JPS6132089Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は吸排気弁の開閉時期ならびに弁リフ
ト量を運転条件に応じて可変制御する内燃機関の
吸排気弁駆動装置に関する。

バルブオーバラツプや新気充填効率等が常に最
適に得られるように吸排気弁の開閉時期ならびに
弁リフト量を機関の運転条件に応じて可変制御す
る吸排気弁駆動装置は、従来から種々提案されて
いるが、その一つとして第１図に示す米国特許第
3413965号が知られている。

この弁駆動装置は、バルブ駆動カム１に一端が
当接し、かつ他端が吸排気弁２のステムエンドに
嵌合支持されたロツカアーム３の背面４を湾曲形
成し、この背面４がレバー５に支点接触しながら
ロツカアーム３の左右が揺動することによつて、
カム１のリフトが吸排気弁２に伝達されるもの
で、特に上記レバー５はその一端で回動可能に軸
支されており、その傾斜が制御カム６によつて規
制されるように構成されている。そして、上記制
御カム６は、例えば油圧アクチユエータ等の駆動
機構により機関運転条件に応じて適宜な位相に回
転駆動され、これによつて吸排気弁２の開閉タイ
ミングおよびリフト量が可変制御される。すなわ
ち、例えば制御カム６によるレバー５の押し下げ
量が大でれば、バルブ駆動カム１のベースサーク
ル状態においてレバー５の自由端部とロツカアー
ム３とが近接しており、従つて吸排気弁２の開弁
時期が早まるとともにバルブリフト量が大とな
り、また制御カム６による押し下げ量が小であれ
ば、同じバルブ駆動カム１のベースサークル状態
であつてもレバー５の自由端部とロツカアーム３
とが離間しており、従つて吸排気弁の開弁時期が
遅れるとともにバルブリフト量が小となるのであ
る。

しかしながら、この従来の弁駆動装置にあつて
は、バルブクリアランスの調整が全く考慮されて
おらず、そのため吸排気弁２の熱膨張やバルブシ
ート７の摩耗等によつて吸排気弁２が完全に閉じ
なくなつてしまつたり、あるいは過大なバルブク
リアランスにより騒音や振動が発生する、といつ
た欠点があつた。

この考案は、このような従来の欠点に鑑み、ロ
ツカアーム背面が支点接触するレバーを、レバー
シヤフトに対しバルブステム軸方向にスライド可
能に嵌合せしめるとともに、そのスライド位置を
バルブクリアランス調整用ねじで調整するように
して、常に適正なバルブクリアランスを設定でき
るようにし、上記従来の欠点を解決することを目
的としている。

以下、この考案の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。

第２図および第３図はこの考案の一実施例を示
すもので、この実施例は、基本的構成は第１図の
従来のものと特に変わらないので、同一部分に同
一符号を付し、重複する説明は省略する。

同図において、１１はレバー５を支持すべくバ
ルブステム２ａの略延長線上に配設されたレバー
シヤフトであつて、このレバーシヤフト１１は図
外の部分で回動自在に支持されており、かつ各吸
排気弁２の直上部分では、両側が平行に切欠形成
されている。一方、レバー５の基端には略Ｕ字状
の嵌合部１２が形成されており、この嵌合部１２
が上記の如く平行に切欠いたレバーシヤフト１１
に嵌合している。すなわち上記レバー５は、レバ
ーシヤフト１と一体に回動するとともに、レバー
シヤフト１１に対し、バルブステム２ａの軸方向
に沿つてスライド可能に構成されている。また上
記レバーシヤフト１１には、このスライド方向と
平行に、バルブクリアランス調整用のねじ１３が
貫通して螺着しており、その先端は上記嵌合部１
２の内底部に当接している。そして、このねじ１
３は、固定用ナツト１４により適宜な進退位置に
て堅固に固定されるようになつている。

従つて上記構成にあつては、バルブステム２ａ
の軸方向に沿つたバルブクリアランスは、上記ね
じ１３を上下に進退させることによつて簡単に調
整でき、常に最適値に設定することができる。そ
して、このバルブクリアランス調整機構は、高速
運動をしないレバー５の基部に設けられているた
め、ロツカアーム３等高速運動部分の慣性質量は
何ら増加せず、その高速化を阻害することが無
い。

次に第４図に示す実施例は、板ばねからなるス
トツパ１５を固定用ナツト１４を利用して取り付
け、レバー５の嵌合部１２がレバーシヤフト１１
から脱落しないように構成したもので、これによ
れば、制御カム６の位置が特に制限されることが
無い。すなわち、ストツパ１５を具備しない場合
は、ロツカアーム３とレバー５との接触支点Ａの
移動範囲より図上左方に制御カム６を配設する必
要があるが、この実施例によれば、制御カム６を
接触支点Ａの移動範囲内に配設しても、レバー５
がレバーシヤフト１１から脱落することが無い。

また第５図および第６図は、この考案の更に異
なる実施例を示すもので、特にロツカアーム３の
中央部に支持軸２１を設けるとともに、この支持
軸２１をスライド可能に保持するロツカガイド２
２をレバー５に固設し、かつレバー５と支持軸２
１との間にコイルスプリング２３を配設してあ
る。上記レバー５基端の嵌合部１２がレバーシヤ
フト１にスライド可能に嵌合し、ここにバルブク
リアランス調整用ねじ１３が配設されているのは
前述した実施例と同様である。

すなわち、この構成によれば、上記の各実施例
に比較して、ロツカアーム３によつてバルブステ
ム２ａに加えられる曲げモーメントが軽減できか
つロツカアーム３の背面４とレバー５下面との相
対的な滑り速度が小さくなつて摩耗を抑制でき
る。さらにロツカアーム３の復帰がコイルスプリ
ング２３により強制的になされるので、ロツカア
ーム３のバルブ駆動カム１に対する追従性が向上
し、ロツカアーム３のジヤンプやバウンス、ある
いはレバー５からの脱落といつた現象を防止でき
る。

尚、上記各実施例では、レバーシヤフト１１自
体を回動可能とし、レバー５をこのレバーシヤフ
ト１１と一体に回動するように構成してあるが、
第７図に示す如く、レバーシヤフト１１に切欠部
を形成せずに円形断面のままとして、このレバー
シヤフト１１に対し上記レバー５が回動するよう
に構成することも可能である。

以上、詳細に説明したように、この考案によれ
ば、吸排気弁の開閉時期ならびに弁リフト量を可
変制御できる弁駆動装置においてバルブクリアラ
ンスを簡単に調整することがき、バルブシートの
摩耗等に対してバルブクリアランスを常に適正値
に維持することが可能となる。特に、このバルブ
クリアランス調整機構が、高速運転をしないレバ
ー部分に設けられるため、その高速化に有利であ
り、構成も極めて簡単である、等の利点を有す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の吸排気弁駆動装置の断面図、第
２図はこの考案に係る吸排気弁駆動装置の断面図
第３図は同平面図、第４図はストツパを設けた実
施例を示す断面図、第５図および第６図はこの考
案の異なる実施例を示す断面図および平面図、第
７図は更に異なる実施例を示す要部の断面図であ
る。 １……バルブ駆動カム、２……吸排気弁、３…
…ロツカアーム、５……レバー、６……制御カ
ム、１１……レバーシヤフト、１２……嵌合部、
１３……バルブクリアランス調整用ねじ、１４…
…固定用ナツト、１５……ストツパ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 機関回転に同期して回転するバルブ駆動カム
   と、一端が上記バルブ駆動カムに当接し、かつ他
   端がバルブステムに連係するロツカアームと、上
   記バルブステムの略延長線上に設けられたレバー
   シヤフトと、一端がこのレバーシヤフトに、バル
   ブステム軸方向にスライド可能に嵌合し、かつ上
   記ロツカアームの背面に略沿つて配設されて、こ
   の背面が支点接触するレバーと、上記レバーシヤ
   フトに貫通して螺着し、その先端が上記レバーに
   当接するバルブクリアランス調整用ねじと、上記
   レバーの背面に当接して該レバーの傾斜を規制す
   る制御カムとを備えてなる内燃機関の吸排気弁駆
   動装置。