JPS6120402B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、セメント、石膏等の水硬性無機組成
物を素材とした建築物の内外壁、床、柱、階段等
各部に用いられる大理石模様を発現した建築部材
等の無機成形品を連続的に生産し得る製造方法に
関するものである。

通常、セメント、石膏等の水硬性材料には、適
量の水分を添加し、之に強化繊維として、例えば
アスベスト、軽量骨材として、例えばパーライト
等を加え、更には、セルローズ誘導体の如き流動
性改質材等を加えて混合する。その後該混合物
は、室温にて、上下又は前後２段のスクリユー式
押出機を用いて、末端出口に予め設置された所望
形状のダイスを通して押出され、室温更には加熱
養生により硬化して成形体が得られる。このよう
な成形品は、押出加工の特性上、中空状、曲面状
等の各種の断面のものが長尺で自由に得られる利
点から、不燃建材やその他の用途が多大である。
従来この種の押出成形品は、セメント色ないしは
白色であつて、実際に用いられるには、化粧が施
される。即ち該成形品は、直接又は、サンドプラ
スト加工等を施された後、ウレタン系その他の有
機塗料又は、珪酸質の無機塗料、セメント、リシ
ン等をロールコーター、スプレーガンその他の方
法で塗装されて使用される。しかしながら、かか
る化粧法は、あくまでも表面に薄膜をはるに過ぎ
ず。成形品は運搬、施工、加工等の操作により欠
けや引つかきを生じ、また衝撃等により塗膜層が
破壊され、芯部が露出して美観上欠陥を生ずる。

古来、大理石は高級建築材料として珍重されて
いるが加工の困難性と高価格とで、一般にはなか
なか使用し得ない。かかる天然大理石に対して、
従来、テラゾー、凝石等の形で２色以上のカラー
モルタル、ポリエステルレジンコンクリートを型
の中に流し込んだ人造大理石が製造されている
が、何れも職人的な非連続的な個別生産に頼らざ
るを得ず、製造量もわずかで、又任意の断面、い
わんや中空、長尺のものを得る事は不可能に近
い。特にポリエステルレジン基体のものは準不燃
程度の性能を得るのが限度である。

本発明は、不燃かつ天然大理石と同じく基材内
部まで模様付けがされ、更に長尺、任意断面の建
築部材等成形品を連続的に製造する方法を提供す
ることを目的とする。

以下本発明の一実施例を図面に基き説明する。

第１図は、本発明の実施に用いられる成形装置
の平面図である。充分混練された塊状のセメン
ト、石膏等の無機組成物１は、コンベア２上を移
動しつつ、２段スクリユー式真空押出機の前段ス
クリユー４上のホツパー３に供給される。供給さ
れた材料は、前記前段スクリユー４により前段移
送管４ａ中を移送されて真空室５に押出される。
このとき材料は、調整された水分の量によつて小
粒状の塊として、表面積を大にした状態で真空室
５に落下する。該真空室５では、混練中に巻き込
まれた材料中の包合空気が脱気され、材料は密実
な状態となる。

次に上記セメント、石膏等の無機組成物とは同
種であるが、異色の組成物を準備し、これらの組
成物を充分混合した後、この混合材料９を別のコ
ンベア１０にて移動しつつ、別段スクリユー１２
の上方に設けられたホツパー１１に供給する。こ
の材料は前記別段スクリユー１２により別段移送
管１２ａ中を移送され、上記真空室５に落下す
る。真空室５に落下した材料は、前記前段スクリ
ユー４により送られた材料と一緒になり、真空状
態にて脱気される。

この真空室５の脱気は押出成形物の物性に極め
て重要な影響を与えるもので、真空下で脱気した
成形品は無処理（気泡を含む）の成形品に比し、
例えば曲げ強度に於いて30％程度の向上がある。
従つて材料１，９共に必ず真空脱気過程を過せし
める必要がある。

ここでもし別段スクリユー１２が前段スクリユ
ー４上流のホツパー３上に開口し、ここに両材料
が同時に供給される如くなされた場合、異色の両
材料１，９は前段スクリユー４にて混合移送され
ることによつて、異色が練り混ざり、更に後段ス
クリユー６により圧送される際に１体の混合色と
なつて、１色の中に他色が混在するいわゆる大理
石模様を実現する事ができない。

しかして、別段スクリユー１２から真空室５に
落下する材料の形状はスクリユー１２の出口の形
状により、方形、円形等、目的の大理石模様の出
現の状況を勘案して選択することができる。また
スクリユー出口の材料導出方向に直角なる平面内
で回転するナイフ状のカツターの回転速度によ
り、真空室への落下材料の長さを任意に変える事
ができる。

このようにして真空室５で脱気後、混在した異
色の材料は後段スクリユー６により、重合状態で
圧送され、不充分に混合された状態でダイス７よ
り押出されるため、内部まで大理石状態の成形品
８が製造される。

通常スクリユー６の作用は真空室５に落下した
均質な材料をダイス７を通して、所望形状に圧送
押出すだけの作用を行うものであり、混合作用は
殆んどない。従つて材料１，９は配合上同種であ
り、着色剤に差異があるので、かつその添加量の
差はは僅少部に過ぎないため、同一な押出性能を
有し、従つて均質な押出体が得られ、かつ異色部
分が互いに一体成形体中に点在し、大理石模様を
与える事となる。

材料１，９の組成はセメント系成形品の場合、
次の如くである。

白色セメント 100重量部 石 綿 10〜50重量部 流動性改質剤 数 部 シリカ分 10〜50重量部 着 色 剤 適 量 着色剤としてはセメントのアルカリ性を考慮し
たものを選択し、材料１が黒の場合は材料９が白
色、材料１が白色の場合は材料９が暗青色の如
く、天然大理石に類似した色調を選択する。更に
色調ともう１色の追加が必要な場合には、第２の
別段スクリユーを設け、第１図別段スクリユー１
２と別の位置より真空室５に別色の材料を移送供
給してやれば良い。更にそれ以上の多色の場合も
以下同様である。

石膏系成形品の場合、前記セメントの場合と同
様の配合を有し、前記配合においてセメントの代
りに石膏が配合され、通常は半水又は無水石膏等
が用いられる。

押出された成形品はセメントの場合には、常温
養生後、蒸気処理、水中浸漬、オートクレーブ処
理等によりその硬化を完了させる。石膏の場合に
は、水和完了後、加熱乾繰して成形体とし、必要
に応じて、表面研磨後アクリルウレタン系樹脂等
の合成樹脂系塗料、無機塗料にて仕上げる。

なお、前記真空室５へ供給される両スクリユー
４，１２からの材料は水分の調整によりおよび／
またはカツターにより粒状塊状にされる。

実施例 １ 押出スクリユー直径300m／ｍの２段式スクリ
ユー真空押出機を用いて、前段スクリユー４よ
り、次記の配合を有する組成物を供給した。数字
は重量部を示す（以下同様） 白色セメント 100 珪 砂 40 石 綿（７級） 30 パーライト 10 メチルプロピルセルローズ １ 水 60 また、別段スクリユー１２により、次記配合の
組成物を供給した。

白色セメント 100 珪 砂 40 石 綿 30 パーライト 10 メチルプロピルセルローズ １ カーボンブラツク ２ コバルトブルー １ 水 62 そして、両材料とも真空室にて脱気後、後段ス
クリユー６によ押出成形し、その後室温にて、12
時間湿空養生し、その後180℃にて、10時間高圧
オートクレーブ養生を行つて、第２図の如き成形
品を得た。この成形品１３は、厚さ20m／ｍ、巾
450m／ｍ、長さ900m／ｍで、本実部１４と断
熱、遮音軽量化の為の中空部１５を有し、
JISA1321の１級試験（不燃）に合格、建築物の
大理石模様内外装壁材として用いられる。

実施例 ２ 押出スクリユー直径200m／ｍの２段式スクリ
ユー真空押出機を用いて、前段スクリユー４よ
り、次記配合の組成物を供給した。

型無水石膏 100 石 綿（７級） 30 パーライト ５ メチルセルローズ 0.7 明 ば ん ２ 褐色弁柄 ２ 水 30 また、別段スクリユー１２により、次記配合の
組成物を供給した。

型無水石膏 100 石 綿（７級） 30 パーライト ５ メチルセルローズ 0.7 明 ば ん ２ 水 30 そして、押出成形後、室温で８時間放置後、乾
燥室にて平衡含水まで脱水して第３図の如き製品
を得た。表面を研磨後メチルメタアクリレートモ
ノマー中に含浸させて、表面含浸後100℃で５分
間重合せしめて、表面に耐摩、耐水性を付与し、
厚さ50m／ｍ、巾500m／ｍ、長さ１，000m／ｍ
の床用大理石パネルを得た。

本発明は、以上の如く、複数の同種異色の材料
を脱気機、充分な混練を行なわしめることなくダ
イスを通して押し出し成形するので、建築物の内
外装材、床材、階段または、柱の被覆材、テーブ
ルカウンタートツプ等の成形体が内部まで、大理
石模様を有し、中空その他任意の形状で、長尺か
つ完全不燃性の状態で得られる。しかも本発明方
法による装置は構造簡単で作業の手間も少なくて
すむので、製品は汎用的価格で供給できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施に用いられる装置の主要
部の平面図、第２図は実施例１により得られた製
品の斜視図、第３図は同じく実施例２による製品
の斜視図である。 １……無機組成物の混合材料、２……ベルトコ
ンベア、３……ホツパー、４……前段スクリユ
ー、５……真空室、６……後段スクリユー、７…
…押出ダイス、８……無機押出成形体、９……異
色組成物、１０……ベルトコンベアー、１１……
ホツパー、１２……別段スクリユー、１３……押
出板体、１４……本実部、１５……中空部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ セメント、石膏等の水硬性無機組成物を２段
   式スクリユー押出真空成形機を用いて押出成形す
   る際に該組成物を前段スクリユーにてその端部に
   設けた真空室に押し出し、該組成物中の包合空気
   を脱気し、次いで後段スクリユーにて、その先端
   に取付けた所望形状のダイスを通して押出成形す
   る方法に於いて、前記組成物と異色の組成物を別
   に設けた前記前段スクリユーと同様な構造の別段
   混練スクリユーを介して前記真空室に供給し、前
   記前段スクリユーよりの組成物と共に脱気し、前
   記後段スクリユーにて、両組成物を同時に押出す
   ことにより、成形物中に大理石状等の模様を表現
   することを特徴とする模様付無機押出成形品の製
   造方法。