JPS6124170B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、延伸ポリエステルびんの製造方法に
関するもので、より詳細には、耐熱性、機械的特
性、寸法精度及び高度の密封信頼性の組合せを有
する首部を備えた延伸ポリエステルびんの製造方
法に関する。 ポリエチレンテレフタレート等の飽和ポリエス
テル樹脂から成るパリソン（プリフオーム）を軸
方向に延伸し且つ金型内で流体により周方向に膨
脹させることにより得られたプラスチツクびん
は、その容器胴部が二軸方向に分子配向されてお
り、透明性、耐衝撃性、ガスバリヤー性、軽量性
に優れた容器として広く使用されるに至つてい
る。 この延伸ポリエステルびんの内、胴壁部は二軸
方向に分子配向されていて、剛性、耐衝撃性等の
機械的特性に優れており、またヒートセツトによ
つて高温での寸法安定性に優れているが、蓋と係
合させて密封を行う首部は、このような分子配向
を受けていないため、剛性や強度等の機械的性質
が低く、確実で信頼性の高い密封を行うことが屡
屡困難となる。しかも、この首部は耐熱性や高温
での寸法安定性に著しく劣るものであり、内容物
の熱間充填や殺菌操作に際して、首部の変形やね
じ山、或いは段肩部等等の変形が生じて、密封性
能の低下が一層著しいものとなる。 飽和ポリエステル樹脂成形品の耐熱性を向上さ
せる手段として、この成形品を熱処理し、その結
晶化度を高めることは既によく知られており、こ
のような熱処理を前述したびんの首部に適用する
ことも既に提案されている（特開昭54―68385号
公報）。 しかしながら、びんの首部を熱処理により結晶
化させる場合には、結晶化に伴なつて剛性、硬
度、耐熱性等の性質が向上する反面として、結晶
化に伴なつて密度の増加、従つて体積の減少を生
じ、首部の寸法が当初のパリソンのそれより大き
くずれるという問題があり、そのため蓋との密封
性能が患つた程改善されないという欠点がある。 従つて、本発明の目的は、上述した欠点が改善
された延伸ポリエステルびんの製造方法を提供す
るにある。 本発明の他の目的は、耐熱性、機械的特性、寸
法精度及び高度の密封信頼性を有する首部を備え
た延伸ポリエステルびんの製造方法を提供するに
ある。 本発明の更に他の目的は、前述した組合せ特性
を有する延伸ポリエステルびんを良好な作業性を
もつて能率よく製造する方法を提供するにある。 本発明によれば、熱可塑性ポリエステルから成
り且つ蓋と係合する形状の首部を備えたプリフオ
ームを二軸延伸ブロー成形に付することから成る
延伸ポリエステルびんの製造方法において、延伸
成形前のプリフオームまたは延伸成形後のびんの
首部内に、1Kcal／mh℃以下の熱伝導率と5.0×
10^-6／℃以下の線膨脹係数とを有するポリイミド
樹脂から成るコアを挿入し、首部の内周面がコア
で規制された状態で前記首部を結晶化させること
を特徴とする延伸ポリエステルびんの製造方法。 本発明を添付図面に示す具体例に基づき以下に
詳細に説明する。 本発明によるプラスチツクびんの全体の構造を
示す第１図において、このびんはポリエステルに
より一体に成形された胴部１、胴部の下端に連な
る底部２、胴部の上端に連なる台錘状の肩部３及
びこの肩部の上端に連なる首部４から成つてい
る。このびんは、エチレンテレフタレート単位を
主体とするポリエステルのパリソンを二軸延伸ブ
ロー成形することにより形成され、少なくとも胴
部２の壁を構成するポリエステルは、二軸方向、
即ちびん軸方向とびんの周囲方向に分子配向され
ている。 首部４には、びん口５に密封のため施されるび
ん蓋（図示せず）を保持するためのねじ６乃至は
段差部７或いはびん蓋を密封係合させる際びんを
保持するためのサポートリング８が設けられてい
る。 本発明によれば、この首部４を構成するポリエ
ステルをその収縮や寸法変化を防止しつつ結晶化
を行わせる。 本発明の製造工程の要部を説明するための第２
図において、先ずポリエチレンテレフタレートか
ら成るプリフオーム（有底パリソン）１０を用意
する。この有底パリソン１０はポリエチレンテレ
フタレートを金型内で射出成形することにより製
造され、或いはポリエチレンテレフタレートを押
出成形して得られるパイプを割型でピンチオフす
ると共にプリブロー成形することにより得られ
る。この有底パリソン１０には、上述した成形時
に、最終的なびんの首部とほぼ同じ形状及び寸法
の首部４′が形成されている。 本発明によれば、二軸延伸ブロー成形前のプリ
フオーム１０の首部４′内に、ポリイミド樹脂か
ら成るコア１１を挿入し、首部内周面とコア外周
面とをぴつたり係合させ、首部４′の内周面がコ
ア１１で規制された状態で首部４′の熱処理し、
結晶化を行わせる。この熱処理は、一層好適に
は、プリフオーム１０の首部４′と他の部分とを
断熱材で熱的に遮断し、首部４′を熱風雰囲気中
に露出させて行うことが最も望ましい。 熱処理工程の一例を示す第２図において、先ず
プリフオーム１０の首部４′内に、ポリイミド樹
脂コア１１を挿入し、熱処理装置１２内の支持具
１３内に保持させる。この支持具１３は回転軸１
４により回転可能に熱処理装置内に設けられてい
る。プリフオーム１０の首部４′は円筒状の支持
具１３よりも上方の熱処理空間１４に露出してお
り、プリフオーム１０の首部４′とそれ以外の部
分とは、支持具１３の上端に設けられた耐熱性断
熱材１５、例えばアスベスト板、並びに熱処理室
１４の底壁となる耐熱性断熱板１６で熱的に遮断
されている。 熱処理室１４の一端には熱風吹込ノズル１７が
設けられており、このノズル１７はプリフオーム
１０の首部４に向けて開口している。 かくして、支持具１３で保持されたプリフオー
ム１０はその首部４′のみが、回転されながら、
その内周面がコア１１で規制された状態で、熱風
ノズル１７からの熱風を吹付けられて熱処理を受
け、首部構成ポリエステルの結晶化が行われるこ
とになる。 本発明によれば、首部内周面をポリイミド樹脂
のコアで規制された状態で熱処理に付し、首部構
成ポリエステルの結晶化を行わせることにより、
極めて顕著な利点が達成される。先ず、首部の内
周面をポリイミド樹脂コアの外周面とぴつたり嵌
合させ、首部の内周面をコアで規制された状態で
熱処理を行うことにより、首部の径方向や軸方向
への収縮が抑制された状態で結晶化が生じるた
め、蓋との密封維持の点で重要なリツプ部（口
部）、ねじ部及び段差部の寸法精度が極めて高い
ものとなる。 のみならず、この寸法規制用コアをポリイミド
樹脂で形成することも寸法精度、耐衝撃性及び作
業性の点で重大な利点をもたらす。即ち、ポリイ
ミド樹脂は金属に比して数十分の一乃至百分の一
のオーダの熱伝導係数を有する。しかして金属製
コアを使用する場合には、コアの熱伝導率が大き
く、しかも比熱も小さいため、コアの部分の昇温
が速く、首部の外周面が低温内周面が高温という
温度勾配の大きい状態で熱処理が行われることに
なる。これに対して、本発明方法によれば、密封
操作の点で最も重要な首部の外周面から先ず熱処
理による結晶化が進行し、次第にこの結晶化が首
部の内周面に移行し、しかもこの結晶化はコアに
より収縮が抑制された状態で行われるから、ポリ
エステルが結晶化した首部の構造は、歪や寸法の
狂いが特に小さいものとなり、更に、熱処理後の
コアの抜き取りも良好なものとなるという利点が
ある。即ち、本発明による熱処理は、首部の収縮
を抑制しつつ、しかも首部の外周面と内周面との
間に不自然な温度勾配を形成させることなく、首
部の外周面側から一様に結晶化させて、首部寸法
の固定をも同時に行なうことが顕著な特徴であ
る。 本発明においては、かかる観点から、用いるポ
リイミド樹脂は熱伝導率が小さく、しかも熱膨脹
率の可及的に小さいものであることが、首部の寸
法安定化の点で有利であり、一般に熱伝導率が
1Kcal／m.h.℃以下で、線膨脹率が５×10^-6／℃
以下のものである。 本発明の目的に特に有用なポリイミド樹脂は、
主鎖反復単位中にイミド環を有する任意のポリイ
ミド樹脂、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミ
ド、ポリエステルイミド、ポリアミドイミドエス
テル、ポリエステルアミド―イミド、ポリイミド
イミダゾピロロン、ポリイミドイミダゾピロロン
―イミド、ポリエステルイミドイミダゾピロロ
ン、ポリベンツオキサゾールイミド、ポリイミド
オキサジアゾール、ポリスルホンエーテルイミ
ド、ポリイミドベンツオキサゾール―イミド、オ
ルガノポリシロキサンイミド、ポリベンツイミダ
ゾールイミド、ポリオキサジノンイミド、ポリベ
ンツチアゾールイミド、ポリベンツイミダゾール
イミダゾピロロンイミド、ポリベンツオキサジノ
ンイミダゾピロロンイミド、ポリベンツチアゾー
ルイミダゾピロロンイミド、ポリベンツオキサゾ
ールイミダゾピロロンイミド、ポリイミド尿素等
である。これらのポリイミド樹脂は、前述した特
性に優れているばかりではなく、例えば旋盤等に
より精密な機械加工が可能であるという利点もあ
る。 本発明において、首部４′の結晶化は、その最
外表面層における密度が1.36ｇ/c.c.以上、特に
1.37ｇ/c.c.以上となるように行うのがよく、その
具体的条件は加熱処理手段等によつても相違する
が、一般に140乃至300℃、特に180乃至230℃の温
度で、0.3乃至10分間、特に１乃至３分間行うの
がよい。 上述した方法で得られるポリエステルのパリソ
ンは、延伸ブローに先立つて、延伸温度に予備加
熱する。この延伸温度とは、用いるポリエステル
の結晶化温度よりも低い温度で且つポリエステル
パリソンの延伸が可能となる温度であり、具体的
には80乃至130℃、特に90乃至110℃の温度が使用
される。 予備加熱されたパリソンの延伸ブロー成形は、
逐次延伸ブロー成形、或は同時延伸ブロー成形の
ようなそれ自体公知の手段で行い得る。例えば前
者の場合、パリソンを比較的小さい圧力での流体
吹込み下に軸方向に延伸し（プレブロー）、次い
で比較的大きい圧力での流体吹込み下に、容器の
周方向への膨脹により延伸を行なう。また、後者
の場合には、最初から大きい圧力での流体吹込み
による周方向への延伸と軸方向への延伸とを同時
に行う。パリソンの軸方向への延伸は、例えばパ
リソンの首部を金型とマンドレルとで挾持し、パ
リソン底部の内面に延伸棒をあてがい、延伸棒を
伸張せしめることにより容易に行うことができ
る。パリソンの軸方向及び周方向の延伸倍率は、
夫々1.5乃至2.5倍（軸方向）及び1.7乃至4.0倍
（周方向）とすることが望ましい。 以上、本発明を、延伸ブロー成形前のパリソン
（プリフオーム）の首部を熱処理する場合につい
て説明したが、本発明は当然、延伸ブロー成形に
より得られるびんの首部にも適用できる。この場
合の熱処理の諸条件は、プリフオームの場合と同
様でよい。 本発明のプラスチツクびんは、ジユース、ミネ
ラルウオーター、ソース、ケチヤツプ、各種た
れ、乳酸菌飲料等を熱間充填し、長期にわたつて
保存する用途に特に有用である。 実施例 １ 口部内径35mm、長さ150mm、胴部壁厚４mmのポ
リエチレンテレフタレート製の有底パリソンの開
口部（首相当部）に線膨脹係数が2.7×10^-5／
℃、熱伝導率が0.3Kcal／m.℃hr.のポリイミド樹
脂製コアを係合して開口部とその他の部分とを断
熱材により遮断し、開口部のみに200℃の加熱空
気を約80秒間吹き付け、その後自然放冷して開口
部のみを熱結晶化させた。このパリソンを95℃の
温度に加熱して通常の二軸延伸ブロー成形法によ
り内容積1000c.c.のボトルを成形した。 比較例 １ 実施例１と同じ有底パリソンを95℃の温度に加
熱して通常の二軸延伸ブロー成形法により、内容
積1000c.c.のボトルを成形した。このボトルの開口
部は実質的に無定形であり、開口端面にキズがつ
き易く、漏洩するものが発生した。 比較例 ２ 比較例１のボトルの開口部（首部）にコアを係
合せずに200℃の加熱空気を約80秒間吹き付けて
熱結晶化させた。 表１から分るように実施例に比べて開口部の収
【表】

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による延伸ポリエステルびんの
一部断面側面図、第２図は本発明の熱処理工程の
説明図であつて、 引照数字、１…胴部、２…底部、３…肩部、
４，４′…首部、１０…パリソン、１１…ポリイ
ミド樹脂コア。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 熱可塑性ポリエステルから成り且つ蓋と係合
   する形状の首部を備えたプリフオームを二軸延伸
   ブロー成形に付することから成る延伸ポリエステ
   ルびんの製造方法において、 延伸成形前のプリフオームまたは延伸成形後の
   びんの首部内に、1Kcal／mh℃以下の熱伝導率と
   5.0×10^-6／℃以下の線膨張係数とを有するポリ
   イミド樹脂から成るコアを挿入し、首部の内周面
   がコアで規制された状態で前記首部を結晶化させ
   ることを特徴とする延伸ポリエステルびんの製造
   方法。 ２ 前記プリフオームの首部と他の部分とを断熱
   材で熱的に遮断し、前記首部を熱風雰囲気に露出
   させて熱処理を行い、結晶化を行わせる特許請求
   の範囲第１項記載の方法。 ３ 前記プリフオームの首部を密度が1.36ｇ／c.c.
   以上となるように結晶化させる特許請求の範囲第
   １項記載の方法。