JPS6143940Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、内燃機関の過給に、過給機を機関に
より駆動する機械的過給と、吸気系中に設けたサ
ージタンクから機関燃焼室までの吸気通路の長さ
を特定の回転域において吸入空気量が最大となる
ように設定した慣性過給とを組み合せた過給装置
に関するものである。

本考案者達は、ルーツ又は可動翼等の容積型過
給機を、機関の高回転域においても使用すること
による不都合、つまり過給機の耐久性の低下及び
大型化更には駆動動力損失の増大を回避するため
に、機械的過給と慣性過給とを組み合め、機械的
過給は機関の略中速回転域までとしと（なお、過
給機の容量及びエンジンの特性に応じて、この回
転域は要求される所定の回転域に設定しても良
い）、それ以上の回転域では慣性過給によること
を、特願昭56−69221号等の特許出願によつて提
案した。

しかし、このように機械的過給と慣性過給とを
併用するにおいて、機関への吸気系に過給機を接
続したときには、その接続によつて吸気系には接
続部が多くなるばかりか、過給機にはその駆動軸
に対する軸封部を備えているので、それだけ各接
続部及び軸封部からの漏洩が増加する。この場
合、吸気系内の空気が各接続部及び軸封部から大
気中に向つて噴出漏洩するときには、大気中の水
蒸気及び塵埃等が吸気系内に入つて来ることはな
いが、大気中の空気が吸気系内に向つて各接続部
及び軸封部から吸入漏洩するときには、大気中の
水蒸気及び塵埃等が大気空気と共に入つて来るの
で機関の性能にとつて大きな問題となり、過給機
における接続部及び軸封部のシール性を向上しな
ければならないのであつた。

本考案は、このように機械的過給と慣性過給と
を併用した過給装置において、機関への吸入空気
量を調節するスロツトル弁を、吸気系への過給機
の接続箇所より下流側に設けて、当該スロツトル
弁を閉じたきに発生する大きな負圧が、過給機に
対して作用しないようにすることにより、過給機
における各続部及び軸封部から吸気系内への大気
空気の吸込漏洩の問題を解消したものである。

以下実施例の図面について説明すると、図にお
いて１は多気筒内燃機関、２はルーツ、可動翼又
は往復式等の容積型過給機を示す、該過給機２
は、前記機関の略中速回転より以下の回転域にお
いてのみ所定の空気量を確保できるように比較的
小容量で、前記機関１のクランク軸３等からベル
ト４等の動力伝達機構を介して回転駆動され、そ
の動力伝達機構には、過給機２への動力伝達を
ON又はCFFする手段、例えば電磁クラツチ５が
設けられ、回転センサー６からの信号を入力とす
る制御回路７により、機関の回転数が略中速回転
より以下のときは、過給機２を回転駆動するが、
略中速回転以上になると過給機２の回転駆動を停
止するようになつている。（なお、過給機の容量
及びエンジンの特性に応じて、この回転域は要求
される所定の回転域に設定しても良い）。

８は慣性過給用のサージタンクで、該サージタ
ンク８は機関１の各気筒における吸気ポート９に
対して各々独立する吸気管１０を介して接続され
ており、各気筒における吸気ポート９が当該気筒
の燃焼室に開口する箇所から、前記サージタンク
８内への開口部までの吸気通路長さ（ｌ）は、前
記機関の略中速域以上の回転域において、吸入空
気量が最大となるような長さに設定されている
（なお、この回転域は、過給機の特性及びエンジ
ンの要求特性に応じて所定の回転域に設定しても
良い）。

１１はエアクリーナで、該エアクリーナ１１と
前記サージタンク８とをつなぐ吸気通路１２に
は、サージタンク８の方向にのみ開くようにした
逆止弁１３が設けられ、該逆止弁１３より上流側
における吸気通路１２に前記過給機２への吸入空
気量１４を、下流側における吸気通路１２に過給
機２からの吐出通路１５を各々接続する。

そして、前記吸気通路１２には、当該吸気通路
１２への過給機２の吐出通路１５の接続部より下
流側に、スロツトル弁１７付き気化器１６を設け
て成るものである。

この構成において、機関の回転数が略中速回転
に至らないときは、過給機２の駆動によりエアク
リーナ１１からの吸入空気は総て過給機２を経て
機関に供給されるので、この場合、吸気通路１２
中の逆止弁１３は閉じているので、過給機２で圧
縮された空気は大気中に放出されることはない機
関はいわゆる機械的過給で運転され、機関の回転
が略中速以上の回転域になると、機関への吸入空
気量に対して過給機２からの空気量が不足気味に
なり（このとき過給機２は、機関の中速回転以上
の回転域において駆動したまゝでもよいが、前記
実施例のように電磁クラツチ５のOFFで停止す
るようにすれば、過給機２の耐久性を向上できる
と共に、機関の動力損失を低減できる）、吸気通
路１２内の圧力が大気圧に近づいたのち大気圧以
下になつて逆止弁１３が開くから、エアクリーナ
１１からの吸入空気は、過給機２を経ずにサージ
タンク８に導入される。このときサージタンク８
から各気筒の燃焼室までの吸気通路の長さ（ｌ）
は機関の略中速以上の回転域において吸入空気量
が最大となるように設定されているから、機関の
略中速以上の回転域ではいわゆる慣性過給で運転
される。

そして、機関１への吸入空気量はスロツトル弁
１７の開閉によつて調整され、機関の減速及びア
イドリング乃至負荷時においてスロツトル弁１７
を閉じると、当該スロツトル弁１７より下流側に
は大きな負圧が発生することになる。この場合、
スロツトル弁１７付き気化器１６を、吸気通路１
２に対する過給機２の吸入通路１４の接続部より
上流側に備えているときには、スロツトル弁１７
を閉じたときの大きな負圧が過給機２に作用する
ことになり、過給機における軸封部及び吸気通路
の接続部からの大気空気の吸入漏洩によつて、吸
気混合気の空燃比がリーン化したり、大気空気と
共に水蒸気や塵埃が入つて過給機及び機関の耐久
性を低下したりする不都合が発生することになる
ので、過給機における軸封部及び吸気系への接続
部のシール性を向上しなければならないが、本考
案は、前記のようにスロツトル弁１７付き気化器
１６を、吸気通路１２への過給機２の吐出通路１
５の接続部より下流側に設けたので、スロツトル
弁１５を閉じてもその閉によつて発生する大きな
負圧は過給機２に作用せず、過給機における軸封
部及び吸気系への接続部からの大気空気の吸入漏
洩を生ずることがないのであり、また、機関が燃
料噴射式の場合には、二点鎖線で示すようにエア
クリーナ１１の真ぐ下流部にエアフローメータ１
８を設ける一方、吸気通路１２への過給機２の吐
出通路１５の接続部より下流側にスロツトル弁１
９を設け、エアフローメータ１８で計測した吸入
空気量に対応する燃料を、スロツトル弁１９より
下流側の箇所において噴射供給することにより同
様に適用できるのである。

以上の通り、本考案は機械的過給と慣性過給と
を併用した過給装置において、機関への吸入空気
量調節用のスロツトル弁を閉じたときに発生する
大きな負圧が、過給機に対して作用しないように
したもので、これにより、過給機における軸封部
及び吸気系への接続部のシール性を厳密に向上し
なくても、大気空気の吸込漏洩による空燃比の変
動、大気中の水蒸気及び塵埃の導入による耐久性
の低下を確実に防止することができる効果を有す
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例装置の図である。 １……機関、２……過給機、４……ベルト、８
……サージタンク、１１……エアクリーナ、１２
……吸気通路、１４……吸入通路、１５……吐出
通路、１６……スロツトル弁付き気化器。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エアクリーナから機関の気筒に至る吸気通路中
   に、サージタンクを設けて、該サージタンクから
   気筒までの吸気通路長さを、機関の所定回転以上
   の回転域において吸入空気量が最大となるように
   設定する一方、前記エアクリーナからサージタン
   クに至る吸気通路には、エアクリーナからサージ
   タンクへの方向にのみ開くようにした逆止弁を設
   けると共に、該逆止弁より下流側の部位に、機関
   によつて回転駆動される過給機からの吐出通路を
   接続し、更に、前記エアクリーナからサージタン
   クに至る吸気通路には、当該吸気通路に対する前
   記吐出通路の接続部よりも下流側の部位に、機関
   への吸入空気量を調節するためのスロツトル弁を
   設けたことを特徴とする内燃機関の過給装置。