JPS6139052Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は内燃機関のブローバイガス還流システ
ムにおけるブローバイガスからオイルの液滴を分
離するためのオイル分離装置に関する。

エンジンの圧縮行程および爆発行程時にピスト
ンとシリンダの間の隙間からクランクケースに吹
抜けるブローバイガスはクランクケース内のオイ
ルの劣化等の原因となるので、クランクケース内
に新鮮な空気を導入してクランクケースを換気す
ることが行われる。空気で稀釈されたブローバイ
ガスは未燃焼の燃料やオイルの液滴を含んでいる
ので、外部に放出するのは大気汚染対策上好まし
くない。そこで今日ではブローバイガスはブロー
バイガス還流システムにより吸気系へ戻し、再燃
焼させるのが普通である。ブローバイガス還流シ
ステムにおいては、クランクケース内に充満し新
鮮な空気で稀釈されたブローバイガスはシリンダ
ブロツクの側方に設けたブローバイガス通路もし
くは管によつてロツカーアーム室に一旦導入され
る。これはロツカーアーム室の空間を利用してロ
ツカーアーム室に一種のサージタンクとしての作
用をさせてブローバイガスの流速を緩和すること
により、クランクケース内でクランクやコネクテ
イングロツドの運動により霧滴化されブローバイ
ガスに含まれるオイルをロツカーアーム室の空間
で液化する為である。ロツカーアーム室内のブロ
ーバイガスはシリンダヘツドカバー上部に設けた
ブローバイガス出口からPCVバルブに導かれ、
そこでエンジンの運転状態に応じて流量を調整さ
れた後吸気系に還流される。

ところが、ロツカーアーム室内ではカムシヤフ
ト、ロツカーアーム、その他の動弁系が回転ない
し往復運動しているため、オイルは微粒化された
飛沫となつて飛散している。このオイル飛沫がク
ランクケースから持ち運ばれて来たオイルと共に
ブローバイガスに持ち去られるとオイル消費を招
く。逆にエアクリーナ側にブローバイが吹きかえ
せばエアフイルタの目詰りや汚損等を引きおこし
このましくない。そこで、ロツカーアーム室内の
ブローバイガスからオイルの液滴を分離しなけれ
ばならない。ブローバイガスからオイル液滴を分
離するための装置としては従来多数のものが提案
されているが、その中でも衝突捕集の原理による
ものが知られている（実公昭55−16101）。この装
置は、内燃機関のシリンダヘツドカバーに設置さ
れたオイル分離室を具備して成り、ブローバイガ
スを偏向板により偏向させながらオイル分離室内
に導入してオイル分離室の内壁ならびに邪魔板に
衝突させることによりブローバイガス中に同伴さ
れたオイル液滴をブローバイガスから分離し得る
ようになつている。

本考案は上記型式のオイル分離装置の改良に係
るもので、オイル捕集効率がさらに向上せられ、
製造容易で量産化に適した構造の、より簡素で小
型のオイル分離装置を提供することを目的とする
ものである。

上記目的は本考案により達成されるもので、本
考案は、前記した型式のオイル分離装置におい
て、オイル分離室の側壁ならびに頂壁はシリンダ
ヘツドカバー頂壁の一部を上方に突出成形するこ
とにより形成されていて該側壁はシリンダヘツド
カバー頂壁の他の部分から略垂直に上方に延長し
ていると共にオイル分離室の該頂壁は側壁の上端
部から略水平に延長しており、オイル分離室の底
壁は側壁の下端部に取付けた略水平に延長する仕
切板により画定されており、上記仕切板にはオイ
ル分離室の一側壁の近傍においてブローバイガス
噴入開口が設けてあると共にこの噴入開口に隣接
して偏向板が一体に設けてあり、上記偏向板は噴
入開口の上方を横切つて該側壁に向つて斜めに延
長していて噴入開口からオイル分離室に噴入する
ブローバイガスを前記側壁に向つて偏向させ得る
ようになつており、オイル分離室の頂壁には仕切
板の噴入開口から遠ざかつた位置においてブロー
バイガス出口が設けてあり、オイル分離室頂壁に
はまた偏向板の下流でかつブローバイガス出口の
上流において邪魔板が垂下状に配設してあり、仕
切板の下面はブローバイガス導入開口を有する略
舟底形のオイル飛沫遮蔽部材でロツカーアーム室
から分離されており、仕切板の上記噴入開口の面
積はオイル飛沫遮蔽部材の導入開口の面積より小
さくなつていることを特徴としている。

ロツカーアーム室内のブローバイガスはオイル
飛沫遮蔽部材のブローバイガス導入開口を経て、
該遮蔽部材と仕切板との間に画定された空間に所
定速度で入る。ブローバイガスは次いで仕切板の
噴入開口を経てオイル分離室内に入るのである
が、この噴入開口の面積は遮蔽部材の導入開口の
面積より小さくしてあるので、ブローバイガスは
より高速の空気流となつてオイル分離室に噴入す
る。その際、噴入開口上方には偏向板が斜めに配
置されているので、噴入したブローバイガスはこ
の偏向板に衝突しそれに含まれたオイル液滴の一
部が捕集される。次に、偏向板により偏向された
ブローバイガスはオイル分離室の側壁の内面およ
び次いで頂壁の内面に衝突し、オイル液滴はさら
に捕集される。次いで、ブローバイガスはオイル
分離室のブローバイガス出口に至る過程で邪魔板
に衝突し、さらにオイル液滴が捕集分離される。

本考案の考案者が行つた試験によれば、仕切板
の噴入開口の面積はオイル飛沫遮蔽部材の導入開
口の面積の40〜60％にするのが好適であることが
確認された。

遮蔽部材の導入開口はシリンダヘツドに形成さ
れたブローバイガス通路にできるだけ接近させて
配置するのが好ましく、そうすることによりロツ
カーアーム室内を通過するブローバイガスに動弁
系からのオイル飛沫が飛来進入するのを低減させ
ることができる。遮蔽部材の噴入開口は矩形にす
れば面積を大きくとることができる。

遮蔽部材にはその導入開口に隣接して矩形の遮
蔽板を設け、この遮蔽板は動弁系からのオイル飛
沫が導入開口に進入するのを遮るような方向に配
置することができる。

遮蔽部材の導入開口と遮蔽板ならびに仕切板の
噴入開口と偏向板は、夫々、板状材料を打抜加工
により開口の三辺に沿つて打抜くと同時に他の一
辺を中心として折曲げることにより形成するのが
有利である。このようにすれば遮蔽部材ならびに
仕切板は容易に大量生産することができる。ま
た、オイル分離室を組立てるためには、シリンダ
ヘツドカバー（これにはオイル分離室の側壁と頂
壁を構成する突出部が予め設けられている）に仕
切板と遮蔽板をリベツト等で取付けるだけで足り
る。

仕切板にはオイル分離室内で捕集されたオイル
を集めて落下させるためのオイル戻し漏斗を打抜
加工により一体成形しておくことができる。その
場合、オイル戻し漏斗は遮蔽部材の導入開口から
できるだけ遠ざかつたところに設けるのが有利で
ある。

以下、添附図面を参照して本考案の実施例を設
明する。

第１図は本考案のオイル分離装置を備えたエン
ジン上部の横断面図であり、第２図はこのオイル
分離装置の長手方向断面図で第１図の−線に
沿つて視たものである。周知のように、エンジン
のシリンダヘツド１０にはカムシヤフト１２、ロ
ツカーアーム１４、吸排気弁１６等から成る動弁
系が設置されており、これらはシール部材１８を
介してシリンダヘツド１０に固定されたシリンダ
ヘツドカバー２０により被蔽されている（第１
図）。シリンダヘツドの側部にはクランクケース
からのブローバイガスを導くためのブローバイガ
ス通路２２が設けてある。シリンダヘツドカバー
２０の頂壁２４には突出部２６が予め一体に形成
してある。この突出部２６は略長方形の形状を有
し、後述するオイル分離室の頂壁２８と２つの長
手方向側壁３０，３２と２つの横手方向側壁３
４，３６とを構成している。図示の実施例のオイ
ル分離装置は互いに対称的な２つのオイル分離室
３８，４０から成る二連式のオイル分離装置とし
て構成されている。このため、双方の分離室３
８，４０は頂壁２８から下方に延長する隔壁４２
によつて仕切られている。オイル分離室の頂壁２
８にはさらに横手方向に延長する邪魔板４４，４
６とブローバイガス出口４８，５０が設けてあ
る。ブローバイガス出口４８，５０には接続金具
５２，５４を取付け、PCVバルブに接続し得る
ようになす。

シリンダヘツドカバー２０の下面にはオイル分
離室３８，４０の下方において１枚の仕切板５６
と１枚の遮蔽部材５８がリベツト６０により固定
してある。仕切板５６は１枚の金属薄板から成
り、打抜加工により形成されたブローバイガス噴
入開口６２，６４、偏向板６６，６８、オイル戻
し漏斗７０，７２を有する。噴入開口６２，６４
は略四辺形の偏向板６６，６８の三辺に沿つて材
料を打抜き、残る一辺に沿つて偏向板を抜き起す
ことにより形成することができる。噴入開口６
２，６４はオイル分離室３８，４０の横手方向側
壁３４，３６の近傍に、ただし該側壁３４，３６
から所定の距離を隔てて配置されている。偏向板
６６，６８は夫々噴入開口６２，６４の上方を横
切つて側壁３４，３６に向つて斜めに延長してい
る。偏向板６６，６８の傾斜は水平面に対し45〜
60゜にするのが好ましい。偏向板６６，６８の背
後にはこれらの偏向板から十分な距離を隔てたと
ころにオイル戻し漏斗７０，７２が設けてある。
これらの噴入開口６２，６４、偏向板６６，６
８、オイル戻し漏斗７０，７２は素材の１回の打
抜加工により同時に形成することができるので、
仕切板は簡単に大量生産することができる。

遮蔽部材５８は略舟底形の形状を有する。この
遮蔽部材５８には長手方向に延長する矩形のブロ
ーバイガス導入開口７４，７６と遮蔽板７８，８
０が設けてある。導入開口７４，７６は噴入開口
６２，６４とオーバラツプしないような位置に設
けるとともに、オイル戻し漏斗７０，７２からで
きるだけ遠ざけて配置する。これらのブローバイ
ガス導入開口７４，７６ならびに遮蔽板７８，８
０もまた素材の打抜加工により同時に形成するこ
とができるもので、したがつて遮蔽部材５８は仕
切板５６と同様に簡単に大量生産することができ
る。仕切板５６のブローバイガス噴入開口の面積
は遮蔽板５８のブローバイガス導入開口の面積よ
り小さくしてあり、好ましくは前者は後者の40〜
60％とする。遮蔽部材５８の導入開口７４，７６
はシリンダヘツドのブローバイガス通路２２にで
きるだけ接近させて設け、遮蔽板７８，８０はカ
ムシヤフト１２等からのオイル飛沫が導入開口７
４，７６に進入するのを阻止するような方向に延
長させる。遮蔽部材５８と仕切板５６との間の空
間は遮蔽部材５８に取付けた隔壁８２によつて仕
切ることもできる。

なお、図示しかつ上述した実施例においては、
本考案のオイル分離装置は互いに対称な左右一対
の分離室を有する二連構造のものとして記載した
が、いずれか一方の分離室を省略して単一構造の
ものとすることができることは言うまでもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のオイル分離装置を備えたエン
ジン上部の横断面図、第２図は第１図の−矢
視断面図である。 １０……シリンダヘツド、２０……シリンダヘ
ツドカバー、２２……シリンダヘツドのブローバ
イガス通路、２４……シリンダヘツドカバーの頂
壁、２６……シリンダヘツドカバーの突出部、２
８……オイル分離室の頂壁、３０，３２，３４，
３６……オイル分離室の側壁、３８，４０……オ
イル分離室、４４，４６……邪魔板、４８，５０
……ブローバイガス出口、５６……仕切板、５８
……オイル飛沫遮蔽部材、６２，６４……ブロー
バイガス噴入開口、６６，６８……偏向板、７
０，７２……オイル戻し漏斗、７４，７６……ブ
ローバイガス導入開口、７８，８０……遮蔽板。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 内燃機関のシリンダヘツドカバーに設置され
   たオイル分離室を具備して成り、ブローバイガ
   スを偏向板により偏向させながらオイル分離室
   内に導入してオイル分離室の内壁ならびに邪魔
   板に衝突させることによりブローバイガス中に
   同伴されたオイル液滴を衝突捕集によりブロー
   バイガスから分離し得るようになつたブローバ
   イガスのオイル分離装置において、上記オイル
   分離室の側壁ならびに頂壁はシリンダヘツドカ
   バー頂壁の一部を上方に突出成形することによ
   り形成されていて該側壁はシリンダヘツドカバ
   ー頂壁の他の部分から略垂直に上方に延長して
   いると共にオイル分離室の該頂壁は側壁上端部
   から略水平に延長しており、上記オイル分離室
   の底壁は該側壁の下端部に取付けた略水平に延
   長する仕切板により画定されており、上記仕切
   板にはオイル分離室の一側壁の近傍においてブ
   ローバイガス噴入開口が設けてあると共にこの
   噴入開口に隣接して偏向板が一体に設けてあ
   り、上記偏向板は該噴入開口上方を横切つて該
   側壁に向つて斜めに延長していて該噴入開口か
   らオイル分離室に噴入するブローバイガスを該
   側壁に向つて偏向させ得るようになつており、
   オイル分離室頂壁には仕切板の噴入開口から乖
   離した位置においてブローバイガス出口が設け
   てあり、オイル分離室頂壁にはまた前記偏向板
   の下流でかつブローバイガス出口の上流におい
   て邪魔板が垂下配設してあり、上記仕切板の下
   面はブローバイガス導入開口を有する略舟底形
   のオイル飛沫遮蔽部材でロツカーアーム室から
   分離されており、上記仕切板の噴入開口の面積
   はオイル飛沫遮蔽部材の導入開口の面積より小
   さくなつていることを特徴とするブローバイガ
   スのオイル分離装置。 ２ 仕切板の噴入開口の面積は遮蔽部材の導入開
   口の面積の40〜60％である実用新案登録請求の
   範囲第１項記載のブローバイガスのオイル分離
   装置。 ３ 上記遮蔽部材の導入開口は矩形であり、シリ
   ンダヘツドのブローバイガス通路に近接して配
   置されている実用新案登録請求の範囲第１項記
   載のブローバイガスのオイル分離装置。 ４ 上記遮蔽部材は導入開口に隣接する矩形の遮
   蔽板を有し、該遮蔽板は動弁系からのオイル飛
   沫が該導入開口に進入するのを阻止するように
   延長している実用新案登録請求の範囲第１項記
   載のブローバイガスのオイル分離装置。 ５ 上記遮蔽部材の導入開口および遮蔽板は遮蔽
   部材材料の打抜加工により形成されたものであ
   る実用新案登録請求の範囲第４項記載のブロー
   バイガスのオイル分離装置。 ６ 上記仕切板の噴入開口と偏向板は仕切板材料
   の打抜加工により形成されたものである実用新
   案登録請求の範囲第１項記載のブローバイガス
   のオイル分離装置。 ７ 仕切板はオイル戻し漏斗を有し、該オイル戻
   し漏斗は遮蔽部材の導入開口から離隔されてい
   る実用新案登録請求の範囲第１項記載のブロー
   バイガスのオイル分離装置。 ８ 上記仕切板の噴入開口と遮蔽部材の導入開口
   とは互いにオーバラツプしないように水平方向
   に関して互いにオフセツトされている実用新案
   登録請求の範囲第７項記載のブローバイガスの
   オイル分離装置。