JPS6135011B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、電気車の電力蓄勢機構に関するも
のであり、もう少し詳しくいうと、電気鉄道の電
気車両へ電力供給する電力系に接続され、発電電
動機とフライホイールを結合してなる電気車の電
力蓄勢機構に関するものである。

従来、この種の機構の設置に関しては、第１図
に示すように、商用電力を整流する変電所として
示した変電所２Ａに電気車の電力蓄勢装置３ａを
併設ないし近接して設置する場合ａ、変電所２Ａ
と変電所２Ｂの中間に電力蓄勢装置３ｂを設置す
る場合ｂ、あるいは電力蓄勢装置３ｃを電力系で
ある電車線１の末端に変電所２Ｂの代りに設置す
る場合ｃ等が提案されている。実際には、これら
ａ，ｂ，ｃの中間的なものや、これらを組合わせ
た配置態様も実行されている。電力蓄勢装置は発
電電動機４とこれに結合されたフライホイール５
および付属ないし付帯装置６で構成されている。
７は走行中の電気車ないし列車を示している。

この種の電力蓄勢機構の動作は、近年、電気車
両消費電力の低減のためにたとえばチヨツパ車が
普及しており、制動時に電力回生の可能な点に特
長があり、この回生電力の蓄勢を目的とする場合
と、電気車両の起動ないし加速時に一般的に必要
な大電力の変電所への影響を低減する、いわゆる
ピークカツトを目的とする場合があり、これらモ
ードの選択は発電電動機の制御によつて可能であ
る。いずれにしても、電力蓄勢装置の動作に伴つ
て発生する損失の低減が技術的課題とされてお
り、種々の解決策が研究、提案されている。しか
し、従来の損失低減方法はまだ電力蓄勢装置自体
の対策に止まつている。

すなわち、フライホイール５の回転に伴う損失
は、主として周囲空気との摩さつ抵抗によるもの
と、軸受内の潤滑剤もしくは金属間の接触摩さつ
によるものであり、これを低減するために真空脱
気したり、軸受を小形化した軸受損を減らし、軸
受の負荷容量の不足分を磁気軸受のような損失を
発生しないものに代替させるなどの対策を講じて
いる。またフライホイール５自体を高性能化する
ことも、損失低減上重要な対策の一つとみること
ができる。しかし、以上はいずれも電力蓄勢装置
自体内における技術的対策であり、電力蓄勢装置
の操作、運用上から損失を低減する試みは末だ提
案されていないのが現状である。

したがつて、この発明の目的は、運転に伴つて
電力蓄勢装置に発生する損失を、装置自体に発生
する損失を従来の方策によつて最小にしたのに加
えて、さらに損失低減の実効を具現できるもの
で、所定期間内に発生する全損失を低減させうる
電気車の電力蓄勢機構を提供することにある。

また、この発明の目的は、電気車が近接したこ
とを特定の地点において検知して電力の蓄勢を開
始し、電気車が必要とするときに電力放勢を可能
にして電気車の電力蓄勢機構を提供することにあ
る。

さらに、この発明の目的は、電力の蓄勢および
放勢を列車運行表に対応して、特定の時刻ないし
特定の時間帯を選択して行なわせるようにした電
気車の電力蓄勢機構を提供するにある。

以上の目的を達成するために、この発明は、一
般に回転によつて機械的にエネルギーを蓄積す
る。装置の損失は、回転速度の大きいときに大き
く、回転速度が下がると少くなる点に着目し、可
及的大きい回転速度になつている期間を短くする
電気車の電力蓄積機構を具現するものである。

以下、第２図の一実施例についてこの発明を説
明すると、電車線１１の適宜の点に設置された電
力蓄積装置１３は従来のものと同様に発電電動機
１４、フライホイール１５、付帯装置１６で構成
されており、この電力蓄積装置１３から電車線１
１に沿つてｄの距離に電気車検出器１８を配設す
る。１７ａは電力蓄積装置に近づきつつある電気
車（列車）であり、１７ｂは電力蓄積装置１３の
近辺に到達して、電力蓄積装置１３から給電され
る地点にある電気車を示している。電力蓄勢装置
１３に蓄勢するのは電気車１７ｂが電力を要求す
る直前であり、しかも電力網の負担を最小に止め
る程度の時間的余裕が必要である。したがつて、
電気車の運行上の適正な距離に対応する信号によ
つて電力蓄勢装置１３を制御する機能の一つとし
て電気車検出器１８が配設されているのである。
すなわち、電気車１７ａが電気車検出器１８の地
点を通過した時点より蓄勢を開始し、電気車が１
７ｂの地点に到達したときに電力を放勢して電気
車に電力を供給するように、電気車検出器１８か
らの信号に基いて付帯装置１６によつて電力蓄勢
装置１３を制御する。

かようにして電力蓄勢装置１３は、必要なとき
に必要なだけの電力を蓄勢できるので、電力蓄勢
装置１３の本体内に発生する損失を最小限に抑制
できる。すなわち、電気車の位置情報が得られな
い期間は架線電圧と架線電流のみが制御論理のイ
ンブツトとなりうるために、架線電圧の高いとき
が電気車閑散時と判断され、常に最大の蓄勢量す
なわち最高の回転速度で電力蓄勢装置を待機させ
ることになる。たとえば第３図の曲線３１のよう
に電気車の近づく可成り以前に電力を蓄勢し、そ
のために装置の損失も直線３２で示すように大き
い。しかるに、電気車の位置情報が適正に得られ
ると、必要なときに電力蓄勢を開始し、蓄勢直後
に曲線３３のように放勢、消費するので、損失は
直線３４のようになり、系全体の損失量は可成り
減らすことができる。したがつて、電力蓄積装置
の一定期間内、全損失が低減して効率を改善する
ことができる。

さらに、列車の運行は、あらかじめ定められた
運行表に従つているので、運行表をコンピユータ
１９に記載させておき、あらかじめ経済性を算定
して決められた動作時間指令装置２０を用いて電
力蓄勢指令信号を出力することにより、電力蓄勢
装置１３の総合効率を、より向上することができ
る。また、これに列車選別機能を付加して最適蓄
勢量を与えることも可能である。

なお、以上の実施例では発電電動機の制御手段
として、その効率改善を主眼に説明したのである
が、実用されているほとんどの電力蓄勢装置は、
蓄勢量の多くなるほど内部損失は大きくなる傾向
があり、これらの制御に関しては上述と同様の技
術を適用することができ、その効果は大きい。

また、無駄に電力を蓄勢することを避けること
はエネルギーの無益な消費を避けるだけでなく、
一般に蓄積量が大きいことは装置のストレスをも
増大することになる。この点でこの発明は、装置
内のストレスを高めることなく、したがつて装置
の保守作業を低減し、装置の寿命を長くする効果
も併有する。

さらに、この発明において、電力蓄積装置の容
量を十分大きくとると、変電所に代替することが
でき、全く送電線のない地点でも架線より適正に
電力を蓄勢することにより、あたかもそこに変電
所があるかのように動作するので、特に列車密度
の低い線区では変電所として常用することも可能
である。

以上は説明の便宜上、直流変電所を例にとつて
説明したが、これは交流電化された電気鉄道の交
流変電所に関して、全く同様のものを設置して
も、これに適用できるものである。

以上、詳述したように、この発明によるとき
は、列車情報を電力蓄勢、放勢の制御に導入した
ので、無駄に電力を蓄勢することなく総合効率を
改善し、より省エネルギー効果を向上すると共
に、保守、寿命の点においてもすぐれた効果を奏
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は電車線における従来のものの配置の結
線図、第２図はこの発明の一実施例の結線図、第
３図は同じく動作説明のための線図である。 １１……電車線、１３……電力蓄勢装置、１４
……発電電動機、１５……フライホイール、１６
……付帯装置、１７ａ，１７ｂ……電気車、１８
……電気車検出器、１９……コンピユータ、２０
……動作時間指令装置。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 発電電動機とこれに結合されたフライホイー
   ルとでなり電車線の変電所に併設または２つの変
   電所の中間あるいは特定の変電所から離れた末端
   地点に電力蓄勢装置を設置するものにおいて、電
   気車が該電力蓄勢装置に近接したことを検知する
   電気車検知器を該電車線に沿う該電力蓄勢装置か
   らの所定距離の地点に配設し、該電気車検知器か
   らの信号によつて該電力蓄勢装置の電力蓄勢、放
   勢を制御する付帯装置を該電力蓄勢装置に設けて
   なることを特徴とする電気車の電力蓄勢機構。 ２ 発電電動機とこれに結合されたフライホイー
   ルとなり電車線の変電所に併設または２つの変電
   所の中間あるいは特定の変電所から離れた末端地
   点に電力蓄勢装置を設置するものにおいて、電気
   車の運行表に基いて特定の時刻ないし特定の時間
   帯を選択して該電力蓄勢装置に電力の蓄勢、放勢
   を制御する付帯装置を該電力蓄勢装置に設けてな
   ることを特徴とする電気車の電力蓄勢機構。