JPS6152653B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、パン内相部に空洞を有する新規な空
洞パン及びその利用法に関するものである。更に
詳しくは、種々の調理食品、フイリング等を充填
し得る空洞パン及びそれを用いて調理パン、菓子
パンに関する。

山型パン、菓子パン等にカスタードクリーム、
小豆あん等を入れた通称あんパン、クリームパン
等は間食、おやつとして人気がある。又、野菜サ
ラダ等のサンドイツチや近年ではハンバーガー等
最も人気のある食品であつて、これを商材とした
外食産業も隆盛を極めている。この様な人気商材
の多様化は使用する調理食品、フイリングの多様
化によつて達成されるが、パン内相部に任意の調
理食品、フイリングを入れることは製パン技術上
の制約によつて未だ完成していない。例えば、ホ
イツプクリーム、バタークリーム、アイスクリー
ム等は耐熱性がない為パン生地内部に包込んで焼
成した場合、全くその形を止めない結果となる。
高水分食品は、パン生地内部より水分が滲出して
フイリングとしては不適当であり、クリームパ
ン、あんパンでもそのフイリングの水分を多くす
ると水分の滲出が発生して商品価値を失う結果と
なる。この様に澱粉、蛋白質類でも焼成温度で軟
化して滲出を起すものが多くあつてフイリングの
多様化を阻害している。一方、低水素イオン濃
度、高浸透圧性の食品もイーストの発酵を阻害し
てフイリングとして不適当である。又、青鮮野
菜、果実類も焼成によつてその使用目的を失う場
合がある。

サンドイツチ、ハンバーガー等調理食品をスラ
イスしたパンの間に挾んで供するタイプの調理パ
ンでは、その形態上から粉末状、粒状、フレーク
状の食品はそのままでは利用が困難であつて粘稠
性食品等と併用する等が必要で、現在ではハンバ
ーグ、フライ、カツ等塊状食品、バター、マーガ
リン、マヨネーズ、ケチヤツプ等の粘稠性食品が
主に利用されている状況である。

この様な従来使用が困難であつた調理食品、フ
イリング（以下単にフイリング類と称す）を利用
して調理パン、菓子パンの多様化、高級化を指向
した試みがなされているが現在まで成功していな
い。例えば「最中の皮」の様に二枚の皿状に成型
焼成したパンにフイリング類を充填して二杯合せ
にする方法があるが、パンの凹部を形成する金型
を必要とすると共に二枚で１個の製品となるため
生産性が著しく劣るという重大な欠点があり実用
化されていない。

本発明者らは調理パン、菓子パンの多様化、高
級化に適した新規なパンの開発研究に専念し種々
研究の結果本発明を完成した。即ち本発明は、ゼ
ラチン、糖に、必要に応じて、卵白、多糖類等を
加えて撹拌し、容積で70％以上含気した含気物を
パン生地内部に包込み、焼成又は揚げることによ
つてパン内相部に空洞を形成させてなる空洞パン
を内容とする。

本発明の新規な空洞パンは、パン内相部に任意
の大きさ、形状、位置の空洞が形成されており、
しかも空洞内部表面は、含気物を形成している
糖、ゼラチン等の被膜で保護されている。この内
部表面被膜はパンの食感を損なうことなくフイリ
ング類を安定に保持するので高水分食品、水中油
型乳化食品等もフイリングとして有効に利用でき
る。

更に本発明の新規な空洞パンの特徴は、山型食
パン、角型食パン等をスライスしてサンドイツチ
とする場合、そのサンドイツチパン内面に凹部を
形成させ得る等、いかなる外観のパンでもその内
部に空洞を形成させ得る点にある。更に詳しく発
明を説明すると、常法により調整された食パン、
菓子パン、ドーナツ生地等のパン生地、パイ生
地、ペイストリー生地等（以下、パン生地と略称
する）を成型するに際し、パン生地に任意の大き
さ、形状の含気物を任意の位置に包込む。この含
気物は糖、多糖類、蛋白質（ゼラチン）等を適宜
使用しして70％以上発泡含気させた含気物が適当
で、特にマシユマロがよい結果を与える。この含
気物の含気率は70％以上が適当で70％未満である
と空洞内部表面の被膜が異和感を与えることがあ
る。次に常法により天板、食パン金型等に並べて
焙炉後、焼成して本発明の空洞パンを得る。

次にフイリング類を常法により注入するか、空
洞パンを任意に二分割してフイリング類を充填す
る等して調理パン、菓子パンを調整する。

次に、実施例を記載して本発明を具体的に説明
する。

実施例 １ 卵白60ｇ、砂糖300ｇ、粉ゼラチン40ｇ、水120
ｇ、レモン果汁20c.c.を常法により含気させてマシ
ユマロを調製し、厚さ２cm、半径２cmの円柱に固
めた。中種法で調整したパン生地を40ｇに分割
し、ベンチタイム終了後、マシユマロを包み込み
丸めて成型して天板に並べ通常に焙炉をとり焼成
して空洞パンを得た。

実施例 ２ 実施例１で得た空洞パンに側面より生クリーム
で調整したホイツプクリームを絞り入れて生クリ
ームパンを得た。得られた生クリームパンはホイ
ツプクリームの安定性もよく食感、味覚も良好で
ある。

実施例 ３ 市販のパイ生地に実施例１のマシユマロを包込
み焼成して空洞パイを調製し、空洞にバタークリ
ームを絞り入れた。

本バタークリームパイは、バタークリームが包
装紙に付着することもなく包装性のよい製品とな
つた。

実施例 ４ 実施例１の配合でマシユマロを調製し、直径８
cm厚さ１cmの円に成型し、次に中種法で調製した
食パン生地110grで包み角型食パン金型に縦に８
個並べて入れ焙炉後、焼成した。冷却後、８等分
し、その中央を二分割することにより内面部に凹
部を有するサンドイツチ又はオープンサンド用ス
ライスパンが得られた。

実施例 ５ 実施例１の配合でマシユマロを調製し、中種法
で調製したドーナツ生地を40ｇに分割し、ベンチ
タイム終了後、マシユマロを包み込み丸めて成型
し通常に焙炉をとり揚げることにより空洞のある
揚げパンを得た。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ゼラチン、糖に、必要に応じて、卵白、多糖
   類等を加えて撹拌し、容積で70％以上含気した含
   気物をパン生地内部に包込み、焼成又は揚げるこ
   とによつてパン内相部に空洞を形成させてなる空
   洞パン。 ２ パン生地が、食パン生地・菓子パン生地・ド
   ーナツツ生地等のイースト醗酵生地、パイ生地、
   デニツシユペイストリー生地からなる群から選ば
   れる生地である特許請求の範囲第１項記載の空洞
   パン。 ３ 含気物がマシユマロである特許請求の範囲第
   １項記載の空洞パン。 ４ ゼラチン、糖に、必要に応じて、卵白、多糖
   類等を加えて撹拌し、容積で70％以上含気した含
   気物をパン生地内部に包込み、焼成又は揚げるこ
   とによつてパン内相部に空洞を形成させてなる空
   洞パンを二分割するか又はそのまゝで該空洞に調
   理食品、フイリングを充填してなる調理パン、菓
   子パン。