JPS61241991A - 耐熱性に優れた高分子圧電体の製造方法 - Google Patents

耐熱性に優れた高分子圧電体の製造方法

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JPS61241991A
JPS61241991A JP60083216A JP8321685A JPS61241991A JP S61241991 A JPS61241991 A JP S61241991A JP 60083216 A JP60083216 A JP 60083216A JP 8321685 A JP8321685 A JP 8321685A JP S61241991 A JPS61241991 A JP S61241991A
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JP
Japan
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film
vinylidene fluoride
copolymer
heat resistance
temperature
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JP60083216A
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Nobuko Minato
湊 伸子
Keiko Koga
啓子 古賀
Koji Daito
弘二 大東
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、圧電性および耐熱性に優れた高分子圧電体の
製造方法に関する。
(従来の技術) フッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンの共重合体は
超音波トランスデユーサ等に用いる圧電体として使用で
きることが知られている(特開昭56−111281号
公報および特開昭56−114500号公報)。
特開昭56−111281@公報に記載されている様に
、本共重合体の厚み圧電性の関与する電気機械結合定数
Ktはフッ化ビニリデン組成が65〜95モル%で大き
く、特に好ましくは65〜82モル%でざらに大きい値
が得られる。上記公報で開示されている様に、本共重合
体は融点以下、[結晶転移温度−5]°C以上の温度で
熱処理を行ない、熱処理と同時に、あるいは熱処理後ポ
ーリングを行なうことにより結晶化度が増大し、大きい
圧電性あるいは大きいKtが得られる。
本発明者らは、ざらにフッ化ビニリデンとトリフルオロ
エチレン共重合体の結晶の相転移現象を深く検討した結
果、強誘電−常誘電相転移点(Tc )がフッ化ビニリ
デン組成が約82モル%を越えると融点Tm以下には存
在しないという事実を見出した。
TCがTm以下にないフッ化ビニリデンと1〜リフルオ
ロエチレンの共重合体はフッ化ビニリデン組成がほぼ8
2モル%以上であり、キャストの段階では結晶性が低く
、しかもβ型のほかに分子がトランス・ゴーシュ・トラ
ンス・(ゴーシュ)−構造をしていて結晶格子として自
発分極がないα型と呼ばれる結晶構造が入る。このため
、通常のTm以下の熱処理後にポーリングしたのではα
型が残り大きい圧電性が得られない。そこで、従来まで
は延伸工程を熱処理前に加えα型結晶を自発分極を持つ
β型結晶に変換していた。そして、延伸されたフッ化ビ
ニリデンとトリフルオロエチレンの共重合体をポーリン
グすれば、Tm以下にTcを持たず、ある程度の圧電性
が臂、られることか判った。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、フッ化ビニリデン組成比が約82モル%
以上の共重合体では上記の方法では十分実用に耐えるだ
けの圧電体が得られなかった。
延伸した後にl’−m以下で熱処理を行なうと、実用可
能な厚み圧電性が出るが、その大きさはフッ化ビニリデ
ン組成が80モル%付近の共重合体より小さかった。ざ
らに、実用的見地から見て重要な性質である耐熱性も、
最大で150’Cであり、より高温に耐える圧電材料が
望まれていた。
本発明の目的は、従来のものより圧電性および耐熱性に
優れる、フッ化ビニリデン組成が約90モル%未満で、
且つTm以下にTcを持たないフッ化ビニリデンとトリ
フルオロエチレンの共重合体を用いた高分子圧電体の製
造方法を提供することにある。
(問題点を解決するための手段) すなわち本発明は、フッ化ビニリデン組成が約90モル
%未満で、且つ融点(Tm >以下に強誘電−常誘電相
転移点(Tc >を持たないフッ化ビニリデンとトリフ
ルオロエチレンの共重合体を融点(“丁m)以上の温度
から徐冷結晶化させ、その後ポーリングすることを特徴
とする耐熱性に優れた高分子圧電体の製造方法に関する
ものである。
本発明においては、フッ化ビニリデン組成が約90モル
%未満で、且つl−m以下にTcを持たない共重合体を
、−口温度をTm以上に上げて融解させ、そこから特に
急冷することなく結晶化させた後にポーリングする。
この場合、結晶化温度領域を通過する際の冷却速度が1
0’C/分以下であることが好ましい。ざらに好ましく
は5°C/分以下、より好ましくは2℃/分以下である
。ポーリングを室温で行なう場合は電場の方向を数回反
転することが好ましい。
この場合、1回目に印加する電場強度は、はぼ700K
V/cm以上であることが好ましいが、反転を繰り返す
につれて、より低い電界強度で双極子が反転するように
なり、印加電界強度をこれに応じて下げてもポーリング
の効果は得られる。例えば反転10回目の場合には、は
ぼ400KV/cm程度で双極子が反転するようになる
室温以上の温度でポーリングを行なう場合は、温度の上
昇に応じてより低い電界強度でもポーリングの効果が得
られる。例えば100’Cではほぼ550KV/cm以
上、140’Cではほぼ350KV/cm以上でポーリ
ングすることが好ましい。
この結果前られる共重合体はl’−mが170’C付近
と高く、TlT1以下にTCを持たない。
しかも、その厚み方向電気機械結合定数Ktの耐熱性が
よく、Tm直下まで実用可能な値を維持するため、従来
のものと比較して、より高温で圧電材料として使用する
ことができる。
Ktの耐熱性がよ<Tm直下までの実用可能な値を維持
する圧電体を得るためには、フッ化ビニリデン組成が約
9Qモル%未満で、且つTm以下にTCを持たないフッ
化ビニリデンとトリフルオロエチレンの共重合体であれ
ば、製膜方法には制限がない。すなわら、溶液からのキ
ャスト製膜でも、ホットプレス製膜でも押し出し製膜で
もよい。
更に、一旦延伸したフィルムを原フィルムとして用いて
もよい。
なお、フッ化ビニリデンを多く含むフッ化ビニリデンと
トリフルオロエチレンの共重合体において、Tm以下に
TCがあるかないかについてこれまで明確な知見は報告
されていない。
以下、本発明を実施例および比較例を用いて説明する。
(実施例) ・実施例1 (フッ化ビニリデン組成82モル%未延伸、溶融結晶化
フィルム) フッ化ビニリデン組成82モル%のフッ化ビニリデン−
トリフルオロエチレン共重合体ジメチルホルムアミド溶
液をガラス板上に流証し、常温、減圧下で溶媒を気化さ
せた。このフィルムの融点はTm=143℃であった。
これをガラス板からはがさずに、155°Cで1時間2
0分間熱処理した後、自然冷却させた。このフィルムの
両面にアルミニウムを蒸着して電極として用いポーリン
グを行なった(ポーリング温度Tl)=100’C、ポ
ーリング電圧Ep=857KV/cm、処理時間15分
)。こうして得られた圧電膜はKt =O025、Tm
=169°Cであった。このフィルムの耐熱性(熱安定
性)は第1図の記号口で示す通りである。なお、Ktの
耐熱性の測定は、試料をオーブンの中に10分間入れて
おき、室温でに℃を測定することを同一試料でオーブン
の温度を順次上げて繰り返すことによった(以下の耐熱
性の測定はすへてこの方法による。)。また、Ktは無
負荷の膜状圧電振動子の圧電共振の電気インピーダンス
の測定から決定された。
第1図からKtはTm付近までほとんど減少せず安定で
あることが判る。また、第1図において縦軸は、昇温す
る過程を経ないKtで規格化したものである。
・実施例2 (フッ化ビニリデン組成86モル%未延伸、溶融結晶化
フィルム) フッ化ビニリデン組成86モル%のフッ化ビニリデン−
トリフルオロエチレン共重合体ジメチルホルムアミド溶
液をガラス板上に流証し、常温、減圧下で溶媒を気化さ
せた。このフィルムの融点はTm=149°Cであった
。これを、ガラス板からはがさずに158°Cで1時間
20分間熱処理した後、自然冷却した。このフィルムの
両面にアルミニウムを蒸着して電極として用いポーリン
グを行なつt;: (T’1)=120’C,Ep =
760KV/cm、処理時間20分)。こうして得られ
た圧電膜はKt =0.2L Tm =173℃であっ
た。
このフィルムの耐熱性は第1図の記号○で示す通りであ
る。Ktは融点直下まで大きな低下がないことが判る。
・実施例3 (フッ化ビニリデン組成86モル%ホットプレス製膜、
T…以上で熱処理したフィルム)フッ化ビニリデン組成
86モル%のフッ化ビニリデンートリフルオ゛ロエチレ
ン共重合体を厚ざQ、5mmのクロムメッキ板ではさん
で250℃でホットプレスした後、金属板にはさんだま
ま、OoCの氷水中に入れて急冷した。このフィルムの
触車は、Tm=138°Cであった。これを、2枚のテ
フロン板に挟持して150’Cで1時間熱処理した後、
自然冷却した。このフィルムの両面にアルミニウムを蒸
着して電極として用い、ポーリングを行なった(Tp=
120’C,Ef)=700KV/Cm、処理時間30
分)。こうして得られた圧電膜は、Kt =0.20.
Tm =172°Cであった。
このフィルムの耐熱性は、実施例2の場合(第1図記号
○)と同様であり、Ktは融点直下まで大きな低下がな
かった。
・実施例4 (フッ化ビニリデン組成89モル%未延伸、溶融結晶化
フィルム) フッ化ビニリデン組成89モル%のフッ化ビニリデン−
トリフルオロエチレン共重合体ジメチルボルムアミド溶
液をガラス板上に流証し、常温、減圧下で溶媒を気化さ
せた。このフィルムの融点は、7−m=155°Cであ
った。これをガラス板からはがざずに165°Cで2時
間熱処理した後、自然冷却した。このフィルムの両面に
アルミニウムを蒸着して電極として用いポーリングを行
なった(Tp =100’C,El)=790KV/c
m、処理時間30分)。こうしてjdられた圧電膜はK
t=0.10.Tm =174°Cであった。このフィ
ルムの耐熱性は、実施例2の場合(第1図記号O)と同
様であり、Ktは融点直下まで大ぎな低下がなかった。
・比較例1 (フッ化ビニリデン組成82モル%未延伸、Tm以下で
熱処理をしたフィルム) フッ化ビニリデン組成82モル%のフッ化ビニリデン−
トリフルオロエチレン共重合体ジメチルアセトアミド溶
液をガラス板上に流産し、常温、減圧下で溶媒を気化さ
せた。このフィルムの融点はTm=143℃であった。
これをガラス板からはがさずに、140’Cで1時間熱
処理した俊、自然冷却させた。このフィルムの両面にア
ルミニウムを蒸着して電極として用い、ポーリングを行
なった(Tp =100’C,Et)=609KV/c
m、処理時間17分)。こうして得た圧電膜は、Kt=
0.04であり、実用的な大きざの圧電性が殆どなかっ
た。
・比較例2 (フッ化ビニリデン組成82モル%ホットプレス製膜、
ロール延伸、l’−m以下で熱処理をしたフィルム) フッ化ビニリデン組成82モル%のフッ化ビニリデン−
トリフルオロエチレン共重合体を実施例3と同様にホッ
トプレスで製膜し自然冷却した。
その後120’Cで約3倍にロール延伸した。このフィ
ルムの融点はTm =164°Cであった。これを金属
板ではさんで、オーブン内で140’Cで1時間熱処理
を行ったあと、自然冷却させた。このフィルムの両面に
アルミニ4ウムを蒸着し、電極として用いポーリングを
行なった(Tp=115°C1Ep=440KV/cm
、処理時間1時間〉。こうして得た圧電膜は、Kt=0
.15、Tm =167°Cであった。このフィルムの
耐熱性を第1図の記号■で示す。
Ktは本発明の場合と異なり、温度の上昇とともに殆ど
直線的に低下し、融点付近でゼロとなる   ゛ことが
判る。
・比較例3 (フッ化ビニリデン組成86モル%延伸、Tm以下で熱
処理したフィルム) フッ化ビニリデン組成86モル%のフッ化ビニリデン−
トリフルオロエチレン共重合体ジメチルアセトアミド溶
液をガラス板上に流証し、常温、減圧下で溶媒を気化さ
せ、得られたフィルムを83℃で4.8倍に延伸した。
このフィルムの融点はTm=158°Cであった。これ
を両端固定して154°Cで1時間熱処理を行なった後
、自然冷却させた。このフィルムの両面にアルミニウム
を蒸着して電極として用い、ポーリングを行なった(T
p=’120℃、El)=723KV/cm、処理時間
30分間〉。こうして得た圧電膜はKt =0.16、
Tm=161°Cで?)ツた。このフィルムの耐熱性を
第1図の記号・で示す。
Ktは殆ど直線的に低下して融点付近でゼロとなった。
・比較例4 (フッ化ビニリデン組成91モル%延伸、Tm以下で熱
処理したフィルム) 。
フッ化ビニリデン組成91モル%のフッ化ビニリデン−
トリフルオロエチレン共重合体ジメチルホルムアミド溶
液をガラス板上に流証し、常温、減圧下で溶媒を気化さ
せ、得られたフィルムを83℃で5゜5倍に延伸した。
こりフィルムの融点はTl11 =163℃であった。
これを両端固定で150℃で1時間熱処理した後、自然
冷却させた。
このフィルムの両面にアルミニウムを蒸着して電極とし
て用いポーリングを行なった(Tp =’l 20’C
,ED =81 ’l KV/cm、処理時間30分)
。こうして得た圧電膜はKt=0.19、Tl11 =
164°Cであった。このフィルムの耐熱性を第1図に
記号ムで示す。K1はほぼ直線的に低下し、融点付近で
ゼロとなった。
・比較例5 (フッ化ビニリデン’100%延伸、丁m以下で熱処理
をしたフィルム) フッ化ビニリデン重合体のフィルムを70’Cで4倍に
延伸した。このフィルムはT…=178℃であった。こ
れを173°Cで1時間熱処理した後、自然冷却させた
。このフィルムの両面にアルミニウムを蒸着して電極と
して用いポーリングをおこなった(TI)=118°C
,Ep=1014KV/cm、処理時間30分)。こう
して得た圧電膜は、Kt=0.17、Tm=178°C
であった。このフィルムの耐熱性を第1図の記号マで示
す。Ktは殆ど直線的に低下し、融点付近でゼロとなっ
た。
・比較例6 (フッ化ビニリデン組成91モル%未延伸、溶融結晶化
フィルム) フッ化ビニリデン組成91モル%のフッ化ビニリデン−
トリフルオロエチレン共重合体ジメチルホルムアミド溶
液をガラス板上に流証し、常温、減圧下で溶媒を気化さ
せた。このフィルムの融点はTm=160’Cであった
。これを、ガラス板からはがさずに177°Cで1時間
熱処理した後、自然冷却させた。このフィルムの両面に
アルミニウムを蒸着して電極として用いポーリングを行
なった(To=100℃、EF)=703KV/cm、
%理時間30分間)。このフィルムはKt =Oであっ
た。
実施例1〜4は、いずれもTm以下の温度で溶融した状
態から自然冷却により結晶化させた後、ポーリングした
もので、Tm以上から結晶化させるとフッ化ビニリデン
組成が約90モル%未満で、且つTm以下にTcを持た
ないフッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンの共重合
体では、従来技術による延伸を施したフィルムよりKt
が高く、しかもKtがTm(170’C付近)直下まで
安定に維持する圧電性および耐熱性のよい圧電体が得ら
れることを示している。 また、比較例1〜5は、本発
明の条件であるTm以上の温度から結晶化させるという
工程を採用していないので耐熱性のよい圧電体が得られ
ないことを示している。なお、比較例2ではホットプレ
スにより一旦溶融結晶化が行なわれていることになるが
、これに続くロール延伸が結晶化したものを壊している
ので耐熱性が向上していない。
本発明に係る溶融結晶化が有効な理由は、フィルムの結
晶性が向上するということである。これを示すために8
6モル%の未延伸−溶融結晶化フィルム(実施例2)お
よび延伸−T…以下熱処理フィルム(比較例3)の密度
測定結果を第1表に示す。
第1表、密度測定結果 この結果から、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレ
ン共重合体を延伸すると、キャストした段階よりは密度
が上がることが判る。しかし、これを融点以上で熱処理
したものよりも、むしろTm以上の溶融した状態から結
晶化して得られる未延伸フィルムの方が密度が大きくな
る。そして、これらをそれぞれポーリングしても、その
傾向が維持され、溶融結晶化した方が密度が上がってい
ることが判る。
更に、フッ化ビニリデン組成86モル%の走査型電子顕
微鏡で、溶融結晶化してからポーリングしたものの方が
ラメラが大きくなることも上に述べた内容を支持してい
る。
フッ化ビニリデン組成が約90モル%未満で、且つTl
11以下にTcを持たないフッ化ビニリデンとトリフル
オロエチレンの共重合体をTm以下の温度から結晶化さ
せると、DSC(示差走査熱量測定法)の昇温曲線に複
数の吸熱ピークが現れる。
フッ化ごニリデン組成86モル%の溶融結晶化フィルム
のDSC曲線を第2図(a>に示す。これはβ型とα型
結晶の混在したものでおることがX線回折結果から判っ
た。これを充分に高い電圧でポーリングすると、DSC
昇温曲線の吸熱ピークはTmにおける1本のみとなり、
しかも高温に移行してTmが170’Cとなる(第2図
(b))。
この試料はX線回折の結果からβ型であることが判った
。すなわら、溶融結晶化した時に存在するα型は、ポー
リングすることによってβ型に変えることができる。こ
のフィルムの熱処理後、およびそのポーリング後のβ型
の(200>+(110)面のX線回折角2θおよびそ
の半値幅Δ2θを第2表に示す。X線回折測定は、対称
反射法を用いた。
第2表、(200)+(110)面によるX線回折ポー
リング温度または電圧が低いなどの理由で、完全にポー
リングされなかった試IIであっても、その不完全なポ
ーリングの効果によってDSC曲線で170’C(q近
の高温に吸熱ピークが現れ、しかも圧電性を持つフィル
ムとなる場合がある。このような試料の典型的なりSC
昇温曲線の形を第4図に示す。この試料は、実施例2と
同一組成の共重合体を同様な方法で溶融結晶化したフィ
ルムを、TI) =室温、El) = 1029 KV
/cm、周波数0.01H2、反転回数10回という方
法でポーリングしたもので、Kt =0.134である
第4図の昇温曲線の総吸熱量(ΔH、右otal 上り斜線部および右下り斜線部)に対する、最高温度に
あるピーク(第4図では167°Cのピーク、最高温度
にある吸熱ピークは厚み圧電性に寄与する微結晶の融解
に伴なう熱量の吸収を含むので、K1の大きい試料はど
rβの値が大きい。本発明に係る共重合体では、rβが
ほぼ45%以上となる様にすることが好ましい。
これに対して、従来技術を用いて作った圧電膜(比較例
3のフィルム)は、延伸した段階で、DSCの昇温曲線
は、吸熱ピークがTl11の1本のみ(第3図(a))
であり、β型となっている。しかし、一旦延伸を行なう
と、その後のTm以下の熱処理、ポーリングによる変化
は小ざ<Tmが放反高温に移行するが、161℃と低い
(第3図(b))。このフィルムの熱処理後およびポー
リング後のX線回折結果を第2表に示す。第2表から明
らかな様に、本発明の方法で得たフィルムのポーリング
後の(200> +(110)面のX線回折の半値幅Δ
2θは、従来法で得たフィルムのそれに比較して小さい
。従って、前者の方法で得たフィルムにおいては、後者
に比べて粒子径の大きい、また欠陥が少ないβ型結晶が
成長しているものと推論され、このような結晶の存在が
、大きく且つ高温まで保持される圧電性をもたらすもの
と推察される。
以上の様に、フッ化ビニリデン組成が約90モル%未満
で且つTm以下にTcを持たないフッ化ビニリデンとト
リフルオロエチレンの共重合体では、溶融結晶化した後
にポーリングすると結晶性の高いβ型の結晶構造を有す
る圧電膜が得られ、従来延伸によってα型をβ型に変換
したものより耐熱性が優れている。
また、比較例6に示す様に、フッ化ビニリデン組成91
モル%以上の共重合体およびフッ化ビニリデン重合体は
、Tm以下の温度から結晶化させても結晶性が上がらず
、圧電性が出なかった。
なお、一般的に圧電性を有する物質は焦電性も有するが
、本発明に係る高分子圧電体も焦電性を有し、従来のも
のより耐熱性に優れているので高温下での使用に適し劣
化も少ない。
本発明はフッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンの共
重合体について述べたが、ここで本発明の効果を本質的
に変えない第3成分が共重合あるいはブレンドされてい
る材料についても本発明の範囲であることは当然である
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例および比較例にかかる高分子圧
電体の電気機械結合定数の耐熱性を示すグラフ、第2図
は本発明の実施例にかかる高分子圧電体のDSC(示差
走査熱量測定法)曲線、第3図は比較例にかかる高分子
圧電体のDSC曲線、第4図は本発明の実施例でポーリ
ングが不完全な場合の高分子圧電体のDSCIIII線
を示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1.  フッ化ビニリデン組成が約90モル%未満で、且つ融
    点(Tm)以下に強誘電−常誘電相転移点(Tc)を持
    たないフッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンの共重
    合体を融点(Tm)以上の温度から徐冷結晶化させ、そ
    の後ポーリングすることを特徴とする耐熱性に優れた高
    分子圧電体の製造方法。
JP60083216A 1985-04-18 1985-04-18 耐熱性に優れた高分子圧電体の製造方法 Pending JPS61241991A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006208090A (ja) * 2005-01-26 2006-08-10 Jtekt Corp 超音波探触子
JP2013230681A (ja) * 2012-04-27 2013-11-14 Belenos Clean Power Holding Ag 高圧貯蔵容器の圧電ライナーを得るための方法

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