JPS6139024Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、地下鉄、上、下水道等のトンネルを
掘削するシールド掘進機、特にカツター本体を支
持する複数個の支持脚により、カツターチヤンバ
ー内の削土及び注入材等を強制的に撹拌して切羽
の安定を計り、また均質な排土を排出し得るシー
ルド掘進機に関する。

密閉型シールド掘進機においては、切羽の安定
を計るためカツターチヤンバ内部を掘削した土砂
及び泥水又はベントナイト等の注入材で充填する
必要があるが、これらの充填材を充填撹拌しない
と充填材の比重が不均一になり、カツターチヤン
バー内に圧力差を生じ、切羽の崩壊を招くおそれ
がある。

前述の問題を解決するため、従来種々の対策が
行われてきた。第１図はその一例を示すもので、
軸受体ａをシールド本体ｂの内側に設けた支持台
ｃに回転可能に支承し、軸受体ａの前面に複数個
の支持脚ｄを取付けてカツター本体ｅを支持する
ようにしたものである。しかし掘削作業時付着性
の高い土砂を取込んだ場合、支持脚ｄはカツター
本体ｅの同一円周上に配置してあるため、支持脚
ｄの間の土砂がひと塊りとなつてカツター本体ｅ
と共廻りしたり、また削土の流動性が大きい場
合、支持脚ｄとシールド本体の内壁ｆとが離隔し
ているため、該内壁ｆの周辺の削土を掻上げるこ
とができず、従つて第２図に示すごとく重力（矢
印ｇ）の作用によりカツターチヤンバーｈの下半
分（ハツチングをした部分）に比較的密度の大き
い土砂が滞溜し、また上半部（打点した部分）に
は比較的密度の小さい土砂が滞溜することにな
り、充填物の撹拌が不充分にある欠点があつた。

本考案は、前述の欠点を解消し、土質の影響を
受けることなく、カツターチヤンバー内に取込ん
だ削土を掻き上げ且つ充分に撹拌し切羽の安定を
保持すると共に、均質な排土を排出し得るシール
ド掘進機を提供する目的でなしたもので、シール
ド本体の内側に設けた支持台に回転可能に支承さ
れ且つカツターチヤンバーの一部を形成する環状
のカツター軸受体と、該カツター軸受体の前面と
カツター本体の後面とを連結する複数個の支持脚
とを備え、各支持脚のカツター回転中心からの距
離が異なるようにしたことを特徴とするものであ
る。

以下本考案の実施例につき、添付の図面にもと
づいて説明する。第３図乃至第４図において、符
号１はカツター本体、２はシールド本体、３はス
クリユーコンベアであつて、図示のごとくシール
ド本体２の内側に設けた支持台４にすべり軸受
５，５及び推力軸受６を介してリング状のカツタ
ー軸受体７をカツターの回転中心Ｏの周りに回転
可能に支承する。

カツター軸受体７の前面は、図示のごとくカツ
ターの回転中心線Ｏに対して傾斜しており、シー
ルド本体２の内壁８と共にカツターチヤンバー９
の形状を漏斗状に形成する。またカツター軸受体
７の内側部にシール（又は軸受）１０を設け、隔
壁１１に固定したスクリユーコンベア・ケーシン
グ１２の周りに回転可能に構成し、スクリユーコ
ンベア３をカツターチヤンバー９内に突出させ
る。なおカツター軸受体７の後面にギア１３を設
けたリング部材１４を取付け、ギア１３に係合す
るピニオン１５を有するカツター駆動モータ１６
を隔壁１１に装着して、カツター駆動モータ１６
を用いてカツター軸受体７を回転駆動し得るよう
構成する。

またカツター軸受体７とカツター本体１の間を
連結する３箇の支持脚１７，１７′，１７″を設
け、カツター本体１をカツター軸受体７により支
持する。而して支持脚１７，１７′，１７″を、第
４図に示すごとくそれぞれカツター中心線Ｏより
異なる距離ｒ，r′，r″にある位置ｐ，p′，p″に取
付ける。

なお最外側の支持脚１７にバケツト板１８を取
付ける。バケツト板１８の形状は、シールド本体
内壁８とバケツト板１８との間隙が充分小さくな
るように定める。

次に本装置の作動を説明する。カツター駆動モ
ータ１６を駆動してピニオン１５及びギア１３を
介してカツター軸受体７をカツター回転中心Ｏの
周りに回転させると、第４図に示すように各支持
脚１７，１７′，１７″もそれぞれ矢印ｋの方向に
円運動する。各持脚１７，１７′，１７″の回転中
心Ｏよりの距離が異なるため、前記円運動により
各支持脚１７，１７′，１７″はそれぞれ異なる環
状区域ｓ，s′，s″を分担して撹拌する。従つて削
土の付着性が高くても、各支持脚間の土砂が塊と
なつて共廻りすることがなく、充分に充填材を撹
拌することができる。更に最外側の支持脚１７に
取付けたバケツト板１８は、シールド本体２の内
壁８の下部に滞溜する密度の大きい土砂を掻上
げ、前述の支持脚１７，１７′，１７″と協同して
カツターチヤンバー内を充分に撹拌し均質化させ
る。

なお本考案は、前述の実施例にのみ限定される
ものではなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲内
で種々変更を加え得ることは勿論である。

本考案のシールド掘進機は、前述の構成を有す
るので、次の優れた効果を発揮する。

(i) カツターの回転中心からの距離を異にするカ
ツター本体上の位置に、各支持脚を取付けてあ
るので、削土の粘着性が高くても、支持脚と共
廻りすることがなく、支持脚により充分撹拌を
行うことができる。

(ii) 最外側の支持脚にバケツト板を取付けること
により、カツターチヤンバー周辺の削土を掻上
げ、前項に述べた効果と併せて充填物を均一に
混合・撹拌し、均質な排土を排出することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のシールド掘進機の切断側面図、
第２図はカツターチヤンバー内の土砂の密度の状
態を示す説明図、第３図は本考案の実施例を示す
シールド掘進機の切断側面図、第４図は第３図に
おける−方向からの切断後面図である。 図中、１はカツター本体、２はシールド本体、
４は支持台、７はカツター軸受体、９はカツター
チヤンバー、１７，１７′，１７″は支持脚、Ｏは
カツターの回転中心、ｐ，p′，p″は支持脚の取
付位置を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シールド本体の内側に設けた支持台に回転可能
   に支承され且つカツターチヤンバーの一部を形成
   する環状のカツター軸受体と、該カツター軸受体
   の前面とカツター本体の後面とを連結する複数個
   の支持脚とを備え、各支持脚のカツター回転中心
   からの距離が異なるようにしたことを特徴とする
   シールド掘進機。