JPS6127055B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は寝たきり老人或いは病人又は起居動作
の不自由な人を人手により入浴させるに適した浴
槽に関する。

寝たきり老人或いは起居動作の不自由な人の入
浴は人手による以外になく、他人がこれを行なう
には非常な労力を必要とし困難な作業である。

本発明は上記困難な人手による入浴作業を容易
にして労力を軽減すると共に、これら身体不自由
な人に快適な入浴感を与え得るようにしたことを
目的とするもので、浴槽の内部に上下動し得る洗
い台を設けたものにおいて、浴槽の上部外周に排
湯樋を形成すると共に洗い台の全面を被覆して着
脱し周縁部を排湯樋内に突入させ得ようにした可
撓性材料から成るカバーを設けたことを特徴とす
る。

本発明の実施態様を図面について説明する。第
１図乃至第３図において１は例えば硬質合成樹
脂、ほうろう引金属板その他適宜の材料から成る
浴槽で、その内部に入浴者を乗せる洗い台２を収
容し、これを浴槽内で上下動に自由に移動させる
ようにした。

上記図示例において、洗い台２の上下動装置
は、浴槽１の対向する側縁に沿つて夫々軸杆３，
３を挿通軸支し、両側の軸杆３，３は各一端に結
着した鎖輪４，４にチエン５を懸架して連結し、
一方の軸杆３を把手６で回動することにより両軸
杆３，３を同時に回動させるようにし、各軸杆
３，３の中間に一端を結着した２本宛の索条又は
チエン７の他端を夫々洗い台２の四隅に連結し、
両側軸杆３，３を同時に任意方向に回動させるこ
とにより洗い台２を上下動させるようにし、一方
の軸杆３に固着したラチエツト８に止爪９を係脱
させて洗い台２の上下動と任意位置での停止を行
わせるようにした。

尚、洗い台２の上下動機構は上記のものに限る
ことなく例えば第４図で示すように、浴槽１の底
面上に空気嚢１０を設置してその上面に洗い台２
を乗せ、浴槽１外から足踏式空気圧送器１１等に
より送気管１２を経て空気嚢１０内に空気を圧入
又は脱気して該嚢１０を膨張又は収縮させること
によりこれに乗せた洗い台２を案内片１３に沿い
上下動させて高さを調整してもよく、その上下動
手段としてはモータを原動力とした機械装置によ
り自動的に上下動させる等適宜の方式を採用し得
る。

洗い台２には一側に枕部２ａを一体に突出形成
して仰臥させて入浴者の頭部を乗せるようにし
た。

浴槽１は作業を簡便にする目的で湯の使用量を
比較的少なくし且つ移動を容易にするため、その
容積を可及的に小さくして取扱いを容易にし、例
えば寝台の下面に収納し得るようにすれば便利で
あり、又、その下面に伸縮し且つ折畳み自在の支
脚１４を装備して使用状態に対応して高さを加減
できるようにした。

更に浴槽１の上部外側を囲繞して後述する入浴
者の洗浄作業に際して排湯を処理するための排湯
樋１５を設け、該排湯樋１５は一側が低くなるよ
うに傾斜させて排湯の流れを円滑にし、その低部
下面に排湯取出口１６を設けた。

尚、浴槽１内に予め水を容れ、これを適温に加
温するように電熱又はガスを利用した湯沸し装
置、或いは浴槽１内の湯温を保持するため加温装
置を槽１内又は外側に設備することもある。

図面において１７は浴槽１内の湯取出蛇口、１
８は合成樹脂のシート材から成る可撓性カバー
で、洗い台２の全面を被覆して着脱し得るように
上面に敷き、その上に入浴者を乗せるもので、そ
の周縁部１８ａを排湯樋１５内に突入させて使用
する。１９は送気口２０から空気を圧入して膨張
させることにより浴槽１の上部周面を囲繞させて
使用する空気嚢から成る囲枠で、その下縁から突
出させた縁片１９ａで排湯樋１５の内面に適当な
結着具１９ｂにより着脱自在に取付けて使用す
る。

以上の構成から成る本発明に係る浴槽の使用状
態を第７図乃至第１１図により次に説明する。

例えば不使用時には寝台Ａの下面に収納し得る
浴槽１を取出して、これを支脚１３により適当な
高さとし、且つ浴槽１内の洗い台２を適当な高さ
位置に上動させて、その上面にカバー１８を敷
き、第７図示のようにその上に入浴者を乗せる。
この場合洗い台２の高さ位置の自由な調節により
寝台Ａ上の入浴者を極めて容易に１人の作業で移
すことができる。

予め浴槽１内には適温の湯を適量入れておき、
洗い台２を第８図および第１１図で示すように下
降させることにより入浴者の全身を浴槽１の湯内
に位置させて温浴させるが、このときカバー１８
の周縁部１８ａは可撓性のため適当に彎曲して浴
槽１内に引込まれ洗い台２の下動は支障なく行わ
れる。適度な入温浴時間を経た後、洗い台２を適
当高さ上動させて入浴者を洗浄するもので、この
とき第９図および第１０図で示すように浴槽１に
対し囲枠１９を取付けて洗浄用の湯が周辺に飛散
することを防止し、且つカバー１８周縁部１８ａ
を排湯樋１５内に突入させて洗い台２上で生ずる
石鹸水等の汚れた湯を排湯樋１５に流入させると
共に排湯口１６を開いてこれを予め設備した排湯
場所或いはバケツ等に溜めて排棄し、汚れた湯が
浴槽１内に流入して槽内の湯を汚染することのな
いようにした。洗浄を終つた後、再び洗い台２を
下降させて入浴者を湯内に位置させ温浴させた
後、洗い台２を上動させ体を拭いて入浴者を洗い
台２上から寝台Ａ等に移して入浴作業を終える。
浴槽１内の湯は蛇口１７を開いてバケツ等で取出
し排棄すると共に汚染された部分を洗浄した後浴
槽１を適当な場所に収納する。

このように本発明によるときは浴槽内の洗い台
を自由に上下動させて寝台、担架等から入浴者を
洗い台上に移す作業を至極簡便にし、又浴槽内で
入浴者を湯内に浸し或いは湯内から引上げる作業
を極めて安易に行なうことができると共に、浴槽
の外側周囲には排湯樋を設けると共に上記の全面
を被覆する可撓性のカバーを有し、その周縁部を
排湯樋内に突入させるようにしたので、洗い台を
上動させて入浴者を洗浄するに際し、洗浄による
汚れた湯は確実に排湯樋内を経て槽外に排除し得
て浴槽内の湯が汚れることなく、排湯の処理が安
全に行われて浴槽を設置した床面を汚損すること
を防止し得る等、寝たきり老人その他起居動作の
不自由な人の入浴を単に一人の作業で簡便に行な
つて従来の重労働条件を排除し、且つ入浴者にも
快適な入浴感を与えることとができる効果を有す
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すもので、第１図は
浴槽の斜視図、第２図は截断側面図、第３図は截
断正面図、第４図は他の実施例を示す浴槽の一部
を截除した斜視図、第５図はカバーの斜視図、第
６図は囲枠の一部を截除した斜視図、第７図、第
８図および第９図は使用状態を示す正面図、第１
０図および第１１図は使用状態を示す側面図であ
る。 １……浴槽、２……洗い台、１５……排湯樋、
１８……カバー、１８ａ……周縁部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 浴槽の内部に上下動し得る洗い台を設けたも
   のにおいて、浴槽の上部外周に排湯樋を形成する
   と共に洗い台の全面を被覆して着脱し周縁部を排
   湯樋内に突入させ得ようにした可撓性材料から成
   るカバーを設けて成る浴槽。