JPS6133583B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は歯科用エアモータに関し、特に、速度
変換できるエアモータ構造に関する。

従来、歯科用エアモータにおいては、例えば特
開昭55−70245号公報に示されたように、遊星歯
車装置によつて工具チヤツクの回転速度を変更で
きるようにしたものが既に知られている。即ち、
同歯科用エアモータの減速部は、空気圧ロータで
回転される太陽歯車に対し、遊星歯車を支持する
回転デイスクを軸線方向に移動自在としたもので
あつて、遊星歯車の軸の頭部を装置固定部との間
にかみ合クラツチを構成したものである。したが
つて、同かみ合クラツチを閉成すると、遊星歯車
の遊星運動が禁止されるから、工具チヤツク即ち
リングギアの回転速度が増速状態になり、かみ合
クラツチを解放すると、遊星歯車装置によつて工
具チヤツクは減速駆動されることになる。しかし
ながら、この構造では、遊星歯車の軸と装置固定
部の間に設けたかみ合クラツチにより遊星歯車装
置の切換制御を行うので、回転駆動中に速度切換
を行うことができないばかりか、停止中の切換操
作時にかみ合クラツチが円滑にかみ合ない場合が
あつた。

本発明は、以上に述べたような従来の構造の実
状に鑑み、停止時は勿論のこと、回転駆動中にも
円滑に速度切換を行うことができる構造を得るこ
とを目的とするもので、圧縮空気で回転されるロ
ータの回転運導を遊星歯車装置の太陽歯車に伝
え、遊星歯車装置の遊星歯車を支持する回転デイ
スクにより工具チヤツクを駆動する歯科用エアモ
ータにおいて、エアモータ本体中に前記遊星歯車
装置のリングギアを軸線方向に移動可能に位置
し、エアモータ本体の外囲に前記リングギアを軸
線方向を移動できる速度切換リングを設け、前記
リングギアの両端面に、エアモータ本体の接触面
及び前記回転デイスクの接触面に選択的に係合す
る摩擦面を形成したことを特徴とする歯科用エア
モータを提案するものである。

以下、図面について本発明の実施例の詳細を説
明する。

第１図から第３図において、本発明による歯科
用エアモータは、全体を符号１で示す円筒形のエ
アモータ本体の外囲に回動可能に取付けられた正
逆切換リング２、速度切換リング３、チヤツクリ
ング４を有している。即ち、正逆切換リング２を
回動操作することにより後述する工具チヤツク５
の回転方向を選択でき、速度切換リング３の操作
により工具チヤツク５の回転速度を変更でき、チ
ヤツクリング４の手動操作により工具チヤツク５
に取付ける切削具を取換えることができる。

エアモータ本体１は、第２図及び第３図の右か
ら左へ向つて順に配置されかつ互いに固定関係に
おかれる基部コア１Ａ、第１連結筒１Ｂ、第１中
間コア１Ｃ、テーパリング１Ｄ、第２連結筒１
Ｅ、第２中間コア１Ｆ、第３連結筒１Ｇ、第３中
間コア１Ｈ、先端筒１Ｉ、先端チツプ１Ｊから構
成してある。

基部コア１Ａの外端には、図示を省略するが、
圧縮空気源から導びいたホースに接続可能な圧縮
空気接手管６及びチツプエア接手管７が固定さ
れ、第１連結筒１Ｂにねじ止めされる飾リング８
の内周面と基部コア１Ａの外周面との間には、後
述するエアモータのロータを回転させた後の空気
が流出される排気口９が形成してある。そして、
中空の前記第１中間コア１Ｃの内部には、前記基
部コアの内端に面して回動可能な切換ブロツク１
０が組込まれ、この切換ブロツク１０は第１中間
コア１Ｃの円弧溝１１に貫通した連結ねじ１２に
結合され、第１中間コア１Ｃの外周面にゆるくは
めた前記正逆切換リング２を回動することによ
り、連結ねじ１２を介して切換ブロツク１０を回
動できるようにされている。また、切換ブロツク
１０の中心部には圧縮空気導入通路１３が形成さ
れ、同圧縮空気導入通路１３の出口端は第１中間
コア１Ｃの中央部に組込まれるエアモータケーシ
ング１４の空気取入口１５に臨ませてある。エア
モータケーシング１４は角度方向に位置を異にし
た２個の空気取入口１５を有し、切換ブロツク１
０の回動位置により圧縮空気導入通路１３に連絡
される空気取入口１５を選んで、ロータ１７の回
転方向を決定できる。図示するロータ１７はベー
ン型ロータであつて、両端軸を切換ブロツク１０
の軸受１８及びエアモータケーシング１４の軸受
１９に回転可能に支持されている。ロータ１７は
その軸に固定された太陽歯車２０を有し、遊星歯
車装置の太陽歯車２０は第２中間コア１Ｆの軸受
２１に支持された中継軸２２の軸受２３に支持さ
れる。中継軸２２は遊星歯車装置の回転デイスク
２４に一体に形成され、同回転デイスク２４の表
面には前記太陽歯車２０に噛合う遊星歯車２５の
軸２６が植えてある。各遊星歯車２５に噛合うリ
ングギア２７は第２連結筒１Ｅに沿つて軸線方向
に移動可能な操作リング２８の軸受２９に回転可
能に支持される。また、リングギア２７はテーパ
リング１Ｄの内周テーパ面３０に係止できる外周
摩擦テーパ面３１及び回転デイスク２４の外周テ
ーパ面３２に係止できる内周摩擦テーパ面３３を
有する。

前記第２連結筒１Ｅの外囲には、第２連結筒１
Ｅを中心として回動できる速度切換リング３が設
けられ、この速度切換リング３の内面には長さ方
向に延長した摺動溝３５が形成され、同摺動溝３
５には摺動ピン３６の頭部が摺動可能に位置して
ある。また、第２連結筒１Ｅには第４図示のよう
に連結筒１Ｅの長さ方向に傾斜した長孔３７が形
成され、同長孔３７を貫通する前記摺動ピン３６
の基部は前記操作リング２８に圧入固定される。
したがつて、操作リング２８が第２図に示す左端
位置に移動されると、リングギア２７の内周摩擦
テーパ面３３が回転デイスク２４の外周テーパ面
３２に係止されるので、リングギア２７と回転デ
イスク２４が一体化し、中継軸２２は太陽歯車２
０と等速度で回転する。また、操作リング２８が
右端位置に移動されると、テーパリング１Ｄの内
周テーパ面３０にリングギア２７の外周摩擦テー
パ面３１が係合し、第５図示のように回転デイス
ク２４とリングギア２７の間が自由になるので、
遊星歯車２５が遊星運動を行ない得る状態とな
り、中継軸２２は減速された速度で回転する。

小径の前記第３連結筒１Ｇを介して前記第２中
間コア１Ｆに結合される第３中間コア１Ｈの内部
には、先端部を中継軸２２に廻止めされる継手筒
３８が位置され、この継手筒３８は前記先端筒１
Ｉの内部の軸受３９，４０に軸支ささるチヤツク
保持筒４１の右端部に支持される。そして、チヤ
ツク保持筒４１の内部には、前記先端チツプ１Ｊ
の取付孔４２から挿入される切削具を喰着する工
具チヤツク５が内蔵され、工具チヤツク５の右端
部に半径方向に差通した連結ピン４３は、チヤツ
ク保持筒４１の長さ方向の長孔４４を通つて、チ
ヤツク保持筒４１に摺動可能にはめた押圧リング
４５に貫通してある。

前記押圧リング４５の左端面には工具チヤツク
５を右方に押圧するチヤツクスプリング４６が係
合してある。

また、前記先端筒１Ｉの外周には指先で握持で
きるチヤツクリング４が外装され、先端筒１Ｉの
外周面とチヤツクリング４の内周面の間にはチツ
プエアが流れる環状空間４７が形成され、同環状
空間４７は先端チツプ１Ｊの放射開口４８を介し
て先端面噴孔４９に連絡される。一方、チヤツク
リング４にねじ止めされる持続ねじ５０は、前記
連結筒１Ｅの前述した長孔３７と同様の長孔５１
と通つて押圧リング４５右側の圧接リング５２に
結合してある。したがつて、チヤツクリング４を
手動操作して圧接リング５２で押圧リング４５を
左方に押圧すれば、工具チヤツク５が左方に移動
し、工具チヤツク５の先端が開らく。

本発明によれば、チツプエア接手管７から基部
コア１Ａに導びかれたチツプエアは、基部コア１
Ａの通路５３を通つて内部導引管５４に連絡さ
れ、第１基部コア１Ｃの外周面溝に位置される内
部導引管５４の他端部は第３コア１Ｈの右端面に
開口した中継通路５５に導びかれる。同中継通路
５５は前述した環状空間４７に連絡されるから、
チツプエアによつて環状空間４７の空冷が行わ
れ、過熱しがちなエアモータの内部が冷却される
と共に、チヤツクリング４を長時間に亘つて握つ
ていても、手に加熱されない構造が得られる。な
お、切換ブロツク１０にはエアモータケーシング
１４の排出口５６に連絡する排気通路５７が形成
してあり、同排気通路５７は消音フイルタ５８を
内蔵した基部コア１Ａの排出通路５９に連絡され
る。

なお、図示実施例においては、リングギアの拘
束・解放制御を、エアモータ本体並びに回転デイ
スクとの間に設けたテーパ面即ち円錐クラツチで
構成するものを例示するが、本発明はこの構造に
限定されるものではなく、当該部に設ける摩擦板
即ち摩擦板クラツチとしてもよい。

以上の説明から明らかなように、本発明によれ
ば、リングギアの拘束・解放制御を、エアモータ
本体及び回転デイスクとの間に設けた摩擦面によ
り行うから、ロータの回転中の切換も可能で、従
来の構造に比較し、円滑かつ確実に切換操作可能
な構造が得られる。また、本発明においては、チ
ヤツクリングとエアモータ本体との間に環状空間
を形成して同空間にチツプエアを通すので、長時
間に亘つて使用しても患者のグリツプ位置即ちチ
ヤツクリングが過熱することのない構造を提供で
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるる歯科用エアモータの側
面図、第２図は同エアモータの基部の拡大断面
図、第３図は同エアモータの先端部の拡大断面
図、第４図は同エアモータに用いる第２連結筒の
断面図、第５図は減速状態の同エアモータの断面
図である。 １……エアモータ本体、３……速度切換リン
グ、４……チヤツクリング、５……工具チヤツ
ク、２０……太陽歯車、２４……回転デイスク、
２５……遊星歯車、２６……軸、２７……リング
ギア、３１……外周テーパ面（摩擦面）、３２…
…内周テーパ面（摩擦面）、４７……環状空間。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 圧縮空気で回転されるロータの回転運動を遊
   星歯車装置の太陽歯車に伝え、遊星歯車装置の遊
   星歯車を支持する回転デイスクにより工具チヤツ
   クを駆動する歯科用エアモータにおいて、エアモ
   ータ本体中に前記遊星歯車装置のリングギアを軸
   線方向に移動可能に位置し、エアモータ本体の外
   囲に前記リングギアを軸線方向に移動できる速度
   切換リングを設け、前記リングギアの両端面に、
   エアモータ本体の接触面及び前記回転デイスクの
   接触面に選択的に係合する摩擦面を形成したこと
   を特徴とする歯科用エアモータ。 ２ 圧縮空気で回転されるロータの回転運動を遊
   星歯車装置の太陽歯車に伝え、遊星歯車装置の遊
   星歯車を支持する回転デイスクにより工具チヤツ
   クを駆動する歯科用エアモータにおいて、エアモ
   ータ本体中に前記遊星歯車装置のリングギアを軸
   線方向に移動可能に位置し、エアモータ本体の外
   囲に前記リングギアを軸線方向に移動できる速度
   切換リングを設け、前記リングギアの両端面に、
   エアモータ本体の接触面及び前記回転デイスクの
   接触面に選択的に係合する摩擦面を形成し、エア
   モータ本体の先端寄りの外囲に回動可能に設けた
   チヤツクリングとエアモータ本体の間に環状の空
   間を形成し、エアモータ本体の基部から導入した
   チツプエアを同空間を通つてエアモータ本体の先
   端部へ導びき、同先端部から噴出させることを特
   徴とする歯科用エアモータ。