JPS6138642Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はコールドトラツプの構造に関し、特に
ナトリウム等の液体金属に含有される不純物を除
去するコールドトラツプに関する。

液体金属は、その物理的性質に鑑み、高速増殖
炉（以下FBRという。）等の冷却材として使用さ
れるが、含有不純物が多くなると種々の悪影響を
起すので、冷却材循環系に純化系を付設し、液体
金属すなわちナトリウムを高純度に維持してい
る。そして純化系の主要構成要素はコールドトラ
ツプであるが、この種コールドトラツプの一般的
構造は、次の通りである。すなわち冷却ジヤケツ
トに囲まれた筒状容器に入口下降管を同軸状に配
設し、更に入口下降管と容器内面との間の環状空
間に積層金網等が充填されている。そして、入口
下降管を通つて流入した被処理ナトリウムは、容
器底部で反転し、積層金網を貫流する。冷却ジヤ
ケツトを流れる冷却剤（低温空気）によつて容器
内部のナトリウムは、冷却され、飽和溶解度を越
す不純物は積層金網の表面に析出し除去される。

しかして、FBRの通常運転中はナトリウム中
に含有される不純物（多くは酸化物として存在す
る。）の量が比較的少ないため、前述のコールド
トラツプも特に問題は生じないが、事故時（冷却
材循環系の管路の１部が破損して水がナトリウム
中に入る可能性がある。）に含有不純物の量が増
加すると次のような問題が生ずる。すなわち、高
いトラツピング率でコールドトラツプを運転する
と、積層金網の下部、すなわち入口部で忽ち大量
の析出物発生による閉塞を生じ、コールドトラツ
プ運転不能となる。したがつて低いトラツピング
率でナトリウムの純化を行わざるを得ないので、
事故後の純化処理に多大の時間を要す。結局
FBRプラントの休止期間が長くなり修理経費の
増大及びプラント運転効率の低下をもたらす。

本考案は、前述した従来のコールドトラツプの
問題点に鑑みなされたものである。すなわち本考
案は、積層金網などの不純物捕獲層を複数段の環
状補獲部材に分けて配設し、被処理液体金属の１
部を環状補獲部材を貫流させると共に残りがこれ
を迅回して流れ閉塞現象を防止できるコールドト
ラツプを提供せんとするものである。

以下、図示の実施例に基づいて本考案を説明す
る。

第１図において、胴１と底２が冷却ジヤケツト
５に囲まれた筒形容器１０の天井７を貫ぬいて、
下降入口管９が同軸状に設けられ、底２に隣接し
た下部プレナム１１に開口している。

ジヤケツト５には、冷却用空気の入口ノズル１
３が設けられ、図示しない配管を介して送風機に
連絡し、更に出口ノズル１５が設けられている。
入口ノズル１３より流入した空気は、ジヤケツト
５の中を容器１０の外面に沿つて流れ、容器１０
内のナトリウム（後述する）を冷却する。そして
出口ノズル１５から流出する。

下降入口管９の外面には、複数の環状バツフル
板１７が軸方向に間隔をおいて嵌装されている。
バツフル板１７と胴１の内面との間には、環状の
流通空間１９が形成され、更に入口管９との間に
環状の流通空間２１を形成する複数の環状捕獲部
材すなわち積層金網２３が配設されている。

容器１０の天井７に接続された出口管２５が、
上部プレナム２７に開口している。

含有不純物の多い液体ナトリウムは、入口管９
を通つて下降し、下部プレナム１１に流入してそ
の向きを反転する。

このナトリウムは、積層金網２３を貫流する流
路２９と環状流通空間２１を流れる（積層金網２
３をバイパスする）流路３１とに分れて流れ、空
間１９で合流する。ナトリウムは更に２段目の積
層金網２３と空間２１とを分流し、次の空間１９
で合流し、この合流、合流を繰返して、上部プレ
ナム２７に至り、出口管２５を通つて流出する。

前述のように流れるナトリウムは、まず入口管
９の中で外部を流れる上昇ナトリウムにより若干
冷却され、下部プレナム１１内で更に冷却され、
不純物の飽和溶解度対応温度以下となる。流路２
９を流れるナトリウム中の飽和溶解度をこす不純
物は、積層金網２３の表面に析出し捕獲除去され
る。

ナトリウムは、上昇するに従い更に低温となる
から、各々の積層金網２１を貫流するに際し、飽
和溶解度を越す不純物があればその表面に析出
し、除去される。

前述した構成及び作用を有する本実施例によれ
ば、不純物が多くて積層金網２３が下段から順次
閉塞するにしても、常に各段の積層金網２３をバ
イパスする流路があるので、長期にわたつてトラ
ツプ能力を保持することができ、かつ流路が閉塞
することがない。又、全段の積層金網２３が閉塞
する迄使用でき、トラツプ能力が大きいので多量
の不純物を含有するナトリウムを急速、短時間に
純化することができる。

なお、第３図は前記実施例の部分改変したもの
の部分図であるが、空間１９，２１を内外関係を
逆にして空間１１９，１２１を形成するように積
層金網１２３及びバツフル板１１７を構成して
も、前記実施例と同様の作用効果を奏すること
は、当業者にとつて明らかであろう。

更に又、バツフル板１７，１１７に代えて環状
の積層金網を使用しても、同様の作用効果を奏す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す立断面図、第２
図は第１図の−線に沿つた部分平断面図、第
３図は改良実施例の部分立断面図である。 ５……ジヤケツト、９……入口管、１０……容
器、１７…バツフル板、１９……空間、２１……
空間、２３……積層金網。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 冷却ジヤケツトに囲まれた筒型容器と該容器に
   挿通されて同軸状にのびた入口管とを具えた反転
   型コールドトラツプにおいて、該容器内面と該入
   口管の間の環状空間内に複数の環状捕獲部材を軸
   方向に間隔をおいて配設し、隣設した該環状捕獲
   部材の間にそれぞれ環状バツフル板を配設し、該
   環状捕獲部材と該入口管との間及び該環状バツフ
   ル板と該容器の内面との間にそれぞれ環状流通空
   間を形成してなることを特徴とする液体金属用コ
   ールドトラツプ。