JPS6153461B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は織物、特に捺染織物及び捺染間に予め
印捺される染料の発色及び／又は固定を目的とし
てパツト染色されかつ乾燥された織物を連続的に
いわゆる蒸熱処理する改良装置に関連する。

これらの処理は一般に捺染織物を連続的に、で
きるだけ空気の少い蒸気充満環境に、張力を加え
ずかつ“重なりのない”状態で送ることによつて
行われる。この型式の種々の機械及び装置は業界
では公知で、例えばイタリア国特許第762357号及
び第843234号に記載され、これらの特許明細書に
示される装置は本質的に、前壁、側壁及び上壁が
閉鎖された処理室を有し、捺染織物はこの処理室
の底部から導入及び排出され、一方、蒸気は閉鎖
壁で包囲されている空間の最上部から導入されて
次第に下降し、処理内の空気をほとんど完全に排
除するから織物は事実上蒸気雰囲気内を前進され
かつ維持されることによつて処理される。

本発明者による改良装置は内部通路を形成する
二重の側壁と上壁とを有し、この処理室の上部に
は蒸気導入口が設けられている。上記の内部通路
の底部には飽和蒸気を発生する熱交換装置（図面
省略）が配置され、又この内部通路の底部には別
の熱交換装置、特に加熱用コイルを有する熱交換
装置が配置され、熱媒体（例えば透熱性の油、過
熱水又は過熱蒸気）はこのコイルを通して導入さ
れ、処理に必要な熱的及び湿度的条件が維持され
る。この改良装置はイタリア国特許第984050号及
びこの対応特許である英国特許第1459326号及び
米国特許第3967473号に記載されている。

本願発明による改良装置は基本的にある種の技
術的及び湿度的条件を確認しこれを応用するもの
で、織物工業界（特に最新式技術を使用する業
界）で使用されている多くの染料は、飽和蒸気環
境に維持すると捺染図形上に固着即ち固定され、
この染料固着率、正確には染料の着色“収率”は
処理環境内の蒸気飽和率の関数であることを発見
しこれを合理的に発展したものである。前記特許
に示されているような従来の装置は一般に、捺染
織物の品質に悪影響を与える滴下が起こらなよう
な構造を有する。

しかし熱エネルギーの連続的供給に伴う高い経
費のほかに、事実上連続的に多量の蒸気を送る場
合には蒸気飽和状態は変化し易く、特にある種の
織物を処理する場合にはこの状態が変わり易く、
吸水によつて環境湿度が次第に低下して色彩収率
が落ちる。この欠点は、使用する捺染糊の組成物
中の吸湿性補助成分の増量によつてある程度は補
償できる。

上記の欠点を考慮し、本発明の一目的は上記の
型式及び工業的応用を目的とする装置で、蒸気環
境を通過した織物によつて吸収された水分を付加
することによつて新しい湿度環境を導入し、導入
される織物の蒸熱環境を最も好適な蒸気飽和率環
境にすることによつて捺染織物に印捺された染料
の着色収率を高める点を改良した装置を提供する
ことにあり、この改良の実施に採用される技術的
解決法によれば水分滴下は防止され、又付加水分
の供給は自動的に行われる。

又、飽和蒸気環境の相対的湿度率を限定する要
因は温度であることも公知である。実際にはこの
湿度率は、実際に測定された温度における環境圧
力と相対的飽和圧力との比率で決定される。

更に又、底部が開放した還境（この種の装置の
環境のような）内の圧力は大気圧に等しくなけれ
ばならない。従つてこの圧力（約0.07psi：4.9
ｇ／cm²）では相対的湿度率100％は99℃のオーダ
ーの理論的温度で得られ、温度が増加するにつれ
て公知の関数に従つて次第に減少し、又例えばこ
の相対的湿度率は周辺圧力、110.79℃の温度では
66.6％に低下する。この温度では飽和圧力（sp）
は0.10psi（７ｇ／cm²）であるから110.79℃の温
度における周辺圧力（ap）と飽和圧力との比率
はaP／sP＝0.66である。

従つて最大湿度状態を得るためには温度を低く
維持し滴下が起こるのを阻止する限界内に維持す
ることが必要であることは明らかである。

上記説明のように、染料固着操作間の色彩収率
は、処理すべき織物の湿度率に厳密に依存するこ
とが理解できよう。又湿度環境に入れた乾燥織物
はこの自然平衡点に達するまでは再吸湿し、この
平衡点は温度と相対的湿度の関数であることも公
知である。更に又、水を蒸気に変換するためには
エネルギー供給（従つて変換コスト）が必要で、
この逆変換（織物加湿間に起こる）で熱エネルギ
ーの返還が起こることは明らがである。

従つて、印捺染料処理工程間の捺染織物蒸気
（即ち加湿）装置の操作間には幾つかの現象が起
こり、これらの現象は乾燥状態で処理室に入る織
物が吸湿するからこの織物の漸進的移動によつて
変わり、湿度は次第に減少する。

上記説明のように本発明の目的は、上記の型式
と使用目的を有する装置で、滴下によつて悪影響
を受けることなく、飽和蒸気環境下の織物滞留時
間の大部分の間、着色収率の点で最も有利な状態
を継続する染料固着操作が行われる上記及び他の
現象を利用できるように改良した装置を提供する
ことにある。換言すれば本発明の改良装置は定性
的にも定量的にも最大の生産効率を与えるもので
ある。

本発明の他の一目的は、外部から供給すべき熱
エネルギーの見地から装置の経済的効率を増加す
るため湿度環境内の熱交換効率を改善した装置を
提供することにある。

本発明の他の一目的は、処理環境内を移動する
織物の全表面に水分を均一に分布させることによ
つて上記の状態を発生する改良装置を提供するこ
とにある。

本発明の更に他の一目的は、処理環境内の操作
装置が可動部材（例えばフアン及びポンプ等）を
含まず、又この操作装置は水分含量の増加を必要
とする単数又は複数の区域内でのみ選択的に作動
する改良装置を提供することにある。

本発明の上記目的及び他の目的、並びに利点
は、出願人の有する前記イタリア国特許第984050
号（これに対応する英国特許第1459326号及び米
国特許第3967473号）明細書に記載されている装
置に、後述する特定条件下で、処理室の内部に入
口と出口とを有する加湿通路、即ち加湿チヤネル
を組合わせ、更に本質的に噴霧状の水と加圧蒸気
の放出装置（上記チヤネルにガス状蒸気を噴出す
るエネルギーを供給する）を組合わせることによ
つて、このガス状混合物を循環させると共にこの
環境内に必要な付加的湿度を供給しかつ分布させ
ることによつて達成される。

本発明の上記及び他の特徴は、好適実施例を示
す添付図面による下記の詳細な説明から明らかで
あろう。添付図面で本発明に直接関連する部分の
みを示すが、他の構造、部品及び各種装置につい
ては前記特許の各明細書を参照されたい。

第１図は本発明の特徴である処理環境、即ち処
理室の構造を略示する垂直断面の縮小図、第２図
は上記処理室の壁の一つの内側の一部を示す斜視
図；第３図は加湿通路を形成する加湿通路構成単
位（モジユール）の構造の詳細を一部破断して示
す斜視図；第４図は第３図の加湿通路構成単位の
対称面を通る垂直断面図；第５図は加湿装置の一
例の詳細図で、この加湿装置は処理室内で蒸気を
循環するとともに、付加的に又は選択的に湿度を
増加するため、蒸気の噴出時に発生する低圧を利
用して水を吸収して霧状の水を供給する二重の機
能を有する。

第６図は第３図に示す加湿通路構成単位の数種
の分布をＡないしＤに示し、これらの分布は、異
なる容量の捺染織物蒸熱装置を異なる作業条件で
操作する種々の処理環境を形成するため使用され
る。

本発明の捺染織物蒸熱装置１０は、第１図に示
されるように、側壁１２、前壁１４及び上壁１６
で形成される処理室を有し、処理室の詳細は第２
図に示される。これら側壁１２、前壁１４及び上
壁１６は、外部に熱が漏れないように二重構造で
熱絶縁された内部通路を形成し、前記特許明細書
に記載のように、この底部で飽和蒸気が生成され
る。処理室の上部には蒸気を導入する加湿装置の
開口部１８が設けられ、空気を排除しながら開口
部１８から処理室内に流入する蒸気は、公知技術
の通り、次第に下降して層状運動によつて処理室
の最下レベルに達する。この最下レベルには箱型
通路２０が設けられ、通路２０は、エネルギー平
衡を促進するため下降蒸気を吸引する内側開口部
を有する。

処理室の詳細な構造と基本的操作は、出願人の
有する前記特許明細書に記載される通り、上記処
理室内には、処理すべき全織物を垂れ下つた状態
で支持しかつ処理室に沿つて移動する搬送装置が
設けられ、この搬送装置は処理室の側部に固定さ
れたレ−ルに沿つて支持及び移動される上方ロツ
ド２２及び下方ロツド２４を有する。

本発明の重要特徴は加湿通路内に複数の加湿通
路構成単位（モジユール）を設け、各加湿通路構
成単位を操作することである。加湿通路構成単位
の標準化及び配置は本発明の必須要件ではない
が、生産性と設置の点、例えばこの種の加湿通路
構成単位を有しない既存装置に設置できる点及び
付加湿度の供給を必要とする種々大きさの蒸気装
置の全長にわたり上記加湿通路構成単位を選択的
に配置できる点で非常に有利である。

各加湿通路構成単位３０は、通常、標準構造の
構成部材である側壁１２に取付けられる。第２図
及び第６図に示されるように標準構造の側壁は１
２′で示され、加湿通路構成単位３０を取付けた
側壁は１２″で示される。第６図は、加湿通路構
成単位３０が異なる間隔で織物処理室内の全長に
わたり配置された状態、又は前進方向の数個所に
分布して配置された状態を示す。

第３図及び第４図に示されるように、各加湿通
路構成単位３０は扁平垂直の細長い箱型又はタン
ク型に構成され、この内部は第二通路を形成し中
間壁３２によつて隣接する下向き通路３４と上記
向き通路３６に分割され、これらの通路３４と３
６は、上部が開放した共通の下方中間結合部３８
で連結され、Ｕ字型通路を形成する。前方のの下
向き通路３４の上方開放口には別の構造体４０，
４０（２個が好適）の下端が挿入され、これらの
構造体は上端と下端が開放し下方に向けて先細の
形状を有する。この構造体４０で形成される第一
通路の上方入口には、第５図に詳細に示される噴
射加湿装置４２が配置され、この装置の底部には
複数のノズル４４と中心ノズル４８とを有するノ
ズル装置が設けられる。ノズル４４には低圧（例
えば0.1ないし0.6気圧）の蒸気がダクト４６を通
して供給され、中心ノズル４８には、周辺温度を
感知するサーモスタツトで制御されるソレノイド
弁（図面省略）で調整された水がダクト５０を通
して供給される。

ノズル４４を通して高速度で供給される加圧蒸
気の流出により各構造体４０内で下向きに蒸気が
流出し、この蒸気流出は構造体４０の上方開放部
４０′附近の蒸気を吸引する。ノズル４４からの
蒸気流出による下向き蒸気流は、構造体４０の空
間内の前方下向き通路３４の上方開放部３４′で
も吸引を生ずる。前方下向き通路３４を通り、全
体としてＵ字型通路を形成する下方中間結合部３
８で反転されるため蒸気は均一になり、減速され
かつ均一状態で上向き通路３６を通り上方開放部
３６′から再び処理室内に導入され、処理室内に
は不適正な旋回運動及び局部的不均一性のない循
環蒸気流が得られる。加湿通路構成単位の配置
は、捺染織物蒸熱装置の状態、特に、処理室の長
さによつて予め選択され、例えば、第６図のよう
に加湿通路構成単位を配置し、更に１個の加湿通
路構成単位の作動を選択することによつて蒸気装
置に種々の合理的処理状態を与えることができ
る。

ダクト５０を通る水流は周辺温度に対応して制
御され、変更される。即ち、サーモスタツト装置
が不適正温度上昇を感知すると、本発明の捺染織
物蒸熱装置ではソレノイド弁を開放してダクト５
０を通して水を送り、この水は飛沫同伴作用（エ
ントレインメント）によつてノズル４８で霧状に
される。ダクト５０から霧状に放出される水の一
部は、Ｕ字型通路を形成する通路３４，３６及び
下方中間結合部３８を通るとき、周辺蒸気から熱
を奪いながら蒸発し、処理室内の蒸気温度は限界
飽和点まで下降する。未蒸発水はＵ字型通路の下
方中間結合部３８に流れ、適当な排水通路５２か
ら排出される。

サーモスタツト装置は、±１℃の正確な温度調
整を行い、周辺温度は最適温度（一般に100℃よ
り僅かに高い）に維持すると共に、余分の水及び
蒸発しない水は、蒸気流速が非常に低い上向き通
路３６を上昇できず最適蒸発状態が得られ、本発
明の前記主目的が達成される。

上記捺染織物蒸熱装置のエルギー効率について
説明すると、上記装置内の蒸気流動エネルギーは
上記装置に供給される蒸気から得られるから上記
加湿装置の作動のためエネルギー増加は必要では
ないことに注意すべきである。又、上記装置は、
高速移動蒸気と織物との間の熱交換効率を向上
し、処理時間を短縮すると共に生産性の高い蒸気
循環装置（加湿水を使用せずに流動手段としての
み蒸気を供給するノズルを使用する）として高温
度で作動できることに注意すべきである。

上記改良型蒸気循環方式は、熱交換効率の向上
のほか、本発明装置内の種々の区域（選択的に予
め配置できる）と種々レベルの温度均一化にも有
効である。この利点は合成繊維織物の場合のよう
に170〜180℃程度の高温度で処理する場合に特に
有効である。染色布の処理には特に均一処理が重
要で仕上織物の着色収率向上及び織物全体として
色彩の均一性が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明捺染織物蒸熱装置の処理室の縮
小断面図；第２図は処理室の壁の内側の一部の斜
視図；第３図は加湿通路構成単位の斜視図；第４
図は第３図の加湿通路構成単位の垂直断面図；第
５図はノズル装置の一実施例の側面図で；第６図
のＡ，Ｂ，Ｃ及びＤは加湿通路構成単位の配置状
態を示すブロツク図である。 １０……捺染織物蒸熱装置、１８……開口部、
３０…加湿通路構成単位、３４，３６……通路、
３８……下方中間結合部、４０……構造体、４２
……噴射加湿装置、４４……ノズル、４８……中
心ノズル、５２……排水通路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 捺染織物の蒸熱処理、特に蒸気で飽和した処
   理室内に蒸熱処理すべき織物を移動して処理する
   捺染織物蒸気装置において、 処理室を形成する一対の側壁及び該側壁を連結
   する上壁；該側壁及び上壁での二重構造により形
   成される内部通路；前記処理室の最上位置に設け
   られ蒸気を導入する開口部；下向き通路、該下向
   き通路に接続されかつ気流の流れ方向を反転する
   下方中間結合部及び該下方中間結合部に接続され
   た上向き通路とでＵ字型通路に形成され、前記処
   理室内の蒸気を循環させる加湿通路；前記処理室
   内の温度を検出するサーモスタツト装置；前記処
   理室内の温度が所定温度以上に上昇した時、上記
   サーモスタツト装置に応動して前記処理室に水を
   供給する加湿装置；前記下向き通路に向つて配置
   され、前記加湿通路に加圧蒸気を供給することに
   より前記処理室内の蒸気を前記加湿通路に吸引す
   るノズル装置；及び前記加湿通路内で蒸発しない
   供給水を補集して前記処理室内に流入することを
   阻止する排水通路で構成されることを特徴とする
   捺染織物蒸熱装置。 ２ 上記排水通路は、上記加湿通路の下方中間結
   合部の底部に設けられ、該下方中間結合部で捕集
   された水を除去する特許請求の範囲第１項記細の
   捺染織物蒸熱装置。 ３ 上記加湿装置に設けられた上記ノズル装置
   は、水噴出ノズルと加圧蒸気噴出ノズルとを有
   し、蒸気の機械的エネルギを利用して蒸気を加湿
   通路に導入するとき上記水噴出ノズルから供給さ
   れる水を飛沫同伴作用により霧状に噴出する特許
   請求の範囲第１項記載の捺染織物蒸熱装置。 ４ 蒸気の循環を促進しかつ湿度を増加する上記
   加湿通路は、上記処理室に取付けらた複数の加湿
   通路構成単位として設けられ、各加湿通路構成単
   位は、蒸気を導入する入口と、これを排出する出
   口とを有し、処理室内に均一な蒸気移動速度を与
   える特許請求の範囲第１項記載の捺染織物蒸熱装
   置。 ５ 上記加湿通路は、下方に向う先細形状を有す
   る構造体で形成されかつ上記処理室から吸引され
   る第一通路と、該第一通路に連結されかつ更に蒸
   気を吸引する第二通路とを有する特許請求の範囲
   第４項記載の捺染織物蒸熱装置。 ６ 上記第二通路は、上記下向き通路と、下方中
   間結合部と上向き通路とを有する特許請求の範囲
   第５項記載の捺染織物蒸熱装置。 ７ 上記加湿通路は、上記処理室の側壁に取付け
   られるた上記加湿通路構成単位で構成される特許
   請求の範囲第６項記載の捺染織物蒸熱装置。 ８ 上記加湿通路構成単位は、Ｕ字型通路に形成
   された上記側壁と平行な上記下向き通路及び上向
   き通路と、人口で蒸気吸入作用を行う２つの構造
   体とを有し、該構造体は、第一通路を形成すると
   共に、蒸気を吸引する上記ノズル装置を有する特
   許請求の範囲第７項記載の捺染織物蒸熱装置。 ９ 上記加湿通路構成単位は、織物が移動する処
   理室の長さ方向に沿つて上記側壁に取付けられる
   特許請求の範囲第８項記載の捺染織物蒸熱装置。 １０ 上記加湿通路の入口は、出口より低い位置
   に設けられ、上記出口は、上記処理室の側壁に隣
   接する特許請求の範囲第９項記載の捺染織物蒸熱
   装置。