JPS6130275Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は改良された安全機構を備えた電解コン
デンサに関するものである。

電解コンデンサに逆電圧や連続した過電圧ある
いは異常パルスが印加されると、電解液に過大電
流が流れて電気分解を起こしてガスを発生すると
ともに、その等価抵抗によるジユール熱の発生の
ため、電解コンデンサの内部圧力が上昇し、遂に
は爆発状態で破壊してしまう。また電解コンデン
サの素子が何らかの原因で劣化してくると、これ
と同様な現象が起こる。電解コンデンサの封口部
の構造や材質などによつてかなり差があるが、10
mmφ位の円筒ケースに収納された電解コンデンサ
の破壊する内部圧力は30Kg／cm²前後である。従つ
て爆発したときは相当危険なので、所定の内部圧
力に達したとき発生したガスなどをケース外部に
脱出させるような機能を持つ防爆機構を備えてそ
の危険をさけている。

大形の円筒形電解コンデンサの従来の防爆機構
の実施例を第１図に示す。同図において、１はア
ルミニウムなどからなるケース、２は電解コンデ
ンサの素子、３は引出リード、４は貫通孔４′を
備えた合成樹脂などからなる絶縁板、５は合成ゴ
ムなどからなる弾性板であり、絶縁板４と弾性板
５で封口板を形成している。６は端子、７はリベ
ツトで、端子６と引出しリード３を固定接続して
いる。含浸剤が含浸された素子２から導出された
引出しリード３をリベツト７でかしめて固定接続
し、次に素子２をケース１に収納するとともにケ
ース１の開口部に封口板を嵌合したのち、ケース
１の開口端を巻閉したものである。この場合の防
爆機構は貫通孔４′とその上に配置された弾性板
５の一部５′からなつており、内部圧力が所定圧
力に達すると、弾性板５の一部５′が外部に膨れ
て破れ、発生したガスが貫通孔４′を通つて外部
に脱出するため、爆発の危険を避けることができ
る。

しかしながら、この防爆機能はほとんど弾性板
５にかかつているため所要内部圧力で破壊するよ
うなゴムの厚さ、硬度、種類などの選択を要する
ため、実用上バラツキの少ない安定したものを得
ることが比較的困難である。そのうえゴムは経年
劣化により硬度が変つたり、亀裂が入つたりする
ので、長年月の防爆機能に対する保障は極めて困
難である。この他にも上述のような封口板に防爆
機能を備えたコンデンサは数多くあるが、いずれ
もゴムなどの弾性板を利用しており、防爆機能に
対する保障が困難であつたり、高価なものとなつ
ていた。また封口部以外の箇所に防爆機能を備え
たものとしては第２図にその実施例を示すよう
に、アルミニウムなどよりなるケース８の内面も
しくは外面に厚肉部９と各種形状の薄肉部１０を
形成せしめて、内圧の上昇によりこれを膨張せし
め、破壊にいたらしめることにより内部ガスを外
部に脱出せしめるものである。

このコンデンサは上述のように封口部に防爆機
構を備えたものより安定した保障はできないもの
の、外部からの衝撃に弱いため、輸送中の破損な
どにより損傷するといつた欠点がある。

また上述のような防爆機構を備えたコンデンサ
はいずれもコンデンサ内部や外部回路などに異常
が発生した場合、ある一定時間経過後ガスにより
内圧が上昇するのをまつて弁作動するもので、単
にコンデンサ素子の防爆を防止するための機構で
あるので、破壊に至るまでの間に他の回路部品な
どにも故障を誘発する場合が多々ある。また破壊
により他のプリント基板や回路部品に電解液が飛
散したり、時には防爆機構部から素子飛出しなど
も発生し、回路的にみた場合、全体の安全機構と
はなつていないものであつた。

本考案は上述の欠点を改良したものである。

すなわち、本考案はコンデンサの内部または外
部に異常が発生した場合、コンデンサ端子に流れ
る異常過電流や内部温度の上昇による異常温度に
よつて破壊せしめ、断線状態に至らしめるような
温度ヒユーズ、感温素子、ヒユーズ抵抗、ダイオ
ードなどの部品や線材をコンデンサの端子間に接
続したものである。

一般にプリント基板などに取付けて使用するた
めの端子板として第３図に示すような構造が広く
使用されており、この絶縁板４と弾性板５によつ
て構成される端子板に取付けてある外部端子１
１，１２，１３，１４のうち、内部コンデンサ素
子２より導出する引出しリード３を外部に接続せ
しめる外部端子１１，１２以外の補強用ダミー端
子１３，１４はプリント基板においてコンデンサ
の取付け強度を増すためのもので、該端子１３，
１４の裏側には引出しリード３などは接続されて
いないが、本考案はこの接続されていない補強用
ダダミー端子１３または１４を利用したもので、
以下その一実施例を第４図に示す。

第４図イ、ロはコンデンサ素子２より導出した
引出リード３を封口板に固定した要部の斜視図お
よび平面図で、リベツト１５，１６，１７，１８
とそれぞれ接続する内部コンデンサ素子２より導
出する引出リード３を外部に接続せしめる外部端
子２０，２２および補強用ダミー端子２１，２３
の３本以上の端子において少くとも１本以上の補
強用ダミー端子（図において端子２１，２３）を
有する絶縁板４および弾性板５からなる封口板上
の内部コンデンサ素子２より導出する引出リード
３を外部に接続せしめる外部端子２０と補強用ダ
ミー端子２１の裏側でコンデンサ素子２より導出
した引出リード３とリベツト１５，１６とをそれ
ぞれ同極同士接続し、その少なくともいずれか一
方の引出リード３と接続した補強用ダミー端子２
１と、引出リード３と直接接続していない内部コ
ンデンサ素子２より導出する引出リード３を外部
に接続せしめる外部端子２２とを温度ヒユーズ、
感温素子、ヒユーズ抵抗、ダイオードなどからな
る過電流または過熱により断線する部品１９をか
しめ、溶接などにより、これをケースに収納し、
該ケースの開口部に封口板を嵌合したのち、該ケ
ースの開口端を巻締して密閉し完成したものであ
る。

なお、多素子コンデンサにおいては電源回路に
使用される素子と上記部品１９とを直列に接続
し、その接続部より独立の端子を導出してもよ
い。

本考案の電解コンデンサは以上のようにして構
成されているので、内部コンデンサ素子２より導
出する引出リード３を外部に接続せしめる外部端
子２０，２２を回路に接続して使用したとき、コ
ンデンサの内部または外部回路の異常によりコン
デンサに過電流が流れまた過熱した場合、上述の
部品１９が速やかに断線し、コンデンサ回路を開
放することができ、爆発、汚染などを未然に防止
することができる。部品１９の一端には補強用の
ダミー端子２１、他端には内部コンデンサ素子２
より導出する引出リード３を外部に接続する外部
端子２２が外部に導出されているので、外部から
断線の有無が測定できる。端子がプリント回路用
の場合は端子数が増加するので固定が安定するな
どの効果がある。

叙上のように本考案の電解コンデンサは二次的
障害を未然に防止し、極めて安全性が高く、実用
的価値の大なるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の電解コンデンサの断面図、第２
図は従来の電解コンデンサのケース底部の斜視
図、第３図は従来の電解コンデンサの斜視図、第
４図は本考案の電解コンデンサの一実施例で、イ
は内部の要部斜視図、ロは平面図である。 １：ケース、２：コンデンサ素子、３：リード
板、４：絶縁板、５：弾性板、１９：過電流また
は過熱により断線する部品、２０，２２：内部コ
ンデンサ素子より導出する引出リードを外部に接
続せしめる外部端子、２１，２３：補強用ダミー
端子。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) コンデンサ素子２より導出したリード板３
   と、過電流または加熱により断線する部品１９
   とを直列に接続し、これを外部端子を有する端
   子板に接続固定しケース１に収納してなる電解
   コンデンサにおいて、上記直列に接続した箇所
   から外部端子の補強用ダミー端子２１を導出し
   てなる電解コンデンサ。 (2) 上記補強用ダミー端子２１および他の外部端
   子２０，２２がプリント回路用である実用新案
   登録請求の範囲第１項記載の電解コンデンサ。