JPS6138901Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ベルレス炉頂装入装置に係わるもの
で、特に従来のベルレス炉頂装入装置に於ける大
きな問題点である炉内装入原料分布の円周方向ア
ンバランスを解決するため、垂直シユートから炉
内旋回シユートへの原料が経時的粒度変化なく、
その主流を炉心に落下させることを目的とした炉
心と同心に固定ホツパーを二段設けたベルレス炉
頂装入装置において、上部固定ホツパー下方に位
置するゲート弁と下部固定ホツパー上方に位置す
るシール弁とを各々相等しく複数個配設し、且つ
下部固定ホツパーの炉心下端に同芯型流量調節弁
を配設すると共に、前記下部固定ホツパーのシー
ル弁直下に突き出し量可変の反撥板を内蔵したこ
とを特徴とするベルレス炉頂装入装置に関するも
のである。

初めに第１図に示す従来装置の概要を簡単に説
明する。装入原料は、装入コンベアー１にて炉頂
へ運ばれる。装入装置は各機器の作動スケジユー
ルに基づいて２個ある固定ホツパーの内指定され
た固定ホツパー（例えば５−１）に原料が装入及
び貯留される。原料を固定ホツパー５−１に装入
するには、切替シユート３を指定された固定ホツ
パー側にセツトし、且つ上部シール弁４−１を開
状態にセツトする。固定ホツパーへの原料装入が
完了すると上部シール弁４−１を閉となし、固定
ホツパー５−１を高炉発生ガス又は窒素ガスによ
つて高炉々頂圧力に等しくなるように均圧する。

次に炉内への装入指令によりまず下部シール弁
７−１を全開状態にセツトし、予めセツトされた
装入ブロツクに基づいて原料排出量をゲート弁６
−１にて調整しながら原料を炉内へ導く。このと
き炉内シユート１１は駆動装置１０によつて予め
決められた炉内装入原料分布形状が得られるよう
傾動、旋回を連続的に行う。

固定ホツパー５−１から炉内へ原料を装入して
いる間、前述と同様の順序で片側の固定ホツパー
５−２へ原料を装入貯留する。２個の固定ホツパ
ー５−１及び５−２は互いに180度方向に配置さ
れ、装入スケジユールに従つて各々のホツパーか
ら、１バツチ毎に交互に原料が炉内へ装入され
る。炉内シユート１１を同一傾動角度に保持しな
がら連続旋回させて、原料を炉内へ装入した場
合、炉内の装入原料分布の円周バランスが乱れる
ことか、実炉の操業に於いて、又高炉火入れ直前
の原料填充時に、さらにモデル実験に於いても確
認されている。この装入原料分布の円周バランス
が乱れると実操業に於いては、装入原料内の上昇
ガス流の不均一をもたらし、炉内ガスの還元反応
への利用率を低下させ燃料比低減を阻害し、さら
には、炉況不安定をもたらす。

装入物分布の円周バランス不均一の原因をモデ
ル実験によつて調査した結果、固定ホツパーから
排出された原料が集合シユート８及び垂直シユー
ト９を通過し炉内シユート１１に落下するときに
原料の主流が垂直シユート９の中心軸からずれる
こと及び固定ホツパーの位置と炉内シユートの旋
回方向の相対位置関係によつてその傾向が助長さ
れることが確認された。このことを第２図で説明
する。

第２図は側の固定ホツパーから原料が排出さ
れているときの原料落下状況を示している。固定
ホツパーから排出された原料は、集合シユート８
を落下するときに加速され、垂直シユート９内で
原料の落下主流線は中心軸Ｙ−Ｙよりも反固定ホ
ツパー側に偏流する傾向を呈する。今、炉内シユ
ートが側固定ホツパーに対し180度方向に位置
したとき（第２図の実線で示す位置）原料の炉内
シユート底への衝突位置は中心軸Ｙ−Ｙよりも炉
内シユート先端側になる。一方、炉内シユートが
側固定ホツパーと同一方向に位置したとき、
（第２図の破線で示す位置）原料の衝突位置は、
中心軸Ｙ−Ｙより炉内シユート後端側になる。こ
の図からも判るように炉内シユートの旋回位置に
よつて炉内シユート内を落下する原料の助走距離
は異なり、その結果炉内シユート先端に於ける原
料放出速度及び炉内への原料落下軌跡が異なる。
そのため、第２図に示すように炉内の装入原料分
布が、炉中心軸Ｙ−Ｙに対してアンバランスとな
る。即ち、第２図に於いて炉中心軸Ｙ−Ｙからの
装入原料の山の距離X₁、X₂が一致しなくなる。

次に第３図に示す従来装置の概要を簡単に説明
する。該従来装置は図面で明らかなように２個の
固定ホツパーを炉心軸上に上下に配設し、下部固
定ホツパー１４の下端に流量調節弁が設けられて
いるため、垂直シユート９の下方に位置する炉内
旋回シユートへの原料は垂直に落下する。ところ
が、該従来装置も以下の問題点を有している。

第１図に示す従来装置の場合、前述の如く、並
置している２個の固定ホツパーに対する原料の装
入及び排出は交互に、しかも同時に行うことが可
能であり、装入コンベア−によつて固定ホツパー
へ装入された原料が、該固定ホツパーから排出さ
れると炉内へ分配されることになる。ところが第
３図に示す従来装置の場合、炉内へ分配される原
料は、下部固定ホツパーからの排出原料であり、
装入コンベア−により上部固定ホツパーへ装入貯
留された原料を下部固定ホツパー１４へ排出させ
る時間が第１図に示す従来装置に対し必要とな
る。即ち、原料の装入能力が低下し、大型高炉へ
の適用に当つて装入能力上、制約を受けることに
なる。

又、装置の高さを従来装置並に押えるために
は、上下固定ホツパーの径を大きくする必要があ
り、下部固定ホツパー上の原料の堆積形状は第３
図に、示すように下部固定ホツパー中心を頂点と
する円錐形状となるため、ホツパー中心が細粒と
なり、ホツパー中心から半径方向へ離れる程粗粒
分布となる。したがつて該粒度分布の下部固定ホ
ツパー内原料を炉内へ分配すると経済的偏粒分配
となる。即ち、下部固定ホツパーからの排出原料
の粒度は、初め細粒であり、排出時間の経過と共
に、より粗粒となり、炉内での円周方向の粒度偏
析を生ずる。円周方向の粒度偏析も装入原料内の
上昇ガス流の不均一をもたらし、炉内ガスの還元
反応への利用率を低下させ、燃料比低減の阻害及
び炉況不安定の要因となる。

本考案は第１図の従来装置の装入能力をそこな
うことなく問題点を解決するためになされたもの
で、前述の如く固定ホツパーと炉内旋回シユート
との相互位置関係から生ずる装入原料分布のアン
バランス及び、下部固定ホツパー内の原料堆積形
状から生ずる装入原料粒度のアンバランスを解消
せんとするものである。さらに高炉への装入原料
は、鉱石、焼結鉱、ベレツト、コークスと種類が
多く、その粒体特性が相違するため落下特性が異
なり、また高炉へ要求される生産量が日々変わる
ため原料の装入量も日常操業に於いては、変動幅
が大きく、この原料装入量の多少も落下特性に大
きな影響を及ぼす。このように装入原料の種類及
び、装入量のいずれの組合せに於いても下部固定
ホツパーへの装原料の堆積時間を短かくすると共
に半径方向粒度の均一分布を確保せんとするもの
である。

次に第４図に示す一例を基に本考案装置を説明
する。

本考案は、炉心下端に流量調節弁１３を備えた
下部固定ホツパー１４への原料装入口を複数個
と、なし、下部固定ホツパー１４の上部に位置す
るシール弁１６及び上部固定ホツパー１５の下部
に位置するゲート弁１７を炉心から一定の円周上
で等間隔に各々相等しく複数個設置すると共にシ
ール弁１６の下方に突き出し量可変の反撥板１８
を設置したものである。

しかして上部固定ホツパー１５内の原料は複数
個のゲート弁１７及びシール弁１６を介して同時
に垂直落下する。この垂直落下原料は下部固定ホ
ツパー１４内に堆積する。複数個の原料装入口か
らの下部固定ホツパー１４内への堆積原料は短時
間に堆積し、しかも粒度偏析も抑制され、第３図
に示す従来装置に比べ装入能力と共に経時的粒度
偏析は著しく改善される。更に第４図のシール弁
１６の下方に突出量可変の反撥板１８を設置する
ことにより複数個のゲート弁１７及びゲート弁１
６を介して垂直に落下した原料は反撥板１８によ
りその落下軌跡を矯正され下部固定ホツパー１４
内に堆積する。反撥板への落下原料の衝突面積に
より落下軌跡及び、落下原料の反撥板方向粒度分
布が可変となることは、実験等により明らかであ
り、反撥板は可変構造とし装入原料の種類毎にそ
の突き出し量を変更し、下部固定ホツパー内半径
方向粒度分布が均一となるよう装入する。この際
円周方向の粒度分布不均一が生ずるが、下部固定
ホツパーから炉内への原料の排出はホツパー中心
部からであり円周方向に偏析している粒子は排出
口に向けて混合されながら流れ込むため、第３図
に示す従来装置の如く経時的粒度偏析は生じな
い。

以上、本考案によれば、極めて簡単な構成にも
かかわらず従来ベルレスの宿命ともいえる炉内装
入原料分布のアンバランスを解消でき、更に原料
の種類及び装入量にもわずらわされることなく適
正な装入分布を得ること等の効果を有し、さらに
装置全体の高さ低減、シール弁口径の縮少にも寄
与でき実用的価値は大である。

【図面の簡単な説明】

第１図、第３図は従来装置説明図第２図は、従
来装置の問題点説明図、第４図は本考案装置説明
図。 ５−１，５−２……固定ホツパー、６−１，６
−２……ゲート弁、７−１，７−２……下部シー
ル弁、９……垂直シユート、１１……炉内シユー
ト、１３……流量調節弁、１４……下部固定ホツ
パー、１５……上部固定ホツパー、１６……シー
ル弁、１７……ゲート弁、１８……反撥板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 炉心と同心に固定ホツパーを二段設けたベルレ
   ス炉頂装入装置において、上部固定ホツパー下方
   に位置するゲート弁と下部固定ホツパー上方に位
   置するシール弁とを各々相等しく複数個配設し、
   且つ下部固定ホツパーの炉心下端に同芯型流量調
   節弁を配設すると共に、前記下部固定ホツパーの
   シール弁直下に突き出し量可変の反撥板を内蔵し
   たことを特徴とするベルレス炉頂装入装置。