JPS6150070B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、溶接中においても溶接トーチを溶接
進行方向及びそれに直角な方向に回動できるよう
にしたサブマージアーク溶接機に関する。

従来のサブマージアーク溶接機において、溶接
トーチは、ねじなどにより溶接機本体に固定する
ようになつていたので、被溶接部材の設置状態或
いは開先形状などに合わせてトーチの溶接進行方
向（前後方向）傾斜角度及び溶接進行方向に直角
な方向（左右方向若しくは横方向）傾斜角度を適
宜選定して固定した後は、つまり溶接中などに
は、トーチ角度を変化させることができなかつ
た。溶接時溶接トーチは溶接部に対し常に一定の
傾斜角を保つていることが必要であるが、以上の
ように従来のサブマージアーク溶接機ではそれが
できず、従つて適用範囲が極めて狭かつた。つま
り湾曲を有する被溶接部材例えば曲がり外板や曲
がりブロツク等の溶接にはサブマージアーク溶接
を採用できなかつたのである。又、自動溶接を連
続的に行なう場合には溶接トーチの向きを全く逆
にできるようになつていることが望ましく、従来
このようなものとしては、溶接トーチを回転テー
ブルに取付け、回転テーブルを180度回転するこ
とによつて、トーチの向きを変えるようにしたも
のが考えられているが、回転テーブルの工作は難
しくしかも精度も得にくいので、溶接中にトーチ
の向きを変えた場合、誤差が生じる虞があつた。

本発明は、溶接中においても溶接トーチを前後
方向及び左右方向に回動可能なサブマージアーク
溶接機を提供することを目的とするもので、その
要旨は、被溶接部材の溶接開先部にほぼ平行に設
けられたレールに案内されて移動される走行台車
に溶接進行方向に直角な方向に移動可能にスライ
ドテーブルを支持し、該スライドテーブルの溶接
進行方向前部及び後部に溶接進行方向に交差させ
て円弧状のトーチ左右角可変ガイド部材を設け、
これら前後二つのトーチ左右角可変ガイド部材間
に円弧状のトーチ前後角可変ガイド部材を渡すと
共に該トーチ前後角可変ガイド部材を前記トーチ
左右角可変ガイド部材に沿つて回動可能とし、更
に溶接トーチを保持するトーチホルダを前記トー
チ前後角可変ガイド部材に取付けると共に当該ト
ーチホルダを前記トーチ前後角可変ガイド部材に
沿つて回動可能としたことを特徴とする。

以下本発明に係るサブマージアーク溶接機の一
実施例を第１〜４図に基づき詳細に説明する。
尚、図面のうち第１図は一実施例の側面図、第２
図はその平面図、第３図は実施例の主要部の側断
面図、第４図は実施例の主要部の正面断面図であ
る。

端面を突き合わせられて溶接開先部１を形成す
る一対の被溶接部材２の一方の表面には、前記開
先部１にほぼ平行に走行用ガイドレール３が敷設
される。この走行用ガイドレール３は溶接開先部
１が湾曲していても、それに沿つてほぼ同じ間隔
を保つて敷設される。

矩形枠状の溶接台車４の下側の一方側前後には
該溶接台車４を表面に平行な軸回りに回転自在に
ガイド車輪５が取付けられ、他方側前後には前記
溶接台車４表面に垂直な軸回りに回転可能で且つ
前記走行用ガイドレール３に係合する走行用駆動
輪６及びガイド車輪７が設けられ、前記走行用駆
動輪６には、溶接台車４に搭載された走行用モー
タ８の出力軸が連結されている。よつて、走行用
モータ８の駆動により溶接台車４は走行用ガイド
レール３を案内として溶接開先部１に沿つて移動
される。

溶接台車４の溶接進行方向（前後方向）前部及
び後部には、前後方向に直角な方向（左右方向）
に向けてスライドねじ軸９が回転自在に支持さ
れ、これらのスライドねじ軸９には、枠状の溶接
台車４の枠内において、略矩形枠状のスライドテ
ーブル１０の前部及び後部が螺着されている。前
記二つのスライドねじ軸９は伝動手段で連繋され
ており、又一方のスライドねじ軸９には、溶接台
車４に搭載された左右方向スライドモータ１１の
出力軸が連結され、この左右方向スライドモータ
１１の駆動により前記スライドねじ軸９が回転し
前記スライドテーブル１０は左右方向に移動され
る。前記スライドテーブル１０の前部及び後部の
左右両側には、高さスライドガイド１２がそれぞ
れ設けられ、これら高さスライドガイド１２に
は、圧縮ばね１３により下向きのばね力を付与さ
れ該高さスライドガイド１２に沿つて弾性的に移
動可能にガイド取付部材１４が設けられ、前部及
び後部の左右のガイド取付部材１４間には、円弧
状のトーチ左右角可変ガイド部材として円弧状の
トーチ左右角可変ラツク１５が取付けられてい
る。前後二つのトーチ左右角可変ラツク１５に
は、円弧状のトーチ前後角可変ガイド部材とし
て、両端部に嵌合部材１６を有す円弧状のトーチ
前後角可変ラツク１７が前記嵌合部材１６を前記
トーチ左右角可変ラツク１５にそれぞれ嵌め合わ
せて、渡されている。トーチ前後角可変ラツク１
７両端の嵌合部材１６の上側には、トーチ左右角
可変用モータを内蔵したトーチ左右角可変ユニツ
ト１８が固定され、前記トーチ左右角可変用モー
タの出力軸１９に取付けられている歯車２０が前
記トーチ左右角可変ラツク１５に噛み合わせられ
ている。よつて前記トーチ左右角可変モータの駆
動により、前記歯車２０がトーチ左右角可変ラツ
ク１５に噛み合つて移動し、前記トーチ前後角可
変ラツク１７は前記トーチ左右角可変ラツク１５
を案内として左右方向に回動される。前記トーチ
前後角可変ラツク１７には、該ラツク１７に噛み
合う歯車を出力軸に取付けたトーチ前後角可変用
モータを内蔵するトーチホルダユニツト（トーチ
前後角可変ユニツト）２１が取付けられており、
前記トーチ前後角可変用モータの駆動による前記
歯車と前記トーチ前後角可変ラツク１７との噛み
合いにより、前記トーチホルダユニツト２１は前
記トーチ前後角可変ラツク１７に沿つて回動され
る。このトーチホルダユニツト２１に溶接トーチ
２２が支持される。

前記スライドテーブル１０の下側には溶接開先
部１に嵌まり込むテーパー状のローラ２３を有す
位置決めセンサ２４が設けられ、前記ローラ２３
が溶接開先部１に倣つて溶接トーチ２２と溶接開
先部１とのずれを検出するようになつている。溶
接開先部１と溶接トーチ２２との間にずれがある
場合には、検出信号を基に前記左右方向スライド
モータが駆動され、スライドテーブル１０が左右
方向に移動され、ずれは是正される。前記スライ
ドテーブル１０の下側において、前記ガイド取付
部材１４には前記溶接トーチ２２を間にして高さ
スライドガイド２５が支持部材２６を介して設け
られている。このトーチ高さ支持ローラ２５は前
記圧縮ばね１３のばね力により常に被溶接部材２
の表面に押し付けられるので溶接トーチ２２と被
溶接部材２との間隔は一定に保たれる。前記トー
チ高さ支持ローラ２５の外側において前記支持部
材２６には被溶接部材２の表面に接触するローラ
２７を具えた左右傾斜相対角検出器２８が設けら
れ、被溶接部材２の左右方向の傾斜角を検出し、
その検出信号を基に前記トーチ左右角可変ユニツ
ト１８に前記トーチ左右角可変用モータの駆動信
号が送られるようになつている。又前記スライド
テーブル１０の下側前部及び後部には被溶接部材
２の表面に接触するローラ２９を具えた前後傾斜
相対角検出器３０が設けられ、被溶接部材２の前
後方向の傾斜角を検出し、その検出信号を基に前
記トーチホルダユニツト２１に前記トーチ前後角
可変用モータの駆動信号を送るようになつてい
る。

尚、図面中、３１は各ユニツトを制御するため
のコントロールパネルであり、３２は前記溶接ト
ーチ２２に供給するワイヤリール、３３は溶接時
フラツクスノズルを通して溶接部に供給するフラ
ツクスを溜めたホツパ、３４は溶接部に供給され
たフラツクスを吸引するためのフラツクス吸引ノ
ズル、３５はフラツクス吸引装置である。

次にこの溶接機により傾斜面や湾曲面などを有
する被溶接部材２を溶接する場合の溶接トーチ２
２の動きについて説明する。

溶接時トーチ位置決めセンサ２４により溶接ト
ーチ２２と溶接開先部１とのずれは常に検出さ
れ、このずれをなくすべく左右方向スライドモー
タ１１の駆動によりスライドテーブル１０は左右
方向に移動される。従つて、溶接トーチ２２の左
右方向位置は常に溶接開先部１の位置に合わせら
れる。被溶接部材２の左右方向傾斜角度が変わる
と、左右傾斜相対角検出器２８がこの傾斜角度を
検出し、その検出信号を基に傾斜角度に合わせて
溶接トーチ２２の左右方向角度を変えるべくトー
チ左右角可変ユニツト１８のトーチ左右角可変用
モータが駆動され、トーチ前後角可変ラツク１７
が回避されて溶接トーチ２２の傾斜角は適正に変
えられる。被溶接部材２の前後方向角度が変わる
と、前後傾斜相対角検出器３０がその傾斜角を検
出し、その検出信号を基にトーチホルダユニツト
２１にはトーチ前後角可変用モータ駆動のための
指令が送られ、トーチ前後角可変用モータの駆動
により前記トーチホルダユニツト２１は前後方向
に回動され、溶接トーチ２２の前後方向角度は適
正に変えられる。溶接時以上のような動きは同時
に行なわれることが多い。又連続自動溶接時にお
いて溶接トーチ２２の向きを逆につまり傾斜角を
変えずに逆方向に溶接できるようにするには、ト
ーチホルダユニツト２１のトーチ前後角可変用モ
ータを駆動させて、溶接トーチ２２を反対側に持
つて来れば良い。

以上実施例を挙げて説明したように、本発明の
サブマージアーク溶接機によれば、溶接中におい
ても被溶接部の向きや状態に合わせて溶接トーチ
を前後方向及び左右方向に回動することができる
ので、湾曲を有する部材の溶接が可能となり、又
溶接トーチの向き変えも極めて容易に行なえるよ
うになる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるサブマージアーク溶接機
の一実施例の側面図、第２図はその平面図、第３
図は実施例の主要部の側断面図、第４図は実施例
の主要部の正面断面図である。 図面中、１は溶接開先部、２は被溶接部材、３
は走行用ガイドレール、４は溶接台車、１０はス
ライドテーブル、１５はトーチ左右角可変ラツ
ク、１７はトーチ前後角可変ラツク、１８はトー
チ左右角可変ユニツト、２１はトーチホルダユニ
ツト、２２は溶接トーチである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 被溶接部材の溶接開先部にほぼ平行に設けら
   れたレールに案内されて移動される走行台車に溶
   接進行方向に直角な方向に移動可能にスライドテ
   ーブルを支持し、該スライドテーブルの溶接進行
   方向前部及び後部に溶接進行方向に交差させて円
   弧状のトーチ左右角可変ガイド部材を設け、これ
   ら前後二つのトーチ左右角可変ガイド部材間に円
   弧状のトーチ前後角可変ガイド部材を渡すと共に
   該トーチ前後角可変ガイド部材を前記トーチ左右
   角可変ガイド部材に沿つて回動可能とし、更に溶
   接トーチを保持するトーチホルダを前記トーチ前
   後角可変ガイド部材に取付けると共に当該トーチ
   ホルダを前記トーチ前後角可変ガイド部材に沿つ
   て回動可能としたことを特徴とするサブマージア
   ーク溶接機。