JPS6141146B2 - - Google Patents

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JPS6141146B2
JPS6141146B2 JP21938682A JP21938682A JPS6141146B2 JP S6141146 B2 JPS6141146 B2 JP S6141146B2 JP 21938682 A JP21938682 A JP 21938682A JP 21938682 A JP21938682 A JP 21938682A JP S6141146 B2 JPS6141146 B2 JP S6141146B2
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JP
Japan
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region
turn
emitter layer
mos
layer
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JP21938682A
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JPS58125871A (ja
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Arubaato Kiisu Tenpuru Bikutaa
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General Electric Co
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General Electric Co
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Publication date
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Publication of JPS58125871A publication Critical patent/JPS58125871A/ja
Publication of JPS6141146B2 publication Critical patent/JPS6141146B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は少なくとも1つの追加領域を含む四領
域半導体素子(すなわちpnpn素子またはnpnp素
子)に関するもので、更に詳しく言えば、制御ゲ
ートに対する電圧信号の印加によつてターンオフ
させ得る能力と持つた四領域素子に関する。
四領域素子それ自体は当業界において公知であ
つて、その中にはたとえばサイリスタまたは
SCRが含まれる。サイリスタをターンオフさせ
るための技術は数多く存在している。しかるに、
サイリスタをターンオフさせるための技術は少な
い。サイリスタをターンオフさせる技術の1つは
ゲートターンオフサイリスタ(GTO)として具
体化されている。GTOは、内部領域の1つ(た
とえばP形ベース領域)に接続された制御ゲート
を有する四領域素子である。P形ベース領域に制
御ゲートを接続している場合、十分な大きさの正
のバイアス電圧を制御ゲートに印加することによ
りGTOをターンオンさせることができる。ま
た、十分な大きさの負のバイアス電圧を制御ゲー
トに印加することによりGTOをターンオフさせ
ることができる。
当業者によつては公知の通り、GTOのターン
オフを達成するためには制御ゲートに十分な大き
さのターンオフ電流を供給しなければならない。
ターンオフ時におけるGTOの制御ゲートに対す
る所要のエネルギはそのとき必要とするターンオ
フ電流に比例するから、その所定のエネルギはか
なり大きなものとなる。
GTOのもう1つの欠点は、ターンオフ利得
(すなわちターンオフの際の制御ゲート電流と素
子電流との比)を最適化するために制御ゲートお
よび陰極を相互に組合わさるくし形構造としたよ
うな場合に見られる。その欠点とは、制御ゲート
の下方に位置する素子区域が素子電流の導通にほ
とんど寄与しないということである。その結果、
かかるGTOにおいては、素子電流を導通するた
めに利用できる半導体基板の割合があまり大きく
ないことになる。
GTOのもう1つの欠点は、制御ゲートに接続
されていない素子の内部領域における、2つの内
部領域間のpn接合面(junction)が逆バイアスさ
れた後のキヤリヤの再結合によりターンオフ速度
が制限されるということである。
そこで本発明の目的は、少なくとも1つの追加
領域を含みかつターンオフ能力を有する四領域半
導体素子を提供するもので、ターンオフ制御ゲー
トの所要エネルギを低減すると共に半導体基板の
内の素子電流の導通のために利用される部分の割
合を高くすることである。
また、少なくとも1つの追加領域を含みかつタ
ーンオフ能力を有する四領域半導体素子におい
て、ターンオフ時にいずれの内部領域に於てもキ
ヤリヤ再結合の全体的な遅れが生じないようにす
ることによつて高速のターンオフを達成すること
も本発明の目的の1つである。
本発明の上記目的を達成するため、半導体材料
製の基板(boby)、第1の電極、第2の電極、お
よび第1の絶縁層によつて基板から隔離された第
3の電極から成る半導体素子を設ける。上記の基
板は、次の記載の順序で互いに接合された第1、
第2、第3および第4の領域を含んでいる。第1
の領域は第2の領域によつて第3および第4の領
域から隔離されており、また第4の領域は第3の
領域によつて第1および第2の領域から隔離され
ている。第1および第3の領域は一導電形のもの
であり、また第2および第4の領域は反対導電形
のものである。上記の基板はまた、第4の領域に
隣接しかつ第4の領域によつて第1、第2および
第3の領域から隔離された前記一導電形の第5の
領域をも含んでいる。第1の電極は第1の領域に
対して電気的に接続されている。第2の電極は第
4および第5の領域に対して電気的に接続されて
いる。第3の電極は第4の領域の一区域の上方に
位置するが、第1の絶縁層によつてそれから隔離
されている。第3の電極、第1の絶縁層および第
4の領域は、所定の極性および大きさを持つた第
1のバイアス電圧を第3の電極に印加すると、第
4の領域内に位置しかつ第3の領域と第5の領域
とを結び付けるような第1の反転チヤネルが第3
の電極の直下に誘起されるように形成配置されて
いる。
かかる半導体素子は、便宜上、金属・酸化物・
半導体ターンオフサイリスタ(MOS TOT)と
呼ぶことが出来る。なお、「金属・酸化物・半導
体」中の「金属」という用語は当業界において公
知のごとく金属またはその他の高導電性物質(た
とえば高濃度に不純物を添加したポリシリコン)
を意味し、また「酸化物」という用語は半導体材
料の酸化物またはその他の絶縁層を意する。
新規なものと信じられる本発明の特徴は前記特
許請求の範囲中に詳細に記載されている。とは言
え、本発明の構成や実施方法および追加の目的や
利点は添付の図面を参照しながら以下の説明を読
むことによつて最も良く理解されよう。
第1図は本発明の一実施例を成すMOS TOT
10の一部を示すものである。図示された素子1
0の左側は1つのセルの半分から成つていて、該
セルの残りの半分は図示された半分と対称的であ
ることが好ましい。また、図示された素子10の
右側は別のセルの一部から成つていて、このセル
は前出のセルと実質的に同じ構成を有するのが有
利である。従つて、ここでは左側のセルのみにつ
いて詳細な説明を行う。
MOS TOT10は半導体基板11から成つて
いて、その中には第1の領域12、第2の領域1
3、第3の領域14および第4の領域15がこの
順序で互いに接合されている。第1の領域12は
第2の領域13によつて第3の領域14および第
4の領域15から隔離されており、また第4の領
域15は第3の領域14によつて第1の領域12
および第2の領域13から隔離されている。第1
の領域12と第2の領域13との間には第1の接
合面17が形成され、第2の領域13と第3の領
域14との間には第2の接合面18が形成され、
また第3の領域14と第4の領域15との間には
第3の接合面19が形成さている。第1の領域1
2および第3の領域14はいずれも一導電形(こ
の場合にはP形)のものであり、また第2の領域
13および第4の領域15はいずれも反対導電形
(この場合にはN形)のものである。図示された
特定のMOS TOTにおいては、領域12〜15
はそれぞれP+形エミツタ領域、N-形ベース領
域、P形ベース領域および(後述のごとくN1 +
部分とN2形部分とを有する)N+形エミツタ領域
を構成している。第1の領域12は約1018原子/
cm3を越える最大不純物濃度を有することが好まし
く、第2の領域13は約1016原子/cm3より低い最
大不純物濃度を有することが好ましく、第3の領
域14は約1017原子/cm3より低い最大不純物濃度
を有することが好ましく、また第4の領域15の
N1 +形部分は約1018原子/cm3を越える最大不純物
濃度を有することが好ましい。上記の不純物濃度
はMOS TOT10において良好なサイリスタ作
用が達成されるように選定されることが望まし
く、従つてかかる不純物濃度の特定の値は当業者
にとつて明らかであろう。
更に半導体基板11は、第4の領域15に隣接
しかつ第4の領域15によつて第1〜3の領域1
2〜14から隔離された第5の領域21を含んで
いる。第5の領域21は前記一導電形(この場合
にはP形)のものであり、また後述のごとく電極
25に対して良好な電気的接触を達成するために
約1018原子/cm3を越える不純物濃度を有すること
が好ましい。第4の領域15と第5の領域21と
の間には第4の接合面22が形成されている。第
3の接合面19および第4の接合面22は半導体
基板11の外面に達する終端部を有していて、図
示された実施例においてはかかる終端部が基板1
1の上面内に位置している。
第1の領域12には第1の電極24が電気的に
接続されており、そしてMOS TOT10におけ
る陽極として働く。また、第4の領域15および
第5の領域21の両方に第2の電極25が気的に
接続されており、そしてMOS TOT10におけ
る陰極として働く。更に、絶縁層30によつて基
板11から隔離された第3の電極27が設置され
ている。この第3の電極27のはMOS TOT1
0におけるターンオフ制御ゲートとして働く。第
3の電極27は、少なくとも第3の接合面19の
上記終端部に近接した部位(たとえば点線28に
対応する位置)から第4の接合面22の上記終端
部に近接した部位(たとえば点線29に対応する
位置)にまで広がる半導体基板11上の区域の上
方に位置している。第3の電極27は図示のごと
く第3の接合面19および第4の接合面22の露
出部分に重なつていることが好ましいが、僅かな
寸法不足は差支えない。本発明に従つて第3の電
極27、絶縁層30および第4の領域15を形成
配置する際に重要なことは、適当な極性および大
きさのバイアス電圧を第3の電極27に印加した
場合、第4の領域15内の点線によつて区画され
かつ第3の領域14と第5の領域21とを結び付
けるような反転をチヤネル31が第3の電極27
の直下に形成されて、第4の領域15の少数キヤ
リヤがチヤネル31中に吸引されるようにするこ
とである。第3の電極27が第3の接合面19お
よび第4の接合面22の露出部分に重なつていれ
ば、チヤネル31中への第4の領域15の少数キ
ヤリヤの吸引が促進され、そして「バイパス」キ
ヤリヤすなわち上記の少数キヤリヤと同じ電気的
符号を持つたキヤリヤに対する低抵抗の通路が確
実に形成される。かかるバイパスキヤリヤ(この
場合には正孔)に対するチヤネル31の電気抵抗
(以後は単に「抵抗」と呼ぶ)は上記バイアス電
圧の大きさに応じて変化するが、その変化の仕方
は当業者にとつて自明であろう。
上記のバイアス電圧を第3の電極27に印加す
ることによつて反転チヤネル31が形成されるよ
うな本発明の図示された実施例を達成するために
は、第3の領域14の内部からチヤネル31およ
び第5の領域21を通つて第2の電極25に至る
分布バイパスキヤリヤ電流路32に沿つて存在す
るバイパスキヤリヤに対する最大電気抵抗が、電
流路32中におけるバイパスキヤリヤの流れの結
果として起こる第3の接合面19の順方向バイア
スを、3の接合面19を形成する半導体材料のエ
ネルギ・バンドギヤツプ電圧(以後は単に「エネ
ルギ・バンドギヤツプ電圧」と呼ぶ)の約1/2以
下に制限するように選ばれた値を有すればよい。
このようにすれば、素子のターンオフに関する後
記の説明から一層明らかとなるようにMOS
TOT10をターンオフさせることが可能とな
る。
なお、素子のターンオフの際に存在する分布バ
イパスキヤリヤ電流路32は、オン状態時に素子
中に存在する正孔および電子電流路とは区別すべ
きである。かかるオン状態の電流路は、一般に、
各種の接合面17,18および19を第1図で見
て真上または真下の方向に横断するものである。
分布バイパスキヤリヤ電流路32の抵抗に関す
る適正値が容易に得られるようにするため、第1
図に示されるごとく、反転チヤネル31を包含し
かつチヤネル31の占める区域内において約1017
原子/cm3より低い最大不純物濃度を有するN2
部分を第4の領域15内に設けることが好まし
い。このようにすれば、上記のバイアス電圧を第
3の領域27に印加すると反転チヤネル31が容
易に生じる。第4の領域15中にかかるN2形部
分を形成するためには、先ず第1の拡散窓を通し
てN+形の第4の領域15全体を形成するための
不純物拡散を行い、次いで第1の拡散窓の内部に
位置する第2の拡散窓を通して第5の領域21用
の注意深く選ばれたP+形横方向不純物拡散を行
い、それによつて最初のN+形拡散領域より低い
不純物濃度を持つたN2形部分を形成すればよ
い。あるいはまた、N1 +形部分用の不純物拡散お
よびそれに重なり合うN2形部分用の不純物拡散
によつて第4の領域15を形成し、次いでN2
部分の形成に使用された拡散窓の内部に位置する
拡散窓を通して第4の領域15内にP+形の第5
の領域21を拡散させてもよい。
更にまた、分布バイパスキヤリヤ電流路32の
抵抗に関する適正値に容易に得られるようにする
ため、設計に際して下記の諸点を考慮すべきであ
る。第1図に見られるような第4の領域15の水
平方向寸法を縮小して電流路32の全長を減少さ
せることは、電流路32の抵抗を低下させる点で
望ましい。また、チヤネル31の長さ(すなわち
電流の流れる方向の寸法)を最小にしかつチヤネ
ル31の幅(すなわち電流の流れる方向に垂直な
方向の寸法)を最大にすることは、いずれも電流
路32の抵抗を低下させる点で望ましい。チヤネ
ル31の幅を最大にすることに関連して述べれ
ば、上方から見たMOS TOT10の第4の領域
15の形状(およびそれに応じてまるセル形状)
は細長い形ではなく正方形または円形であること
が好ましく、そのようにすれば各セルの面積当り
のチヤネル幅は最大となる。更にまた、第3の領
域14および第5の領域21の不純物濃度を高く
すれば電流路32の抵抗が低下するので望まし
い。とは言え、MOS TOT10の順方向電圧降
下が過大となることは望ましくないので、第3の
領域14の不純物濃度を高くし過ぎてはならな
い。
一般的に言つて、バイパスキヤリヤ電流路32
の抵抗が低くなるほど、ターンオフさせることの
できる素子電流は大きくなる。最悪事例分析の結
果によれば、MOS TOT10はエネルギ・バン
ドギヤツプ電圧の1/2を電流路32の抵抗で割つ
た商に等しい値の最大電流をターンオフさせるこ
とができた。かかる最悪事例分析は次のような3
つの仮定に基づいている。(1)MOS TOT10中
の第2の接合面18を第1図で見て上向きに通過
する正孔電流の全てが電流路32を流れるものと
する。(2)第2の接合面18を通過する全素子電流
が正孔電流のみから成るものとする。(3)素子のタ
ーンオフが起こるのに先立ち、第3の接合面19
の両側間の最大電圧をエネルギ・バンドギヤツプ
電圧の1/2まで低下させなければならないものと
する。ところが、第1図のMOS TOT10の一
具体例の一次元モデルに関する計算例によれば、
MOS TOT10は上記の最悪事例の場合よりも
かなり大きい電流をターンオフさせ得ることが示
される。
かかる計算例によつて得られたデータは、各種
の素子パラメータをバイパスキヤリヤ電流路32
の抵抗に対してプロツトした第2図の複合グラフ
中に示されている(こゝで、条件として図示の全
ての曲線に於て、陽極・陰極間電圧は1ボルトで
ある。)。上記の抵抗が約10ミリオームにまで低下
すると、MOS TOT10はターンオフし、そし
て全ての曲線はゼロに落ちる。第2図からわかる
通り、電流路32を通る正孔電流(「反転チヤネ
ルを通る正孔電流」)は第2の接合面18におけ
る正孔電流の一部に過ぎない。また、電流路32
を通る正孔電流は全素子電流の約40%に過ぎない
こともわかる。更にまた、MOS TOT10のタ
ーンオフが起こるためには、第3の接合面19の
両側間の最大電圧がエネルギ・バンドギヤツプ電
圧の1/2(シリコンに関しては約0.6ボルト)と比
べて約0.814ボルトまで低下すればよいこともわ
かる。
このような計算例は、前述の最悪事例に比べ、
設計上の仮定を一層良く代表するものであると信
じられる。従つて、第1図の典型的なMOS
TOT10は最悪事例分析が示唆する値よりもか
なり大きい電流をターンオフさせ得ると言える。
MOS TOT10の動作は、第1図のMOS
TOT10中の1つのセルを表わす電気回路図で
ある第3図を見れば理解することができる。なお
第3図においては、電極24,25および27は
第1図中の同じ番号の電極に対応している。第1
図中の第1の領域12、第2の領域13および第
3の領域14は第3図中ではバイボーラトランジ
スタ35によつて表わされている一方、第2の領
域13、第3の領域14および第4の領域15は
バイポーラトランジスタ36によつて表わされて
いる。これらのトランジスタ35および36同士
は背中合せに結合されている。第1図中の反転チ
ヤネル31は、その一端に位置するP+形の第5
の領域21および他端に位置するP形ベースの第
3の領域14と共に、第3図では金属酸化物半導
体電界効果トランジスタ(MOS FET)37とし
て表わされている。MOS TOT10がオン状態
にある時、素子電流は陽極24から陰極25へ向
つて流れ、そしてトランジスタ35および36は
再生モードで動作する。すなわち、一方のトラン
ジスタのコレクタ電流が他方のトランジスタのベ
ースを駆動し、またその逆も成立ち、それによつ
てMOS TOT10がオン状態に保たれる。トラ
ンジスタ35のコレクタからトランジスタ35の
ベースへの正孔電流路は矢印39によつて示され
ている。上記のバイアス電圧(この場合には負)
をゲート電極27に印加すると、MOS FET37
が正孔電流路39から正孔電流を抜取る(または
奪い取る)。これにより分岐した電流は、矢印4
0によつて示される電流路(これは第1図中のバ
イパスキヤリヤ電流路32と同等のものである)
を通して陰極25に導かれる。ゲート電極27に
印加されるバイアス電圧が十分な強度に到達する
と、MOS FET37の抵抗は、トランジスタ36
のベース・エミツタ間電圧を、ベース・エミツタ
間接合面を構成する半導体材料のエネルギ・バン
ドギヤツプ電圧の約1/2より低くするような値に
まで充分低下する。その結果、トランジスタ36
のターンオフが起こり、続いてトランジスタ35
のターンオフが起こり、それによつて第3図の回
路で表わされる第1図のMOS TOT10のセル
がターンオフする。しかしながら、MOS TOT
10の全体をターンオフさせるためにはMOS
TOT10の全てセルがターンオフする必要があ
る。
MOS TOT10のターンオフを達成するため
には、第3の電極すなわちターンオフ制御ゲート
27に或るバイアス電圧を印加して、第3の電極
27と半導体基板11との間の容量(キヤパシタ
ンス)に比例する値まで充電する必要がある。タ
ーンオフ制御ゲート27に対する所要のエネルギ
はかかるバイアス電圧の2乗とかかる容量の値と
の積に比例し、しかもかかるバイアス電圧および
容量の値は小さい(たとえばそれぞれ10Vおよび
1000pF・cm2)から、ターンオフ制御ゲート27
の所要エネルギもまた小さいことは理解できるよ
う。
MOS TOT10がオン状態で動作している
時、隣り合つたN+形エミツタ領域15および3
4の垂直壁間の領域33はN+形エミツタ領域1
5および34からの電子注入の少ない領域であ
る。従つて、領域33内におけるMOS TOT1
0の陽極から陰極への電流は半導体基板11の図
示部分の残部に比べて小さい。しかしながら、領
域33は半導体基板11の残部より遥かに小さい
のが通例であり、しかも電子電流は陽極24へ向
つて下向きに流れるに従つて広がりを示すから、
MOS TOT10においては半導体基板11の大
きな割合の部分が電流導通のために利用されるこ
とになる。なお、領域33の有害な効果は陽極2
4および陰極25の間の寸法が大きくなるほど減
少する。
次に第4図を見ると、本発明の第2の実施例を
成すMOS TOT45の一部が示されている。図
示された素子45は、第1図の素子10と同様に
2つのセルの半分ずつから成つている。MOS
TOT45は第1の領域47、第2の領域48、
第3の領域49および第4の領域50を含んでい
て、これらの領域は第1図のMOS TOT10中
の第1の領域12、第2の領域13、第3の領域
14および第4の領域15とそれぞれ同じ不純物
濃度を有するのが適当である。素子45の陽極5
2および陰極53はMOS TOT10の陽極24
および陰極25に対応している。MOS TOT4
5の場合、キヤリヤ(この場合には電子)は分布
バイパスキヤリヤ電流路55を通つて陽極52へ
流れるが、かかる電流路55はMOS TOT10
中のバイパスキヤリヤ電流路32と相補的なもの
である。電流路55は第1の領域47内に位置す
る反転チヤネル57を含むが、かかる反転チヤネ
ル57はMOS TOT10中の反転チヤネル31
と相補的なものである。反転チヤネル57は、絶
縁層60によつて半導体基板59から隔離された
ターンオフ制御ゲート58にバイパス電圧(この
場合には正)を印加することによつて誘起され
る。バイパスキヤリヤ電流路55はまた第5の領
域61をも含むが、かかる第5の領域61は
MOS TOT10中の第5の領域21と相補的な
ものである。ゲート電極58および絶縁層60は
MOS TOT10のゲート電極27および絶縁層
30に対応している。更にまた、第1の領域47
はP1 +形部分およびP2形部分を有することが好ま
しい。上記MOS TOT10の第4の領域15中
におけるN1 +形部分およびN2形部分の好適な相対
的不純物濃度の対応して、P2形部分はP1 +形部分
より低い不純物濃度を有することが好ましい。従
つて、MOS TOT10に関する上記の説明およ
びMOS TOT10とMOS TOT45との相補関
係や対応関係に関する上記の注釈に基づけば、
MOS TOT45は当業者にとつて自ら理解され
よう。
第4図のMOS TOT45中の1つのセルを表
わす電気回路図である第5図を参照しながらそれ
ぞれの動作を考察すれば、MOS TOT45は一
層良く理解することができる。なお第5図におい
ては、電極52,53および58は第4図中の同
じ番号の電極に対応している。MOS TOT10
中の第1〜4の領域1〜15が第3図中のトラン
ジスタ35および36によつて表わされたのと同
様に、第1〜4の領域47〜50は第5図中では
背中合せに結合されたバイポーラトランジスタ6
2および64によつて表わされている。第4図中
の反転チヤネル57は、その一端に位置するN+
形の第5の領域61および他端に位置するN-
ベースの第2の領域48と共に、第5図では
MOS FET65として表わされている。MOS
TOT45がオン状態にある時、素子電流は陽極
52から陰極53へ向つて流れ、そしてトランジ
スタ62および64は再生モードで動作する。す
なわち、一方のトランジスタのコレクタ電流が他
方のトランジスタのベースを駆動し、またその逆
も成立ち、それによつてMOS TOT45がオン
状態に保たれる。トランジスタ64のコレクタか
らトランジスタ62のベースへの電子電流路は矢
印67によつて示されている。上記のバイアス電
圧(この場合には正)をゲート電極58に印加す
ると、MOS FET65が電流路67から電子電流
を抜取る(または奪い取る)。分岐した電子電流
は、矢印68によつて示される電流路を通して陽
極52に導かれる。ゲート電極58に印加される
バイアス電圧が十分な大きさに到達すると、
MOS FET65の抵抗は、トランジスタ62のベー
ス・エミツタ間電圧がそれのエネルギ・バンドギ
ヤツプ電圧の約1/2より低くなるような値にまで
低下する。その結果、トランジスタ62のターン
オフが起こり、続いてトランジスタ64のターン
オフが起こり、それらによつて第5図の回路で表
わされる第4図のMOS TOT45のセルがター
ンオフする。しかしながら、MOS TOT45全
体をターンオフさせるためにはMOS TOT45
中の全てのセルがターンオフする必要がある。
第1図に示された実施例の場合と同じく、第4
図の実施例においてもまた、ターンオフ制御ゲー
ト58の所要エネルギを小さくしかつ半導体基板
59の大きな割合の部分を電流導通のために利用
するという目的が達成される。
次に第6図を見ると、本発明の第3の実施例を
成すMOS TOT70の一部が示されている。図
示されたMOS TOT70は、第1図のMOS
TOT10と同様に2つのセルの半分ずつから成
つている。かかるMOS TOT70は、第1図の
MOS TOT10および第4図のMOS TOT45
の特徴をあわせ持つている。詳しく言えば、
MOS TOT70の第2の接合面71より上方の
部分はMOS TOT10の第2の接合面18より
上方の部分と実質的に同じものとするのが適当で
あり、またMOS TOT70の第2の接合面71よ
り下方の部分はMOS TOT45の第2の接合面
72より下方の部分と実質的に同じものをするの
が適当である。従つて以上の注釈に基づきながら
MOS TOT10および45に関する上記の説明
を考慮すれぱ、MOS TOT70は理解できるは
ずである。
MOS TOT70の図示された部分は2つのタ
ーンオフ制御ゲート(ゲートAおよびゲートB)
を有し、それによつて下記の説明から明らかとな
るように一層高速の素子ターンオフが可能とな
る。
第6図のMOS TOT70中の1つのセルを表
わす電気回路図である第7図を参照すれば、動作
の詳細を含めてMOS TOT70を一層良く理解
することができる。なお第7図においては、ゲー
トA、ゲートB、陽極および陰極は第6図中の同
じ名称の電極に対応している。MOS TOT10
中の第1〜4の領域12〜15が第3図中のトラ
ンジスタ35および36によつて表わされたのと
同様に、第6図のMOS TOT75の4つの領域
(すなわちP1 +形エミツタ、N-形ベース、P形ベ
ースおよびN1 +形は第7図中ではバイポーラトラ
ンジスタ72および74によつて表わされてい
る。上方のMOS FET75は第6図中の上部の反
転チヤネル77に関連するものであり、また下方
のMOS FET78は第6図中の下部の反転チヤネ
ル80に関するものである。MOS TOT10お
よび45に関する上記の説明からわかる通り、十
分な大きさを持つた負のバイアス電圧をゲートA
に印加すると、トランジスタ74のベース・エミ
ツタ間電圧をそれのエネルギ・バンドギヤツプ電
圧の約1/2より低い値に低下させるのに十分な正
孔電流81がP形ベースの正孔電流82から分岐
し、それによつてトランジスタ74のターンオフ
が起こる。その結果としてトランジスタ72のタ
ーンオフも起こるが、MOS TOT70のN-形ベ
ース領域内におけるキヤリヤの再結合が素子タン
オフの過程において第2の接合面71の逆方向バ
イアス後に起こるため、トランジスタ72のター
ンオフは遅れることになる。本発明のこの実施例
によれば、MOS TOT70のN-形ベース領域内
におけるキヤリヤの再結合に原因する遅れが大幅
に回避される。すなわち、十分な電子電流85
N-形ベースの電子電流84から抜取られ、そし
て分岐した電子電流85はMOS FET78を通つ
て陽極に導かれ、それによつてトランジスタ72
のターンオフが起こるのである。このような結果
を達成するためには、トランジスタ72のベー
ス・エミツタ間電圧をそれのエネルギ・バンドギ
ヤツプ電圧の約1/2より低い値に低下させるのに
十分な大きさを持つたバイアス電圧(この場合に
は正)をゲートBに印加することによつてMOS
FET78を駆動すればよい。従つてMOS TOT
70の2つの内部領域(すなわちP形ベース領域
およびN-形ベース領域)間のpn接合面(すなわ
ち第2の接合面71)が逆バイアスされた後の内
部領域(この場合にはN-形ベース領域)におけ
るキヤリヤの再結合の全体的な遅れを回避するこ
とによつて、高速のターンオフを実現するという
目的も達成されるものである。
第6図に例示された本発明の第3の実施例を具
体化するに当つては、MOS TOT70のセル密
度(すなわちセルの大きさあるいはたとえば一部
のセルを削除する場合にはセルの数)は第2の接
合面72の上下において同じである必要はない。
更にまた、最高速の素子ターンオフを達成するた
めには、ゲートA下方の全ての反転チヤネル(た
とえば反転チヤネル77)を通過する総正孔電流
量がゲートBに関連した全ての反転チヤネル(た
えば反転チヤネル80)通過する総電子電流量に
ほぼ等しくなるようにし、それによつて第7図中
にそれぞれトランジスタ72および74として示
されるMOS TOT70の下部および上部バイポ
ーラトランジスタ部分をほぼ同じ速度でターンオ
フさせればよい。このためには、MOS TOT7
0中の第2の接合面71の上下におけるセル密度
が相異なつていなければならないこともある。た
とえば、MOS TOT70の半導体基板87がシ
リコンから成る場合、第2の接合面71の上方に
おけるセル密度は下方におけるセル密度より高く
する必要がある。なぜなら、シリコンにおいては
正孔電流に対する抵抗の方が電子電流に対する抵
抗より大きいからである。そのため、正孔から成
るバイパス電流(図示せず)に関係した第2の接
合面71の上方におけるセル密度を相対的に高く
し、それによりかかるバイパスキヤリヤ電流の流
路(図示せず)を短かくして流路の抵抗を所望の
値に制限することが必要である。
MOS TOT70はまた、前述のMOS TOT1
0および45の目的、すなわちターンオフ制御ゲ
ート(ゲートAおよびゲートB)の所要エネルギ
を低減すると共に半導体基板87の大きな割合の
部分を電流導通のために利用するという目的をも
達成するものである。
次に第8図を見ると、第6図のMOS TOT7
0の変形例を成すMOS TOT90の一部が示さ
れている。MOS TOT70とMOS TOT90と
の相違点は、MOS TOT70においては第1の
領域91および第4の領域92が第6図では水平方
向位置に関して互いに整列しているのに対し、
MOS TOT90においては第1の領域94およ
び第4の領域95が第8図では水平方向位置に関
して互いに食違つていることである。第6図の
MOS TOT70は、電流通電容量が最大になる
という利点を有している。なぜなら、第1の領域
91および第4の領域92に隣接した(従つて下
部の反転チヤネル80および上部の反転チヤネル
80および上部の反転チヤル77に隣接した)キ
ヤリヤ注入の少ない区域97および98は水平方
向位置に関して互いに整列しており、それによつ
てMOS TOT70の電流通電容量を減少させる
ようなこれらの区域の影響が最小となるからであ
る。他方、第8図のMOS TOT90ではターン
オフ速度が最大になる。なぜなら、水平方向位置
に関して下部の反転チヤネル(たとえばチヤネル
101)と食違つている上部の反転チヤネル(た
とえばチヤネル100)には第1の領域94に由
来する大量の正孔電流が供給され、また下部の反
転チヤネルには第4の領域95に由来する大量の
電子電流が供給されるためである。上記の反転チ
ヤネル中を大量の正孔電流および電子電流がそれ
ぞれ流れる結果、第7図中のトランジスタ72お
よび74によつて示されるMOS TOT90の上
部および下部トランジスタ部分は特に高速でター
ンオフすることになる。とは言え、MOS TOT
70および90が厚くなるに従つて上記のような
両者間の差異は顕著でなくなる。
本発明書中に記載されたMOS TOTを製造す
るに当つては、第1〜第3の領域は通常のサイリ
スタ製造技術を用いて形成することが好ましい。
なぜなら、少なくとも第1〜4の領域が本明細書
中に記載された各種の不純物濃度を有する場合、
第1および第2の接合面はそれぞれのMOS
TOTの主たる電圧阻止接合面を構成し、しかも
サイリスタ技術によればこれらの接合面を電圧阻
止目的にとつて有効なものとすることができるか
らである。更にまた、MOS技術の場合とは異な
り、キヤリヤの寿命は、当業界において公知のご
とく、順方向電圧を低くするように特に第2の領
域内において長くなければならない。ターンオフ
制御ゲートおよびそれに付随する絶縁層並びに第
5の領域は、通常の電界効果トランジスタ
(FET)製造技術を用いて形成するのが適当であ
る。なお、第4の領域はサイリスタまたはFET
製造技術を用いて形成するのが適当である。
次の第9図を見ると、本発明の好適な具体例の
諸相が示されている。この図はMOS TOT11
0の一部を示すもので、それの半導体基板はシリ
コンウエーハから成り、また第1〜4の領域11
2〜115の各々はウエーハの主面と実質的に整
列した層かな成つている。MOS TOT110の
区域117は、第1図に示されたMOS TOT1
0の右側に相当している。MOS TOT110に
おけるセルの形状は正方形であり、かつ各々のセ
ルはそれによつてほぼ同量の素子電流がターンオ
フされるように形成配置されている。ターンオフ
ゲート電極118はP形またはN形のポリシリコ
ンから成つていて、かかるポリシリコンはそれの
導電率を増大させると共にゲート電極118の関
連する全てのセルをほぼ同時にターンオフさせ得
るようにするため極めて高い不純物濃度を有して
いる。ゲート電極118は実質的に長方形の横断
面を有し、かつ絶縁層120がそれの下面、上面
および側面を取巻くスリーブを形成している。絶
縁層120は、MOS TOT110の半導体基板
の酸化物、付着させた窒化物、またはそれらの組
合せから成つている。陰極121はMOS TOT
110の図示された部分の上面全域に付着してお
り、かつ絶縁層120によつてゲート電極118
から絶縁されている。
MOS TOT110の区域122には、陰極・
エミツタ短絡部が示されている。区域122にお
いては、陰極121が半導体基板の全面にわたつ
ている。この区域ではゲート電極118は半導体
基板との相互作用を示さないから、ゲート電極1
18は存在しない方が有利である。陰極121は
N+形エミツタ領域115およびP形ベース領域
114の一部に接続されて両者を電気的に短絡
し、それによつて半導体基板内の雑音や熱電流に
原因した不正ターンオンに対するMOS TOT1
10の感度を低下させる。区域122内のP+
領域は、区域117の第4の領域123内のP+
形領域と異なつて、いかなる電気的機能も果たさ
ないが、素子の製造を簡易化するため便宜的に配
置されてる。陰極・エミツタ短絡部は、本発明の
諸要素を組込んだMOS TOT110中のセル
(たとえば区域117内のセル)間にまばらなが
らも規則的に散在して設けることが好ましい。こ
のようにすれば、MOS TOT110をオフ状態
に保つためターンオフ制御ゲート118にバイア
ス電圧を印加し続ける必要がなくなる。上記のご
とき陰極・エミツタ短絡の使用に代えて、あるい
はそれに加えて、P+形エミツタ領域112とN-
形ベース領域113とを接続する陽極125によ
つて区域124内に形成された電気的短絡部のご
とき陽極・エミツタ短絡部を設けることもでき
る。かかる陽極・エミツタ短絡部もまた、本発明
の諸要素を組込んだMOS TOT110中のセル
(たとえば区域117内のセル)間にまばらなが
らも規則的に散在して設けることが好ましい。陽
極・エミツタ短絡部は、陰極・エミツタ短絡部と
同じく、半導体基板内の雑音や熱電流に原因した
不正ターンオンに対するMOS TOT110の感
度を低下させるのに役立つ。陽極・エミツタ短経
部はまた、MOS TOT110のスピードアツプ
にも役立つ。なお、陽極・エミツタ短絡部を持つ
たMOS TOT110は逆方向電圧を阻止できな
いために当業者では非対称素子として知られてい
る。陰極・エミツタ短絡部それ自体および陽極・
エミツタ短絡部それ自体は当業界において公知の
ものである。
本発明書中に記載された各種のMOS TOTを
ターンオンさせるためのゲート手段は特に図示さ
れていないが、これらのMOS TOTがいかなる
通常のゲート手段によつても適宜にターンオンさ
せ得ることは当業者にとつて自明であろう。たと
えば、第2または第3の領域に接続されたターン
オンゲート電極の使用により、本明細書中に記載
されたMOS TOTのいずれもターンオンさせる
ことができる。また、デイー・カーン(D.
Kahng)編「シリコン・インテグレーテツド・サ
ーキツツーパートB(Silicon lntegrated
Circuits―PartB)」(アカデミツク・プレス、
1981年)の265〜267頁に記載されているような
MOSターンオンゲートを用いてこれらのMOS
TOTをターンオンさせることもできる。MOS
TOTをターンオンさせるための別の適当な技術
としては光によるターンオンがある。本発明はま
た、半導体基板内の雑音または熱電流(あるいは
それらの組合せ)によるTOTのターンオンの実
用化をも可能にする。かかる雑音や熱電流は、た
とえば、エー・ブリチヤー(A.Blicher)著「サ
イリスタ・フイジツクス(Thyristor Physics)」
(シユプリングラー・フエアラーク、1976年)の
第6章に「無ゲート駆動時における望ましくない
サイリスタのトリガ」として既に記述されてい
る。このようなターンオンを実現するためには、
MOS TOTが上記のごとき陰極・エミツタ短絡
部や陽極を含まず、従つて雑音または熱電流(あ
るいはそれらの組合せ)によるターンオンに対し
てMOS TOTが高い感度を示すことが必要であ
る。そうすれば、MOS TOTは当業者にとつて
公知のごとく適当な環境内においてターンオンす
ることになる。この場合、MOS TOTのターン
オフは本発明書中に記載されたターンオフ制御ゲ
ートを用いて達成することができる。
本発明の更に別の実施例を成すMOS TOTと
して、上記素子のいずれかと構造的に類似したも
のがある。ただしこの場合には、それの分布バイ
パスキヤリヤ電流路のバイパスキヤリヤに対する
抵抗がゲートのバイアスのみによつて素子をター
ンオフさせるには高過ぎるように設計される。か
かる素子は通常のサイリスタと同様に転流によつ
てターンオフさせなければならない。すなわち、
素子をターンオフさせるためには陽極・陰極間電
圧の極性を逆転させなければならないのである。
とは言え、かかるMOS TOTは通常のサイリス
タよりも遥かに高速でターンオフすることができ
る。その上、分布バイパス電流路の抵抗を低下さ
せるために役立つ上記のごとき設計上の考慮事項
を緩和することもできる。たとえば、かかる素子
は前述のMOS TOTより大きいセル寸法を有し
ていてもよく、従つてより高い歩留りをもつて製
造することができる。
以上、例示の目的で本発明の若干の好適な実施
例を記載したが、それらの数多くの変更や修正を
加え得ることは当業者にとつて自明であろう。た
とえば、本明細書中に記載されたMOS TOTの
(N-形として示された)第2の領域について、第
1の領域に接触した部分が残部よりも実質的に高
い不純物濃度を有するように変更することができ
る。こうして得られたMOS TOTは、当業界に
おいて非対称素子として知られるものである。こ
の場合、第2の領域の残部の抵抗を適宜に増大さ
せるならば、素子を更に薄くしても同じ順方向電
圧を阻止することができる。かかる薄形の素子
は、第2の領域中に不純物濃度のより高い部分を
持たない素子に比べて著しく高速であると同時に
低い順方向電圧降下を示す。上記の非対称素子は
逆方向電圧を阻止することができないから、同様
に非対称素子をもたらす陽極・エミツタ短絡部を
も組込んだ方が好ましい。更にまた、本明細書中
に記載されたMOS TOTはプレーナ拡散技術に
より製造されたものとして示されているが、素子
の半導体基板中に溝を形成することを含むような
その他の技術も全く同様に使用することがきる。
かかる溝は、優先エツチング剤または等方性エツ
チング剤のいずれを使用するかに応じ、また
MOS TOTの半導体基板がいかなる結晶配向を
有するかに応じて様々な形状を有し得る。かかる
溝の形状の可能範囲は当業者にとつて自明であろ
う。たとえば、デイー・カーン編「シリコン・イ
ンテグレーテツド・サーキツツーパートB」(ア
カデミツク・プレス、1981年)の209〜210頁に詳
述されている通り、一般にはV字形の溝が使用さ
れる。本発明は記載されたMOS TOTに含まれ
る各種領域の特定の形状に依存しない。それ故、
その他の形状を持つたこれらの領域を使用するこ
ともできる。たとえば、平面状の共通表面内に全
てのpn接合が終端部を有するようなプレーナ形
のMOS TOTを製造することもできる。更にま
た、たとえば第1図について述べると、本発明は
第4の領域15が特定の形状を有することを要求
しない。それ故、第4の領域15はたとえば細長
い形や円形のものであつてもよい。同様に、たと
えば第4図について述べると、本発明は第1の領
域47が特定の形状を有することを要求しない。
それ故、第1の領域47はたとえば細長い形や円
形のものであつてもよい。更にまた、本発明は記
載のN形領域の代りにP形領域を使用しかつ記載
のP形領域の代りにN形領域を使用した相補的な
素子に対しても適用することができる。したがつ
て、前記特許請求の範囲は本発明の精神および範
囲から逸脱しないものであれば全ての変形実施例
を包括するものであることが理理解されるべきで
ある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を成すMOS TOT
の一部の概略断面図、第2図は第1図のMOS
TOTの各種パラメータをかかる素子のバイパス
電流路の抵抗に対してプロツトした関係図、第3
図は第1図に示されたMOS TOTの一部を表わ
す電気回路図、第4図は本発明の別の実施例を成
すMOS TOTの一部の概略断面図、第5図は第
4図に示されたMOS TOTの一部を表わす電気
回路図、第6図は本発明の更に別の実施例を成す
MOS TOTの一部の概略断面図、第7図は第6
図に示されたMOS TOTの一部を表わす電気回
路図、第8図は第6図に示された実施例の変形例
を成すMOS TOTの一部の概略断面図、そして
第9図は本発明の好適な具体例の諸相を示す概略
断面斜視図である。 図中、11は半導体基板、12は第1の領域、
13は第2の領域、14は第3の領域、15は第
4の領域、17は第1の接合面、18は第2の接
合面、19は第3の接合面、21は第5の領域、
22は第4の接合面、24は第1の電極、25は
第2の電極、27は第3の電極、30は絶縁層、
31は反転チヤネル、32はバイパスキヤリヤ電
流路、47は第1の領域、48は第2の領域、4
9は第3の領域、50は第4の領域、52は第1
の電極、53は第2の電極、55はバイパスキヤ
リヤ電流路、57は反転チヤネル、58は第3の
電極、59は半導体基板、60は絶縁層、61は
第5の領域、71は第2の接合面、77は第1の
反転チヤネル、80は第2の反転チヤネル、87
は半導体基板、91は第1の領域、92は第4の
領域、94は第1の領域、95は第4の領域、1
00は第1の反転チヤネル、そして101は第2
の反転チヤネルを表わす。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 (a)上側ベース層及び下側ベース層により互い
    に隔離された上側エミツタ層及び下側エミツタ
    層、並びに前記上側エミツタ層に隣接していて該
    上側エミツタ層により前記上側ベース層から隔離
    された、該上側ベース層と同じ一導電形の上側タ
    ーンオフ領域を含む半導体材料のウエーハであつ
    て、その中に実質的に同一の複数個のセルを持
    ち、1つのセルが前記上側エミツタ層及び前記上
    側ターンオフ領域を含み、残りのセルの各々が別
    の夫々の上側エミツタ層及び該夫々の上側エミツ
    タ層に隣接する別の夫々の上側ターンオフ領域を
    含んでいるウエーハと、(b)前記下側エミツタ層に
    電気的に接続された第1の電極と、(c)前記上側エ
    ミツタ層の各々と前記上側ターンオフ領域の各々
    とに電気的に接続された第2の電極と、(d)複数の
    ゲート部分から成る唯1つの上側ターンオフゲー
    ト電極であつて、各々のゲート部分が夫々の上側
    エミツタ層から絶縁されて隔たつていて、該上側
    エミツタ層に隣接する前記上側ターンオフ領域か
    ら前記上側層まで該上側エミツタ層をまたがつて
    伸びている唯1つの上側ターンオフゲート電極と
    を備え、(e)半導体材料の前記ウエーハが更に、前
    記下側エミツタ層に隣接していた該下側エミツタ
    層により前記下側ベース層から隔離された、該下
    側ベース層と同じ導電形の下側ターンオフ領域を
    含んでいて、前記ウエーハはその中に実質的に同
    一の複数個の第2のセルを持ち、1つの第2のセ
    ルは前記下側エミツタ層及び前記下側ターンオフ
    領域を含み、残りの第2のセルの各々は別の夫々
    の下側エミツタ層及び該夫々の下側エミツタ層に
    隣接する別の夫々の下側ターンオフ領域含んでお
    り、(f)前記第1の電極が更に前記下側ターンオフ
    領域の夫々に電気的に接続されており、更に(g)複
    数のゲート部分からなる唯1つの下側ターンオフ
    ゲート電極が設けられていて、該下側ターンオフ
    ゲート電極の各々の部分が夫々の下側エミツタ層
    から絶縁されて隔たつていると共に該下側エミツ
    タ層に隣接する下側ターンオフ領域から前記下側
    ベース層まで該下側エミツタ層をまたがつて伸び
    ていることを特徴とする一体の電界効果トランジ
    スタ・ターンオフ構造を備えた多セル形サイリス
    タ。 2 前記下側エミツタ層の第1の部分が約1018
    子/cm3を越える最大不純物濃度を有し、少なくと
    も前記下側ベース層の内の前記上側ベース層に隣
    接する部分が約1016原子/cm3より低い最大不純物
    濃度を有し、前記上側ベース層が約1012原子/cm3
    より低い最大不純物濃度を有し、前記上側エミツ
    タ層の第1の部分が約1018原子/cm3を越える最大
    不純物濃度を有する、特許請求の範囲第1項記載
    のサイリスタ。 3 前記上側及び下側ターンオフ領域の各々が約
    1018原子/cm3を越える不純物濃度を有する、特許
    請求の範囲第2項記載のサイリスタ。 4 前記下側エミツタ層が前記唯1つの下側ゲー
    ト電極の直ぐ下に絶縁されて隔たる第2の部分を
    含み、この第2の部分は約1017原子/cm3より低い
    不純物濃度を有し、前記上側エミツタ層が前記唯
    1つの上側ゲート電極の直ぐ下に絶縁されて隔た
    る第2の部分を含み、この第2の部分が約1017
    子/cm3より低い不純物濃度を有する、特許請求の
    範囲第1項記載のサイリスタ。 5 前記下側エミツタ層、前記下側ベース層、前
    記上側ベース層及び前記上側エミツタ層の各々が
    前記ウエーハの主面に実質的に平行な層からな
    る、特許請求の範囲第1項記載のサイリスタ。 6 前記半導体材料がシリコンである、特許請求
    の範囲第1項記載のサイリスタ。 7 前記上側ベース層がP形の半導体材料からな
    る、特許請求の範囲第1項記載のサイリスタ。 8 前記第1及び第2の電極がそれぞれ前記上側
    及び下側ベース領域に対して電気的に接続されて
    いない、特許請求の範囲第1項記載のサイリス
    タ。 9 前記下側ターンオフゲート電極がポリシリコ
    ンからなる、特許請求の範囲第1項記載のサイリ
    スタ。 10 前記下側ターンオフゲート電極を取巻く絶
    縁層のスリーブが形成されている、特許請求の範
    囲第9項記載のサイリスタ。 11 前記第1の電極が前記下側ベース層に電気
    的に接続されている、特許請求の範囲第1項記載
    のサイリスタ。 12 前記第2の電極が前記上側ベース層に電気
    的に接続されている、特許請求の範囲第1項記載
    のサイリスタ。
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