JPS6136817Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はドラムインデイスクブレーキ用ロータ
に関するものであり、特にデイスク部が鋳鉄製
で、ドラム部が鋼板製であるドラムインデイスク
ブレーキ用ロータに関するものである。

車両用ブレーキは、その性能からみればサービ
スブレーキとしてはデイスクブレーキがすぐれ、
駐車ブレーキとしてはドラムブレーキがすぐれて
いる。両者の特長を具備することを要求される高
性能車のリアーブレーキには、ドラムブレーキを
組込んだドラムインデイスクブレーキが使用され
る。ところが、このブレーキのロータは、従来一
般にデイスクとドラムが一体に鋳物でつくられて
いた。しかし、鋳物は一般にもろく割れ易いため
強度上ある程度厚くつくる必要があるので重量が
ふえ、またドラム部は切削加工を要するのでコス
トが高くなる傾向があつた。

更に、ドラム部の重量が大きくなるに伴い懸架
バネより下方のバネ下重量も増加し、乗りごこち
などにも悪影響を及ぼしていた。

本考案は、デイスク部とドラム部を鋳鉄製で一
体としたことに起因する上記の各不具合を解消し
得るドラムインデイスクブレーキ用ロータを提供
することを目的とする。

この目的を達成するために、本考案に係るロー
タは、有底円筒状のドラム本体部の開口側外周面
から半径方向外向きに複数の結合用フランジが放
射状に突設された形状の鋼板のプレス成形品であ
るドラム部と、前記結合用フランジをそれの基端
部を一定長さ露出させた状態で鋳ぐるむことによ
り該ドラム部に固定された鋳鉄製の円環状デイス
ク部とから構成され、かつ、前記結合用フランジ
の少なくとも前記デイスク部内に鋳ぐるまれてい
る部分が前記ドラム部の半径方向において湾曲さ
せられる。

以下本考案の一実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。

本実施例のドラムインデイスクブレーキ用ロー
タ２は、第１図及び第２図に示すように鋼板製の
ドラム部４と鋳鉄製の円環状デイスク部６とから
なつている。ドラム部４は、プレス製品であり、
中央に車輪のハブに嵌合される嵌合穴８及びその
周辺に等間隔に形成されたボルト穴１０を有する
板状部１２を備えて全体として有底円筒状を成す
ドラム本体部１４と、このドラム本体部１４の開
口側外周面から半径方向外向きに放射状に延びる
複数（本実施例では６本）のフランジ部１６とか
ら成つている。フランジ部１６はほぼ一定の巾ｂ
をもち、ドラム本体部１４に接続されている基部
１７から先端部までドラム本体部１４の半径方向
において一定の曲率をもつて湾曲させられてい
る。フランジ部１６のドラム本体部１４への接続
部１８の曲率半径は、応力集中の緩和を図るため
できる限り大きくされている。また、フランジ部
１６のすべての縁は、角が丸められている。

以上のようにドラム部４のフランジ部１６は、
ねずみ鋳鉄によつて鋳ぐるまれており、円筒状デ
イスク部６が形成されている。この場合、フラン
ジ部１６を鋳ぐるむに当つて基端部１７を一定長
さだけ露出させることが望ましい。ドラム本体部
１４と円環状デイスク部６との間の熱膨張率の差
による応力集中を少くするためである。デイスク
部６は両側面２０，２２及び外周面２４が機械加
工されている。

このように構成されたドラムインデイスクブレ
ーキ用ロータ２は、円環状デイスク部６が鋳鉄か
らなつているため、デイスクブレーキ部について
は、従来の一体鋳造式のドラムインデイスクブレ
ーキ用ロータと同じ摩擦特性が得られ、同じサー
ビスブレーキ性能を維持することができると共
に、ドラム本体部１４は駐車ブレーキ用であり過
酷な摺動を生じないので鋼板で十分耐えることが
でき、鋳鉄一体式のブレーキ用ロータと同等に駐
車ブレーキ性能を確保することができる。

また、ドラム部４は強度、靭性の優れた鋼板製
であるため肉厚が薄くできるので、全体として軽
量化を図ることができ、またドラム部４の内外周
面等の機械加工を低減させることができる。ドラ
ム部４のフランジ部１６を鋳鉄で鋳ぐるむために
工数が増大するが、ドラム部４は量産性の良いプ
レス加工で製造することができ、また機械加工々
数を低減し得ることにより、全体としては安価に
製造し得る。

ドラム部４の材料は、炭素鋼、合金鋼等いずれ
でも使用可能であるが、熱膨張率がデイスク部６
の熱膨張率にできる限り近いものであることが望
ましい。しかし、絞り加工性、入手の容易さ等の
理由から材料が規制され、ドラム本体部１４とデ
イスク部６との間に僅かな熱膨張差が生ずること
が考えられる。従つて、前述の如くデイスク部６
で鋳ぐるむに当つて基端部１７を一定長さだけ露
出させて応力集中を少くすることが望ましい。こ
の露出部分の長さは、ドラム本体部１４とデイス
ク部６との熱膨張率の差、制動時に作用する負荷
の大きさ等種々の条件を考慮して決定されるべき
ものである。また、フランジ部１６がドラム部４
の半径方向において湾曲させられて円弧状を成し
ていることは、フランジ部１６とデイスク部６と
の接合強度を高めるのに役立つている。フランジ
部１６は相互に独立した状態となつており、鋼板
製ドラム部４と鋳鉄製デイスク部６との熱膨張差
に起因する応力が、できる限り解放されるように
されている。

本考案に係るドラムインデイスクブレーキ用ロ
ータは以上詳記したように、デイスクブレーキ部
の円環状デイスク部は鋳鉄で形成されるためその
摩擦特性は一体鋳造式のデイスクと同等に維持さ
れ、ドラム部は鋼板で形成されるが駐車ブレーキ
用であるため過酷な摺動を生ずるものではなく、
一体鋳造式のドラムと同等に駐車ブレーキ性能を
保証し得るものである。

また、本考案に係るドラムインデイスクブレー
キ用ロータは、ドラム部が鋼板で形成されるもの
であるため、重量を著しく軽減し得る効果を奏す
るものであり、ひいてはバネ下重量の軽減により
車両の走行性能と乗りごこちの改善にも好影響を
もたらし得るものである。

また、ドラム部の切削工数を低減し得ることに
より、コストの低減と生産性の向上にも寄与し得
るものである。

さらに、デイスク部に鋳ぐるまれるフランジが
複数半径方向に放射状に突設されるとともに基端
部が一定長さ露出させられているため、デイスク
部とドラム部との熱膨張差による応力集中を回避
することができる。また、各フランジのデイスク
部に鋳ぐるまれている部分がドラム部の半径方向
において湾曲させられているため、フランジとデ
イスク部との結合強度が高く、上記応力集中の回
避との相乗効果によつて結合部の剥離が良好に回
避される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例であるドラムイン
デイスクブレーキ用ロータの正面図であり、第２
図は第１図におけるＡ−Ａ断面図である。 ２：ドラムインデイスクブレーキ用ロータ、
４：ドラム部、６：円環状デイスク部、１４：ド
ラム本体部、１６：フランジ部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 有底円筒状のドラム本体部の開口側外周面から
   半径方向外向きに複数の結合用フランジが放射状
   に突設された形状の鋼板のプレス成形品であるド
   ラム部と、前記結合用フランジをそれの基端部を
   一定長さ露出させた状態で鋳ぐるむことにより該
   ドラム部に固定された鋳鉄製の円環状デイスク部
   とから成り、かつ、前記結合用フランジの少なく
   とも前記デイスク部内に鋳ぐるまれている部分が
   前記ドラム部の半径方向において湾曲させられて
   いるドラムインデイスクブレーキ用ロータ。