JPS6132109Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、軸受室からコンプレツサ室内にま
で至りかつコンプレツサを駆動する駆動軸と、軸
受室内でこの駆動軸の周囲に突設された摺接板
と、軸受室内でその摺接板に駆動軸軸方向に接す
るシール面とを備えたターボチヤージヤに関す
る。

従来のこの種のターボチヤージヤにおいては、
前記シール面、および摺接板のシール面への接触
面は高精度の平滑面とされていたが、オイル漏れ
を回避するために、シール面と摺接板との間には
充分な給油が行われず、ターボチヤージヤの摩擦
損失が大となつた。このため低速域あるいは低負
荷域における過給圧が充分高まらず、また加速時
におけるタービンの追従性が悪かつた。

この考案はこのような従来の問題点を解消すべ
く創案されたもので、摩擦損失を最小限に抑えた
ターボチヤージヤを提供することを目的とする。

この考案に係るターボチヤージヤは、摺接板の
シール面との接触面にオイル導入溝を設けて潤滑
を強化し、コンプレツサの高圧側にはオイルパイ
プを接続し、このオイルパイプと高圧側とを多孔
質フイルタを介して連通し、漏洩オイルをコンプ
レツサの圧力によつてオイルパイプ内に押出し、
かつ多孔質フイルタによつて加圧空気のオイルパ
イプ内への漏洩を最小限に抑えたものである。

次にこの考案に係るターボチヤージヤの一実施
例を図面に基づいて説明する。

第１図および第２図において、ターボチヤージ
ヤ１は軸受室２内に軸受３およびオイル溜４を設
け、軸受室２の両側にタービン室５およびコンプ
レツサ室６を設けてあり、軸受室２には駆動軸７
が貫通されている。駆動軸７はタービン室および
コンプレツサ室６内に突出し、タービン室５内に
おいてタービン８が、またコンプレツサ室６内に
おいてコンプレツサ９が装着されている。駆動軸
７には、軸受室７内において、タービン室５、コ
ンプレツサ室６にそれぞれ隣接した壁１０，１１
に接する摺接板１２，１３が周囲に突設されてい
る。壁１０，１１の摺接板１２，１３に接する面
はシール面とされ、高精度の平滑面に加工されて
いる。

第２図に詳細に示すように摺接板１３のシール
面との接触面１４には、半径方向に延在するオイ
ル案内溝１５が形成され、摺接板１３の周囲のオ
イルは、案内溝１５に沿つて、シール面と接触面
１４との間に進入するようになつている。これに
よつて摺接板１３とシール面との間の潤滑が強化
され、ターボチヤージヤ１の摩擦損失が最小限に
抑えられる。

ここに摺接板１２，１３は駆動軸７のスラスト
軸受としても作用するものであり、潤滑が強化さ
れたことによつて負担し得るスラスト荷重を高め
ることも可能になる。

接触面１４とシール面との間に供給されたオイ
ルの一部はコンプレツサ室６内に漏洩する可能性
があるが、コンプレツサ９の吐出音１６にはオイ
ルパイプ１７が接続され、このオイルパイプ１７
が接続された位置における吐出管１６の内周には
多孔質フイルタ１８が添設されている。吐出管１
６内に漏洩したオイルは吐出管１６内の加圧空気
によつて押出され、多孔質フイルタ１８を通つて
オイルパイプ１７内に送給される。オイルパイプ
１７はクランクケース（図示省略）に接続され、
捕集されたオイルはクランクケース内で再利用さ
れる。多孔質フイルタ１８は多少の加圧空気もオ
イルパイプ１７内に通過させるが、この漏洩空気
の量は全流量に比較してもわずかであり、過給圧
にはほとんど影響しない。

第３図はこの考案の第二実施例を示すものであ
り、オイル案内溝１９は摺接板の中心からその回
転方向に延びるような螺線状に形成されている。
このようにオイル案内溝１９を、半径方向に対し
て傾斜した形状とすれば摺接板の回転に基くポン
プ作用は弱まり、潤滑油およびオイル漏洩量を調
節し得る。

第４図はこの考案の第三実施例を示すものであ
り、オイル案内溝２０は駆動軸７と同心の円形に
形成されている。このようにオイル案内溝２０を
周方向に形成すれば、オイル案内溝２０の縁部と
シール面との接触による摩擦の増大を防止でき、
またオイルの漏洩量をコンプレツサの回転数に影
響されずに一定とするような調節が可能である。

第５図は第三実施例に変形を加えた第四実施例
を示すものであり、摺接板１３の外周面には複数
の羽根２２が突設され、この外周面における羽根
２２の近傍には、オイル案内溝２１内にまで至る
連通孔２３が穿設されている。羽根２２は周囲の
オイルを捕えて連通孔２３内に送り込む作用を為
し、これによつてオイルは連通孔２３を通つて強
制的にオイル案内溝２１内に送給される。従つて
この実施例では潤滑を著しく強化し得る。

第６図はこの考案の第五実施例を示すものであ
り、多孔質フイルタ１８は接続管２４を介してコ
ンプレツサ室６の高圧側に接続されている。すな
わちオイルパイプ１７の接続位置は吐出管１６に
限定されるものではなく、コンプレツサ室６の高
圧側、あるいはその他のコンプレツサの高圧側と
することができる。

なおこれらの実施例はコンプレツサ側の摺接板
に関するものであつたが、タービン側の摺接板に
ついても同様のオイル案内溝を形成すれば、摩擦
損失を一層低減し得る。

前述のとおり、この考案に係るターボチヤージ
ヤは、摺接板のシール面との接触面にオイル導入
溝を設けて潤滑を強化し、コンプレツサの高圧側
にはオイルパイプを接続し、このオイルパイプと
高圧側とを多孔質フイルタを介して連通し、漏洩
オイルをコンプレツサの圧力によつてオイルパイ
プ内に押出し、かつ多孔質フイルタによつて加圧
空気のオイルパイプ内への漏洩を最小限に抑えた
ので、摩擦損失を最小限に抑え得るという優れた
効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係るターボチヤージヤの第
一実施例を示す縦断面図、第２図は第１図の−
矢視線に沿う拡大断面図、第３図は第二実施例
を示す拡大断面図、第４図は第三実施例を示す拡
大断面図、第５図は第四実施例における摺接板を
示す斜視図、第６図は第五実施例を示す縦断面図
である。 １……ターボチヤージヤ、２……軸受室、３…
…軸受、４……オイル質、５……タービン室、６
……コンプレツサ室、７……駆動軸、８……ター
ビン、９……コンプレツサ、１０，１１……壁、
１２，１３……摺接板、１４……接触面、１５…
…オイル案内溝、１６……吐出管、１７……オイ
ルパイプ、１８……多孔質フイルタ、１９，２
０，２１……オイル案内溝、２２……羽根、２３
……連通孔、２４……接続管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 軸受室からコンプレツサ室内にまで至りかつコ
   ンプレツサを駆動する駆動軸と、軸受室内でこの
   駆動軸の周囲に突設された摺接板と、軸受室内で
   この摺接板に駆動軸軸方向に接するシール面とを
   備えたターボチヤージヤにおいて、前記摺接板の
   シール面との接触面にはオイル案内溝を形成し、
   前記コンプレツサの高圧側にはオイルパイプを接
   続し、このオイルパイプと高圧側とを多孔質フイ
   ルタを介して連通してあることを特徴とするター
   ボチヤージヤ。