JPS6139133B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、二輪車用フロントフオークのピスト
ンの成型方法に関する。

従来、二輪車用のフロントフオークやリヤーク
ツシヨンユニツトなどにおけるピストンコンプリ
ートは、ピストンロツドの先端にピストンを螺子
結合するなり或いはカシメや熔着などの手段を用
いて結合しているのが一般である。しかし、この
ような手段は、製作および組付けに多くの工数を
要するばかりか、部品点数も多くなつてコスト的
に極めて不利である。そこで、上記のような不利
を除くためには、切削加工によつてピストンロツ
ドとピストンを一体に形成することも考えられる
が、これでは材料に非常な無駄がでて却つてコス
ト的に不利とならざるを得ない。

従つて、本発明は有底状のアウターチユーブ内
へインナチユーブを摺動自在に嵌挿し、アウタチ
ユーブの底部よりインナチユーブ内に亘つてピス
トンロツドを突設し当該ピストンロツド先端にイ
ンナチユーブ内面と摺接するピストンを設ける一
方、前記インナチユーブ先端内周にピストンロツ
ド外周と摺接するピストン部を配設した二輪車用
フロントフオークにおいて、前記ピストンロツド
先端に設けたピストンを成型するに当り、当該ロ
ツド部材の先端部分を加熱軟化した後、この加熱
軟化した部分にピストンロツド中空部に嵌挿する
調芯部と、ピストン内径部を成形するストレート
部およびピストン開口端近傍に工具係合部を成形
する工具係合成形部とからなる内型を嵌入して、
ピストン部及び工具係合部分を一体に成型してな
ることを特徴とする二輪車用フロントフオークの
ピストン成型方法を提供することである。

特に、二輪車用のフロントフオークのように、
全長の長いものにあつては、ピストンロツドをア
ウタチユーブに取付けるに当り、非常な手間と労
力を要する。即ち、アウタチユーブと摺動するイ
ンナチユーブの上端開口部から長い治具棒をピス
トン内周部に差し込み、支持した後、アウタチユ
ーブ下端からボルトをねじ込みながら、アウタチ
ユーブに対してピストンロツドを締付固定してい
くのであるが、単にピストンロツドを支持するだ
けでは十分な回り止めとはならず、どうしても、
ピストンロツド先端ピストンがインナチユーブ内
周面を回動し、その摺動面を傷付け、インナチユ
ーブの摺動特性に悪影響を与えるという問題が生
じる。そこで、十分な回り止め効果を得るために
は、前記ピストンに別途係止用突起等を加工しな
ければならず、これでは加工工数が増加するばか
りか、係止用突起を設ける場所も特定（ピストン
内部に設けると、ピストンロツド内を通過する作
動油に抵抗を与える。）されてしまう。

本発明では、ピストン成型時に、工具係合部が
同時に成型されるため、別途係合部を加工する必
要もなく、また、アウタチユーブにピストンロツ
ドを締付固定する際にも、ピストンが回動するこ
とがなく、インナチユーブチユーブ摺動面に傷等
が発生せず、極めて良好な摺動特性が得られるの
である。

次に、本発明の具体的な実施例を添附図面につ
いて説明する。第１図は、たとえば外径17mm内径
12.5mmのパイプ材を切断してつくつたロツド部材
１を示し、このロツド部材１は、基端側を公知の
絞り加工によつて縮径部２に成型すると共に、あ
らかじめピストンロツドの長さ255mmにピストン
の成型代30mmを加えて全長285mmになるように前
記パイプ材から切断する。そしてこのロツド部材
１の先端側からピストンの成型代に相当する長さ
分30mmの部分を加熱して軟化させるのである。

第２図は、このロツド部材１の加熱軟化工程の
一例を示すもので、台３上に向い固定電極４を貫
通して前記ロツド部材１をセツトする。この場
合、台３と固定電極４は、あらかじめ台３の上面
から固定電極４の上面までの距離がピストンロツ
ドの長さ255mmになるようにセツトされており、
これにより、ロツド部材１のピストン成型代分で
ある先端から長さ30mmの部分は固定電極４の上面
から突出することになる。そこで、このロツド部
材１の上端に可動電極５を当て、これら可動電極
５と固定電極４間にロツド部材１におけるピスト
ン成型代部分を通して電流を流し、このピストン
成型代部分の電気抵抗によりその部分にジユール
熱を発生させて加熱軟化しつつ、前記可動電極５
を除々に下降させて第２図に示すようにロツド部
材１におけるピストン成型代の部分を膨出させ、
その部分にピストン粗形６を形成する。

続いて、このように形成したロツド部材１を取
出して前記ピストン粗形６の部分が熱間または温
間状態にある間に第３図に示すような成型工程を
施す。すなわち、前記ロツド部材１を台７に向い
外型８を貫通して挿入し、この外型８でピストン
粗形６の部分を囲うと共に、台７との間でロツド
部材１におけるピストンロツド１０になる部分の
長さ255mmを確保する。そして、ピストン粗形６
の中に内型９を押込み、これら外型８と内型９と
でこの部分外径24mm、内径16mmに拡張してピスト
ン１１を成型する。しかるのち、必要に応じて縮
径部２の内面のねじ切り加工やピストン１１の外
面のピストンリング溝加工或いはその他の穴加工
などを施して、ピストンロツド１０とピストン１
１が一体的に形成されたピストンコンプリートを
完成するのである。

尚、１９はピストンロツド中空部に嵌挿する調
芯部であり、２０はピストン内径部に成形するス
トレート部である。

なお、第４図は、本発明の方法によつて製作し
た二輪車用フロントフオークのピストンコンプリ
ートの使用例を示す図であつて、特に、このよう
な型式のフロントフオークにあつては、前記ピス
トンコンプリート１２の下端なる縮径部２をアウ
タチユーブ１３の下側からボルト１４で締付けて
固定するのが普通である。そのため、このもので
は、ボルト１４の締付け或いは緩め作業に当つて
ピストンコンプリート１２が共に回わつてしまう
場合がしばしば生じ、これがフロントフオークの
組立て・分解を困難にする。そこで、このような
場合には、本実施例の第３図および第４図にみら
れるように、外型８と内型９によるピストン１１
の成型時にたとえば内型９にセレーシヨン部１５
を構成しておき、この内型９のセレーシヨン部１
５によりピストン１１の内面に同時にセレーシヨ
ンからなる工具との係合部分１６を形成する。こ
れにより、インナチユーブ１７の上端から工具を
挿入してピストンコンプリート１２の係合部分１
６に嵌合し、ボルト１４の締付け或いは緩め作業
を可能にしてフロントフオークの組立て・分解を
容易にする。上記係合部分１６は、この実施例の
ようにピストン１１の内面に成型したセレーシヨ
ンに限られることなく、たとえばピストン１１の
内面を六角に成型するなり、或いはピストン１１
の上面に成型したドライバ溝またはその他のもの
であつてもよいことは明白である。

特に、本発明では、ピストン成型時に、工具係
合部が同時に成型されるため、別途係合部を加工
する必要もなく、また、アウタチユーブにピスト
ンロツドを締付固定する際にも、ピストンが回動
することがなく、インナチユーブチユープ摺動面
に傷等が発生せず、極めて良好な摺動特性が得ら
れるという他には全く得られない独特の効果を奏
するのであり、更に、本発明では、中空ロツドの
先端部から嵌入する内型を、中空ロツドの中空部
に嵌挿する調芯部と、ピストン内径部を成形する
ストレート部およびピストン開口端近傍に工具係
合部を成形する工具係合成形部とから構成させた
のであり、これにより、前記調芯部はピストンと
中空ロツドを同軸に成形するためと成型時に発生
する余肉が中空部内に“カエリ”として現われる
のを防止する機能を有し、ストレート部はピスト
ン外周にシール部材を配設するための環状溝を加
工するに必要な肉厚をピストンに持たす外径を有
し、工具係合部は前記ストレート部より大きな断
面を持つており、しかもこれらを同時に成形でき
るのである。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は、本発明の方法における各
工程図、第４図は、本発明の方法によつて製作し
た二輪車用フロントフオークのピストンコンプリ
ートの使用例を示す縦断正面図である。 １……ロツド部材、４……固定電極、５……可
動電極、８……外型、９……内型、１０……ピス
トンロツド、１１……ピストン、１６……係合部
分。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 有底状のアウターチユーブ内へインナチユー
   ブを摺動自在に嵌挿し、アウタチユーブの底部よ
   りインナチユーブ内に亘つてピストンロツドを突
   設し当該ピストンロツド先端にインナチユーブ内
   面と摺接するピストンを設ける一方、前記インナ
   チユーブ先端内周にピストンロツド外周と摺接す
   るピストン部を配設した二輪車用フロントフオー
   クにおいて、前記ピストンロツド先端に設けたピ
   ストンを成型するに当り、当該ロツド部材の先端
   部分を加熱軟化した後、この加熱軟化した部分に
   ピストンロツド中空部に嵌挿する調芯部と、ピス
   トン内径部を成形するストレート部およびピスト
   ン開口端近傍に工具係合部を成形する工具係合成
   形部とからなる内型を嵌入して、ピストン部及び
   工具係合部分を一体に成型してなることを特徴と
   する二輪車用フロントフオークのピストン成型方
   法。