JPS6121070Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は老人、障害者用浴槽に関するものであ
る。

従来、老人、障害者など臥床者を入浴させるに
は看護者がこれら老人、障害者等の身体を寝台又
は寝床から持ち上げて浴槽内の入れ又浴槽から出
す作業を伴うため、この看護者は重作業の結果腰
痛に悩まされるなどの問題があつた。

本考案は上記の事情に鑑みなされたもので、人
体を寝かせる寝台又は寝床と、該寝台又は寝床の
上にセツトする舟型浴槽と、該浴槽に温水を注
入・排水する装置とから成り、前記浴槽は長手方
向の少なくとも一方の側壁が傾斜壁から形成され
たものであることを特徴とする老人、障害者等用
浴槽である。

従つて、寝台又は寝床の上で老人、障害者等を
浴槽内に容易に導き入れることができるベツドバ
スとも称せられる老人、障害者等用の浴槽を提供
することを目的とするものである。

以下本考案の一実施例を図面に基づいて説明す
ると、第１図は本考案に係る浴槽を示す斜視図、
第２図は第１図の−線断面図、第３図は第１
図の−線断面図である。浴槽１は、臥床者の
身体を横たえるに足る長さ又はそれよりもやや短
い長さの大略長方形状となす底壁２の四周に側壁
３，４，５及び側壁たる傾斜壁６を巡らせた舟型
１ａをなし、側壁３，４，５の上部には連続する
突縁７を設けるが、傾斜壁６には突縁を設けな
い。この舟型１ａは、FRP（繊維強化プラスチ
ツクス）にて一体的に成形し、底壁２の上面２
ａ、側壁３，４，５の各内周面３ａ，４ａ，５ａ
および傾斜壁６の内面たる導入面６ａはゲルコー
ト張りとする。さらに保温のため必要ならば底壁
２などにウレタン等の保温材を装填してもよい。
傾斜壁６に対向する側壁４は傾斜壁６の傾斜より
も急な傾斜をとり、また側壁５には底壁２に近接
した位置に排水孔８を設けて排水孔８に排水栓９
を嵌合して排水部１０とするが、これに代えて排
水ホースなどにより排水する構造としてもよい。
１１は不透水性の枕体であり、本実施例では舟型
１ａとは別体のFRP製としてこれを側壁３の内
周面３ａに密接して取付けることもでき、また側
壁５の内周面５ａに密接して取付けることもでき
るものであるが、舟型１ａの側壁３側に枕部を一
体成形することも可能である。枕体１１を実施例
の如く側壁３がわと側壁５がわとのいずれか任意
の側に取付け可能とした場合は、側壁５と側壁３
の双方に排水部１０を設ける構成としてもよい。

１３はシヤワーであつて、給湯設備１４に接続
されており温水を供給する。

本実施例の浴槽１は以上の構造に係るものであ
るから、第４図、第５図及び第６図に示す如く、
臥床者を寝かせてある寝台又は寝床Ｂ上の脇部か
ら、臥床者を横向きにしつつ、臥床者の背面に浴
槽の傾斜壁６を介入させたのち、浴槽を水平正置
姿勢に直すことにより、臥床者を浴槽内の正位置
に収容し、次の看護者が一方の手でシヤワー１３
を操作して温水を臥床者に浴びせ乍ら他方の手に
手拭を持つて臥床者をこすり、臥床者を洗うもの
とするが、底壁２の下面２ｂと傾斜壁６の外面６
ｂとが交わる稜線に丸みをつけてなる稜線Ａを中
心として、浴槽１を傾斜壁６がわに傾動させるこ
とができ、それ故浴槽１を第３図示の如く底壁２
の下面２ｂに於いて、寝台又は寝床Ｂ上に載置し
た状態即ち正置状態と、浴槽１を第４図の斜視図
に示す如く傾斜壁６の外面６ｂに於いて寝台又は
寝床Ｂ上に載置した状態即ち傾倒状態とを採り得
る。

而して浴槽１を用いて老人、障害者等の臥床者
に沐浴させるには、第４図示の如く臥床者１２を
寝床の上で右手が下になるよう横向きに寝た姿勢
をとらせ、臥床者１２の左背すじの下に傾倒状態
の浴槽１の傾斜壁６を入れ、次に臥床者１２を浴
槽１に向けて転動させて仰臥の姿勢をとらせる
と、臥床者１２は傾斜壁６の内面たる導入面６ａ
に載る。その後看護者が側壁４の突縁７に手を掛
けて押し下げることにより、浴槽１を稜部Ａを中
心として回動させれば、臥床者１２は正置状態の
浴槽１内に滑り込んで、頭部から肩にかけて枕体
１１を当てた仰臥姿勢をとることができる。そこ
で浴槽１に設けた又は浴槽１とは別に設けた給湯
設備１４に接続されたシヤワー１３などにより、
臥床者１２に沐浴をさせる。このとき看護者は上
部に突縁７を設け且つ若干の傾斜をつけた側壁４
のがわから臥床者１２の身体を洗うならば、看護
者は楽な姿勢でこの作業をすることができる。沐
浴が終わつた後排水栓９を抜いて排水し、排水完
了後臥床者１２の身体を良く拭いてから、側壁４
の突縁７に手を掛けて押し上げることにより浴槽
１を再び傾倒状態にすれば、臥床者１２は傾斜壁
６の導入面６ａ上に滑つて元の寝床上にもどるこ
とができ、浴槽１をその寝床上から取り除いて、
浴槽１の使用が終了する。

以上説明した本考案のもたらす効果を要約して
述べれば次のとおりである。

臥床者を浴槽内に入れ又は浴槽から出す作業
に於いて看護者は臥床者の身体を持上げる必要
がないので、看護者が腰痛を訴えるなどの弊害
を解消し得ると共に、老人などの身体を持上げ
たときその臥床者が無理な姿勢を強いられる危
険がなく、また臥床者を過つて落とすなどの事
故を回避することができる。

臥床者を浴槽内に入れ又は浴槽から出す作業
に於いて臥床者の身体の移動は、臥床者の横方
向に滑り動かして行うものであつて、頭方向又
は足方向に引つ張る必要がない。それ故この移
動の際老人などの臥床者が頭方向又は足方向に
引き動かされることによる不安感を催すことが
なく、しか看護者は重作業をする必要がない。

浴槽は船の復元力を応用し、浴槽の片方を斜
めに設計したことにり、臥床者の入出看護が手
作業で極く簡単におこなうことができる。

簡単な構造であつて、その使用方法も容易で
あり、使用中湯が浴槽外に飛び散ることもな
く、また使用しないときに保管をする場所をと
らないので、病院許りでなく、家庭内に於いて
も使用することがきる。しかも寝台又は寝床の
上で沐浴せしめ得るから所謂寝たきり老人など
の身体を清潔に保ち、延いては床擦れの防止に
も役立つ。

枕体１１を舟型１ａから取外し可能として、
側壁３の内面３と側壁５の内面５ａとのいずれ
か任意の内面に枕体１１を設けることにより、
又は側壁４も傾斜壁６と同様に緩い傾斜として
且つ側壁４に突縁７を設けない構成とすること
により、臥床者１２を第４図に示す如く右手を
下にした姿勢から浴槽１に入れることも、又こ
れと逆に左手を下にした姿勢から浴槽１に入れ
ることもでき、この場合右手下の姿勢とするか
左手下に姿勢とするかの選択を、室内の寝台ま
たは寝床の位置や臥床者の身体中庇うべき部位
の如何に応じて為し得るものである。

寝台や寝床の上で老人等に沐浴させるために
必要最小限のコンパクトな構造となつているか
ら、材料としてFRP等を使用することと相俟
つて、この浴槽を軽量なものとすることがで
き、故に看護者の作業性が一層向上される。

人体を寝かせる寝台又は寝床と、該寝台又は
寝床の上にセツトする浴槽と、該浴槽に温水を
注・排水する設備とを結合させて用いるもので
あるから、臥床と入浴を同一場所で行うことが
でき、臥床者室としては極めて狭い部屋を有効
に使うことができる。

寝台又は寝床上で入浴させることができるの
で、ほとんど自分で動けない病人や老人あるい
は重度の障害者であつても、看護者が一人でも
入浴させることができる。従つて、手軽に入浴
できるので、臥床者の精神的負担を軽減するこ
とが可能である。

電気によつて操作することなく、感電する心
配がないので、安心して入浴させることができ
る。

複雑な機械部品を必要としないので、安価に
提供することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を表し、第１図は浴槽の
斜視図、第２図は第１図の−線断面図、第３
図は第１図の−線断面図、第４図及び第５図
は浴槽の使用手順を示す斜視図、第６図は寝台上
で本考案の浴槽を使用した時の斜視図である。 １……浴槽、１ａ……舟型、６……傾斜壁、６
ａ……導入面、１０……排水部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 人体を寝かせる寝台又は寝床と、該寝台又は寝
   床の上にセツトする舟型浴槽と、該浴槽に温水を
   注入・排水する装置とから成り、前記浴槽は長手
   方向に少なくとも一方の側壁が傾斜壁から形成さ
   れたものであることを特徴とする老人、障害者等
   用浴槽。