JPS6146754B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、電気炉において鋼スクラツプから
鋼を製造するに際し、前記鋼スクラツプを電気炉
内で発生した排ガスにより、公害が発生すること
なく所定温度に予熱することができる電気炉排ガ
スによる鋼スクラツプの予熱方法に関するもので
ある。

電気炉において鋼スクラツプから鋼を製造する
に際し、電気炉での精錬時間を短縮し、精錬に要
する電力消費量を節減するため、前記電気炉内で
発生した排ガスの排出ダクトの途中に、分岐ダク
トを介してスクラツプ予熱室を設け、このスクラ
ツプ予熱室内に鋼スクラツプの装入された予熱用
容器を収納して、前記排ガスにより鋼スクラツプ
を予熱し、この予熱された鋼スクラツプを電気炉
内に装入して精錬する方法が知られている。

この場合に問題となるのは、鋼スクラツプには
一般に、油、ゴム、ビニール、プラスチツク等の
可燃物質が混入しているため、前記スクラツプ予
熱室内において鋼スクラツプを予熱するときに、
鋼スクラツプ中の前記可燃物質が高温の排ガスに
よつて不完全燃焼し、悪臭を伴なう白煙状の不完
全焼燃ガスが発生することである。

この不完全燃焼ガスは、炭化水素、一酸化炭素
等を含み、集塵機によつても捕捉できず、そのま
ま大気中に放散されるため、公害源となり、環境
衛生を害するものとして問題にされていた。

上述した問題を解決する手段として、本出願人
は、先に電気炉からの排ガス排出ダクトの途中に
設けられた、排ガス中の一酸化炭素のような可燃
物を燃焼させるための排ガス燃焼室に、鋼スクラ
ツプを予熱後の排ガスを戻し、この排ガス燃焼室
内で不完全燃焼ガスを燃焼させ、無公害のガスと
して大気中に排出する方法を開発し、特許出願
（特願昭55−76315号）を行なつた。

第１図は上記方法の一実施例を示す概要図であ
る。電気炉１内で精錬中に発生した排ガスは、電
気炉１の炉蓋に設けられた排気ダクト５から排出
され、前記排気ダクト５の端部に設けられた、そ
の開度が調節自在の間隙３から吸引される適量の
空気と共に、排出ダクト２Ａを経て、排ガス燃焼
室４に導かれ、排ガス燃焼室４で排ガス中に含有
されている一酸化炭素を燃焼させて、燃焼排ガス
を生成する。

この燃焼排ガスは、排出ダクト２Ｂの途中に設
けられたフアン８により、冷却室６、集塵機７を
経て煙突９から大気中に排出されるが、その一部
は、排出ダクト２Ｂから分岐し、排ガス燃焼室４
に至る分岐ダクト１０に、フイン１２によつて導
かれる。

分岐ダクト１０の途中には、スクラツプ予熱室
１１Ａ，１１Ｂが併列して設けられ、スクラツプ
予熱室１１Ａ，１１Ｂの入側には入口ダンパ１３
Ａ，１３Ｂが、そしてその出側には出口ダンパ１
４Ａ，１４Ｂが設けられている。

従つて、排出ダクト２Ｂから分岐ダクト１０に
流れる燃焼排ガスは、スクラツプ予熱室１１Ａま
たは１１Ｂに導かれ、スクラツプ予熱室１１Ａま
たは１１Ｂに収納された予熱用容器内の鋼スクラ
ツプを予熱する。鋼スクラツプを予熱した後の燃
焼排ガスは、分岐ダクト１０によつて排ガス燃焼
室４内に戻され、燃焼排ガス中に含まれている不
完全燃焼ガスを燃焼せしめて無公害ガスとなした
上、再び排出ダクト２Ｂへ排出し、冷却室６、集
塵機７を経て煙突９から大気中に放散する。

この方法によれば、鋼スクラツプ予熱後の燃焼
排ガスによる公害の発生は防止され、環境衛生を
害することなく鋼スクラツプの予熱を行なうこと
ができる。

しかるに、工場のレイアウト等によつて、電気
炉１と排ガス燃焼室４とが離れ、その間の排出ダ
クト２Ａが比較的長い場合は、スクラツプ予熱後
の燃焼排ガスに対し上述した処理を施すにもかか
わらず、大気中に白煙状の不完全燃焼ガスの排出
される場合が屡々生じた。

本発明者等は、上述した問題を解決し、電気炉
１から排ガス燃焼室４に至る排出ダクト２Ａの長
さの長短にかかわらず、大気中に白煙状の不完全
燃焼ガスが排出されることのない完壁な無公害操
業をなし得る方法を開発すべく、排ガス燃焼室４
内における、スクラツプ予熱後の燃焼排ガス中に
含まれる不完全燃焼ガスの燃焼状態について調査
した結果、次のことがわかつた。

排ガス燃焼室４内において、鋼スクラツプを予
熱後の燃焼排ガス中に含まれる不完全燃焼ガスを
完全に燃焼させるためには、排ガス燃焼室４内に
おいて、電気炉１から排出された排出ガス中に含
有されている一酸化炭素の燃焼が活溌に行なわ
れ、その火炎が排ガス燃焼室４内に常に噴出され
ていることが必要である。

従来、排ガス中の一酸化炭素を燃焼させるため
の空気は、第２図に部分概要図で示す如く、電気
炉１の炉蓋１ａに設けられた排気ダクト５と、排
ガスを排ガス燃焼室４に導く排出ダクト２Ａとが
接する部分との間に、傾動等を行なう電気炉１の
機能上から必要とする電気炉１に近接した位置の
間隙３を利用して、排出ダクト２Ａ内に導いてい
た。

しかるに、第２図に図示の如く、電気炉１と排
ガス燃焼室４とが離れ、排出ダクト２Ａが長い場
合は、一酸化炭素を燃焼させるための空気の導入
が電気炉１に近接した間隙３により行なわれるた
め、電気炉操業の時間帯によつては、排出ダクト
２Ａ内で一酸化炭素が燃焼し、その火炎１７が排
ガス燃焼室４内には噴出されていない。その結
果、排ガス燃焼室４内に戻された鋼スクラツプ予
熱後の燃焼排ガスは、その中に含まれる不完全燃
焼ガスを十分に燃焼させることができない。

この発明は、上記知見に基づいてなされたもの
であつて、排ガス中の一酸化炭素のような可燃物
を燃焼させるための空気を、排ガス燃焼室の排ガ
ス吹込口近傍において排ガス中に導くことによ
り、前記排ガス燃焼室内に一酸化炭素のような可
燃物の燃焼による火炎を噴出せしめ、この火炎に
より、前記排ガス燃焼室に戻された鋼スクラツプ
を完全に燃焼させることに特徴を有するものであ
る。

次に、この発明を実施例により図面と共に説明
する。

この発明においても、第１図に示す如く、電気
炉１内で発生した排ガスは、排ガス燃焼室４によ
つて一酸化炭素を燃焼させ、その燃焼排ガスの一
部が分岐ダクト１０を経てフアン１２によりスク
ラツプ予熱室１１Ａまたは１１Ｂに導かれ、スク
ラツプ予熱室１１Ａまたは１１Ｂに収納された予
熱用容器内の鋼スクラツプを予熱した後、分岐ダ
クト１０によつて排ガス燃焼室４内に戻され、鋼
スクラツプ予熱後の燃焼排ガス中に含まれる不完
全燃焼ガスを燃焼せしめた上、排出ダクト２によ
り、冷却室６、集塵機７を経て煙突９から大気中
に放散されることは、従来方法と同じである。

この発明においては、第３図に部分概要図で示
す如く、従来排ガス中への空気の導入を行なつて
いた、電気炉１の炉蓋１ａに設けられた排気ダク
ト５と、排出ダクト２Ａとが接する部分に設けら
れている間隙３を、前記排気ダクト５の端部外周
と排出ダクト２Ａの端部外周とにわたる、例えば
伸縮自在な蛇腹１５等によつて覆い、可能なかぎ
り前記間隙３からの空気の侵入を防ぐ一方、排ガ
ス燃焼室４の排ガス吹込口４ａの近傍、例えば排
出ダクト２Ａの排ガス燃焼室４に近傍した位置
に、その開度が調節自在の間隙１６を設け、この
間隙１６から、排ガス中の一酸化炭素を燃焼させ
るための空気を導き入れるようにした。

その結果電気炉１から発生した排ガス中の一酸
化炭素の燃焼は、排ガス燃焼室４内において活溌
に行なわれ、排ガス燃焼室４内に火炎が噴出して
いる状態となる。

従つて、排ガス燃焼室４内に戻された、鋼スク
ラツプを予熱後の燃焼排ガスは、その中に含まれ
ている不完全燃焼ガスを、上記により排ガス燃焼
室４内に噴出している火炎１７によつて燃焼させ
ることができ、白煙や悪臭の伴なわない無公害ガ
スとなる。

上述した実施例では、排ガス中の一酸化炭素を
燃焼させるための空気の導入は、排出ダクト２Ａ
の排ガス燃焼室４に近接した位置に設けられた間
隙１６によつて行なわれているが、排出ダクト２
Ａにこのような間隙を設けず、排ガス燃焼室４の
排ガス吹込口４ａ付近の側壁に、開度が調節自在
の開口を設け、この開口から排出ガス燃焼室４内
に直接空気を導入するようにしてもよい。

以上述べたように、この発明によれば、電気炉
で製錬中に発生した排ガスを使用して鋼スクラツ
プを予熱するに際し、電気炉から排ガス燃焼室に
至る排出ダクトの長さの長短にかかわらず、鋼ス
クラツプ中に混入した油、ゴム、ビニール、プラ
スチツク等の可燃物質が、前記排ガスの熱によつ
て不完全燃焼を起す結果生ずる、悪臭を伴なう白
煙状の不完全燃焼ガスの排出は完全に防止され、
完壁な無公害操業を行なうことができる等、工業
上優れた効果がもたらされる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の鋼スクラツプ予熱方法の一例を
示す概要図、第２図は同じく部分概要図、第３図
はこの発明方法の一例を示す部分概要図である。
図面において、 １……電気炉、２Ａ，２Ｂ……排出ダクト、３
……間隙、４……排ガス燃焼室、５……排気ダク
ト、６……冷却室、７……集塵機、８……フア
ン、９……煙突、１０……分岐ダクト、１１Ａ，
１１Ｂ……スクラツプ予熱室、１２……フアン、
１３Ａ，１３Ｂ……入口ダンパ、１４Ａ，１４Ｂ
……出口ダンパ、１５……蛇腹、１６……間隙、
１７……火炎。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 電気炉において鋼スクラツプから鋼を製造す
   るに際し、前記電気炉内で発生した排ガスを、前
   記排ガスの排出ダクトの途中に設けられた排ガス
   燃焼室に導いて、前記排ガス中に含まれている可
   燃物を燃焼させて、燃焼排ガスとなし、前記燃焼
   排ガスを、前記排出ダクトから分岐した分岐ダク
   トの途中に設けられたスクラツプ予熱室に導い
   て、前記スクラツプ予熱室内に装入された鋼スク
   ラツプを予熱し、 ついで、前記鋼スクラツプを予熱した後の前記
   燃焼排ガスを、前記排ガス燃焼室に戻して、前記
   燃焼排ガス中に含まれている不完全燃焼ガスを燃
   焼させた後、大気中に放散する電気炉排ガスによ
   る鋼スクラツプの予熱方法において、 前記排ガス中の可燃物を燃焼させるための空気
   を、前記排ガス燃焼室の排ガス吹込口近傍におい
   て排ガス中に導くことにより、前記排ガス燃焼室
   内に可燃物の燃焼による火炎を噴出せしめ、この
   火炎により、前記排ガス燃焼室に戻された鋼スク
   ラツプ予熱後の燃焼排ガス中の不完全燃焼ガスを
   完全に燃焼させることを特徴とする電気炉排ガス
   による鋼スクラツプの予熱方法。