JPS6131120Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、トンネル等での漏水を適切な排水
を行ない防止する漏水防止板に関するものであ
る。

トンネル等での漏水は美観を害するのみでな
く、覆工コンクリートの風化を促進し、寒冷地に
おいては凍結融解の繰返しにより覆工の耐久性を
著しく低下させる。また電気設備類の機能低下の
大きな原因にもなる。したがつて特にトンネルの
漏水は、交通などに支障を与えるので、できるだ
け防止しなければならない。

しかし水が出てこないように閉そくするという
考え方で防止するのは、きわめて困難であつて適
切な排水を行なうことが重要である。

そのため従来、排水は第１図に示すように側壁
コンクリートＡの打設前に側壁背面に沿つて集水
ブロツクＢ、集水マツトＣ等の排水工を設け、中
央集水管Ｄに流入させるようにしている。

しかしながら、コンクリート打設時や裏込め注
入時につぶれぬよう、また覆工背面の土砂が水と
共に流出しないようにする必要がある等の施工手
間がかかつた。

この考案は前述した従来の問題点を一挙に解決
するために提案されたもので、その目的は排水工
を設ける必要がなく、排水工と覆工コンクリート
を兼ねた板体を使用することにより、特に漏水と
共に山砂の流出が多いトンネルでの漏水の防止お
よび排水を確実に行なうことのできる漏水防止板
を提供することにある。

以下この考案を図示する実施例によつて説明す
る。

漏水防止板１は、第１図および第２図に示すよ
うに中央位置に設けられている側縁に沿つて貫通
する導水孔２と、表面に複数設けられている導水
孔２に連通する長孔３と、この長孔３と長孔３の
切れ目位置で導水孔２を挾んで両側位置に所定間
隔をおいて設けられている後述するアンカーボル
ト４が貫通する透孔５と、長孔３が設けられてい
る面と反対側の面に設けられている透孔５と連通
しアンカーボルト４に締結するナツト６および座
金７が挿入される透孔８とを有するものである。

導水孔２には、グラスウール等の繊維通水材９
が充填されている。

このような構成からなる漏水防止板１をトンネ
ル１０に取り付ける際には、まず所定位置にアン
カーボルト４を取り付ける。

次にこのアンカーボルト４を漏水防止板１の透
孔５に挿入してトンネル１０の壁面に仮設し、ア
ンカーボルト４に座金７を挿入後ナツト６により
締め付け固着する。

そして、座金７およびナツト６が挿入された透
孔８の残り空間部に、弾性シーリング材１１を充
填する。

その後、次の漏水防止板を同様に取り付ける
が、両漏水防止板１，１の導水孔２，２が連通す
るように取り付ける。

以上のような取付作業を順次繰り替えす。

そして完成時には、第４図に示すように導水孔
２は連通され、漏水は長孔３から導水孔２に伝わ
り、中央集水管１２に排水される。この時導水孔
２に充填されている繊維通水材９により、土砂な
どが流れでることがなく、漏水だけが排水され
る。

第５図、第６図は漏水防止板１の別実施例を示
すものである。

従来のトンネルの漏水は、ほとんどの場合覆工
コンクリートの打継ぎ目、すなわち、アーチ部覆
工の打継ぎ目、側壁部の打継ぎ目、およびアーチ
部と側壁部の打継ぎ目で生じる。

そこでこの打継ぎ目に漏水防止板１を取り付け
たもので、覆工コンクリートの打設時にあらかじ
め漏水防止板取付用の空間部１３とアンカーボル
ト４を設け、漏水防止板１を取付ける。

このときにアーチ部の覆工１４，１４の打継ぎ
目１５と、アーチ部覆工１４と側壁部１６との打
継ぎ目１７の当接部１８は、第６図に示すように
打継ぎ目１５に取付ける漏水防止板１の側壁部側
端部に切欠き部１９を設け、打継ぎ目１７に取付
ける漏水防止板１の打継ぎ目１４位置に切欠き部
２０を設け、おのおのの切欠き部１９，２０を当
接させ取付ける。

なお、当接部１７の導水孔には、Ｔ字連結パイ
プ２１が設けられている。これは漏水の流れをス
ムーズにするためである。

この考案は以上のような構成からなり、次に述
べる効果を有する。

覆工コンクリートを兼ねた漏水防止板をトン
ネル壁面に取り付けることにより、漏水は長孔
から簡単かつ確実に排水される。

導水孔に充填されているグラスウール等の繊
維通水材により、漏水だけが排出され土砂など
は排出されない。そのため導水孔が土砂などで
詰ることがない。

漏水防止板を覆工コンクリートの打継ぎ目に
使用すれば、打継ぎ目からの漏水を確実に防止
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の漏水排水工を示す断面図、第２
図はこの考案の漏水防止板を示す斜視図、第３図
は漏水防止板にアンカーボルトを挿入した状態を
示す斜視図、第４図はこの考案の漏水防止板を取
り付けたトンネルの概略断面図、第５図はこの考
案の漏水防止板の別態様を示す概略斜視図、第６
図は第５図のＥ部詳細断面図である。 １……漏水防止板、２……導水孔、３……長
孔、４……アンカーボルト、５……透孔、６……
ナツト、７……座金、８……透孔、９……繊維通
水材、１０……トンネル、１１……弾性シーリン
グ材、１２……中央集水管、１３……空間部、１
４……アーチ部覆工、１５……打継ぎ目、１６…
…側壁部、１７……打継ぎ目、１８……当接部、
１９……切欠き部、２０……切欠き部、２１……
Ｔ字連結パイプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 側縁に沿つて貫通する導水孔が中央位置に、前
   記導水孔に連通する長孔が複数個一方側表面にそ
   れぞれ設けられ、前記導水孔には漏水のみを通水
   する繊維通水材が充填されていることを特徴とす
   る漏水防止板。