JPS6155643B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、金属被覆フアイバの金属被覆を除去
する方法に関する。

光通信用の光ガラスフアイバは、外径が100〜
150μｍと非常に細径であり、また脆性材料であ
るため、そのままでは取扱いにくく、しかも外部
からの機械的応力や長期的な環境雰囲気の影響を
受けやすい。そのため、一般にフアイバ表面にシ
リコンやウレタン等の高分子材料を被覆して使用
している。

一方、最近では、特に低温における損失増加の
改善や長期的な機械的強度の確保のため、アルミ
ニウム、スズなどの金属材料を被覆した光フアイ
バが研究されている。

ところで、被覆を施してある光フアイバにおい
ては、光フアイバ同士を接続する際には、その被
覆材料が高分子材料であろうと金属材料であろう
と、フアイバ接続端部において、被覆を適当な長
さだけ除去する必要がある。

従来の高分子材料を被覆した光フアイバでは、
アルコールやアセトン等を含浸させた脱脂綿等で
被覆を機械的にこすつてその除去を行なつていた
が、金属被覆フアイバについてはこの方法は採用
できない。なぜなら、機械的外力によつて金属被
覆をこすり取るためには、被覆金属よりも硬いも
のでこすらなければならず、その場合、どうして
もガラスフアイバ表面に大きな傷を付けてしま
い、光フアイバの著しい機械的強度の低下を招い
てしまうからである。

また、金属被覆を除去する方法としては、ほか
に、電気化学的あるいは化学的に金属を溶解する
方法が考えられる。前者は、陽極に金属被覆フア
イバの金属被覆を用い、電気分解によつて金属被
覆を除去する方法であるが、完全に金属被覆を除
去するには、大電流を長時間流さねばならないな
どの問題がある。一方、後者は、被覆金属を溶解
し得るアルカリ性あるいは酸性の溶液中に、金属
被覆フアイバを浸漬させて、被覆金属を溶解除去
する方法であるが、金属被覆を完全に除去するに
はやはり長時間を要するという問題があつた。ま
た、短時間にこれを行なうには、溶液として強ア
ルカリ性、強酸性の溶液を用い、しかも溶液を加
熱しつつ、撹拌しなければならないなど、危険性
を伴う作業になるおそれがある。

本発明は、上記のような技術的状況にかんがみ
てなされたもので、その目的とするところは、光
フアイバ表面に傷を付けることなく、安全にしか
も短時間に金属被覆フアイバの金属被覆を除去す
ることにある。

上記目的を達成するための本発明の要旨は、金
属被覆フアイバの金属被覆を陰極とし、導電性の
物質を陽極とし、金属被覆フアイバの金属被覆を
溶解し得るアルカリ性電解液を介して両極間に電
流を流して、金属被覆を除去するようにした金属
被覆フアイバの金属被覆除去方法に存する。

以下、本発明に係る金属被覆フアイバの金属被
覆除去方法を一実施例に基づき詳細に説明する。

第１図には本発明の実施状態を示してあり、第
２図には金属被覆フアイバの断面を示してある。

第２図に示す金属被覆フアイバ１において、１
ａはガラスフアイバ、１ｂはその回りに被覆され
た金属被覆である。

一方、第１図において、２は電解槽で、その中
には金属被覆フアイバ１の金属被覆１ｂを溶解し
得るアルカリ性電解液３が入れてある。４は電解
液３中に浸漬される不溶性の導電物質、５は電
源、６は可変抵抗、７は陰極端子である。

上記装置により金属被覆フアイバ１の金属被覆
１ｂを除去するには、まず、金属被覆フアイバ１
の表面に陰極端子７を接続し、不溶性導電物質４
を浸してあるアルカリ性電解液３中に、金属被覆
フアイバ１の金属被覆１ｂを溶解すべき接続端部
を徐々に下降させ、任意の長さだけ電解液３に浸
す。このとき、電源５より、導電物質４、電解液
３、金属被覆フアイバ１の金属被覆１ｂ、陰極端
子７、可変抵抗６を経て電流が流れる。

上記の如く電流が流れることにより、陰極であ
る金属被覆フアイバ１の金属被覆１ｂの表面では
水素ガスが発生する。この水素ガスの発生によ
り、金属被覆１ｂの表面の酸化膜がまず機械的に
除去され、金属被覆素地があらわれる。この金属
素地は、電解液３中の水酸基に溶解されるが、水
素ガスの発生により、該金属素地近傍の電解液３
が激しく撹拌され、それによつて更に溶解が加速
される。

上記作用により、金属被覆フアイバ１の金属被
覆１ｂが除去されるのである。

実際に、陰極として、ガラスフアイバ１ａの直
径が125μｍ、金属被覆１ｂ部の外径が155μｍの
スズ被覆フアイバのスズ被覆、陽極として炭素棒
を用い、電解液として苛性ソーダ水溶液
（NaOH、10％）を約70c.c.、それを入れる電解槽
としてガラス製シヤーレ（直径約70mm、電解液の
深さは約５mmとなる）を用いて実験を行ない、電
流値を変えて、通電開始から金属被覆の溶解終了
までの時間を測定した。第３図にはその結果をグ
ラフにして示してある。このグラフからも分るよ
うに、50ｍＡの電流を流す場合には約30秒で金属
被覆を除去することができ、100ｍＡの電流を流
した場合には、わずか４秒で金属被覆の除去が行
なえる。

以上説明したように、本発明による金属被覆フ
アイバの金属被覆除去方法では、金属被覆フアイ
バの金属被覆を陰極とし、他の任意の導電性の物
質を陽極とし、金属被覆フアイバの金属被覆を溶
解し得るアルカリ性電解液を介して両極間に電流
を流し、金属被覆の溶解により金属被覆を除去す
るようにしたので、ガラスフアイバの表面に傷を
付けることなく、短時間でしかも安定且つ確実に
任意の長さの金属被覆を除去することができる。
従つて、金属被覆フアイバを接続する際における
端部処理として当該方法を使用すれば、機械的強
度にすぐれ、信頼性の高い接続部を実現すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る金属被覆フアイバの金属
被覆除去方法の実施状態の説明図、第２図は金属
被覆フアイバの横断面図、第３図は本発明方法に
よる通電電流と溶解に要する時間との関係を示す
グラフである。 図面中、１は金属被覆フアイバ、１ａはガラス
フアイバ、１ｂは金属被覆、２は電解槽、３はア
ルカリ性電解液、４は導電物質、５は電源、６は
可変抵抗、７は陰極端子である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 金属被覆フアイバの金属被覆を陰極とし、導
   電性の物質を陽極とし、金属被覆フアイバの金属
   被覆を溶解し得るアルカリ性電解液を介して両極
   間に電流を流して、金属被覆を除去することを特
   徴とする金属被覆フアイバの金属被覆除去方法。