JPS6139274Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は主として軽金属の急速溶解に使用され
るタワー型非鉄金属溶解炉の改良型溶解炉に関す
るものである。

第１図及び第２図に示される従来公知のアルミ
ニウム等のタワー型非鉄金属溶解炉において、タ
ワー１ａの下部の溶解室４ａの両側壁へ複数個の
汎用型溶解バーナー６ａを備え、、同溶解バーナ
ー６ａの直火にてバーナー前の材料を溶解し、溶
湯昇温室５ａへ流出させようとするものである。
ところが、タワー１ａ内へ材料が充填されてお
り、溶解バーナー６ａのフレームの当る部分のみ
の材料が溶解され、フレームの当らない溶解バー
ナー６ａのバーナーとバーナーの間の部分では半
溶融の材料、又はスケール等が滞留し堰を作り、
前記溶解バーナー６ａ燃焼室前の溶湯が溶湯昇温
室５ａへ流出するのを阻止し、溶解バーナー６ａ
の燃焼室前にて溶湯は滞留し高温、沸騰して、同
燃焼室内への流入等により燃焼継続不可能による
操業中断を超こし、更に、溶湯の異常高温によ
り、耐火物との化学浸蝕反応が急速に進展し、耐
火物を変質劣化させたり、アルミナスピネル等の
異物を形成してバーナー燃焼室出口周縁部にこぶ
状に不着して燃焼室出口を閉塞させ、バーナーケ
ーシング金物を異常高温の状態とし、終りには焼
損による操業不可能に至らしめる等の欠点があつ
た。

本考案は上述のような従来の非鉄金属溶解炉の
欠点を解消する非鉄金属溶解炉を提供するもので
ある。

第３図及び第４図に基いて本考案に係る非鉄金
属溶解炉の一実施例を説明する。

タワー１の上端２は材料装入口であり、４は溶
解室で、溶解室炉床に炉芯を頂点とし二方向下方
傾斜状の中間仕切り壁８を形成し、同中間仕切に
壁８の二方向下方傾斜端部には扇状のスロツト１
６を設け、これにより上下二室４，５が互朝いに
連通しているスロツト１６上の側壁部へ所要数の
溶解バーナー６を、中間仕切り壁８の傾斜面に対
向するように装着する。５は溶湯昇温室で昇温バ
ーナー７を備えており、１１は溶湯槽で９は保持
室又は溶湯保持室蓋１０を可搬式にすることによ
り溶湯汲み出し室９にすることも出来る。１２は
材料装入蓋で排気口１３を備えている。

次に第３図に基いて使用法を説明する。

材料装入蓋１２を開閉し材料装入口２へ自動的
に装入された材料１５は、順次降下する間に排ガ
スと熱交換し材料予熱しつつ溶解室４へ降下し、
中間仕切り壁８の傾斜面に対向する位置へ設けた
汎用型の溶解バーナー６の直火で急速溶解し、同
溶解バーナー６の燃焼室出口下部へ設けたスロツ
ト１６を通過し、溶湯槽１６へ落下して昇温バー
ナー７により昇温保持される。又、昇温バーナー
７の燃焼ガスは溶湯槽１１の溶湯を加熱昇温して
スロツト１６を通過する間に、前記溶解室４から
溶湯昇温室５へ落下する低温溶湯を加熱した後、
スロツト１６の出口で溶解バーナー６の高温燃焼
フレームと混合され混合燃焼ガスとなり、溶解室
４の材料を急速溶解して、予熱室３内の材料１５
を予熱しつつ排気口１３から吸引排気されるに至
る、以つて、昇温バーナー７の燃焼ガスを溶解バ
ーナー６の高温フレームと混合する為、燃焼ガス
ボリユーム増大による、対流伝熱効率を上昇し、
溶解熱効率を向上させ、更に、溶解バーナー６の
フレーム温度を降下させることにより、全体的な
低温溶解状態とし、極部高温過熱溶解によるメタ
ルロスの発生を防止し、溶解歩留りの向上を計る
ことが出来る。尚、中開仕切り壁８の上部傾斜に
沿つて溶融或は半溶融の材料が流れ、溶解バーナ
ー６の燃焼室前で完全溶解され、速かに闘スロツ
ト１６から溶湯昇温室５へ落下する構造の為溶解
が画一的でスムースであり、従来のタワー型溶解
炉に見られるようなバーナー燃焼室前、或は燃焼
室内での溶湯の滞留、沸騰による異常高温等によ
ることはなく、その為容易に化学浸蝕反応を起こ
すことなく、又アルミナスピネル等の付着物の形
成が殆んど見られない。この為バーナー閉塞によ
る操業中断及びバーナーケーシング金物等が異常
高温になり傷損するという事故を完全に防止出来
るのは勿論である。

更に、中間仕切り壁８の傾斜面に対向するよう
に溶解バーナー６が両側壁に装備されている為、
タワー１内の材料１５の溶解が左右均等に進めら
れ、材料降下レベルを均等にすることが出来、従
来公知のタワー型溶解炉に見られるような溶解室
炉床上隅部へ大量の材料が滞留する片溶解を防止
することが出来、排ガスにてタワー内の材料を均
等に予熱することによつて、充分な材料予熱によ
る熱効率の向上を計ることが出来る。

従来のタワー型非鉄金属溶解炉………溶解室を
タワー下部へ設けた第１図、第２図のような非鉄
金属溶解炉………に比べて、本考案に係る溶解炉
のすぐれている点は次の通りである。

(イ) 従来のタワー型溶解炉に見られるようなバー
ナー閉塞による操業中断及び耐火物の急激な化
学浸蝕反応等によるバーナーケーシング金物の
傷損という事故を完全に防止出来る。

(ロ) 昇温バーナーの排ガスを溶解バーナー燃焼室
出口にて高温燃焼フレームと混合させ、混合燃
焼ガスとする為、燃焼ガスボリユーム増大によ
り対流伝熱効率を上昇し、溶解熱効率を向上さ
せる。かつ、極部高温過熱溶解を防止し溶解歩
留りの向上を計ることが出来る。

(ハ) 溶解の流れが均一、画一的でスムースな為、
耐火物の化学浸蝕反応も少ないので溶解室廻り
の耐火物は従来のような超高級耐火物を使用し
なくて良く、かつ寿命も長い為極めて経済的で
ある。

(ニ) 左右均奪等溶解の為、タワー内材料降下レベ
ルが均等で従来のタワー型溶解炉に見られるよ
うな溶解室炉床上隅部へ大量の材料が滞留する
片溶解を防止し、充分な材料予熱を行うことが
出来熱効率が良い。

(ホ) 従来のタワー型溶解炉の場合は、溶解完了時
に溶解室炉床傾斜面上隅部へ、材料瑠の溶け残
りが集中して堆積する為、炉内清掃に多大の労
力が消費されていたが、本考案の場合は中間仕
切り壁上面が二方向下方傾斜にて左右均等溶解
の為、溶け残り材料等が堆積するスペースがな
く、炉内清掃及び操業が極めてスムースであ
る。

(ヘ) 溶解室炉床下部が溶湯昇温室の為、同一溶解
能力のタワー型溶解炉を得るにあたつて、炉容
積が非常に小で済み、炉全体を小型にして設置
スペースの縮少が可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来公知のタワー型非鉄金属溶解炉に
おける全体の垂直切断正面図、第２図は第１図の
Ａ−Ａ断面図を示し、第３図は本考案に係る非鉄
金属溶解炉の一実施例における全体の垂直断面
図、第４図は第３図のＢ−Ｂ断面図である。 １，１ａ……タワー、２，２ａ……材料装入
口、３，３ａ……予熱室、４，４ａ……溶解室、
５，５ａ……溶湯昇温室、６，６ａ……溶解バー
ナー、７，７ａ……昇温バーナー、８……中間仕
切り壁、９……保持室又は溶湯汲み出し室、１０
……溶湯保持室蓋、１１，１１ａ……溶湯槽、１
２，１２ａ……材料装入蓋、１３，１３ａ……排
気口、１５，１５ａ……材料、１６……スロツ
ト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 直立筒型タワー１の中間部へ炉芯を頂点とし、
   二方向下方傾斜の中間仕切り壁８を介して上部を
   溶解室４とし、下部に溶湯槽１１を備えた溶湯昇
   温室５を設け、溶解室４の二箇所の底部付近側壁
   へ汎用バーナーである所要数の溶解バーナー６を
   備え、かつ、中間仕切り壁８の二方向下方傾斜端
   部に、前記溶解室４から下部の溶湯昇温室５への
   溶湯通過用、及び溶湯昇温室５へ備えた昇温バー
   ナー７の燃焼ガス通過用の空隙１６を形成し、以
   つて溶解バーナー６の直火にて急速溶解した溶湯
   がバーナー前に滞留する事なく、溶解バーナー燃
   焼室出口の下部へ設けた前記空隙１６を通過し、
   溶湯昇温室５へ流下されるべく構成してあること
   を特徴とする非鉄金属溶解炉。