JPS6137544B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、セメントやアルミナなどの粉末原料
の流動焼成炉に関するものである。

従来のこの種の噴流層型動焼成炉は、たとえば
第１図に示すように、流動焼成炉本体ａの中心部
の上昇流が速く、壁際の下降流が遅く、とくに円
錐部所ｂには、流動媒体の停滞域ｃが形成され、
流れが停滞して流動を悪化させる欠点があつた。
これを防止するには、つまり、前記停滞域ｃが形
成されないようにするためには、円錐部所ｂの傾
斜角θを流動媒体の安息角よりも、かなり大きい
ものとすればよいことになるが、それでは流動焼
成炉全体の高さが高くなりすぎるので好ましくな
い。また炉内の滞留量を高さ方向でかせぐので、
流動層の層厚が大となり、したがつて、流動化空
気の空気圧を高圧としなければならないので、ラ
ンニングコストが嵩む欠点がある。

本発明は、従来の流動焼成炉の上記の欠点を解
消するためになされたもので、すなわち、流動焼
成炉全体の高さを増加させることなく、かつ、ラ
ンニングコストを低減することができるととも
に、流動悪化も生じない粉末原料の流動焼成炉を
提供することを目的とするものである。

このため、本発明の構成は、適当な大きさの断
面積を有する流動焼成炉本体と、この焼成炉本体
の中央底部付近に上方開口部を連通させて立設さ
れて噴流用気体を該焼成炉本体の中央底部から上
方に向けて噴出する高速気流管と、この高速気流
の気体出口レベル付近に並列状に設けられて該焼
成炉本体内に流動層を形成させる低速気流を供給
する多数の散気管とを備えていることを特徴とし
ている。

以下、本発明の実施態様について、第２図ない
し第６図を参照しながら説明する。

第２図および第３図は本発明の第１実施例を示
したもので、セメントクリンカ高温焼成に適した
流動焼成炉の例である。

同図において、１は流動焼成炉本体である。２
は高速気流管で、前記焼成炉本体１の中央底部付
近に上方開口部を連通させて立設されて噴流用気
体体を該焼成炉本体１の中央底部から上方に向け
て噴出するようになつており、また第一次分級管
としての役目をもする。３は低速気流管で、前記
高速気流管２の下部に連通状に設けられており、
第二次分級管としての役目をする。４は散気管
で、前記高速気流管２の気体出口レベル付近に並
列状に多数設けられており、横方向に多数の通気
孔を有して該焼成炉本体１内に流動層を形成させ
る低速気流を供給するようになつている。また散
気管４は第３図にみられるように、該焼成炉本体
１に対して取はずし可能（引き抜き可能）に取付
けられている。５はバーナ、６は排気管、７は原
料供給管、８はエアロツクババルブ、９は噴流
部、１０は流動部、１１はフリーボード、１２は
前記散管４の曲げを防止するために該散気散４の
下部に充てんされた不活性（高温度でも溶融しな
い）の充てん物、１３はクリンカ取出口、１４は
残留物取出口、１５は前記高速気流管２に気体を
供給する気体供給管、１６は前記低速気流管３に
気体を供給する気体供給管、第３図にみられる１
７は前記散気管４に気体を供給する気体供給管で
ある。

第２図および第３図に示すように構成された粉
末原料の流動焼成炉においては、セメントクリン
カ高温焼成の場合には、中央の高速気流管２（第
一次分級帯）は分級目標粒子径の終末速度の風速
とし、低速気流管３（第二次分級帯）は分級目標
流子径の流動化開始速度の風速とし、流動焼成炉
本体１の噴流部９に噴流層を形成させる。一方、
散気管４からは流動焼成炉本体１の流動部１０の
流動層中の粒子の流動を保持する程度の空気を供
給し、中央の高速気流管２と低速気流管３および
散気管４との全空気量の流動層における平均空塔
速度を毎秒２〜３メートルになるようにし、バー
ナ５から燃料を吹込み、燃焼を行なわせて、流動
層内温度を1350〜1400℃に維持した状態で、原料
供給管７からセメント原料を投入すると、原料ど
うしの衝突あるいは流動中の粒子と原料の衝突に
より、一時的に1000〜1300℃の溶融物質が形成さ
れ、これがバインダとなつて造粒が行なわれ、よ
り高融点のセメントクリンカとなつて、流動運動
を行ない、２〜６ミリメートル粒子のみが中央の
高速気流管２および低速気流管３で分級され、ク
リンカ鉱物としてクリンカ取出口１３から取出さ
れる。

このように、第２図および第３図に示した粉末
原料の流動焼成炉においては、中央部に設けられ
た分級機構を兼ねた高速気流管２で粒子群を層上
方に輸送する噴流部９と、このまわりに粒子の流
動を保持する程度の速度を有する流動部１０とを
有し、したがつて、流動焼成炉全体の高さを増加
させないで、流動悪化を防止することができるの
みならず、低い層厚で滞留量を多くすることがで
き、かつ、流動化空気も低圧で足り、ランニング
コストの低減を図ることができる。また流動部１
０の下部には多数の散気管４が設けられ、流動は
散気管４からの空気によつて行なわれる。。そし
て散気管４の下部には充てん物１２が敷きつめら
れていて、散気管４の曲げを防止しており、しか
も、散気管４は熱膨張の影響を考慮した構造であ
るとともに、取りはずし可能な構造となつてお
り、定期検査等の場合には、これを引き抜くこと
により、流動炉内残留物は完全に排出することが
できる。

第４図は本発明の第２実施例を示したもので、
ちようど、第３図に対応させて示している。すな
わち、第３図は流動焼成炉本体１が円筒型である
のに対し、第４図では、それが矩形型であるだけ
の相違であり、その他は全く同様である。

第５図は本発明の第３実施例を示したもので、
主として散気管４の配列を示している。この実施
例では、散気管４の配列が角度αをもつて焼成炉
本体１の炉壁に近いほうを高くしている。このよ
うにすることによつて、炉壁際を降下した粒体等
が矢印１８で示すように、中央へ移動し易くな
る。なおその他は然記第１実施例と同様である。

第６図は本発明の第４実施例を示したもので、
ちようど、第５図に対応させて示している。すな
わち、この実施例では、散気管４どうしの間隔を
粒子径よりも広く取つて上下２段に千鳥状に、か
つ、角度αをつけて配列している。このようにす
ることによつて、第５図のように炉壁際を降下し
た粒体等の中央への移動が容易になり、かつ、粒
子の排出が簡単にでき、さらに大きい大塊等の残
留物でも、矢印１９で示すように、その排出が容
易となる。

上述のように、本発明によれば、流動焼帯成炉
全体の高さを増加させないで、大型化することが
可能となり、かつ、流動媒体の炉内滞留時間の増
大を図ることができ、しかも、炉内に停滞域が形
成されることもなくなる。また流動層圧を低くす
ることが可能なため、流動化の気体圧も低圧力で
まかなえることになり、ランニングコストの低減
化も図れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の噴流型流動焼成炉の説明図、第
２図は本発明の第１実施例を示した縦断正面図、
第３図は第２図の切断線Ａ―Ａに沿う断面平面
図、第４図は本発明の第２実施例の一部を示した
断面平面図、第５図は本発明の第３実施例の一部
を示した縦断正面図、第６図は本発明の第４実施
例の一部を示した縦断正面図である。 １……流動焼成炉本体、２……高速気流管、３
……低速気流管、４……散気管、５……バーナ、
６……排気管、７……原料供給管、８……エアロ
ツクバルブ、９……噴流部、１０……流動部、１
１……フリーボード、１２……充てん物、１３…
…クリンカ取出口、１４……残留物取出口、１
５，１６，１７……気体供給管。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 適当な大きさの断面積を有する流動焼成炉本
   体と、この焼成炉本体の中央底部付近に上方開口
   部を連通させて立設されて噴流用気体を該焼成炉
   本体の中央底部から上方に向けて噴出する高速気
   流管と、この高速気流管の気体出口レベル付近に
   並列状に設けられて該焼成炉本体内に流動層を形
   成させる低速気流を供給する多数の散気管とを備
   えていることを特徴とする、粉末原料の流動焼成
   炉。