JPS6143577B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、自動車用変速機の同期噛合装置に関
し、特にギヤシフト用のシフトフオークが係合し
て摺接するカツプリングスリーブのフオーク係合
溝に耐摩耗性プラスリツクリングを嵌着した構造
を有する変速機用同期噛合装置のカツプリングス
リーブに関する。

従来、この種の自動車用変速機の同期噛合装
置、例えばワーナ型同期噛合装置を例にとると、
シフトレバーの変速操作によりフオークロツドを
介してシフトフオークを軸方向に動かし、シフト
フオークはメーンシヤフトと共に回転している同
期噛合装置のカツプリングスリーブの外周面に形
成しているフオーク溝に係合していることから、
シフトフオークによりカツプリングスリーブが軸
方向に移動され、メーンシヤフトに回転自在に軸
挿している変速ギヤとの同期噛合を行ない、メー
ンシヤフトの回転力を変速ギヤに伝達させるよう
にしている。

ところで、シフトフオークはメーンシヤフトに
より回転しているカツプリングスリープのフオー
ク溝に係合していることから、ギヤシフト時の移
動でフオーク溝の側面にシフトフオークが押圧さ
れて摺接し、摩耗を起す。そこで、従来、シフト
フオーク側に焼入れ、クロームメツキもしくはナ
イロンコーテイング等を施すことにより摺接によ
る摩耗を防止している。

しかしながら、シフトフオーク側に焼入れ、ク
ロームメツキ等の耐摩耗処理を施すためには、専
用の処理設備を必要とし、製造工数も増加してコ
スト的に高価になり易いという問題があつた。

本発明は、このような従来の問題点に着目して
なされたもので、カツプリングスリーブに係合し
ているシフトフオークの摩耗防止を低コストで実
現するため、カツプリングスリーブの外周面に形
成したフオーク溝に、コ字形断面形状を有し、両
端の係合爪の係着によりリング体を形成する耐摩
耗性プラスチツク材料でなる一対の半円リング部
材を嵌着することにより上記問題点を解決するこ
とを目的とする。

以下、本発明を図面に基づいて説明する。

第１図は、本発明のカツプリングスリーブを用
いたワーナータイプの変速機に於ける同期噛合装
置の一実施例を示した断面図である。

まず、構成を説明すると、１はメーンシヤフト
でベアリング３，３′を介して外周に回転自在に
ギヤ４，５を軸挿し、ギヤ４，５の間となるメー
ンシヤフト１のスプライン軸部１ａにシンクロハ
ブ２をスプライン嵌合にて固定し、シンクロハブ
２は外周にも軸方向にスプラインをきつており、
この外周のスプラインにカツプリングスリーブ６
を軸方向に移動自在の嵌め合わせている。又、シ
ンクロハブ２には軸に平行な３つの切欠きを有
し、この切欠きに図示のようにインサート７を介
挿し、インサート７はスプレツドスプリング８に
より半径方向に押圧支持され、図示の状態でカツ
プリングスリーブ６の内側の溝に係着しており、
且つスプレツドスプリング８に抗して半径方向及
び軸方向に移動可能に挿着されている。

一方、ギヤ４，５のそれぞれには、クラツチギ
ヤ４ａ，５ａが一体に形成されており、クラツチ
ギヤ４ａ，５ａの端面にはコーン摺動面９，１０
を形成している。クラツチギヤ４ａ，５ａとシン
クロハブ２との間には、コーン摺動面９，１０に
相対する円錐摺動面１１，１２を備えたシンクロ
リング（ボークリング）１３，１３′が介在さ
れ、シンクロリング１３，１３′の外周にはギヤ
４，５側のクラツチギヤ４ａ，５ａと同一ピツチ
のクラツチギヤ１３ａ，１３′ａのそれぞれを一
体に形成している。

又、カツプリングスリーブ６の外周面には、コ
字形に開いたフオーク溝１４が全周に形成されて
おり、このフオーク溝１４にフオークロツド１５
に固定したシフトフオーク１６が嵌め込まれてい
る。シフトフオーク１６が嵌め入れられたフオー
ク溝１４の内面には、後の説明で明らかにする耐
摩耗性プラスチツク材料で作られた一対の半円リ
ング部材１８，１８′が嵌着され、シフトフオー
ク１６は半円リング部材１８を介してフオーク溝
１４に係合している。

第２図は、第１図のカツプリングスリーブ６の
フオーク溝１４に嵌着される一対の半円リング部
材１８，１８′を取り出して示した説明図であ
る。

すなわち、半円リング部材１８，１８′は第１
図におけるカツプリングスリーブ６の外周面に形
成したフオーク溝１４の溝径、溝幅及び溝の深さ
に対応した外径寸法を有する半円状のリング部材
であり、Ａ−Ａ断面を示した第３図から明らかな
ように、外側に開放したコ字形断面形状を有し、
半円リング部材１８，１８′の両端には相互に逆
向きのカギ型でなる係合爪１９，２０が形成さ
れ、半円リング部１８の係合爪１９，２０のそれ
ぞれを半円リング部材１８′に形成した逆向きの
係合爪２０，１９のそれぞれに係着させることに
より、リング体を形成する。この半円リング部材
１８，１８′のそれぞれは、耐摩耗性プラスチツ
ク材料、例えばナイロン６６等を用いたプラスチ
ツク射出成形により作り出され、半円リング部材
１８，１８′は全く同一形状であることから二つ
の半円リング部材１８，１８′を一組として使用
する。

第４図は、第２図に示す構造の一対の半円リン
グ部材１８，１８′を外周面に形成したフオーク
溝１４に嵌着した本発明のカツプリングスリーブ
６を示した説明図であり、第５図にＢ−Ｂ断面図
を又、第６図に軸に平行に切つたカツプリングス
リーブ６の部分断面図を示す。

この第４図に示すカツプリングスリーブ６に対
する半円リング部材１８，１８′の組付けは、カ
ツプリングスリーブ６の外周面に形成されたフオ
ーク溝１４に対し、第２図に示す一対の半円リン
グ部材１８，１８′を両端の係合爪１９，２０の
係着を行ないながら嵌め入れることにより嵌着さ
れ、接着材等の使用は不要である。

次に作用を説明する。

第１図に示したように同期噛合装置を構成する
カツプリングスリーブ６のフオーク溝１４には、
第２図に示した構造の一対の半円リング部材１８
が両端の係合爪１９，２０の係着により嵌着さ
れ、半円リング部材１８により囲まれれたフオー
ク溝１４の中にシヤフトフオーク１６が係合され
るようになる。このため、シフトレバーの動作に
応じたフオークロツド１５の軸方向の動きにより
シフトフオーク１６が右又は左側に移動してフオ
ーク溝１４の側面の押圧によりカツプリングスリ
ーブ６をギヤ４又は５側に押圧した時に、メーン
シヤフト１とともに回動しているカツプリングス
リーブ６のフオーク溝１４に対するシフトフオー
ク１６の摺接は耐摩耗性プラスチツクでなる半円
リング部材１８の内側面と摺接するようになり、
金属部材で作られたシフトフオーク１６と耐摩耗
性プラスツクでなる半円リング部材１８との摺接
であることからシフトフオーク１６はほとんど摩
耗せず、又、半円リング部材１８もナイロン６６
等の耐摩耗プラスチツク材料で作られていること
から、シフトフオーク１６の圧接に対する摩耗量
はごくわずかであり、更に金属とプラスチツクと
の摺接であることからシフト操作時における摺動
音も小さくすることができる。

尚、シフトフオーク１６によるカツプリングス
リーブ６の移動による同期噛合は、例えばカツプ
リングスリーブ６がギヤ４側に押圧されたとする
と、まず、カツプリングスリーブ６の内側に係着
しているインサート７が左側に動き、インサート
７の端面でシンクロリング１３を押し、シンクロ
リング１３の円錐摺動面１１がギヤ４側のコーン
摺動面９に接触する。この時、メーンシヤフト１
とギヤ４との間には回転差があるので、シンクロ
リング１３は、ギヤ４の回転にひきづられて回る
ことによりインサート７の横面に当接して止ま
り、この時シンクロリング１３のクラツチギヤ１
３ａとカツプリングスリーブ６のスプラインが互
いに相対し、更にインサート７が押されるとカツ
プリングスリーブ６の円錐摺動面１１とギヤ４側
のコーン摺動面９との摺接による摩擦トルクでギ
ヤ４とカツプリングスリーブ６が同期した回転を
行なう。このように摩擦トルクによりギヤ４とカ
ツプリングスリーブ６とが完全に同期すると、カ
ツプリングスリーブ６はインサート７をスプレツ
ドスプリング８に合して押し下げカツプリングス
リーブ６のスプラインがギヤ４のクラツチギヤ４
ａに完全に噛み合い、同期噛み合いを終了して、
メーンシヤフト１の回転力をギヤ４に伝達する。

一方、長期間の使用により第１図に示すカツプ
リングスリーブ６のフオーク溝１４に嵌着した半
円リング部材１８が摩耗した場合には、両端の係
合爪１９，２０により係着している半円リング部
材１８，１８′をフオーク溝１４から引きはずし
新たな半円リング部材１８，１８′を嵌め入れる
ことで簡単に半円リング部材１８，１８′の交換
ができる。この半円リング部材１８，１８′の交
換は、半円リング部材１８が２分割されてリング
体を形成するように構成されていることから、同
期噛合装置を分解することなく組付け状態に於い
て交換することが可能である。

勿論、上記の実施例に於いては、カツプリング
スリーブ６のフオーク溝１４に耐摩耗性プラスチ
ツクでなる半円リング部材１８，１８′を嵌着し
てシフトフオーク１６と摺接を行なわせるように
しているので、シフトフオーク１６側に焼き入
れ、クロームメツキ、もしくはプラスチツクコー
テイング等の耐摩耗処理を行なうことは不要であ
る。

又、上記の実施例は、ワーナータイプの同期噛
合装置を例にとるものであつたが、本発明はこれ
に限定されず、ピンタイプの同期噛合装置におけ
るスリーブについても同様に適用することができ
る。

以上説明してきたように、本発明によれば、そ
の構成をシフトレバーの操作に連動するシフトフ
オークの係合により、軸方向に移動されて変速ギ
ヤに対する同期噛合を行なう変速機用同期噛合装
置のカツプリングスリーブに於いて、カツプリン
グスリーブの外周面に形成したシフトフオークの
係合溝にコ字型断面形状を有し、両端の係合爪の
係着により、リング体を形成する耐摩耗性プラス
チツク材料でなる一対の半円リング部材を嵌着す
るようにしたため、シフトフオーク側に焼き入
れ、クロームメツキもしくはプラスチツクコーテ
イング等の耐摩耗処理を施す必要がなくなり、半
円リング部材は金型を用いたプラスチツク射出成
形により、簡単に作ることができるので、コスト
を大幅に低減することができ、又、カツプリング
スリーブ側のプラスチツク製フオーク溝に対し金
属性のシフトフオークを摺接させていることから
ギヤシフト時における摺動音を小さくすることが
でき、更に使用中に耐摩耗性プラスチツクでなる
半円リング部材が摩耗した場合には簡単に交換す
ることができるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のカツプリングスリーブを用い
たワーナ型同期噛合装置の一実施例を示した軸方
向の半断面図、第２図はカツプリングスリーブに
嵌着する一対の半円リング部材の一実施例を示し
た説明図、第３図は第２図のＡ−Ａ断面図、第４
図は半円リング部材を組付けた本発明のカツプリ
ングスリーブの説明図、第５図は第４図のＢ−Ｂ
半断面図、第６図はカツプリングスリーブを軸方
向に切つた部分断面図である。 １……メーンシヤフト、１ａ……スプライン軸
部、２……シンクロハブ、３，３′……ベアリン
グ、４，５……ギヤ、６……カツプリングスリー
ブ、７……インサート、８……スプレツドスプリ
ング、９，１０……コーン摺動面、１１，１２…
…円錐摺動面、１３，１３′……シンクロリング
（ボークリング）、４ａ，５ａ，１３ａ，１３′ａ
……クラツチギヤ、１４……フオーク溝、１５…
…フオークロツド、１６……シフトフオーク、１
８，１８′……半円リング部材、１９，２０……
係合爪。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ シフトレバーの操作に連動するシヤフトフオ
   ークの係合により軸方向に移動されて変速ギヤに
   対する同期噛合いを行なう変速機用同期噛合装置
   のカツプリングスリーブに於いて、 カツプリングスリーブの外周面に形成したシフ
   トフオークの係合溝に、コ字形断面形状を有し、
   両端の係合爪の係着によりリング体を形成する耐
   摩耗性プラスチツク材料でなる一対の半円リング
   部材を嵌着したことを特徴とする変速機用同期噛
   合装置のカツプリングスリーブ。