JPS6138708B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、マイクロ波の照射による癌組織の加
温で再生機能を停止して致死に至らしめる温熱療
法に用いる電磁波発生器に関する。

本願発明者は、癌組織を約43℃付近に必要な時
間加温して治療する温熱療法に用いる電磁波発生
器として第１図に示すものを提案している。

第１図において、１は人体の比誘電率に略等し
い比誘電率εｒ、例えばεｒ＝80をもつた柱状誘
電体であり、柱状誘電体１の一端には励振アンテ
ナとして例えばループアンテナ２が封じ込められ
ており、このループアンテナ２は使用周波数で定
まる大気中での大きさの１√となり、人体の
深部を加温できるようにするため500MHz以下の
周波数で励振するようにしている。

ところで、第１図の電磁波発生器による温熱治
療は、第２図の示すように人体３の電磁波発生器
４との間にホース６，６′による冷却水を環流す
るウオータバツグ５を介在させ、電磁波を人体３
の内部に存在する癌組織７に向けて照射すると
き、皮層部分での誘電損失による加熱で皮層な熱
傷が起きないようにする必要がある。

しかしウオータバツグ５を使用しているために
人体に対する電磁波発生器のセツトが行ないづら
く、更にウオータバツグを介在させにくい人体部
分については充分な冷却効果が得られない恐れが
あつた。

本発明は、上記に鑑みてなされたもので、マイ
グロ波を用いた温熱療法における皮膚の熱傷を確
実に防止でき、且つ取扱いに便利な温熱療法用電
磁波発生器を提供することを目的とする。

この目的を達成するため本発明は、励振アンテ
ナを封じ込めた柱状誘電体を冷却水が環流する空
胴部を備えた冷却ケースに挿嵌した構造とし、冷
却ケースにより柱状誘電体を冷却してマイクロ波
が人体に入射する皮層部分の熱傷を防止すると共
に、ウオータバツグの使用を不要にして取扱い易
いようにしたものである。

以下、本発明を図面に基づいて説明する。

第３図は本発明の電磁波発生器に用いる冷却ケ
ースの一実施例を示した斜視図である。

まず構成を説明すると、冷却ケース１０は内側
に柱状誘電体に励振アンテナを封じ込めた構造の
電磁波発生器本体を挿嵌する放射面側を端壁１５
で閉鎖した柱状穴１２を形成する内筒１４を配設
すると共に外側に内筒１４の周側及び端壁１５と
の間に空胴部を形成する放射面側を端壁１５′で
閉鎖した外筒１６を配設した構造をもち、外筒１
６の両端側にはケース内の空胴部に連通したケー
ス接続管１８，１８′が接続される。

第４図は第３図に示す冷却ケース１０の断面図
であり、内筒１４と外筒１６との間に両端の端壁
１５，１５′の仕切りをもつて形成された空胴部
に対し、一方のホース接続管１８より純水を供給
して他方のホース接続管１８′より排出させ、こ
の純水の環流により柱状穴１２内に挿入した電磁
波発生器本体の人体に対する接触面を冷却するよ
うになる。

第５図は第３，４図に示した冷却ケースを用い
た本発明の電磁波発生器を示した斜視図であり、
第１図に示したように人体の比誘電率にほぼ等し
い誘電物質で形成された柱状誘電体の内部に励振
アンテナとしてループアンテナ２を封じ込めてな
る電磁波発生器本体２０を図示のように冷却ケー
ス１０の柱状穴に嵌め入れ、冷却ケース１０のホ
ース接続管１８，１８′にホース６，６′を接続し
て上部のホース接続管１８より純水を冷却ケース
９内に供給して下部のホース接続管１８′より排
出させることにより、冷却ケース１０内に嵌め入
れた電磁波発生器本体２０を冷却ケース１０内に
おける純水の環流で冷却する。

勿論、電磁波発生器２０のループアンテナ２に
対しては同軸ケーブル２２がコネクタ２４により
接続され、ループアンテナ２は500MHz以下の所
定周波数で励振されるようになる。

次に本発明の作用を説明する。

癌組織の温熱治療に際しては第５図に示すよう
に電磁波発生器２０を冷却ケース１０に嵌め入れ
且つホース６，６′の接続で冷却ケース１０内に
純水を環流させ、冷却ケース１０の下側に位置す
る柱状誘電体１の放射面１ａ側のケース端面を温
熱治療を施す人体内部の癌組織に相対した位置に
密着させ、同軸ケーブル２２によるマイクロ波信
号の供給で、ループアンテナ２を励振し、放射面
１ａより人体内部に電磁波を入射させる。この時
柱状誘電体１の比誘電率は人体の比誘電率にほぼ
等しい誘電物質で作られていることから、放射面
１ａとケース内を環流する冷却水を介しての人体
との接続面における反射損失は極く僅かである
が、電磁波による癌組織の加温は例えば30分程度
継続して行なうことから、人体との接触面におけ
る誘電率の僅かな変化による損失で接触面が加熱
されるようになる。このような電磁波発生器より
の電磁波が入射するケース端面と人体との接触面
における電磁波の損失で生じた熱は電磁波発生器
本体２０を取囲んでいる冷却ケース１０内を環流
する純水によつて冷却されるため、電磁波が入射
する皮層部分の温度を充分に低い温度に保つこと
ができる。

従つて本発明の電磁波発生器によれば、温熱治
療に際して人体との間に冷却用のウオータバツク
を介在させる必要がなく、ウオータバツグの介在
が行ないにくい人体の部分についても熱傷を行な
うことなく電磁波を容易に入射することが出来
る。

尚、上記の実施例では冷却媒体として純水を冷
却ケース内に環流させているが、純水の他に更に
冷却作用に勝れた例えばフレオンガス等を環流し
て冷却するようにしても良い。また純水等の冷却
媒体を環流する冷却ケースとしては、ガラスもし
くはプラスチツク等の絶縁材料で形成されるが、
電磁波発生器本体よりの外部に対する電磁波の漏
洩をより少なくするため、反射板としての機能を
もつ金属導体材料もしくは電磁波吸収特性をもつ
た誘電材料で形成するようにしても良い。

一方、上記の実施例では、電磁波発生器本体２
０が円形断面を有することからこの断面形状に合
せて冷却ケース１０を形成しているが、電磁波発
生器本体２０としては、この他に長円形、楕円形
もしくは多角形断面をもつことからこれらの断面
形状に合せた冷却ケースの内筒による柱状穴とす
ることは勿論である。また電磁波発生器本体を構
成する柱状誘電体に封じ込められた励振アンテナ
としてループアンテナを例に取つているが、この
他に500MHz以下の周波数で使用されるダイポー
ルアンテナ、折返しアンテナ等の線状アンテナも
しくは一対の電極板を封じ込めた板状アンテナ等
であつても良いことは勿論である。

次に本発明の効果を説明すると、柱状誘電体の
内部に励振アンテナを封じ込めた構造の電磁波発
生器本体の外側を囲んで冷却媒体を環流させた冷
却ケースを組み合せた構造としたため、人体に対
する電磁波の照射で電磁波発生器よりの電磁波が
入射する人体との接触面での反射損失で生じた熱
を速やかに吸収して接触面の熱傷を防ぎ、電磁波
発生器と人体との間にウオータバツグを介在させ
る必要がないことから人体のあらゆる部分につい
て電磁波発生器の直接接触による電磁波の入射で
癌組織を加温することができ、電磁波発生器を用
いた温熱治療をより行ない易いものとしている。

更に電磁波発生器本体を内部に組み入れた冷却
ケースは電磁波発生器本体より外部に漏洩する電
磁波の吸収体としての機能を果すことが出来、こ
れによつて500MHz以下の周波数を使用しても電
波障害の発生を極力抑えることができる

【図面の簡単な説明】

第１図は本願発明者等が提案している電磁波発
生器の一例を示した説明図、第２図は第１図の電
磁波発生器を用いた温熱治療の説明図、第３図は
本発明で用いる冷却ケースの一実施例を示した斜
視図、第４図は第３図に示す冷却ケースの断面
図、第５図は冷却ケースに電磁波発生器本体を組
み入れた本発明の一実施例を示す斜視図である。 １：柱状誘電体、１ａ：放射面、２：ループア
ンテナ、３：人体、４：電磁波発生器、５：ウオ
ータバツグ、６，６′：ホース、７：癌組織、１
０：冷却ケース、１２：柱状穴、１４：内筒、１
６：外筒、１５，１５′：端壁、１８，１８′：ホ
ース接続管、２０：電磁波発生器本体、２２：同
軸ケーブル、２４：コネクタ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 人体の比誘電率に略等しい誘電物質で形成さ
   れた柱状誘電体に励振アンテナを封じ込めて成る
   温熱療法用電磁波発生器において、 前記柱状誘電体を挿嵌する柱状穴を備えると共
   に該柱状穴を形成する内壁と外壁との間に冷却水
   を環流する空胴部を形成した冷却ケースを有し、
   該冷却ケースの柱状穴に前記柱状誘電体を組み入
   れたことを特徴とする温熱療法用電磁波発生器。