JPS6120875B2 - - Google Patents

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JPS6120875B2
JPS6120875B2 JP53079948A JP7994878A JPS6120875B2 JP S6120875 B2 JPS6120875 B2 JP S6120875B2 JP 53079948 A JP53079948 A JP 53079948A JP 7994878 A JP7994878 A JP 7994878A JP S6120875 B2 JPS6120875 B2 JP S6120875B2
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JP
Japan
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waveform
output
memory
address signal
waveform memory
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JP53079948A
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Toshio Tomizawa
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Nippon Gakki Co Ltd
Original Assignee
Nippon Gakki Co Ltd
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Publication date
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Priority to US06/052,587 priority patent/US4249447A/en
Priority to NLAANVRAGE7905003,A priority patent/NL181385C/xx
Priority to DE2926090A priority patent/DE2926090C2/de
Priority to FR7916987A priority patent/FR2430055A1/fr
Priority to CA330,953A priority patent/CA1124112A/en
Priority to GB7922894A priority patent/GB2027250B/en
Publication of JPS557733A publication Critical patent/JPS557733A/ja
Publication of JPS6120875B2 publication Critical patent/JPS6120875B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】
この発明は電子楽器等における楽音合成方法に
関し、詳しくは、得られる楽音波形の倍音構成
(スペクトル)、すなわち音色を連続的に変化させ
ることのできる楽音合成方法に関する。 電子楽器の楽音合成方法には従来から種々の方
法が提案されている。その1つに「コンピユータ
オルガン」と称される米国特許第3809786号明細
書(特開昭48−90217号)に示されたものがあ
る。これは各フーリエ成分(各倍音)を個別に計
算しそれらを合計することによつて楽音を合成す
る方式であり、合成可能な楽音の幅が広く有効で
あるという反面、計算回路が多数必要であるため
装置構成規模が大きくなるという欠点がある。ま
た、楽音合成に使用する倍音数を増加する場合に
は、高調波係数メモリを拡張して高調波係数の数
を増し、かつ、演算用クロツクの周波数を上げて
高調波計算時間間隔を短縮しなければならないと
いう技術上の困難を伴う。あるいは、演算用クロ
ツクの周波数を固定して倍音数を増すには、並列
処理方式を導入して装置規模を大幅に拡張しなけ
ればならない。 もう1つには、米国特許第4018121号明細書
(特開昭50−126406号)に示されたような周波数
変調方式を利用したものがある。これは簡単な数
式の演算によつて多くの部分音もしくは倍音を発
生することが出来るので上述のフーリエ成分合成
方式の欠点を補なう効果があり、打楽器音(ピア
ノを含む)及び管楽器音の合成にとつて有効であ
る。しかし、その反面、変調指数()を大きく
した場合に各部分の振幅が不揃いになる。すなわ
ちスペクトルエンベロープに著しい凸凹が生じる
という欠点を有しており、このため特に、比較的
滑らかなスペクトル分布を持つ音(例えばストリ
ング系の音)を得ようとする場合に不都合とな
る。 この発明は上述の点に鑑みてなされたもので、
簡単な構成で楽音波形の倍音構成を連続的に制御
し得る楽音合成方法を提供しようとするものであ
る。この発明においては、所定の波形(例えば正
弦波)を記憶したメモリから波形を読み出す際
に、当該メモリから読み出した波形振幅値を適当
な帰還率で当該メモリのアドレスを指定する入力
側に帰還し、読み出しアドレスを変調することに
より所望のスペクトル分布をもつ波形を当該メモ
リの出力側から得るようにしている。得られる楽
音波形のスペクトル分布は上記帰還率を変えるこ
とにより自由にかつ連続的に制御することがで
き、従つて上記波形メモリの出力側に得られる波
形を用いて楽音合成を行なうことにより倍音構成
が連続的に制御できる楽音波形を得ることができ
る。すなわち、この発明の第1の発明では、所定
の波形のデータを記憶した波形メモリを所望の繰
返し周波数のアドレス信号によつて読み出すこと
によつて楽音を合成する楽音合成方法において、
前記波形メモリの出力をパラメータによつて重付
けし、その重付け出力に従つて該波形メモリのア
ドレス信号を変調して該メモリを読み出し、前記
波形メモリの出力あるいは前記重付け出力を用い
て楽音を合成するように構成され、また第2の発
明では、所定の波形のデータを記憶した波形メモ
リを所望の繰返し周波数のアドレス信号によつて
読み出すことによつて楽音を合成する楽音合成方
法において、前記波形メモリの出力を第1のパラ
メータによつて重付けし、その重付け出力に従つ
て該波形メモリのアドレス信号を変調して該メモ
リを読み出し、かつ、前記重付け出力を第2のパ
ラメータによつて更に重付けして第2の重付け出
力を得て、この第2の重付け出力に従つて別のア
ドレス信号を変調し、この変調された別のアドレ
ス信号によつて第2の波形メモリの読み出しを行
ない、この第2の波形メモリから読み出された出
力から楽音を合成するように構成され、また第3
の発明では、所定の波形のデータを記憶した波形
メモリを所望の繰返し周波数のアドレス信号によ
つて読み出すことによつて楽音を合成する楽音合
成方法において、前記波形メモリの出力を第1の
パラメータによつて重付けし、その重付け出力に
従つて該波形メモリのアドレス信号を変調して該
メモリを読み出し、前記波形メモリの出力を前記
とは別途に第2のパラメータによつて重付けして
第2の重付け出力を得て、この第2の重付け出力
に従つて別のアドレス信号を変調し、この変調さ
れた別のアドレス信号によつて第2の波形メモリ
の読み出しを行ない、この第2の波形メモリから
読み出された出力から楽音を合成するように構成
され、また第4の発明では、所定の波形のデータ
を記憶した波形メモリを所望の繰返し周波数のア
ドレス信号によつて読み出すことによつて楽音を
合成する楽音合成方法において、前記波形メモリ
の出力をパラメータによつて重付けしかつその重
付け出力に従つて該波形メモリのアドレス信号を
変調して該メモリを読み出す系列を複数具備し、
各系列の前記波形メモリ出力に従つて別のアドレ
ス信号を変調し、この変調された別のアドレス信
号によつて別の波形メモリの読み出しを行ない、
この別の波形メモリから読み出された出力から楽
音を合成するように構成され、また第5の発明で
は所定の波形のデータを記憶した波形メモリを所
望の繰返し周波数のアドレス信号によつて読み出
すことによつて楽音を合成する楽音合成方法にお
いて、前記波形メモリの出力をパラメータによつ
て重付けし、その重付け出力に従つて該波形メモ
リのアドレス信号を変調して該メモリを読み出
し、かつ前記波形メモリの出力側に挿入した平均
化手段によつて楽音波形の隣接サンプル点同士の
振幅の平均値を逐次求めるように構成される。 以下この発明を添付図面の実施例にもとづいて
詳細に説明しよう。 第1図はこの発明の基本構成を示すブロツク図
である。演算ユニツト10は、加算器11とこの
加算器11の出力yによつて読み出される正弦波
メモリ12を具えている。加算器11の一方入力
には位相入力としての変数xが加えられ、他方入
力には正弦波メモリ12の読み出し出力sin yが
適当な帰還率で帰還される。この帰還率は回帰パ
ラメータβによつて設定される。すなわち、帰還
ループに乗算器13が挿入され、メモリ12の読
み出し出力sin yに回帰パラメータβを乗算し、
その積「β・sin y」が加算器11に入力され
る。この加算器11の出力yはx+βsin yとな
り、この値が正弦波メモリ12の実際のアドレス
入力となる。尚、加算器11の入力の印加から正
弦波メモリ12の出力送出までには所定の遅延時
間が存在するものとする。 変数xは例えば第2図のような構成によつて発
生される。鍵盤で押圧された鍵を表わす信号がキ
ーロジツク14から周波数ナンバメモリ15に供
給され、押圧鍵の周波数に対応する定数(周波数
ナンバすなわち位相増分数)が該メモリ15から
読み出される。メモリ15から読み出された周波
数ナンバはアキユムレータ16に加わり、そこで
クロツクパルスφに従つて繰返し加算される。ア
キユムレータ16はモジユロMのカウンタであ
り、その出力は位相を指定する変数xとして第1
図の加算器11に供給される。ここで、M=2N
(但しNは整数)であり、変数xの値は位相−π
に対応する−2N-1から位相+πに対応する+2N
−1までの増加を所定の周波数で繰返す。従つて、
変数xは周波数ナンバが大きければ増加速度が速
く、小さければ遅い。この変数xの繰返し周波数
が演算ユニツト10(第1図)から得られる楽音
波形の周波数を決定する。 演算ユニツト10から得られる楽音波形sin y
は例えば第3図に示すような回路を経て発音され
る。エンベロープジエネレータ17では鍵押圧に
対応してキーロジツク14から与えられるキーオ
ン信号KONにもとづいてエンベロープ波形信号
を発生し、乗算器18に供給する。乗算器18で
は演算ユニツト10から与えられる楽音波形sin
yにエンベロープ波形信号を乗算し、楽音波形
sin yの振幅エンベロープを制御する。乗算器1
8から出力される楽音信号は出力ユニツト19に
加わり、フイルタ等その他適当な処理が行なわれ
た後発音される。 第1図の構成において、回帰パラメータβの値
を変えることにより演算ユニツト10から得られ
る楽音波形の倍音構成を連続的に制御することが
できる。以下この理由を説明する。尚、以下の説
明では、解析の簡単化のために帰還ループに含ま
れる遅延時間はないものとする。得られる楽音波
形sin yの位相入力yは加算器11の出力で、下
記に示すような関数である。 y=x+β・sin y …(1) この第(1)式の解析の結果、得られる楽音波形
sin yは次のように表わすことができることが確
められた。 この第(2)式は次のように展開できる。 sin y=2/βJ1(β)sin x+2/2βJ2(2β)si
n2x +2/3βJ3(3β)sin3x+……… …(3) ここでJn(nβ)はnを次数とし、nβを変
調指数とするベツセル関数である。この式はベツ
セル関数を含む点において通常の周波数変調方式
の式に類似しているが、ベツセル関数Jn(n
β)の変調指数nβに、次数nがとり込まれてい
る点、及び2/nβがベツセル関数Jn(nβ)の係数 として掛つている点、が著しく異なる。 第(2)式あるいは第(3)式において、n=1のとき
基本波成分が求められる。そして、nの値は各倍
音成分の次数に対応している。第(2)式から、各倍
音成分の次数とその相対振幅との関係を求めれ
ば、下記第1表のようになる。
【表】 上記第1表に示すようなスペクトル分布を第4
図に示すベツセル関数Jn()の立体図から解
析してみる。 従来の周波数変調を利用した楽音合成方法で
は、各次数(n=0,1,2,…)の成分Jn
()に対して変調指数は共通であつたため、
第4図の各次数nの位置を共通の変調指数の位
置で横切つて直線上の値(高さ)として指定され
る各ベツセル関数値Jn()がスペクトル分布
を決定する。従つて、は大きくすると、得られ
るスペクトルエンベロープは波を打つたよう凸凹
に変化し、スペクトル分布の滑らかな(単調な)
制御は困難である。 しかし、この発明では変調指数nβは各次数n
毎に異なり、nに比例して単調増加する。従つ
て、=nβとして各次数n毎に第4図から求め
られるベツセル関数Jn(nβ)がスペクトル分
布の決定に関与する。このベツセル関数Jn(n
β)は、第4図において、n=0,β=0の原点
を通りβによつて決定される勾配をもつて直線上
の値(高さ)によつて指定される。この状態を第
4図の立体図の下方に該立体図に重ね合せて示し
た。この直線はβが0から大きな値に変化するに
従つてn軸から軸に向かつて回転移動する。 第4図から判るように0≦β≦1の領域21及
びβが1よりも幾分大きい領域22において、
Jn(nβ)によつて表わされるスペクトルエン
ベロープは単調な傾向を見せている。すなわち、
次数nが高くなる程振幅が小さくなる傾向にあ
り、かつβの値を小さくするに従つて高次の成分
から徐々に振幅が小さくなり、滑らかにスペクト
ル分布が変化する傾向にある。勿論、この発明に
よる真のスペクトル分布は第4図の立体図から読
みとれるものとは幾分異なる。これはベツセル関
数Jn(nβ)に、係数2/nβが掛けられているから である。これによつて次数nが高くなる程振幅が
小さくなる傾向が一層顕著となる。 ここで、第(2)式の振幅係数2/nβJn(nβ)の解 析を更に進めてみると、βの値が1の付近では、
鋸歯状波に近いスペクトル分布を程することが判
かる。例えばβ=1のときのベツセル関数Jn
(nβ)の値をベツセル関数表から求めると、次
表のようになる。
【表】 第2表から判るように、β=1のときベツセル
関数Jn(nβ)の値はnに関係なくほぼ均一な
傾向となる。このことから、振幅係数2/nβJn(n β)の近似値を求めてみると、次表のような傾向
を示す。
【表】 すなわち、Jn(nβ)はnに関係なくほぼ均
一であるので、2/βJn(nβ)はnが変わつても 同一であると見なし、振幅係数は残りの係数1/nに よつてほぼ定まる。第3表に示すような振幅の分
布、鋸歯状波のスペクトル分布に対応する。 前記第3表はあくまでも近似的なものではある
が、その傾向から、第1図の構成を用いればβ=
1のとき鋸歯状波のスペクトル分布に近い楽音波
形を得ることができることが判かる。 βの値が0から1の前後までは次数nを変調指
数にとり込んだベツセル関数Jn(nβ)は単調
増加に近い傾向を示す。従つてβの値が1の前後
では、β=1のときと同じように、Jn(nβ)
の値はnの値に関係なくほぼ均一な傾向を示し、
鋸歯状波に近いスペクトル分布を得るとができ
る。しかし、βが1から0に近づくに従つて、各
次数n毎のベツセル関数値Jn(nβ)は徐々に
小さくなると共に高い次数ほどJn(nβ)の減
少の傾きが急峻になる。この傾向はベツセル関数
表から容易に確めることができる。例えば、βが
0.1と0.5のときにベツセル関数表から求めたJn
(nβ)の値を第4表に示す。
【表】 すなわち、β=0.5におけるJn(nβ)の値は
次数が1上がる毎にほぼ1/2になつてい。また、
β=0.1におけるJn(nβ)の値は次数が1上が
る毎にほぼ1/10となつている。 従つて、βを1付近から0に向けて徐々に小さ
くしていくと次第に倍音成分の振幅が減少し、か
つ高い次数から順に倍音成分が消えていくという
傾向になる。 以上のように、或る範囲(0から1よりも適度
に大きい数、例えば1.5まで)内で回帰パラメー
タβの値を変化することにより、楽音波形の構成
倍音の振幅を滑らかに制御することができること
が判かる。第1図の構成の場合、βが大きい(1
付近)場合は鋸歯状波を得ることができ、徐々に
βの値を小さくしていくと振幅が高次から徐々に
小さくなると共に高次の成分が徐々に消えてい
き、β=0とすると得られる楽音波形は正弦波と
なる。 尚、β=0のときは帰還率が0であるからメモ
リ12に記憶した通りの正弦波が楽音波形として
得られるわけであるが、これを前記第(2)式から解
析すると、基本波成分の振幅係数は
【式】となり、その他の成分の 振幅係数は
【式】となることか ら明かである。 以上述べた事柄は試作装置によつて確認されて
いる。第5図a〜hは試作装置による第1図各部
の観測波形を示し、第6図a〜hは得られる楽音
波形のスペクトル分布を示したグラフである。こ
れらの図には回帰パラメータβの値が0.0982から
1.571までの8種類の場合の観測データが示され
ている。第5図aにおいて第1段目は変数xの観
測波形を示し、第2段目は乗算器13から出力さ
れる帰還量β・sin yの観測波形を示し、第3段
目は加算器11の出力yの観測波形を示し、第4
段目はこのyによつて読み出される正弦波メモリ
12の出力sin yの観測波形を示す。第6図のス
ペクトル分布はこのメモリ12の出力楽音波形
sin yの倍音構成を示す。尚、変数xの繰返し周
波数は200Hzである。また、変数xの波形はβが
変化しても変わらないため、第5図a,eにだけ
示し、あとは省略した。 第5図及び第6図から、回帰パラメータβの値
を変化させることにより、合成される楽音波形の
構成倍音の数及びそれらの振幅を連続的に滑らか
に制御でき、正弦波から鋸歯状波まで連続的に変
化できることが確認できる。 次に、第5図を参照して第1図構成における楽
音合成作用の解析を行なう。 まず、回帰パラメータβの値が0近傍の小さな
値の場合は、乗算器13を介して得られる帰還波
形β・sin yは0を中心に僅かにしか変化をしな
い。従つて、変数xは加算器11において僅かに
しか変調されず、加算器11の出力yと変数xは
似通っている。従つて、メモリ12に記憶した正
弦波波形に近い波形が出力楽音波形sin yとして
演算ユニツト10から得られる。このことは、β
=0.0982の状態を示す波形図によつて観察でき
る。 回帰パラメータβの値が大きくなつてくると、
帰還波形β・sin yの正負の振れは顕著になつて
くる。例えば、β=0.3927の波形図を見るとその
ことがよく判る。すると、変数xの−πから0ま
での部分が帰還波形β・sin yの負の振幅によつ
て減じられ、0からπまでの部分がβ・sin yの
正の振幅によつて加えられる。従つて、帰還波形
β・sin yの振幅が負から正に変わつていくと
き、丁度変数xの0付近のところで、加算器11
の出力yの波形は急峻に増加する傾向になる。こ
の波形yの急峻な部分では正弦波メモリ12の読
み出し速度が速くなり、読み出される正弦波波形
の振幅が負から正に立上つていく部分の傾きが急
峻になる。急峻な部分以外では波形yの傾きは緩
やかになり、それに対応いてメモリ12から読み
出される正弦波波形の部分振幅の傾きも緩やかに
なる。そうなると、正弦波メモリ12の読み出し
波形sin yは、正規の正弦波波形とは明らかに異
なつてくる。 回帰パラメータβの値が更に大きくなると、負
から正に立上つていく部分の傾きが急峻な傾向に
あるメモリ12の読み出し波形sin yが高い比率
で帰還されるので、加算器11の出力波形yの偏
りは更に強調される。従つて、yに対応してメモ
リ12から読み出される楽音波形sin yは、その
振幅が負から正に変化するとき急峻になる傾向を
強め、正から負に変化するときは緩やかになり、
鋸歯状波に近づく。 ところで、発明者の実験によると、データを10
ビツトとして、回帰パラメータβを約1より大き
くすると、メモリ12から出力される楽音波形
sin yに第7図aに示すようなハンチング現象が
起ることが観測された。このハンチング現象が起
る部分は、丁度加算器11の出力データyの値が
位相π(又は−π)になる近辺である。このハン
チング現象が起る理由はデジタル計算の誤差が原
因となるものと思われる。このハンチング現象を
見ると、メモリ12の出力サンプル点毎に正と負
の振幅データが激しく繰返している。そこで、第
8図に示す構成の平均化手段を用いてハンチング
現象を防止するようにした。 平均化手段23は、楽音波形のサンプル点間隔
を設定するクロツクパルスφによつて駆動される
遅延フリツプフロツプ24とこのフリツプフロツ
プ24の入力と出力とを加算する加算器25及び
加算器25の出力に1/2を乗ずる乗算器26を具
えている。この平均化手段23を、加算器11、
メモリ12、乗算器13から成る第1図のループ
のどこかに挿入し、遅延フリツプフロツプ24で
遅延した1サンプル点前のデータと現サンプル点
のデータとを加算器25で加算し、この加算結果
に乗算器26で1/2を乗算し、隣接する2サンプ
ル点のデータの平均値を求める。この平均化手段
23は正弦波メモリ12の出力側(第1図のライ
ン23′の箇所)に挿入するのが最も効果的であ
る。この平均化手段23によつて1サンプル点毎
に正負に振れていた振幅が平均化され、ハンチン
グ現象が除去される。第7図bは、平均化手段2
3を使用した場合に観測した楽音波形であり、ハ
ンチングが除去されている。尚、第5図の観測波
形は、第1図のライン23′の箇所に平均化手段
23を挿入したものによつて得られたものであ
る。 また、試作装置によれば、変数xの繰返し周波
数を上げても(すなわち演算ユニツト10から得
べき楽音波形の周波数を高くしても)、得られる
鋸歯状波形の急峻部の時間はほぼ一定であること
が観察されている。これは前述の演算ユニツト1
0の遅延時間に起因している。すなわち、演算系
の時間遅れは、得べき楽音波形の周波数にかかわ
りなく一定であるが、周波数が低い場合は変数x
の進み具合が遅いのでこの時間遅れは問題になら
ず、理想の急峻な立上りの鋸歯状波が得られる。
一方、周波数が高くなると変数xの進み具合が速
くなり、演算系の時間遅れが無視できなくなり、
帰還の遅れとなつて現われる。これにより鋸歯状
波の立上り部分がなまることになる。すなわち、
鋸歯状波の立上り部分の時間はその周期に比例し
て短かくはならず、周波数の高低に関係なくほぼ
一定となる。このことにより、楽音波形の周波数
が高くなると高次の倍音周波数が制限されること
になり、波形がなまるので、サンプリング周波数
との関係から発生する折り返し雑音の除去にとつ
て好都合である。 尚、演算ユニツト10のメモリ12を正弦波メ
モリとして、正弦波を記憶するものとして説明し
たが、これに限らず、余弦波、あるいは初期位相
をもつた正弦関数を記憶するようにしても上述と
同様の効果を得ることができる。また、メモリ1
2に記憶する波形は1周期波形に限らず、半周期
あるいは1/4周期波形とし、これらの読み出しを
制御して1周期波形を得る公知の技術を採用する
ことができることは勿論である。 次に第9図を参照してこの発明の別の実施例に
ついて説明する。 第9図において、演算ユニツト10−1,10
−2の内部構成は第1図に示す演算ユニツト10
と同一であり、加算器11−1,11−2と正弦
波メモリ12−1,12−2を具えている。第1
の演算ユニツト10−1の出力sin yは第1図と
同様に乗算器13−1で回帰パラメータβを掛け
られ、その積β・sin yが入力側に帰還される。
従つて、乗算器13−1を帰還ループに含む第1
の演算ユニツト10−1の動作は第1図と全く同
一である。 乗算器13−1から得られる帰還波形β・sin
yは乗算器27にも与えられ、変調パラメータm
が掛けられる。乗算器27から得られる波形信号
mβ・sin yは第2の演算ユニツト10−2の加
算器11−2に加えられ、変数x1と加算される。
この加算器11−2の出力Y(=x1+mβ・sin
y)の値に対応して正弦波メモリ12−2から波
形サンプル点振幅値が読み出され、出力楽音波形
sin Yを得る。 第1の演算ユニツト10−1に供給される変数
x2及び第2の演算ユニツト10−2に供給される
変数x1は、第1図のxと同様に、所望の繰返し周
波数をもつた位相入力である。変数x1とx2は同一
の繰返し周波数であつてもよく、また、異なつて
いてもよい。変数x1とx2の繰返し周波数を同一と
する場合は、前記第2図のアキユムレータ16か
ら得られる変数xを演算ユニツト10−1及び1
0−2に共通に供給すればよい。すなわちx1=x2
=xである。また、変数x1とx2の繰返し周波数を
異ならせる場合は第10図に示すように変数x1
x2を別々に形成するようにする。すなわち、第1
の周波数ナンバメモリ15−1と第2の周波数ナ
ンバメモリ15−2には、同じキーに対して夫々
異なる値の周波数ナンバを記憶し、押鍵に対応し
てキーロジツク14から与えられるデータにもと
づいて夫々異なる周波数ナンバを両メモリ15−
1,15−2から読み出す。この周波数ナンバを
アキユムレータ16−1及び16−2で累算し
て、互いに異なる繰返し周波数の変数x2,x1を得
る。一方のアキユムレータ16−1から出力され
る変数x2を第1の演算ユニツト10−1に、他方
のアキユムレータ16−2から出力される変数x1
を第2の演算ユニツト10−2に、夫々供給す
る。 第9図の構成は、第2の演算ユニツト10−2
とm乗算器27の部分によつて周波数変調を実行
するようになつている。すなわち、第1の演算ユ
ニツト10−1の帰還ループ途中からとり出され
た帰還波形βsin yを変調波とし、変数x1の繰返
し周波数を搬送波周波数として、変調パラメータ
mの値によつて設定される変調指数で周波数変調
を実行する。こうすると、第2の演算ユニツト1
0−2から得られる楽音波形sin Yのスペクトル
分布を回帰パラメータβと変調パラメータmによ
つて制御し得るようになり、制御の幅が広がる。 x1=x2=xのときに第2の演算ユニツト10−
2から得られる楽音波形sin Yの解析を行つてみ
る。 第2の演算ユニツト10−2の加算器11−2
の出力Yは Y=x+mβsin y −(4) と表わせる。ここで、sin yは第1の演算ユニツ
ト10−1の出力である。 第(4)式の解析の結果、得られる楽音波形sin Y
は、
【式】 但し、 An=m〔1/n+1−m・Jo+1{(n+1−m)β} +1/n−1+m・Jo-1{(n−1+m)β)〕−(
5) と表わすことができることが判かつた。 この第(5)式も、前記第(2)式と同様に、ベツセル
関数の変調指数の中に次数nがとり込まれてお
り、かつ係数の分母に次数nが含まれているの
で、第(2)式と同じような傾向のスペクトル分布を
呈することが類推される。すなわち、或る範囲
(0から1よりも適度に大きい数まで)内で回帰
パラメータβを設定すると、得られる楽音波形
(sin Y)のスペクトル分布は次数nが高くなる
程振幅レベルが小さくなるという単調減少傾向の
分布を示し、かつ上記範囲内でβの値を変化させ
ると楽音波形の構成倍音の振幅を連続的に制御す
ることができる。従つて、第9図の構成によつて
もストリング系の音(鋸歯状波系の音)の合成を
容易に行なうことができ、かつ、正弦波から鋸歯
状波まで連続的に波形形状を制御することができ
る。 尚、第9図においてx1=x2、m=1とすると第
1図と同一構成になる。従つて、x1=x2=x=
200Hz,m=1のときの第9図各部の観測波形及
びスペクトル分布図は第5図、第6図に示したも
のを援用することができる。 変調パラメータmの値はあまり小さいと実用性
がない。例えばm=0の場合は、第2の演算ユニ
ツト10−2の正弦波メモリ12−2は変数x1
よつて読み出され(Y=x1)、得られる楽音波形
sin Yは正弦波である。試作装置によれば変調パ
ラメータmの値が0.5乃至2程度のときに興味深
い結果が得られた。 第11図a〜h、第12図a〜hは、x1=x2
200Hz、m=2のときの試作装置による第9図各
部の観測波形とスペクトル分布を示したものであ
る。これらの図には回帰パラメータβの値が
0.0982から1.571までの8種類の場合の観測デー
タを示した。第11図aの第1段目には第2の演
算ユニツト10−2に入力される変数x1(=x2
の観測波形を示し、第2段目には第1の演算ユニ
ツト10−1の帰還ループ内の乗算器13−1か
ら出力される帰還波形βsin yの観測波形を示
し、第3段目には第2の演算ユニツト10−2の
加算器11−2の出力Y(Y=x1+mβsin y)
の観測波形を示し、第4段目には第2の演算ユニ
ツト10−2から出力される楽音波形sin Yの観
測波形を示す。尚、変数x1の波形はβが変化して
も変わらないため、第11図a,eにだけ示し、
あとは省略した。 第12図から明らかなように、第9図の構成に
よつても第1図構成と同様の傾向のスペクトル分
布を得ることができ、かつ、βを0から約1.5ま
での範囲で変化することによりスペクトル分布を
連続的に制御できることが確められる。 また、第11図、第12図と第5図、第6図と
を比較してみると、前者の方が倍音数が多く、か
つ各倍音のレベルも高いことが判かる。 この点を第13図の作図によつて解析してみ
る。第13図aは変数x1の1周期分の波形と、m
=1,2,3,4のときの加算器11−2の出力
Y(Y=x1=mβsin y)の波形を重ねて示し
た。この出力Yの形状はβの値によつても異なる
が、第13図ではβは適当な値に固定されている
ものとする。第13図bは正弦波メモリ12−2
に記憶した正弦波の1周期波形を示す。第13図
c,bはm=1,2、及び3,4のときに得られ
る楽音波形sin Yの概略を示した。 m=1のときは、0からπ/2までの正弦波振幅を 素速く読み出し、π/2までの正弦波振幅をゆつくり 読み出すので、第13図cに示すように楽音波形
sin Yは鋸歯状波となる。 m=2のときは、第13図aの波形Yによつて
0からπに近い位相までの正弦波振幅を素速く読
み出し、このπに近い位相からπまではゆつくり
読み出す。従つて、第13図cに示すように楽音
波形Sin Yは、半周期の初めにピークまで立上つ
てすぐに0レベル近傍に立下り、以後は0に向け
てゆつくり立下る波形となる。 m=3及び4のときの加算器11−2の出力Y
は位相πを越えるので、越えた部分においては負
の振幅が読み出される。すなわち、m=3のとき
は0からπ/2、πを経て−π/2まで素速く読み出し
、 −π/2からπ(すなわち−π)まではゆつくり読み 出す。従つて、第13図dに示すように、半周期
の始めに正のピークまで立上つてすぐに負のピー
クまで立下り、以後は0に向けてゆつくり立上る
楽音波形sin Yが得られる。 m=4のときは、0からπ/2、π(−π)、−π/
2を 経て0まで正弦波1周期を素速く読み出し、その
後、0から−π/2更に−π(π)に向けてゆつくり 読み出される。従つて半周期の始めに正のピーク
まで立上つてすぐに負のピークまで立下り、更に
0レベル近傍まですぐに立上り、次いで再び負の
ピークまでゆつくり立下り、次いで0レベルまで
ゆつくり立上る楽音波形sin Yが得られる。 以上の解析から、第9図の構成において変調パ
ラメータmの値を大きくすると微分回路を通した
ようなもしくはハイパスフイルタを通したような
高次成分の多い楽音波形sin Yを得ることができ
る、ことが確められる。 以上のように、第9図の構成では、回帰パラメ
ータβを変化させることはスペクトル分布を連続
的に制御することに関与し、変調パラメータmを
大きくすると高次の成分の振幅強調に役立つ。従
つて、これらパラメータβ、mの値を適宜調整す
ることにより楽音音色を容易に制御することがで
きる。 第9図の構成において、変数x1とx2の繰返し周
波数を異ならせると、倍音構成に関して上記解析
とは幾分違つた結果が得られる。第1の演算ユニ
ツト10−1で合成される波形sin yの周波数
は、前述のように、該演算ユニツト10−1に供
給される変数x2の繰返し周波数と同一である。従
つて、乗算器27から第2の演算ユニツト10−
2に加えられる波形mβsin yの周波数は変数x2
の繰返し周波数と同一である。これにより、第2
の演算ユニツト10−2から得られる楽音波形
sin Yの倍音構成は、x2に対応する周波数によつ
てx1に対応する周波数を変調したときに得られる
ものと同じになる。第11図の例のように、x1
x2のときは全ての次数の倍音が発生する。しか
し、変数x1とx2の繰返し周波数の関係を1:n
(但しnは2以上の整数)とすると、全ての次数
の倍音は発生せず、所定の次数の倍音が抜け落ち
る。例えば、変数x1とx2の繰返し周波数の関係を
=1:2とすると、偶数次の倍音成分が抜け落ち
て矩形波と同じスペクトル分布を得ることができ
る。第14図にその観測波形が示されている。 第14図a〜eはx1の繰返し周波数を200Hzと
し、x2の繰返し周波数を400Hzとし、m=1とし
たときにβを0.0982から1.571まで5通りに変化
した場合の試作装置による第9図各部の観測波形
を示し、第15図a〜eは第14図a〜eに示さ
れた楽音波形sin Yのスペクトル分布を示したも
のである。第14図において、x2とx1の波形はβ
が変化しても変わらないので、第14図aにだけ
示し、あとは省略した。また、第14図には帰還
波形βsin yと演算ユニツト10−2の出力楽音
波形sin Yの波形が示されている。スペクトル分
布図から明らかなように、偶数次の倍音成分が抜
け落ちている。回帰パラメータβによる制御特性
は、他の場合(第5,6図、第11,12図)と
同様であり、0から約1.5の範囲でβの値を変化
させると、倍音数及び振幅が徐々に増す。また、
スペクトル分布の特性も他の場合(第5図、第1
0図)と同様であり、高次成分になる程振幅が減
少するという単調な傾向をみせている。βを
1.571に設定すると、ほぼ矩形波に等しい波形が
得られることが判る。また、第14図から明らか
なようにβの値を変化することによつて出力楽音
波形sin Yの形状を正弦波から矩形波まで連続的
に可変制御できる。 尚、x1とx2の繰返し周波数の関係を1:2とす
る場合は、第10図のように2個の周波数ナンバ
メモリ15−1,15−2を設ける必要はなく、
第2図のように1系列とし、アキユムレータ16
の出力xをシフト装置によつて1ビツト左シフト
して2xを得て、このxと2xをx1,x2として用いる
とよい。 また、x1の繰返し周波数をx2の繰返し周波数よ
りも高くし、その関係をn:1(但しnは2以上
の整数)としてもよい。このようにすると興味深
い楽音波形を得ることができる。 また、x1とx2の繰返し周波数の関係を非整数倍
とすると、演算ユニツト10−2から得られる楽
音波形sin Yのスペクトラル分布は非整数倍の倍
音成分によつて構成されることになり、非調和音
を得ることができる。また、x1とx2の繰返し周波
数を僅かに異ならせると、ビートが発生してコー
ラス効果が得られることが確認されている。この
ような場合には、第10図の回路を用いてx1及び
x2を発生するとよい。 尚、前述のハンチング現象の防止のために、第
8図に示した平均化手段23を第9図におけるm
乗算器27の入力側あるいは出力側あるいは正弦
波形メモリ12−1の出力側等、適宜の箇所に挿
入するものとする。正弦波形メモリ12−2の出
力側に該平均化手段23を挿入するのがより効果
的である。 次に第16図を参照してこの発明の更に他の実
施例について説明する。 第16図においては、第9図と同様に、加算器
11−1,11−2と正弦波メモリ12−1,1
2−2とを具えた2個の演算ユニツト10−1及
び10−2を具備している。また、第1の演算ユ
ニツト10−1の出力sin yは乗算器13−1で
回帰パラメータβを掛けて入力側に帰還されてい
る。第9図と異なる点は、第1の演算ユニツト1
0−1の出力sin yを乗算器28を介して第2の
演算ユニツト10−2の入力側に加えている点で
ある。乗算器28には変調パラメータαが供給さ
れるようになつており、αsin yが第2の演算ユ
ニツト10−2の加算器11−2に入力される。
加算器11−2では変数x1とαsin yが加算さ
れ、Z=x1+αsin yを得る。この加算器出力Z
によつて正弦波メモリ12−2が読み出され、楽
音波形sin Zが出力される。演算ユニツト10−
1及び10−2に夫々供給される変数x2及びx1
は、第9図の場合と同様の位相入力であり、x1
x2であつてもよく、またx1≠x2でもよい。 第16図の構成において、β=αとして回帰パ
ラメータβと変調パラメータαの値を同じに設定
すれば、第9図においてm=1とした場合と同じ
状態になる。すなわち、αsin y=βsin yとな
り、Z=x1+αsin y=x1+βsin y=Yとな
り、得られる楽音波形はsin Z=sin Yであり、
第9図の構成と同じ楽音波形が得られる。従つ
て、この場合の楽音波形sin Zの解析は第9図の
場合と同じである。 β=αとし、更にx1=x2とすれば、第16図は
第1図の基本構成と同じ状態になる。その理由は
第9図においてx1=x2,m=1とした場合と同じ
である。 また、α=mβとすれば、第16図は第9図と
同じ状態となる。従つて、第16図の構成によれ
ば、第1図及び第9図の構成で得られる楽音波形
と同じものを得ることができる。但し、第9図の
構成では回帰パラメータβと変調パラメータmを
個々に制御したが第16図の場合のパラメータの
制御態様は若干異なつてくる。 しかし、β∝αという比例関係を維持するよ
う、βとαを連動して変化させれば、第9図にお
けるβ∝mβというパラメータ制御と同じにな
る。すなわち、第9図においてmを固定してβを
変化させた場合と全く同じ制御になる。従つて、
前記第5図、第6図、第11図、第12図、第1
4図、第15図に示す観測波形及びスペクトル分
布図はそのまま第16図の各部観測波形及びスペ
クトル分布図として援用することができる。つま
り、第16図においてx1=x2,β=αとしてβと
αを連動して変化すれば第5図、第6図と同様の
波形を観測することができ、従つて出力楽音波形
sin Zを正弦波から鋸歯状に至るまで滑らかに変
化することができる。また、第16図においてx1
=x2,α=2βとしてβ∝αの関係を維持するよ
う連動制御すれば、第11図、第12図と同様の
波形を観測することができる。更に、変数x1とx2
の繰返し周波数の関係を1:2,β=αとして連
動制御れば、第14図、第15図と同様の波形を
観測することができる。 更に、第16図の構成においては回帰パラメー
タβと変調パラメータαを独立に制御すれば、第
1図及び第9図の構成では得られなかつた態様で
楽音波形sin Zの構成倍音成分の制御を行なうこ
とができる。 また、回帰パラメータβを0にして第1の演算
ユニツト10−1における帰還ループを断つと、
該演算ユニツト10−1の出力波形はsin y=
sin x2となり、正弦波となる。従つて、第2の演
算ユニツト10−2から得られる楽音波形sin Z
は、変数x1の繰返し周波数に対応する正弦波を変
数x2の繰返し周波数に対応する正弦波によつて変
調度αで周波数変調した波形となる。 以上のように、第16図の構成によれば、回帰
パラメータβと変調パラメータαを適宜制御する
ことにより、従来の周波数変調方式楽音合成技術
が得意とする音色(打楽器系音や管楽器系音)か
らこの発明が得意とする音色(例えばストリン系
音)まで広汎な楽音制御を行なうことができる。 勿論、第16図の構成においても、デジタル演
算にもとづいて得られる波形信号が通過する適宜
の箇所(望ましくは正弦波メモリ12−1または
12−2の出力側)に第8図に示す平均化手段2
3を挿入することが望ましい。 第17図はこの発明の更に他の実施例を示すも
ので、第1図の演算ユニツト10とその帰還ルー
プに挿入された乗算器13とから成る構成と同一
構成の演算ユニツト10A,10Bと乗算器13
A,13Bの組合せを2個並列に具えている。演
算ユニツト10A及び10Bには、所望周波数の
位相入力変数xa及びxbが夫々各別に供給され
る。また、乗算器13A及び13Bには回帰パラ
メータβa及びβbが夫々供給される。 演算ユニツト10A及び10Bの出力波形は加
算器33に加わり、押鍵等によつて指定された所
望周波数の変数x(正弦波メモリ34の本来のア
ドレス信号)と加算される。この加算器33の出
力によつて正弦波メモリ34が読み出され、楽音
波形信号が得られる。すなわち、第17図におい
ては、第1図に示す基本構成と同様に動作する演
算ユニツト10A,10Bの出力波形によつてア
ドレス信号xを変調し、変調されたアドレス信号
によつて正弦波メモリ34を読み出すようにして
いる。 第17図において演算ユニツト(10Aまたは
10B)が1個だけあれば、第16図の構成にお
いて変調パラメータαを1にした場合と同じ状態
になる。複数の演算ユニツト10A,10Bの出
力によつてアドレス信号xが変調されるので、正
弦波メモリ34からは複雑な楽音波形が得られる
が、既に述べたものと同様に、回帰パラメータβ
a,βbの変化によつてその楽音波形の倍音構成は
連続的に制御される。従つて、楽音波形の制御が
容易である。勿論、演算ユニツト10A,10B
の出力側に第8図に示すような平均化手段23を
挿入することが望ましい。また、第17図におい
て、演算ユニツト10A,10Bを2個用いた
が、これに限らず、2以上であつてもよい。 尚、第9図及び第16図、第17図では、演算
ユニツト10−1,10−2,10A,10B、
乗算器13−1,13A,13B,27,28を
夫々用いることが、これらを具体装置として個々
に具えることは必ずしも要求されない。第18図
に示すように正弦波メモリ30、加算器31、乗
算器32を夫々1個だけ具え、更にレジスタ20
を具え、これらを制御ユニツト29の制御によつ
て時分割共用するようにすることもできる。この
場合、制御ユニツト29では、プログラムに従つ
て第9図あるいは第16図、第17図に示すよう
な演算手順を実行する。 この発明の単音発生に限らず、複音発生にも適
用することができる。複音発生の場合は、第2図
に示すキーロジツク14はキーアサイナあるいは
チヤンネルプロセツサといわれる公知の発音割当
て回路によつて構成し、各チヤンネルに割当てら
れた楽音を時分割で合成する。 また、回帰パラメータβ及び変調パラメータ
m,αを時間の関数β(t),m(t),α(t)
とすることもできる。この場合、キーロジツク1
4から係給されるキーオン信号KONにもとづい
て各パラメータβ(t),m(t),α(t)に対
応するエンベロープ発生器(図示せず)を駆動
し、各パラメータβ(t),m(t),α(t)を
押鍵操作(発音時間間隔)に対応するエンベロー
プ波形として発生するとよい。 尚、上記実施例では回帰パラメータβの範囲を
0から約1.5までの間としているが、その他の値
にしても従来とは違つた効果が期待できる。ま
た、正弦波メモリ12に三角関数以外の波形を記
憶しても、今までとは違つた効果が期待できる。 また、この発明で波形メモリ(正弦波メモリ1
2)とは、演算によつて波形を発生する装置も含
むものとする。すなわち、アドレス信号に相当す
る入力を位相パラメータとして波形振幅演算を実
行するような波形発生装置も含めて波形メモリと
いうことにする。 以上説明したようにこの発明によれば、波形メ
モリからの読み出し波形を適宜の帰還率でアドレ
ス入力側に帰還しているので、該メモリに記憶し
た波形とは異なる波形を読み出すことができる。
しかも回帰パラメータβによつて帰還率を制御す
ることにより読み出し波形の形状を変化すること
ができる。具体的には鋸歯状波、矩形波、あるい
は高次倍音成分が強調された波形などをパラメー
タの単純な制御により容易に得ることができ、し
かもそれらの波形から正弦波に至るまで構成倍音
の数及び振幅を連続的に減少(またはその逆の場
合は連続的に増加)させて制御することができ
る。特に、高次になるほど倍音の振幅が減少して
いく傾向のスペクトル分布をもつ楽音波形の合成
及び制御に有利である。このような高次にいくほ
ど振幅が減少する単調減少傾向のスペクトル分布
の楽音を合成することは、従来の周波数変調方式
楽音合成技術が最も不得手としていたもので、こ
の発明ではこの点が著しく改善されている。ま
た、装置構成規模を特別拡張することなく、単に
回帰パラメータβの値を変えるだけで倍音数を増
すことができるので、従来のフーリエ成分合成方
式楽音合成技術に見られるような欠点が克服され
ている。更に、上記の波形メモリから得られる波
形またはこれに所定の重付けを行つた信号を変調
用波形として用いて第2の波形メモリを読み出す
アドレス信号を変調することにより、該第2の波
形メモリの出力波形は上述の特徴を有しつつ更に
複雑に変化するものとなる。従つて、この波形か
ら楽音波形を合成することにより、更に複雑に変
化する楽音が得られる。また、波形メモリの出力
をパラメータによつて重付けしかつその重付け出
力に従つて該波形メモリのアドレス信号を変調し
て該メモリを読み出す系列を複数具備し、各系列
の前記波形メモリ出力に従つて別のアドレス信号
を変調し、この変調された別のアドレス信号によ
つて別の波形メモリの読みだしを行なうようにす
れば、この別の波形メモリから読み出された出力
波形は更に複雑なものとなり、この別の波形メモ
リから読み出された出力から楽音を合成すること
により非常に変化に富んだ楽音を得ることができ
る。この場合も楽音波形の倍音構成はすでに述べ
たものと同様に回帰パラメータの変化に従つて連
続的に制御され、楽音波形の制御は容易となる。
更にまた、波形メモリの出力側に平均化手段を挿
入することにより1サンプル点毎に正負に触れて
いた振幅が平均化され、楽音のハンチング現象を
除去することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の基本構成を示すブロツク
図、第2図は第1図で使用する変数xを発生する
装置の1例を示すブロツク図、第3図は第1図の
出力楽音波形を処理して発音に至る装置の1例を
概略的に示すブロツク図、第4図はベツセル関数
の立体図と該立体図におけるこの発明の実施例で
使用する領域とをあわせて示すグラフ、第5図a
〜hは試作装置によつて様々なβの値に対する第
1図各部の波形を観測した結果を示すグラフ、第
6図a〜hは第5図a〜hに示された各楽音波形
sin yのスペクトル分布の観測結果を示すグラ
フ、第7図はハンチング現象が生じた波形の一例
とこれを除去した波形の一例を試作装置による観
測結果にもとづいて示すグラフ、第8図は第7図
に示したハンチング現象を防止するための平均化
手段の一例を示すブロツク図、第9図はこの発明
の別の実施例の構成を示すブロツク図、第10図
は異なる変数x1,x2を発生する装置の一例を示す
ブロツク図、第11図a〜hはx1=x2,m=2の
場合における様々なβの値に対する第9図各部の
波形を試作装置によつて観測した結果を示すグラ
フ、第12図a〜hは第11図a〜hに示された
各楽音波形sin Yの観測結果を示すグラフ、第1
3図は第9図の構成において変調パラメータmの
値を大きくした場合に出力楽音波形が高次倍音成
分の強調された微分性の波形となる傾向にあるこ
とを作図によつて解析するためのグラフ、第14
図a〜eは変数x1とx2の繰返し周波数の関係を
1:2,m=1の場合における様々なβの値に対
する第9図各部の波形を試作装置によつて観測し
た結果を示すグラフ、第15図a〜eは第14図
a〜eに示された各楽音波形sin Yのスペクトル
分布の観測結果を示すグラフ、第16図はこの発
明の更に別の実施例の構成を示すブロツク図、第
17図はこの発明の更に他の実施例を概略的に示
すブロツク図、第18図はこの発明の更に他の実
施例を示すブロツク図で、演算回路を単数として
これをプログラム制御によつて多機能に使い分け
るようにしたことを示す図である。 10,10−1,10−2,10A,10,B
……演算ユニツト、11,11−1,11−2…
…加算器、12,12−1,12−2……正弦波
メモリ、13,13−1,13A,13B,2
7,28……乗算器、21,22……この発明に
おいて使用されるベツセル関数値の好適な領域。
23……平均化手段。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1所定の波形データを記憶した波形メモリを所望
    の繰返し周波数のアドレス信号によつて読み出す
    ことによつて楽音を合成する楽音合成方法におい
    て、 前記波形メモリの出力をパラメータによつて重
    付けし、その重付け出力を該波形メモリのアドレ
    ス信号に加えて該メモリを読み出し、前記波形メ
    モリの出力あるいは前記重付け出力を用いて楽音
    を合成するようにした楽音合成方法。 2 所定の波形のデータを記憶した波形メモリを
    所望の繰返し周波数のアドレス信号によつて読み
    出すことによつて楽音を合成する楽音合成方法に
    おいて、 前記波形メモリの出力を第1のパラメータによ
    つて重付けし、その重付け出力を該波形メモリの
    アドレス信号に加えて該メモリを読み出し、かつ
    前記重付け出力を第2のパラメータによつて更に
    重付けして第2の重付け出力を得て、この第2の
    重付け出力を別のアドレス信号に加え、この第2
    の重付け出力が加えられた別のアドレス信号によ
    つて第2の波形メモリの読み出しを行ない、この
    第2の波形メモリから読み出された出力から楽音
    を合成するようにした楽音合成方法。 3 所定の波形のデータを記憶した波形メモリを
    所望の繰返し周波数のアドレス信号によつて読み
    出すことによつて楽音を合成する楽音合成方法に
    おいて、 前記波形メモリの出力を第1のパラメータによ
    つて重付けし、その重付け出力を該波形メモリの
    アドレス信号に加えて該メモリを読み出し、前記
    波形メモリの出力を前記とは別途に第2のパラメ
    ータによつて重付けして第2の重付け出力を得
    て、この第2の重付け出力を別のアドレス信号に
    加え、この第2の重付け出力が加えられた別のア
    ドレス信号によつて第2の波形メモリの読み出し
    を行ない、この第2の波形メモリから読み出され
    た出力から楽音を合成するようにした楽音合成方
    法。 4 所定の波形のデータを記憶した波形メモリを
    所望の繰返し周波数のアドレス信号によつて読み
    出すことによつて楽音を合成する楽音合成方法に
    おいて、 前記波形メモリの出力をパラメータによつて重
    付けし、かつその重付け出力を該波形メモリのア
    ドレス信号に加えて該メモリを読み出す系列を複
    数具備し、各系列の前記波形メモリ出力を別のア
    ドレス信号に加え、この波形メモリ出力が加えら
    れた別のアドレス信号によつて別の波形メモリの
    読み出しを行ない、この別の波形メモリから読み
    出された出力から楽音を合成するようにした楽音
    合成方法。 5 所定の波形のデータを記憶した波形メモリを
    所望の繰返し周波数のアドレス信号によつて読み
    出すことによつて楽音を合成する楽音合成方法に
    おいて、 前記波形メモリの出力をパラメータによつて重
    付けし、その重付け出力を該波形メモリのアドレ
    ス信号に加えて該メモリを読み出し、かつ前記波
    形メモリの出力側に挿入した平均化手段によつて
    楽音波形の隣接サンプル点同士の振幅の平均値を
    逐次求めるようにした楽音合成方法。
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