JPS6129119B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、既設原子力発電プラント配管内面溶
接部の引張残留応力を低減するために好適な高周
波誘導加熱用コイルに関するものである。

第１図は配管に高周波誘導加熱用コイルを設置
して、配管内面溶接部の引張残留応力を低減する
作業を行なう状態を示した概略図である。配管１
の表面部に一定のギヤツプを介して高周波誘導加
熱用コイル２が設置されている。このような高周
波誘導加熱処理工事では、配管１に対する均一な
加熱温度を如何に得るかが大きなポイントであ
る。そこで、管台取付溶接部がレジユーサ等の特
殊形状部や、加熱範囲内にある板厚相違等による
加熱条件の変化に対して、コイル２と配管１との
ギヤツプを調整することによつて、均一な加熱温
度が得られるようにしている。

しかし、ギヤツプ調整がうまく行かずギヤツプ
不揃いとなると、周方向に温度差が発生し、均一
な加熱温度が得られなくなると共に、配管の応力
腐食割れ上も芳しくない。更に、ギヤツプが極端
に相違する場合は、ある１部分のみが制限温度
（550℃）に達してしまい、加熱はこの時点で中止
せねばならなくなり、加熱領域全体の必要条件を
満足できない状態を引き起こす欠点があつた。こ
のため、従来ではギヤツプ調整に、細心の注意を
払いながら加熱作業が行なわれていた。

第２図及び第３図は第１図のＰ部で示したギヤ
ツプ保持部の詳細を示すものである。コイル２の
端面はロー付３により固定板４に溶着されてい
る。この固定板４は配管１の表面に立設される絶
縁板５の楕円穴６に挿入されるボルト７により絶
縁板５に締付固定されるが、この際、楕円穴６内
のボルト７の締付位置を調整して所定のギヤツプ
Ｇを確保する。

しかし、上記絶縁板５と固定板４はボルト７締
付による摩擦力にのみ依存しているため、ゆるみ
易く、特に、エルボ、レジユーサ、管台取付溶接
部のような形状が複雑に変化する部分に対する固
定は極めて困難となる欠点があつた。このため、
従来の作業では、対象配管にコイルを仮取付し、
釣具等によりコイルを補助固定後、加熱直前に再
度ギヤツプ測定をしてボルト再締付を実施して行
なつていた。従つて、加熱直前にボルト再締付が
必要となるため、加熱を連続的に処理することが
困難となり、著しく作業性を悪化させていた。

本発明の目的は、上記の欠点を解消し、被加熱
物と高周波誘導加熱用コイルとのギヤツプを１度
調整しただけで確実に保持し得る高周波誘導加熱
用コイルを提供することにある。

本発明は、高周波誘導加熱用のコイルの端部を
溶着する固定板を断面がＬ字状の形状とし、この
固定板を被加熱物の表面に立設された絶縁板の側
面に、該絶縁板に設けられた楕円穴を貫通するボ
ルトによつて締付固定すると共に、固定板の絶縁
板頂部に対向する位置に、これに螺合し且つ貫通
するボルトを設け、このボルトの先端により絶縁
板の頂部を締付けることにより、絶縁板に対する
コイルのゆるみを防止してコイルと被加熱物との
ギヤツプを確実に確保したものである。

以下本発明の高周波誘導加熱用コイルの一実施
例を従来例と同部品は同符号で示し第４図及び第
５図により説明する。

高周波誘導加熱用のコイル２は、ロー付３によ
り断面がＬ字状の固定板８に溶着されている。こ
の断面がＬ字状の固定板は、配管１の表面に立設
する絶縁板（ギヤツプ調整板）５にボルト７によ
り締付固定されると共に、固定板８のＬ字状に曲
がつている先端に螺合貫通している締付ボルト９
により、絶縁板５の頂部にも固定される。

先ず、コイル２を溶着した固定板８を絶縁板５
の楕円穴６を貫通するボルト７により締付ける際
に、ボルト７の締付位置を調整して配管１の表面
とコイル２のギヤツプＧが均一になるように調整
し、その調整が完了した後ボルト７を締付けて、
釣具等によりコイル２を固定後、最終的に締付ボ
ルト９により絶縁板５の頂部に固定板８を固定す
る。

本実施例によれば、コイル２が溶着された固定
板８を絶縁板５にボルト７と締付ボルト９により
固定するため、固定板８を絶縁板５に固定する摩
擦力が増大して、ゆるみを防止する効果があり、
ギヤツプＧを調整した後、１回の締付固定のみ
で、適正なギヤツプＧを確保する効果がある。従
つて、従来の加熱直前に行なわれていた再締付が
不要となり、連続的加熱処理を行なうことも可能
となり、加熱作業の効率を著しく向上させる効果
がある。

以上記述しした如く本発明の高周波誘導加熱用
コイルによれば、被加熱物と高周波誘導加熱用コ
イルとのギヤツプを１度調整しただけで確実に保
持し得る効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は配管を加熱する際の高周波誘導加熱用
コイルの設置状態を示した説明図、第２図は第１
図のＰ部の詳細拡大図、第３図は第２図の側面
図、第４図は本発明の高周波誘導加熱用コイルの
一実施例を示す要部説明図、第５図は第４図の側
面図である。 ２……コイル、５……絶縁板、７……ボルト、
８……固定板、９……締付ボルト。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 加熱用コイルの一端に固定板を取付け、この
   固定板を被加熱物の表面に立設される絶縁板の側
   面にボルトによつて締付固定することにより、加
   熱用コイルを被加熱物との間に所定のギヤツプを
   保持して取付ける高周波誘導加熱用コイルにおい
   て、前記固定板の断面形状をＬ字状とし、この固
   定板の先端部で且つ前記絶縁板の頂部に対向する
   部分に、該固定板と螺合貫通するように設けられ
   たボルトと、前記絶縁板の側面に形成された楕円
   穴を貫通するように設けられたボルトとを備え、
   これらのボルトにより前記固定板を絶縁板の側面
   と頂部の２箇所に締付け固定することを特徴とす
   る高周波誘導加熱用コイル。