JPS6136097Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は極めて簡単な構成で、調理性能の良好
な、材料費の引き下げを可能にしたオーブン機能
およびグリル機能付の高周波加熱装置に関するも
のである。

電熱装置付高周波加熱装置いわゆるオーブンレ
ンジのオーブン方式には調理物を入れる庫内に設
けたヒーターの輻射熱とそれに伴なつて起きる熱
の対流とで焼く“自然対流式”と熱源を庫外に設
け、熱交換を庫外で行ない、熱せられた空気を庫
内に送り込み、仕事を終えた空気をまた庫外で暖
める“強制熱風循環方式”とに大別することがで
きる。この自然対流方式は庫内の上下にヒーター
が設けられていることから“上下ヒータ方式”と
もいわれるが、この場合、上ヒータはともかく、
下側のヒーターは庫内に食品の汁をこぼしたりし
た場合掃除もしにくく不都合であつた。ヒーター
が外せるものがあるが手間のかかるものであつ
た。このような欠点をなくし、すなわち庫内のヒ
ーターをなくしたものが熱風循環式でこの場合、
熱風が庫内を流れているので流れの中に調理物を
置いてやれば、一度に何個・何段もの調理が可能
となるという利点がある。

しかしながら、この熱風循環式オーブンレンジ
では我々の家庭でよく食べる。マカロニグラタン
等のグラタン類やサバ等の焼き魚・とりのもも焼
きといつた表面に焦げ目を付けた、いわゆるグリ
ル料理はできない。そこで、庫内にシーズヒータ
ーやガラス管内に電熱線を封入したヒーターを設
け、これらの輻射熱で焦げ目を付けている。つま
り、グリル機能付熱風循環オーブンレンジでは２
つのヒーターが必要とされた。いうまでもなく１
つは熱風熱源用ヒーターであり、もう一つはグリ
ル用ヒーターである。

第１図に示すように、一部では加熱室後壁１６
の熱風吸い込み口加熱庫内側に移動可能なシーズ
ヒーター１７を設けて、オーブン加熱時は加熱室
後壁の吸い込み口手前に位置させて熱風用の熱源
とし、グリル機能を必要とする時には、その可動
自在なヒーターを使用者が製品外部から手動にて
操作し、食品近傍まで移動させて焦げ目をつける
製品も見られる。この場合、何よりも手動にてヒ
ーターの位置を決めてやる操作が余分に必要なこ
とと、グリル調理の場合、前述したマカロニグラ
タンやとりのもも焼き等が多いと思われるが、一
般には電子レンジにて食品内部を加熱してから表
面に焦げ目を付ける形のものがそのほとんどで、
現在オーブンレンジに多く見られるマイクロコン
ピユーターを利用した自動調理などを行なうにあ
たつてはヒーターの調理中での移動など、容器等
との関連もあり、かなりむずかしいこと、また、
電子レンジを使いたい時、ヒーターがグリルの位
置にある場合は電子レンジを使うことができない
上、食品・容器の形状等によつては、ヒーターの
移動範囲からして焦げ目付機能が不充分であり、
ヒーター位置の設定次第では食品がターンテーブ
ルの回転で回り始めると、ヒーターと接触してし
まうことも考えられる。また、ヒーターを外部か
ら可動自在にしているのでその構造は極めて複雑
なものであつた。

本考案はこのような背景から、別機能の熱源の
単一化を実現しながら、ヒーターの固定化をも実
現できるので、余分な手間は全く必要とせず、使
い勝手も良く、構造もはるかに簡単にできること
から安価に提供することができるものである。

以下、本考案による一実施例を添付図面ととも
に説明する。

第２図において、１は調理加熱室の前板でその
開口部２には調理物の出し入れのために開閉自在
に扉３が上側にとつ手４とともに設けられてい
る。５は調理物の加熱ムラをなくすために設けら
れた回転載置台で加熱室外底面に設けられた駆動
用プーリー６に対応して回転する。この載置台５
は強制熱風循環によるオーブン加熱時（パンの発
酵は除く）、グリルヒーターの輻射熱によるグリ
ル加熱時および高周波加熱時に回転する。７は強
制熱風循環用のフアンで８はその駆動用モーター
である。循環フアン７が回り始めると庫内の冷た
い空気は加熱室上板に固定して設けられた熱源で
あるヒーター９の近傍を通り抜ける際、ヒーター
の熱により急激に熱せられながら加熱室上板に設
けられた熱風吸気用穴１０を通り、上板上部に設
けられた吸気熱風ダクト１１により循環フアン７
まで導かれる。循環フアン７を通つた熱風は加熱
室後壁１２の後に設けられたダクト１３の中を通
り後壁１２に、調理ムラ性能を考慮して設けられ
た噴き出し穴１４を通り抜け、庫内に入れられた
食品に直接および間接的に熱を与える。各部に熱
を供給し熱を失なつた熱風は熱源のヒーター９で
熱をもらい同様のことを繰り返す。１５は加熱室
上板にヒーター９を囲うような形状に設けられた
熱風案内体である。この熱風案内体１５はヒータ
ー９の外周を近接して囲むような形状となつてお
り、移動する風が必ずヒーター９近傍を通過する
ようにする為及びヒーター９を通過する風のスピ
ードを増大させるため、すなわち熱交換の効率向
上に大きな役割を果たすものである。また、この
熱風案内板１５はグリル加熱時に庫内の風の動き
がないために、シーズヒーターの場合、ヒーター
表面温度で約800〜850℃程度まで上昇するが、こ
の輻射熱が、扉３の庫内側に設けたガラススクリ
ーン（図示せず）を傷めるのを緩和する働きをも
成している。

本考案の概略は以上であるが、現在のオーブ
ン・グリル設計において注目すべき点は、その調
理性能と省エネルギー性および省コストである。
熱風循環方式の場合、前述したように、上下ヒー
ター式とは加熱方式が異なり、熱風が直接調理物
に当たるため、調理物は周囲（表皮）側ほど焦げ
やすく表面はより乾燥しやすい。これは調理物に
当たる熱風の速度が速いほど、この傾向が強いと
過去の製品からも言えそうである。このことか
ら、良好な調理性能を得るためには熱風噴き出し
口１４を通り抜ける風速はある値を越えないこと
がより好ましいと考えられる。また、省エネルギ
ーの面で考えた場合、同じ電気量を与えた時、設
定温度に早く達する方がより省エネであることは
言うまでもないが、このいわゆる“立ち上がり速
度”を速くするためには熱風経路全体での熱交換
の効率を向上させる必要がある。つまり、熱源で
あるヒーターにどのように風を当てるかと、経路
の熱ロスをどのようにして小さくするかで決まる
（ヒーター能力に制約がある場合）。本考案におけ
る構成の場合、ヒーターにムラなく速い風を当て
てやるほど熱交換はスムーズに行われた。このこ
とはヒーターの表面温度を測定することで判断で
きる。フアン７が停止している時、850℃ほどの
ヒーター温度は風を効率よく当てることによつ
て、庫内中央の温度を250℃前後に保ちながら、
470〜490℃にまで下げることが可能であつた。
500℃前後のヒーター表面温度であれば、加熱室
内にオーブン加熱用熱源があつても、その輻射熱
が与える調理物への影響も少なく、熱風の移動に
よる加熱のみで行なつた場合と殆んど変わらない
結果も実験より得られた。

以上のことから、調理性能と省エネの両方を本
考案にて満足させる場合、噴き出し口１４での風
速は遅く、熱風案内板１５内を通過する際は出来
るだけ速いことが必要となる。また、グリル加熱
時（フアンは停止）は回転載置台５が回転する構
成としているので、ヒーターからの輻射は載置台
５の半径分だけ当たるように設ければ全体に焦げ
めをつけることが容易にできる。このことからヒ
ーター９の外形寸法を小さくすることが可能とな
り、熱風案内板１５の開口寸法も小さくでき、す
なわち、噴き出し口１４の開口面積より熱風吸気
用穴１０の開口率を小さくでき、その結果ヒータ
ー９を通過する熱風の速度を上げることが可能と
なり熱交換効率が向上する。

以上のように本考案によれば、以下の効果が得
られる。

(1) ゆるやかな熱風を加熱室後壁から送り、自然
に熱気を上昇させながら加熱室上板で吸い込む
ので、食品を全体にバランスよく焼き上げるこ
とが、案内体を設けることによつてヒーターか
らの熱の交換を効率よくスムーズに行ないなが
ら、単一の固定したコンパクトなヒーターによ
り実現出来るので、使い勝手が良く、調理性能
の良い装置がしかも安価に提供できる。

(2) 単一のヒーターで焦げ目付機能と熱風加熱が
両立でき、ヒーターを動かす必要もないので安
全かつ複雑な機構も不要で、故障も少なく使い
勝手が良い。

(3) 回転載置台との組み合わもにより、ヒーター
を載置台の約半分以下の大きさにしても、全面
を容易に均一加熱出来るので、案内体開口面積
も加熱室底面積に対して小さくすることが出
来、熱交換効率を大幅に向上させることが可能
となる。

(4) ヒーターをドアー近傍に設けた場合は、ヒー
ターからの輻射熱がドアースクリーン等の部品
を高温化し悪影響を与えてしまい、従来では反
射板などを設けものもあるが、案内体が余分な
輻射をさえぎるので安全かつ省エネルギーが実
現出来る。

以上のように使い勝手、調理性能が良く、省エ
ネ、コストダウンの面でも大幅な改善がなされる
等数々の価値を生み出すものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例の加熱装置の外観斜視図、第２
図は本考案による加熱装置の加熱室を含む断面
図、第３図はグリル機能付熱風式オーブンレンジ
の従来例の平面図である。 ７……フアン、８……フアンモーター、５……
回転載置台、１０……加熱室上板の吸い込み穴、
９……ヒーター、１５……熱風案内体、１４……
加熱室後壁の噴き出し穴。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 調理物を収納する加熱室と、その加熱室の底
   部に設けられ前記調理物を回転させる回転載置
   台と、前記加熱室の上板に形成した熱風吸い込
   み用穴と、前記加熱室内の前記熱風吸い込み用
   穴に対応した位置に設けられたヒーターと、そ
   のヒーターの周囲に近接するように前記加熱室
   上板に係合させた熱風案内板と、前記加熱室後
   壁に設けた熱風噴き出し用穴と、前記熱風吸い
   込み用穴と前記熱風噴き出し用穴を結ぶダクト
   と、そのダクト内に設けられたフアンと、その
   フアンを回転駆動するフアンモーターとを有
   し、前記吸い込み用穴の開口面積を前記熱風噴
   き出し用穴の開口面積より小さくした加熱装
   置。 (2) 熱風案内体の開口面積は、加熱室底面積の1/
   ２以下に構成した実用新案登録請求の範囲第１
   項記載の加熱装置。