JPS6132899B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は複数個のサイリスタが直列接続された
高電圧サイリスタ変換器の保護装置に関するもの
である。

近年、直流送電等に用いられる高電圧サイリス
タ変換器は直列接続したサイリスタによつて構成
されているが、これらサイリスタへゲートパルス
を送るゲートパルス信号発生回路の一例を第１図
に示す。第１図において１はパルストランスであ
り、スイツチング素子２のオン、オフにより高電
位部のゲート抵抗３、ゲートコンデンサ４を通し
て直列接続された複数のサイリスタ５の各ゲート
へゲート電流i₃を伝送する。６はパルス発生器で
次のものから構成されている。すなわち７は直流
電源、８，９はサイリスタゲートへのゲート電流
i₃を制限する抵抗、１０は抵抗８に並列に接続さ
れゲート電流の立上りを早くするためのコンデン
サである。また１１はゲート制御保護回路であ
り、スイツチング素子２をオンオフさせるゲート
制御信号ａとパルス発生器６の制御電源の異常を
検出した電源異常信号ｂを出力する。１２はスイ
ツチング素子２の端子電圧を検出しその導通期間
によりスイツチング素子２の故障を判断する故障
検出装置であり、故障信号ｃをオア素子１３へ出
力する。オア素子１３は制御電源の異常時または
スイツチング素子２の故障時に開閉信号ｄを発生
し、開閉素子１４へ伝える。

以上の様に制御電源の異常時やスイツチング素
子の故障により制御不能となつた場合またはゲー
ト電流i₃の停止をゲート制御信号ａで行なうこと
が不可能な場合は、開閉素子１４を開状態から閉
状態にして電流i₁₄を開閉素子１４にバイパスさ
せゲート電流i₃を停止させる。開閉素子１４とし
てはサイリスタを用いることができる。ところで
いま第２図のタイムチヤートに示す様にゲート制
御信号ａが出ているゲート制御信号の発生期間で
ゲート電流i₃の流れている時に制御電源異常が起
り電源異常信号ｂが出たとすると、開閉信号ｄに
より開閉素子１４が閉となり、ゲート電流i₃を停
止させる。一般に直列接続したサイリスタを同時
に点弧させるためには立上りの早いある一定期間
以上のパルス幅のゲート電流を流す必要がある
が、上記の現象があると第２図のゲート電流i₃の
パルス幅が不十分となり、直列接続したサイリス
タ内で点弧するサイリスタと点弧しないサイリス
タが発生して点弧しないサイリスタにサイリスタ
変換器の全電圧が印加されサイリスタを破損する
ことがある。

以上の様に従来のゲートパルス信号発生回路で
は開閉素子の閉動作により不十分なパルス幅のゲ
ート電流が流れ、直列接続したサイリスタの一部
を破損する恐れがある。

本発明は上記問題を考慮してなされたもので、
その目的は簡単な回路を追加することによりこれ
らの欠点がなく安全にゲート電流を停止させるこ
とのできるサイリスタ変換器の保護装置を提供す
ることにある。

以下図面を用いて本発明の一実施例を説明す
る。第３図は本発明によるゲートパルス信号発生
回路の一実施例を示すブロツク図、第４図は本発
明においてゲート制御信号の発生期間内で電源異
常が発生した場合のタイムチヤート、第５図は同
じくゲート制御信号の発生期間外で電源異常が発
生した場合のタイムチヤートである。第３図で第
１図と異なる回路のみ説明すると、１５はインバ
ータ素子、１６はアンド素子である。いま第４図
に示す様にゲート制御信号ａの発生期間内に電源
異常が発生し電源異常信号ｂの出力が出ると、オ
ア素子１３への電源異常信号b′はゲート制御信号
ａの発生期間終了後に発生する。このためゲート
電流i₃が十分なパルス幅を出した後に開閉信号ｄ
によつて開閉素子１４に電流i₁₄が流れる。従つ
て従来の様な不十分なパルス幅のゲート電流によ
るサイリスタの破損が防止される。なお上記説明
は狭幅ゲート方式について説明しているが、広幅
ゲート方式の場合にも全く同様な効果を得ること
ができる。但し広幅ゲート方式の場合は、ゲート
制御信号の発生期間後に開閉素子を閉動作させる
と、開閉素子の動作が商用周波数運転では数ms
遅れることになるが、一般に直列接続した全サイ
リスタを点弧させるには数10μｓで十分であるの
でインバータ素子１５の代わりにゲート制御信号
ａの出力が出たら数10μｓのパルスを発生する回
路を設けて数10μｓのみゲート電流i₃を流した後
に開閉素子を閉動作させてゲート電流を停止させ
る。また第５図に示す様に、ゲート制御信号ａの
発生期間外で電源異常が発生した場合は、瞬時に
開閉素子１４が閉動作になるので、ゲート電流i₃
が流れることはない。

以上説明したように本発明によれば、ゲート電
流i₃のパルス幅が不十分になつてサイリスタを破
損するという従来の欠点を防止できると共に、ス
イツチング素子の故障時には故障検出装置１２か
らの故障信号ｃにより開閉素子１４を閉動作させ
ゲート電流を停止させることができる。なお上記
はゲートパルス信号発生回路にパルストランスを
用いた場合にて説明したが、発光素子を用いた光
伝送の場合についても同様な適用が可能である。

さらに上記説明では開閉素子をパルストランス
とスイツチング素子の直列回路に並列に設けてい
るが、直接パルストランスに並列接続した場合で
も同様である。またパルストランスとスイツチン
グ素子に直列に開閉素子を接続して、運転中は閉
状態とし、保護動作時に開状態にする使用方法も
可能であり、この場合は、ゲート制御信号の出て
いる間は開閉素子を閉状態にしておくので、ゲー
ト制御信号の出ている時はゲート電流がある期間
継続した後に開閉素子を動作させるという本発明
が同様に適用可能である。

以上説明したように本発明によれば、従来のゲ
ートパルス信号発生回路に簡単な回路を追加する
だけで従来の欠点である開閉素子動作時の不十分
なパルス幅のゲート電流によつて直列接続したサ
イリスタが破損することを防止することのできる
安全なサイリスタ変換器の装置を得ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のゲートパルス信号発生装置を示
す回路図、第２図は第１図のタイムチヤート、第
３図は本発明の一実施例を示す回路図、第４図お
よび第５図はそれぞれ本発明の動作を示すタイム
チヤートである。 １……パルストランス、２……スイツチング素
子、３……ゲート抵抗、４……ゲートコンデン
サ、５……サイリスタ、６……パルス発生器、７
……直流電源、８，９……抵抗、１０……コンデ
ンサ、１１……ゲート制御保護回路、１２……故
障検出装置、１３……オア素子、１４……開閉素
子、１５……インバータ素子、１６……アンド素
子。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ゲートパルス信号発生回路と、上記ゲートパ
   ルス信号発生回路に故障が発生したとき上記ゲー
   トパルス信号の発生を停止させる開閉素子を備
   え、上記ゲートパルス信号によつて直列接続され
   た複数のサイリスタを同時に点弧させるサイリス
   タ変換器において、上記故障がゲートパルス発生
   期間中に発生したときは上記開閉素子によるゲー
   トパルス信号の停止を一時的に中止することを特
   徴とするサイリスタ変換器の保護装置。 ２ ゲート制御回路と、ゲート制御信号に応じて
   パルストランスの一次側を通電させるスイツチン
   グ素子と、上記ゲート制御回路に故障が発生した
   とき上記パルストランスの通電を停止させる開閉
   素子を備え、上記パルストランスの複数の二次巻
   線の出力によつて直列接続された複数のサイリス
   タを同時に点弧させるサイリスタ変換器におい
   て、上記故障がゲートパルス発生期間中に発生し
   たとき、上記開閉素子によるパルストランスの通
   電停止を一時的に中止させる論理回路を備えたこ
   とを特徴とするサイリスタ変換器の保護装置。