JPS6138375Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は回転電機の軸受装置、特にグリース給
油方式の回転電機の軸受装置に関する。

一般に回転電機の軸受を潤滑にするためにグリ
ース潤滑方式や油浴潤滑方式などが用いられてい
るが、いずれの場合においても軸受を潤滑にする
のに充分なグリースまたは油を軸受に供給しなけ
ればならない。第１図は以上の方式のうちグリー
ス潤滑方式、もしくはグリース給油方式の軸受装
置の従来例を示すものであるが、以下これについ
て説明する。

図において回転電機の回転軸１には球軸受２が
公知のようにして固着され、内側エンドカバー３
はブラケツト４に対しボルトにより固定されてい
る。内側エンドカバー３の内周側面には複数の環
状溝３ａが形成され、回転軸１に対しわずかの隙
間を残して摺動可能に内側エンドカバー３がブラ
ケツト４に固定されている。外側エンドカバー６
も同様にその内周側面に複数の環状溝６ａが形成
され、回転軸１に対しわずかの隙間を残して摺動
可能にボルトによりブラケツト４に固定されてい
る。ブラケツト４は図示せずとも回転電機のフレ
ームに公知のようにして固定されている。

外側エンドカバー６の上方部にはグリース供給
口８が形成され、これにはグリースニツプル７が
装着されている。ブラケツト４上方部には横方向
にグリース供給通路９が形成され、これは内側エ
ンドカバー３と外側エンドカバー６とによつて構
成される軸受ハウジング内部と連通している。

球軸受２を回転軸１に固定させるために軸ワツ
シヤー１０及び軸ナツト１１が用いられており、
この固定に際しては公知のように、軸ワツシヤー
１０を回転軸１にはめて図示するように球軸受２
に当てがつた後、軸ナツト１１を回転軸１に形成
されたねじ１ａに螺合させ、締めつける。

グリースニツプル７から供給されたグリースは
ハウジング内の空間１２に受容され公知のように
球軸受２に対して潤滑作用を行うのであるが、内
側エンドカバー３の内側周側面及び外側エンドカ
バー６の内側周側面と回転軸１との間の隙間は小
さいので、回転軸１の回転中においても外部にグ
リースがもれることは殆んどない。しかしなが
ら、内側エンドカバー３及び外側エンドカバー６
の内側周側面にはいくつかの溝３ａ，６ａを加工
しなければならず、これらカバー３，６のブラケ
ツト４への固定に当つても、内側周側面と回転軸
１との間の隙間がわずかであるので組立てが困難
であるという欠点があつた。

本考案は上述の点に鑑みてなされたもので、上
記欠点を克服する全く新規な回転電機の軸受装置
を提供することを目的とする。この目的は本考案
によれば回転軸に固定された軸受と、この軸受を
囲む内側エンドカバー及び外側エンドカバーとを
備えた回転電機の軸受装置において、前記内側エ
ンドカバー及び外側エンドカバーとの間にそれぞ
れ軸方向に隙間を形成させ、かつ前記軸受との間
にそれぞれグリース受容部を形成するように一対
のグリース受容体を設け、これら受容体のうち内
側受容体はその内周縁部を前記回転軸の段部と前
記軸受の内輪との間に挾持されて前記回転軸に固
定され、外側受容体はその内周縁部は鋸歯状で外
方に折り曲げられており、該内周縁部を前記回転
軸に密嵌合させ、かつ前記軸受の内輪に圧接させ
ることにより該外側受容体は前記回転軸に固定さ
れると共に前記軸受の軸方向移動を阻止して該軸
受を前記回転軸に固定するようにしたことを特徴
とする回転電機の軸受装置によつて達成される。

以下、本考案の詳細につき図示した実施例に基
づいて説明する。

第２図は本考案実施例による回転電機の軸受装
置の上半部断面図である。図において、第１図の
部分と対応する部分については同一の符号を付
し、その詳細な説明は省略する。本実施例でも内
側エンドカバー２０及び外側エンドカバー２１が
球軸受２を囲むようにブラケツト４にボルトによ
り固定されるが、それらの内周面２０ａ，２１ａ
と回転軸１との間の隙間は従来例を示す第１図の
場合と比べて充分に大きく、組み立ても簡単であ
る。また、それらの内周面２０ａ，２１ａには従
来例の溝３ａ，６ａのような加工は何ら施されて
いない。

球軸受２の両側でエンドカバー２０，２１の内
方には、一対のグリース受容体としてのグリース
バルブ２２，２３が回転軸１に固定されている。
グリースバルブ２２，２３は皿状に折り曲げ加工
されており、それらの外周縁部とエンドカバー２
０，２１との間の軸方向隙間Ｓは充分に小さく、
球軸受２との間にグリース受容部２４，２５を形
成するように構成されている。

グリースバルブ２２，２３のうち内方のグリー
スバルブ２２は回転軸１の段部と球軸受２の内輪
との間の固着によつて回転軸１に対して固定され
るが、外方のグリースバルブ２３の内周縁部は第
３図及び第４図に示すように鋸歯状に形成され、
外方に折り曲げられている。従つて、外方のグリ
ースバルブ２３はその鋸歯２３ａの回転軸１への
密嵌合により、回転軸１に対して固定されると共
に、球軸受２の第２図において右方への移動を防
止する働らきもする。すなわち、本実施例では球
軸受２を固定するのに、従来例のように軸ワツシ
ヤー１０や軸ナツト１１を必要としないばかり
か、回転軸１にねじ１ａを形成する必要もない。

以上のような構成において、回転軸１を回転さ
せると、グリースバルブ２２，２３も共に回転
し、グリースは遠心力を受けて径方向で外方へと
移動しようとする。特に、両エンドカバー２０，
２１とグリースバルブ２２，２３との間の隙間Ｓ
に存在するグリースは径方向外方に遠心力を受け
るので、その軸受外方への漏れは未然に防止され
る。更に、グリースバルブ２２，２３のグリース
受容部２４，２５からグリースが漏れようとして
も、隙間Ｓに存在するグリースが軸受外方へと漏
れるのを抑える働らきをする。以上のようにして
グリースの漏れが防止されるので、両エンドカバ
ー２０，２１の内周面２０ａ，２１ａと回転軸１
との間の隙間を充分に大きくとることができる。

また回転軸１を停止させている場合には、グリ
ースに遠心力が働らかないので、隙間Ｓに存在す
るグリースは流出することが考えられるが、この
隙間Ｓを充分に小さくしておけば、漏れは殆んど
ないようにすることができる。特に、回転軸１の
停止中はグリースの温度も低下し、その粘度が大
きくなる結果、グリース流出はそれだけしにくゝ
なる。従つて、回転軸１が回転中のグリースの漏
れを有効に防止することが肝要とされるが、本考
案の実施例によれば、極めて簡単な構造であるに
もかゝわらず、回転中のグリースの漏れを未然に
防止することができる。この効果は回転軸１の回
転数が高いほど大きくなる。

以上 本考案の実施例について説明したが、勿
論、本考案はこれに限定されることなく、本考案
の技術的思想に基づいて種々の変形が可能であ
る。

例えば、以上の実施例ではグリースバルブ２
２，２３は皿状に折曲げた形状としたが、この形
状に限ることなく、両エンドカバー２０，２１と
の間に軸方向に隙間を形成し、球軸受２との間に
グリース受容部を形成するような形状であれば、
いかなる形状であつてもよい。

また、以上の実施例では球軸受２に適用される
場合を説明したが、一般の転がり軸受、例えば円
筒ころ軸受にも適用可能である。

以上述べたように本考案による回転電機の軸受
装置は極めて簡単な加工かつ構成で、確実にグリ
ースの漏れを防止することができる。また、グリ
ース受容部を回転軸に固定するのに他の固定手段
を設ける必要がなく、回転軸にそのための加工を
施す必要もない。更に軸受を回転軸に固定させる
ためにも兼用されるので軸受構造を簡素化し、コ
ストダウンを図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は回転電機の軸受装置の従来例を示す上
半部断面図、第２図は本考案の実施例による回転
電機の軸受装置の上半部断面図、第３図は第２図
の軸受装置における外方のグリースバルブの上半
部正面図、及び第４図は第３図における−線
方向断面図である。 なお、図において、１……回転軸、２……球軸
受、２０……内側エンドカバー、２１……外側エ
ンドカバー、２２，２３……グリースバルブ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 回転軸に固定された軸受と、この軸受を囲む内
   側エンドカバー及び外側エンドカバーとを備えた
   回転電機の軸受装置において、前記内側エンドカ
   バー及び外側エンドカバーとの間にそれぞれ軸方
   向に隙間を形成させ、かつ前記軸受との間にそれ
   ぞれグリース受容部を形成するように一対のグリ
   ース受容体を設け、これら受容体のうち内側受容
   体はその内周縁部を前記回転軸の段部と前記軸受
   の内輪との間に挾持されて前記回転軸に固定さ
   れ、外側受容体はその内周縁部は鋸歯状で外方に
   折り曲げられており、該内周縁部を前記回転軸に
   密嵌合させ、かつ前記軸受の内輪に圧接させるこ
   とにより該外側受容体は前記回転軸に固定される
   と共に前記軸受の軸方向移動を阻止して該軸受を
   前記回転軸に固定するようにしたことを特徴とす
   る回転電機の軸受装置。