JPS6148617B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は自動車用内燃機関の冷却システムに関
するものである。

一般に自動車用内燃機関の冷却方式としては例
えば水冷方式が通常用いられている。

この水冷方式は、水ポンプにより冷却水が強制
的に循環され、エンジン各部の構造材料の温度を
下げることによつて強度を保ち且つ各摺動部を潤
滑可能な温度に保つようになつており、又サーモ
スタツトバルブ等により暖機時及び過冷却時の循
環水量の減少コントロールが行われ、過冷却によ
る熱効率の低下を防止している。

ところが上記のように一般に用いられている水
冷方式のものは、冷却性能はラジエータの放熱量
と冷却水の循環量即ち水ポンプの回転速度が律速
となつているので、エンジン負荷の大小に対する
冷却機能のコントロールが出来ず、全負荷時の冷
却に必要な冷却水が常に流れるために部分負荷時
特にシリンダ壁部が過冷気味になると言う問題を
有しており、又実際のエンジンではシリンダヘツ
ド部における水流れのよどみがあり、各部の温度
が不均一となつて特にバルブシート、バルブガイ
ド部等の熱変形、摩耗、焼付き等を起しやすくな
る等の問題が生じている。

本発明は上記のような従来の冷却方式の問題点
に対処する為になされたものであり、発熱源であ
る燃焼室、シリンダ外壁まわりに冷却媒体を保持
補給する多孔質の毛細管構造体を取付け、該冷却
媒体の蒸発潜熱によつて内燃機関の冷却を行うよ
うにすると共に、上記毛細管構造体を装着した燃
焼室、シリンダ等の外壁のうち特に冷却を必要と
する部分にフイン又は溝等を形成して表面積を変
化させ、各部壁温の冷却効果を的確に行い得るよ
うにした冷却システムを提供するものである。

以下本発明を附図実施例につき説明する。

第１図及び第２図は本発明の一実施例を示すも
ので、１はシリンダブロツク、２はシリンダヘツ
ド、３は該シリンダブロツク１のシリンダボア外
壁及びシリンダヘツド２の燃焼室外壁を囲むよう
に設けられた多孔質の毛細管構造体を示し、該毛
細管構造体３は例えば発泡金属、発泡セラミツク
或は金属繊維等により構成される。

４はラジエータ、５は電動フアンであり、該ラ
ジエータ４は前記シリンダブロツク１の毛細管構
造体３設置部１ａ及びシリンダヘツド２の密閉さ
れた蒸発室２ａに通路１０，１１によりそれぞれ
連通され、冷却媒体９はポンプ８により通路１０
よりシリンダブロツク１の毛細管構造体３設置部
１ａに送られるようになつている。

１２及び１２′は前記毛細管構造体を装着した
シリンダ外壁及び燃焼室外壁に形成されたフイン
で、シリンダ外壁に設けたフイン１２は潤滑が必
要なピストンの上、下死点間に相当する部分にの
み設けられ、又燃焼室外壁のフイン１２′は例え
ば熱負荷の高い排気側及び点火栓取付部等に多く
設けて該部の冷却量を多くする等、発熱部分の場
所、状況に合せた冷却を行い得るよう選択的に設
けられる。

６は上記電動フアン５の制御回路であり、電動
フアン５は蒸発室２ａ内の蒸気の圧力を検知する
圧力センセ７の信号に基づく制御回路６の制御信
号によつて制御される。

上記の構成において、液状冷却媒体９は毛細管
構造体３により燃焼室及びシリンダの外壁全体に
送給保持され、該部の熱を奪つて蒸発し、蒸発室
２ａより通路１１を通つてラジエータ４に至り、
電動フアン５により冷却されて液化し、ポンプ８
にて通路１０を通つて毛細管構造体３の設置部１
ａに送られて再び冷却を行う。

この場合シリンダ外壁及び燃焼室外壁の所要個
所に配設したフイン１２及び１２′により、潤滑
必要部或は熱負荷の高い部分等は冷却量を多く
し、又燃焼室のクエンチゾーンとなるべき部分の
壁面はフインを設けないでこの部分の冷却効果を
低下させる等、場所及び状況に応じた的確なる冷
却を行うことができる。フイン１２及び１２′は
その部分の放熱面積を増加させる為に形成された
ものであるから、フインに限らず例えば溝を形成
する等放熱面積を増加させるべき形状であれば同
等の効果をおさめ得る。

上記電動フアン５は制御回路６の信号によつて
コントロールされるが、その制御回路６は基本的
には第３図に示すように圧力センサ７による密閉
された冷却系の圧力変動を所定の信号に変換する
信号変換回路６１、該信号変換回路６１の信号に
基づいて電動フアン５のモータ５１の駆動を制御
する駆動回路６２の組合せよりなる。

その具体的一例は第４図に示す通りであり、圧
力センサ７の信号はアンプ６０を径て比較回路６
１ａと三角波発生回路６１ｂよりなる信号変換回
路（電圧−DUTY変換回路）６１によりパルスの
オン−オフ比率に変換され、スイツチングトラン
ジスタよりなる駆動回路６２により電動フアンモ
ータ５１の回転を冷却系の圧力に対して連続的に
制御する。

例えば、エンジンの負荷が高くなりシリンダ、
燃焼室等の発熱源の発熱量が多くなると、冷却媒
体９の蒸発量が増加し、密閉された蒸発室２ａの
圧力が高くなる。

すると圧力センサ７、制御回路６により電動フ
アン５が上記圧力に比例した冷却を行うので、エ
ンジンはその負荷に応じた応答性の良い冷却コン
トロールが行われる。

以上のように本発明によれば蒸発冷却方式の内
燃機関において、燃焼室及びシリンダの外壁部に
各部の必要冷却温度に応じてフイン又は溝等の放
熱面積を増加させるべき手段を選択的に形成した
ことにより、冷却場所における温度分布を的確に
コントロールすることができ、排気系のバルブシ
ート、バルブガイド部等の熱変形、摩耗、焼付等
を防止し且つシリンダのピストン摺動部における
潤滑性の向上をはかることができると共に、クエ
ンチゾーンの冷却量を少くしてHC排出量の著し
い低減をはかることができるもので、実用上多大
の効果をもたらし得るものである。

尚冷却媒体としては水或は水とアルコールの混
合液等適当な沸点を有する任意の液体を採用し得
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す要部縦断説明
図、第２図は第１図のＸ−Ｘ断面図、第３図は制
御回路の一例を示すブロツク回路図、第４図は第
３図のものの具体的回路例を示す図である。 １……シリンダブロツク、２……シリンダヘツ
ド、３……毛細管構造体、４……ラジエータ、５
……電動フアン、６……制御回路、７……圧力セ
ンサ、８……ポンプ、９……冷却媒体、１０，１
１……通路、１２，１２′……フイン。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 燃焼室及びシリンダの外壁まわりに冷却媒体
   を保持、補給する毛細管構造体を取付け、該毛細
   管構造体に保持、補給される冷却媒体が蒸発して
   燃焼室及びシリンダの外壁の冷却を行い、該蒸発
   した冷却媒体は密閉された蒸発室より電動フアン
   を備えたラジエータ部に導かれて冷却され液化し
   てまた毛細管構造体部に供給されるようになつて
   いる内燃機関において、上記毛細管構造体を装着
   する燃焼室及びシリンダの外壁の一部又は全部に
   フイン又は溝を形成して放熱面積を選択的に変化
   させたことを特徴とする自動車用内燃機関の冷却
   システム。 ２ フイン又は溝は、燃焼室外壁の排気系まわり
   及び点火栓まわりに、吸気側より多く設けたこと
   を特徴とする特許請求の範囲第１項記載の自動車
   用内燃機関の冷却システム。 ３ フイン又は溝は、シリンダ外壁のピストンの
   上、下死点間に相当する部分に設けられることを
   特徴とする特許請求の範囲第１項又は第２項記載
   の自動車用内燃機関の冷却システム。