却フアン３からラジエ
ータコア５、消音ルーバ装置１４、ラジエータサ
イレンサ装置１６と循環される。これによりラジ
エータサイレンサ装置１６から車外へ排出される
騒音空気の一部を本装置を通して再びエンジンル
ーム１９内へ再循環して車外へ放出する騒音を減
少することができる。しかし、車輛が夏場或は高
温地域等高温状況下で使用される場合には、上記
開閉板５４を図示２点鎖線位置に位置固定し、こ
れによりエンジンルーム１９に通ずる出口４６を
閉じて誘導路３８からの排出空気を誘導路３８後
端部の排出開口５８を介して車輛の下側後方へ排
出する。該排出開口５８より排出される空気は地
面または車輛足まわり装置に付着した土砂等によ
り吸音されて騒音を低減される。なお、一般に車
輛後方（エンジンと反対側）の騒音レベルは低い
ために、本実施例のように排出開口５８より車輛
下側後方へ向けて騒音空気を排出しても車輛後方
の騒音レベルの上昇はほとんど問題にならない。
また、アンダーガード１２は二重構造となつてい
るためにエンジンルーム内の騒音が車外へ透過し
にくいという利点も得られる。

第５図および第６図は本発明の変形例を示すも
ので、該変形例のものは誘導路３８の出口４６′
をエンジンルーム１９に開口させるとともに、該
誘導路３８の入口４４付近に該入口を開閉可能な
切換装置５０′を設けたものである。該変形例の
切換装置５０′は、図示のように、上記空間部２
８の底部において外部プレート４２に設けらた第
６図の矩形穴６６の内縁部に一端縁をヒンジ６８
止めされた開閉板７０を含み、該開閉板７０は図
示実線位置と２点鎖線位置間を揺動できるように
なつている。開閉板７０は、図示実線位置では、
外部プレート４２の矩形穴６６のまわりに固着さ
れたストリツプ部材７２ａ，７２ｂ，７２ｃの内
縁によつて形成された排出開口７４を閉じて外部
プレート４２の一部を形成し、また図示２点鎖線
位置では上記空間部２８から誘導路３８へ通ずる
通路を閉じるとともに上記排出開口７４を開くよ
うになつている。なお、開閉板７０は先の実施例
と同様にボルト７６によりそれぞれの位置に位置
保持される。該変形例のものも先の実施例と同様
な作用効果を得ることができる。

さらに変形例のものはラジエータサイレンサ装
置１６の上部開口３４から侵入した土、石等の異
物を上記開閉板７０を開放することにより排除す
ることも可能である。

なお、上記実施例では切換装置を誘導路の入口
部或はエンジンルームへ通ずる出口部に設けた
が、切換装置は誘導路の中間等アンダーガードの
他部分に形成することができる。また、切換装置
は誘導路からエンジンルームへ再循環される排出
空気を選択的にエンジンルーム外へ切換可能であ
るならば切換弁等他の手段を用いることもでき
る。さらに、上記の実施例ではラジエータガード
開口部よりの排出空気を上下に分散させるべく特
殊横断面形状の消音ルーバ装置を使用している
が、該消音ルーバ装置は必須ではなく他の排出空
気上下分散手段を使用することができる。

なお、本発明装置は土工車輛以外のエンジン、
例えば建設機械のエンジンの囲い装置にも応用可
能である。

以上のように、本発明によればエンジンの高温
使用および低温使用の変化に拘らず良好なエンジ
ン冷却特性を維持しつゝエンジン騒音の低減を図
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のエンジン囲い装置を備えた土工
車輛の側面図、第２図は本発明によるエンジン騒
音低減装置を備えたエンジン囲い装置の一実施例
を部分的に示す側面的内部構造図、第３図は第２
図の線―に沿う部分的矢視図、第４図はルー
バーの断面図、第５図は本発明の変形例を示す側
面的部分断面図、第６図は第５図の線―に沿
う部分的矢視図である。 １……エンジン、３……冷却フアン、８……ラ
ジエータガード、１２……アンダーガード、１６
……ラジエータサイレンサ装置、１９……エンジ
ンルーム、２８……空間部、３４……排出口、３
８……誘導路、４４……入口、４６，４６′……
出口、５０，５０′……切換装置、５４，７０…
…開閉板、５８，７４……排出開口。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 冷却フアンによりラジエータガードの開口部
   より冷却空気が吐き出されるエンジンの騒音低減
   装置において、前記ラジエータガードの前方に該
   ラジエータガードとの間に空間部をおいてほぼ該
   ラジエータガードの全面をカバーするラジエータ
   サイレンサ装置を設け、該空間部の上部に冷却空
   気の排出口を設けるとともに該空間部の下部をエ
   ンジンのアンダーガードを二重構造として形成し
   た誘導路の入口に接続し、該誘導路の出口をエン
   ジンルームに開口せしめるとともに前記アンダー
   ガードの一部に該誘導路を介してエンジンルーム
   内に導かれる冷却空気を選択的にエンジンルーム
   外へ排出可能な切換装置を備けたことを特徴とす
   るエンジンの騒音低減装置。 ２ 前記切換装置が前記誘導路のエンジンルーム
   へ通ずる出口付近に設けられて前記エンジンルー
   ムへの開口を閉じるとともに前記誘導路にエンジ
   ンルーム外への排出開口を形成可能とする開閉板
   よりなる第１項の装置。 ３ 前記切換装置が前記誘導路の通路入口付近に
   設けられて該誘導路の入口を閉じるとともに前記
   空間部の底部において前記アンダガードにエンジ
   ンルーム外への排出開口を形成可能とする開閉板
   よりなる第１項の装置。 ４ 前記開閉板が前記アンダーガードの一部に枢
   着されている第２項または第３項のいずれかによ
   る装置。