JPS6150199B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、缶詰缶に液化ガスを定量封入するた
めに液化ガス定量滴下するノズル装置に関する。

従来の技術 ジユース等、炭酸ガスを含まない飲料・食品の
缶詰にあつても、ビール等、炭酸ガスによる内圧
の作用する飲料の缶と同様の板厚の薄い材料で製
作された缶を容器として用いることが望まれてい
る。

このため、缶の巻締直前に液化不活性ガスを滴
下封入して密封後の缶の内圧を高め、これによつ
て薄い材料で作られた缶の強度不足を補うことが
試みられている。

これに用いられる不活性ガス滴下装置は、液化
不活性ガスの貯溜槽と滴下ノズルを備えており、
缶充填物の温度、巻締装置の運転速度、缶内の充
填物の量によつて変化する缶内上部空間の大きさ
等に応じて定まる定量の液化ガスを缶内に滴下す
る。

巻締装置の運転速度が低い場合には、滴下ノズ
ルはニードルバルブ等、適宜の弁装置を備え、弁
の開度や開時間の制御により、一缶ずつに所定量
の液化不活性ガスを滴下することが出来る。しか
し、高速運転になると、高速の弁の開閉に応じて
所定量の液化ガスを滴下するためには、滴下する
液化ガスに圧力をかける必要が生じ、このため強
い勢いで射出される液化ガスの飛散や内容物の飛
散が生じ、ガス封入量を定量に保つことが困難に
なる上、滴下のタイミング調整も難しくなる。

このため、高速運転においては、かえつて、弁
を一定開度に保ち、液化ガスの連続した滴下流を
作り、この滴下流を缶が定速で過ることにより、
一定量の液化ガスを缶に注入する方法が現実的と
なる。

連続滴下の場合、流下する液化ガスの勢いを弱
め、貯溜槽内の液化ガスのレベル変化や液化ガス
の貯溜槽への補給に伴う内圧変動による流下速度
の変動を緩和するため、ノズルから射出される液
化ガスを焼結合金等の多孔質材で作られた中空体
の圧力消去ノズルに一旦仮溜めして、多孔質材の
流下抵抗によつて流下量を一定にすることが試み
られた（特開昭57−86699号公報） 発明が解決しようとする問題点 上記の試みは定量流下に相当の効果をあげた
が、貯溜槽の内圧変動等でバルブからの流下量が
変動すると、それに供なつて圧力消去ノズルの中
空内に仮溜めされる液量（中空内の液面レベル）
が変動し、その結果、圧力消去ノズル外周部から
滲出する液化ガス量が変動するという問題があつ
た。そのため、打検器の導入等により、缶内圧の
バラツキに対する許容範囲が狭まつてきている現
状においては、まだ十分とは云えなかつた。

本発明は、上記実情に鑑み創案されたものであ
つて、バルブからの液化ガスの噴出圧を消勢し、
かつ貯溜タンク内の内圧変動等でバルブからの液
化ガス流下量が変動しても容器内への添加量のバ
ラツキを少なくして定量均一に液下ガスを滴下で
きる液下ガス滴下ノズル装置を提供することを目
的とするものである。

問題点を解決するための手段 本発明は、圧力消去ノズルを構成する多孔質材
で、流下抵抗を増すと共に、その半径方向に温度
勾配を生じさせ、中心部を液化ガス、外側部を気
化ガスが流下揮散するようにすることにより、流
下量を極めて安定して一定に保つことを可能に
し、上記問題の解決を図つた。

そのために、本願発明の液化不活性ガスの滴下
ノズル装置は、多孔質材料で形成され先端下部が
円錐状に先細になつている中実円柱状ノズルを液
化ガス貯溜タンクの滴下口下方に軸心を一致させ
て設け、かつヒータが取付けられたノズル外筒を
前記中実円柱体ノズルの外周部に間隔を置いて設
けるという技術的手段を採用した。

作 用 以下、本発明の作用を実施例に相当する第２図
イ〜ハを参照して説明する。

ノズル１が多孔質材料の中実円柱体に形成され
ているので、その上方中央部に滴下された液化ガ
スは、ノズル１内を拡がりながら下方に流下しよ
うとする。しかしながら、その滴下始において
は、ノズル１の全体がヒータ及び外気により温め
られているので、液化ガスは多孔質ノズル１内を
拡がりながら気化し、その気化ガスがその周側部
より揮散して、ノズル外筒４とノズル周側部間を
気化ガスとなつて流下揮散する（同図イ参照）。
貯溜タンクより液化ガスの滴下が進むにつれてノ
ズル１中心部が液化ガスにより次第に冷却され、
ヒータ４で温められている外周部とノズル中心部
との温度勾配が大きくなる。その結果、バルブ３
よりの液化ガスは、ノズル中心部に沿つて次第に
滲出流下すると共に、周側部に向かつたものは気
化して周側部より揮散して、ノズル外周を気化ガ
スがシールドする（同図ロ参照）。

そのようにして液化ガスは、ノズル外周に拡が
つたものは気化され、ノズル中心部のみに沿つて
滲出流下し、定常になるとその滴下時の圧力によ
る流速を失いながら定量の液化ガスが中心部に集
中し、ノズル先細部先端から細い液流８となつて
安定した状態で流下する（同図ハ参照）。

同時にノズル１の周側部は、気化したガスが包
み、該気化ガスがノズル１の下面周側部から吹き
出し、液流８を包みシールドする。

実施例 以下、図面により本発明の実施例を説明する。

図において１は発泡させたウレタン、スチロー
ルなどのような多孔質材料、綿、ガーゼ布などの
繊維類、粉体を空隙を残して固めた材料等で作ら
れた先端下部が円錐状に先細になつている中実円
柱体ノズルであり、液化ガス貯溜槽に続く液化ガ
ス流路２がこの上に開放される。弁３は図示しな
い駆動機構により流路２からの液化ガス量を制御
する。ノズル１の外筒４にはヒータ５が取付けら
れ、これによつてノズルの結露凍結が防止出来
る。また、図示しない液化ガス貯溜槽内や液化ガ
ス元タンクで気化したガスの一部は気化ガス室６
を経て、同じノズル１の周側部に供給される。７
はガスを充填すべき缶である。

該実施例においては、ノズル１の周側部は、気
化ガス室６からのガスとノズル１中で気化したガ
スとが滴下し、ノズル１の下面周側部から吹出
し、液流８を包むようになつている。

効 果 以上のように、本発明の滴下ノズル装置は、多
孔性中実体のノズルの中心部と外周部に温度勾配
ができ、ノズル外周部に向かつた液化ガスは気化
し、液化ガスは常にノズル中心部下方のみから滲
出流下する。従つて、本発明は、滴下バルブから
の滴下量の変動によつて周側部から滲出する液化
ガス量が変動しノズル先端から流下する液量が変
動する従来の多孔質中空体ノズルと比較して、流
下量が極めてよい均一性を示すものである。

また、本発明は、ノズル周側部を気化ガスが取
囲むのでノズルの霜付が防止される。さらに該気
化ガスが、ノズル先端より流下する液化ガス流を
包むので、流下液化ガスの気化を防ぐとともに外
気による影響を少なくして安定した状態で容器内
に液化ガスを滴下させることができる等の顕著な
効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る滴下ノズル装置の実施例
の断面図、第２図イ〜ハは液化ガスの滴下装態を
示す各段階における滴下ノズル装置の断面図であ
る。 １：多孔質ノズル、２：液化ガス流路、３：
弁、４：外筒、５：ヒーター、６：気化ガス室、
７：缶、８：流下液流。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 容器の密封直前に容器内に液化不活性ガスを
   滴下するための液化不活性ガスの滴下ノズル装置
   であつて、多孔質材料で形成され先端下部が円錐
   状に先細になつている中実円柱体ノズルを液化ガ
   ス貯溜タンクの滴下口下方に軸心を一致させて設
   け、かつヒータが取付けられたノズル外筒を前記
   中実円柱体ノズルの外周部に間隔を置いて設けて
   ことを特徴とする液化ガス滴下ノズル装置。