JPS6137489B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は同期駆動ベルトとプリーとの組合せ
に係る。

このベルトは表面に歯がモールドされているエ
ンドレスベルトであり、その歯はプリー内の溝に
噛み合い、同期駆動システムを形成する。この発
明は主としてベルト歯とそれに対応するプリーの
溝の設計及び形状に関係する。同期駆動ベルトは
広く工業に、例えば自動車工業に於てエンジンの
カム軸及び補助機を駆動するためのタイミングベ
ルトとして使用されている。

かゝるベルトに於て、ベルトが伸びて、歯が噛
み合いから外れることがないようベルトの長手方
向に高い弾性率が望まれる。そしてベルトに於け
る歯は駆動輪によつて課せられた大きな荷重の下
で、歯が剪断されないようにベルトカーカスにし
つかりと取り付けられるべきである。又次のよう
な事が高く望まれる。即ちベルトの歯はそれがプ
リーの歯と円滑に噛み合い、そしてプリーの歯と
の間で干渉を生じないような形であり、そのため
ベルトの歯の側面にひどい磨耗を生ぜず、かつ騒
音を生じないことが高く望まれる。プリーの歯の
側面と接触しているベルトの歯の側面は接触圧力
を低く保ち、そして歯のねじを最小にするため、
出来るだけ大きな面積をとることが望ましい。現
在ベルトの歯は一般にトラペゾイト（梯型）であ
る。これらは歯厚と全歯たけに於て制限されてお
り、もし歯がそれ自身の歯厚に比較して歯たけが
深すぎるならば、それらの先端は歯溝と噛み合い
そして離れる時、歯溝の壁と干渉するであろう。
それ故これはその接触面積を制限する。その形は
また噛み合中プリーと点接触し、その結果ベルト
歯に高い応力とねじれをもたらす。これらの因子
は、所定ピツチのベルトを介して伝達されうる馬
力の大きさを制限する。本発明の目的はこの梯形
歯型の欠陥を克服することにある。

本発明によれば、ベルトピツチラインに沿つて
延び、ピツチラインを形成する少なくとも１つの
高弾性率補強部材で補強された弾性エラストマー
からなり、ピツチＰだけ均等に隔たりかつＰより
も小さい想像上の歯厚Ｗを持つ一連の同形の歯を
有するエンドレス同期駆動ベルトにおいて、各歯
がほぼ同じ前、後表面を有し、これら前後表面の
全部又はその大部分を断面において半径Ｗの円の
円弧で形成しており、上記円弧の中心はピツチラ
インとピツチラインに向つて延びる歯の輪郭線の
想像上の延長線との交点に配置されており、各歯
のこれらの円弧がその中心をピツチライン上に距
離Ｗだけ離しておいてなるエンドレス同期駆動ベ
ルト；及び 多数の同一形状のベルト係合歯を有し各歯の間
にプリー溝を形成したプリーであつて、各プリー
溝はその前後の面の全部又はその大部分を、断面
において半径Ｗ＋CAの円弧として形成してお
り、ここにCAは所望のベルト歯：プリー溝クリ
アランスの1/2であり、前記両円弧はその中心を
ピツチ円上に距離Ｗだけ離して置いており、この
ピツチ円半径は歯の外周におけるプリーの外半径
に歯間のベルトベースとベルトピツチラインとの
間の距離を加えたものであるようになされたプリ
ー；を含んで構成されてなるエンドレス同期駆動
ベルトとプリーの組合せ：並びにベルトピツチラ
インに沿つて延び、ピツチラインを形成する少な
くとも１つの高弾性率補強部材で補強された弾性
エラストマーからなり、ピツチＰだけ均等に隔た
りかつＰよりも小さい想像上の歯厚Ｗを持つ一連
の同形の歯を有するエンドレス同期駆動ベルトに
おいて、各歯がほぼ同じ前、後表面を有し、これ
ら前後表面の全部又はその大部分を断面において
半径Ｗの円の円弧で形成しており、上記円弧の中
心はピツチラインとピツチラインに向つて延びる
歯の輪郭線の想像上の延長線との交点に配置され
ており、各歯のこれらの円弧がその中心をピツチ
ライン上に距離Ｗだけ離しておいていることを特
徴とするエンドレス同期駆動ベルト； 多数の同一形状のベルト係合歯を有し、各歯の
間にプリー溝を形成したプリーであつて、各プリ
ー溝がほぼ同一の前、後表面を有し、これら前後
表面の全部又はその大部分を、断面において半径
Ｗ＋CBの円弧として形成しており、ここにCBは
所望のベルト歯：プリー溝クリアランスであり、
前記両円弧はその中心をピツチ円上に距離Ｗ＋
CBだけ離しており、このピツチ円半径は歯の外
周におけるプリーの外半径に歯間のベルトベース
とベルトピツチラインとの間の距離を加えたもの
であるようになされたプリー；を含んで構成され
てなる同期駆動ベルトとプリーとの組合せ：が提
供される。

歯の頂点は平坦でも曲面でもよく、その形はク
リアランス（間隙）がその頂点と使用されるプリ
ーの溝の底との間に存在するかぎり、精密なもの
でなくてよい。歯の角には曲率をつけることが望
ましい。そしてベルトのピツチラインはベルトの
中立軸上に置かれるべきである。

一般にいつて、有用なベルトの比Ｗ：Ｐは
0.33：１と0.8：１との間に存在する。更に、
かゝるベルトは任意の大きさに作られうるが、ピ
ツチを２mm〜30mmとすることが好適である。

かくして、本発明に係る新規なベルトはベルト
歯の前後側面の全部又はその大部分、すなわちプ
リー溝の側面と係合する部分であつて側面の半分
以上を占める部分が、ベルトピツチライン（実際
には中立軸）上にそして歯の中心から想像上の歯
厚の1/2の長さだけ離れた距離に中心をおく、半
径が想像上の歯厚に等しい円の弧で形成された歯
の輪郭を有している。以下に更に詳細に説明する
如く、歯の前後面は耐磨耗性布で補強されること
ができる。

本発明は、上述のエンドレス同期ベルトと、多
数の同一形状のベルト係合歯を有し歯の間にプリ
ー溝を形成したプリーとの組合せに係るものであ
る。ここに於て、各プリー溝はベルト歯の前後側
面と同様その前後の面の全部又はその大部分を断
面に於て半径Ｗ＋CAの円弧として形成してお
り、こゝにCAは所望のベルト歯：プリー溝クリ
アランス1/2であり、前記両円弧はその中心ピツ
チ円上に距離Ｗだけ離して置いておりこのピツチ
円半径は歯の外周に於けるプリーの外半径に歯間
のベルトベースとベルトピツチラインとの間の距
離を加えたものである。

プリー溝は、ピツチ円の直径を基準として構成
するが、この円はベルトのピツチにプリーに於け
る歯の数だけかけた円周長を有する。プリーの外
径は、ベルトのピツチ高さ（PITCH HIGHT）
の２倍分だけピツチ円の直径より少ない。ピツチ
ライン上にピツチをしるすと、これらが各溝の中
心となる。前記ピツチ上の歯中心の両側に、ベル
ト断面における想像上の歯厚の1/2の距離にそれ
ぞれ中心点をしるす。半径として想像上の歯厚に
所望のベルト歯―溝のクリアランスの1/2を加え
たものを採用し、そして上記中心点の一つを中心
に、プリーの外径から歯の中心線に向つて円弧を
描く。他方の中心点に対してもこの操作を繰返
す。溝の底は曲面でもよいし、平坦でもよい。そ
の正確な形はベルト歯の頂点とプリー溝の底の間
にクリアランスがあれば制限されない。プーリー
の頂点の角はベルトに於ける対応半径のそれと等
しいか、それより大きい半径でまるめられるべき
である。

本発明の第２の態様は、上記のエンドレス同期
ベルトと、多数の同一形状のベルト係合を有し歯
の間にプリー溝を形成したプリーとの組合せであ
り、各プリー溝はその前後の面の全部又はその大
部分を、断面に於て半径Ｗ＋CBの円弧として形
成しており、ここにCBは所望のベルト歯；プリ
ー溝クリアランスであり前記両円弧はその中心を
ピツチ円上に距離Ｗ＋CB離して置いており、こ
のピツチ円半径は歯の外周におけるプリーの外半
径に、歯間のベルトベースとベルトピツチライン
との間の距離を加えたものである。

プリー溝のこの第二の形態は、溝の側壁を構成
する円弧の両中心がピツチライン上に歯のセンタ
ーラインから等距離であつて、想像上の歯厚に所
望のベルト歯―溝クリアランスを加えた距離だけ
離されていること、及びこれが円弧の半径である
ことを除いては本発明の前記第１の形態と同様に
構成される。

本発明に係るベルトは、次のように作られる。
ベース材料は弾性エラストマーであり、非常に高
い多数のコードから通常作られる長手方向張力部
材で補強されることができる。これらのコードは
ベルトの中立軸に中心をもち、それらの位置によ
り、ピツチラインを形成する。これらのコードは
グラスフアイバー、カーボンフアイバー、鋼、ポ
リエステル、或は強力レーヨンから作られる。歯
の表面はもし要求されれば、例えばナイロンの如
き耐磨耗性布で補強される。ベルトは多種のエラ
ストマーから作られうる。これらはポリクロロプ
レン、ポリウレタン、アクリロニトリル、ゴム及
びイソブチレン／イソプレン共重合体を含む。プ
リーは金属、焼結金属、熱硬化性や熱可塑性ポリ
マーを含む多種の物質から作られうる。

梯形断面に対するタイプの歯の利点は次の通り
である。

(1) 高Ｗ：Ｐ（即ち歯厚／ピツチ）比が可能であ
る。これは相当に高い剪断強さをもつ広いベー
スを可能とする。

(2) 小さいプリーと、噛み合いに於て干渉するこ
となく、歯の深さを増大させることが可能であ
る。これはプリー溝からの接線荷重がかかる歯
の面積を増加し、かくしてベルト歯／プリー溝
内面に於ける圧力を減じ、ベルトのねじれを減
じ、そして表面磨耗を最小にする。

(3) 歯の噛み合い時及びはなれる時、歯は想像上
の歯厚がしるされているピツチライン上の中心
点を中心としてプリーの溝内に巻き込まれてい
く。これは、ベルトピツチラインとプリーピツ
チラインの係合する場所及び離れてゆく場所に
於いて起り初め、歯が充分噛み合うまで続けら
れる。梯形の歯の場合には、最後のかみ合の間
に干渉がしばしば起り或は点接触が生じてい
た。本発明は添付図面に従つて更に記載される
であろう。

第１図および第２図において、ベルトは一般に
平坦な外表面１と歯のある内面２とを有してい
る。歯３は一様な距離４離れており、この距離は
ベルトのピツチＰである。歯３は、想像上の歯厚
Ｗ、すなわち第２図において７で示す長さをベル
トピツチライン８の上の二つの間隔を置いた点５
及び６とし、それを基準として構成される。歯の
各側面９の全部又はその大部分は、夫々対応する
点５或は６に中心を有し、歯厚Ｗに等しい半径を
有する円の弧で構成される。歯の頂点１０は平担
で示され、その角１１及１２は丸くなつている。
第３図及第４図において、プリー１３（たゞその
外観のみが示されている）はベルト歯３に適合す
るように溝１４を連続して有している。各溝１４
はピツチ円１５をプリー１３の周囲に描き、これ
を基準にして構成される。プリー外径１６は既に
説明した如く、ピツチ円直径よりベルトのピツチ
高さ１７（第２図）の２倍だけ少ない。本発明の
第１の態様においては、歯厚Ｗがピツチ円１５
（第４図）上に二つの間隔をおいた点１８及び１
９としてしるされる。そして円弧２０は点１８及
１９に中心をもち、歯厚ＷにフアクターCAを加
えたものを半径として描かれ、このCAは所望の
ベルト歯／プリー溝クリアランスの1/2である。
これら二つの円弧２０はプリー溝の側面を示す。
夫々の弧２０とプリー外径２２との間の連結部２
１は通常丸くされるべきであり、一方円弧が交差
する部分は平坦に残すか或は（２３で示す如く）
曲面とされる。

第５図に示す如き本発明の第２の態様において
は、第４図の点１８及１９に相当する点２４及２
５は距離２６だけ離れて置かれている。この距離
は、ベルト歯厚Ｗにベルト歯／プリー溝クリアラ
ンスCBを加えたものに等しい。距離２６は、ま
た点２４及び２５に中心をもつ円弧２７の半径と
して用いられ、これらの弧は第４図の円弧２０に
相当する。構造は其他の点では同様である。

ある代表的実施例と詳細がこの発明を図示する
ために示されているが種々の変形と応用がこの発
明の精神と領域から離れることなくなされうると
いう事は当業者に対し明白であろう。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明に係るベルトの斜視図であ
る。第２図は拡大して示したベルトの端面図であ
る。第３図はこの発明のベルトとプリーとの組合
せを実施するためベルトとともに使用されるプリ
ーの側面図である。第４図はプリーの溝の一つの
形を拡大して示す断片図である。第５図はプリー
の溝の他の一つの形を示す同様な断片図である。 １；外表面、２；内面、３；歯、４；ベルトの
ピツチ、５，６；ピツチ線上の中心点、７；想像
上の歯厚、８；ベルトピツチライン、９；歯の側
面、１０；歯の頂点、１１，１２；歯の角、１
３；プリー、１４；溝、１５；ピツチ円、１６；
プリー外径、１７；ベルトのピツチ高さ、１８，
１９；ピツチライン上の中心点、２０；円弧。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ベルトピツチラインに沿つて延び、ピツチラ
   インを形成する少なくとも１つの高弾性率補強部
   材で補強された弾性エラストマーからなり、ピツ
   チＰだけ均等に隔たりかつＰよりも小さい想像上
   の歯厚Ｗを持つ一連の同形の歯を有するエンドレ
   ス同期駆動ベルトにおいて、各歯がほぼ同じ前、
   後表面を有し、これら前後表面の全部又はその大
   部分を断面において半径Ｗの円の円弧で形成して
   おり、上記円弧の中心はピツチラインとピツチラ
   インに向つて延びる歯の輪郭線の想像上の延長線
   との交点に配置されており、各歯のこれらの円弧
   がその中心をピツチライン上に距離Ｗだけ離して
   おいてなるエンドレス同期駆動ベルト；及び 多数の同一形状のベルト係合歯を有し各歯の間
   にプリー溝を形成したプリーであつて、各プリー
   溝はその前後の面の全部又はその大部分を、断面
   において半径Ｗ＋CAの円弧として形成してお
   り、ここにCAは所望のベルト歯：プリー溝クリ
   アランスの1/2であり、前記両円弧はその中心を
   ピツチ円上に距離Ｗだけ離して置いており、この
   ピツチ円半径は歯の外周におけるプリーの外半径
   に歯間のベルトベースとベルトピツチラインとの
   間の距離を加えたものであるようになされたプリ
   ー； を含んで構成されてなるエンドレス同期駆動ベ
   ルトとプリーの組合せ。 ２ ベルトピツチラインに沿つて延び、ピツチラ
   インを形成する少なくとも１つの高弾性率補強部
   材で補強された弾性エラストマーからなり、ピツ
   チＰだけ均等に隔たりかつＰよりも小さい想像上
   の歯厚Ｗを持つ一連の同形の歯を有するエンドレ
   ス同期駆動ベルトにおいて、各歯がほぼ同じ前、
   後表面を有し、これら前後表面の全部又はその大
   部分を断面において半径Ｗの円の円弧で形成して
   おり、上記円弧の中心はピツチラインとピツチラ
   インに向つて延びる歯の輪郭線の想像上の延長線
   との交点に配置されており、各歯のこれらの円弧
   がその中心をピツチライン上に距離Ｗだけ離して
   おいていることを特徴とするエンドレス同期駆動
   ベルト； 多数の同一形状のベルト係合歯を有し、各歯の
   間にプリー溝を形成したプリーであつて、各プリ
   ー溝がほぼ同一の前、後表面を有し、これら前後
   表面の全部又はその大部分を、断面において半径
   Ｗ＋CBの円弧として形成しており、ここにCBは
   所望のベルト歯：プリー溝クリアランスであり、
   前記両円弧はその中心をピツチ円上に距離Ｗ＋
   CBだけ離しておいており、このピツチ円半径は
   歯の外周におけるプリーの外半径に歯間のベルト
   ベースとピツチラインとの間の距離を加えたもの
   であるようになされたプリー； を含んで構成されてなる同期駆動ベルトとプリ
   ーとの組合せ。