JPS6120093B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、消弧用ガスをしや断器の引外し動作
中にピストンおよびシリンダ装置によつて圧縮す
るパツフア形ガスしや断器に関するものである。

近年の系統における高電圧大容量化にともな
い、ガスしや断器の技術的進歩は著しく、１ユニ
ツトあたりのしや断容量はますます増大の傾向に
ある。また同じしや断容量のものは、一層小形化
が進んでいる。

一般にガスした断器の電極間に発生したアーク
は高温に達するため、この時の熱エネルギーによ
り、アークが点弧している電極表面からは電極材
料の蒸発が起る。このため、アーク中には、消弧
媒体のガス以外に大量の蒸発した電極材料が含ま
れることとなり、しかもこの材料は一般に金属が
使われるので、このことが電流零点を迎えて、い
つたん電流しや断した後でもアークが発生しない
場合と比較して絶縁回復が遅いことの原因の一つ
となつている。従つて蒸発の少ない耐弧材料をア
ークの触れる電極表面に固着させることが、電極
自身の寿命を伸ばす以外に、した断性能を向上さ
せることになる。一般には、耐弧材料としてタン
グステン系の材料を含ませた金属が使われてい
る。一方アークによる蒸発量の少ない材料とし
て、例えばカーボンを主成分とした材料が金属で
はないにもかかわらず、高い導電率を持つととも
に、耐弧性が優れているとして知られている。し
かしながら、カーボンは機械的強度が弱く、パツ
フア形ガスしや断器のアーク電極のように、投入
やしや断動作を行なう際に表面を他の電極が摺動
したり、衝撃的な接触動作を行なうものでは、使
用することができない欠点があつた。

本発明の目的は固定電極先端部と可動電極先端
部に、機械的強度の大きい材料からなる耐弧片を
夫々固着させ、投入ないししや断動作をする時は
これら耐弧片同志が接触、摺動するようにし、か
つ固定電極の最先端部と、可動電極支えの先端、
内径部に、機械的強度は弱くても、アークによる
蒸発量の少ない材料からなる耐弧片を夫々固着さ
せて、発生したアークが最終的に蒸発量の少ない
材料からなる耐弧片同志の間につくようにさせて
しや断性能の向上と電極の寿命をのばすこがであ
きるパツフア形ガスしや断器を提供することにあ
る。

以下本発明の固定電極最先端部および可動電極
支えの先端部の耐弧片としてカーボンを主体とし
た材料を使用した場合の構造例について電極周辺
部の断面を第１図に示す。

第１図ａは投入状態、ｂはしや断状態である。

固定電極１の先端にタングステン等の機械的強
度の大きい耐弧片３を取付ける。この耐弧片３の
外径Ｂよりも小さい外径Ａを持つカーボンを主体
とした材料からなる耐弧片２を耐弧片３の先端に
固着させる。一方固定電極１が挿入接触される可
動電極４の内径は投入状態においては、第１図に
は図示していない可動電極外部に設けられ内側に
力を加えるバネ機構により固定電極を締めつけて
いる。これにより固定電極１の耐弧片３の外径Ｂ
と等しくさせている。しや断状態においては、可
動電極４の内側径Ｃ内が可動電極４の内側に配置
された可動電極支え５の外側と密着することによ
り Ａ＜Ｃ＜Ｂ………(1) の関係を保つようにさせている。そして耐弧片３
の長さは、第１図ａの投入状態において、可動電
極４の固定電極側先端部より左方部から固定電極
先端部までとさせる。即ち投入状態に於て固定電
極１は耐弧片３を介して、更に後述する耐弧片６
を介して可動電極４と接続される。

前記可動電極４の先端部の固定電極１の耐弧片
３と摺動する部及び固定電極と対向する前面部に
機械的強度の大きい例えばタングステン材料から
なる耐弧片６を固着させる。更に可動電極４内の
可動電極支え５の先端内径部にカーボンを主体と
した材料からなる耐弧片７を固着させる。

第２図の上半分に投入状態を、下半分に固定電
極１と可動電極４が離れる直前の状態を断面で示
す。しや断する場合、可動電極４は固定電極１の
耐弧片３の周囲を摺動しながら、最後に固定電極
１を離れる時でも、耐弧片２の外径が開極後の可
動電極４内径未満であることから、耐弧片２に接
触せずに開極を行なう。また投入する場合も動き
が逆とはなるものの、やはり可動電極４が耐弧片
２に接触することはない。

第３図ａ乃至ｃで、本発明の一実施例における
しや断時に発生するアークの動きを説明する。第
３図ａは投入状態、ｂは開極直後の状態、ｃはし
や断完了直前の状態である。

１１は可動シリンダーで、可動電極４を取付け
てあり、このの電極４の外周にバネ９を配置して
ある。８は可動電極カバー、１０は絶縁ノズル、
１２はシリンダー１１内の固定ピストン、１３は
可動側排気路である。１４はアークを示す。また
矢印はガスの流れを示す。しや断器がしや断動作
を行なつて、開極すると開極直後においては第３
図ｂに示すように発生したアーク１４が、固定電
極１の先端部の耐弧片２と可動電極４内径部の耐
弧片６の間に存在する。しかし可動電極４が更に
移動するにつれ、発生したアーク１４は、矢印に
示すガスの流れによりしだいに可動側排気路１３
内へと吹きこまれ、やがて第３図ｃに示すように
固定電極１最先端部および可動電極支え５の先端
部に夫々固着した機械的強度は弱いもののアーク
による蒸発量の少ない材料からなる耐弧片２，７
間に存在するようになる。従つてアーク中に含ま
れる電極材料の蒸発量は非常に少なくなり、この
状態でアーク電流が零を迎えることにより以後の
絶縁回復は非常に優れたものとなる。

以上説明したように本発明にむれば、しや断な
いし投入を行なつても、一方の機械的強度は弱い
ものの、アークによる蒸発量の少ない材料からな
る耐弧片を破壊することなく、アーク電極として
使用することができるため、しや断時に発生して
アーク中に混入する電極材料の蒸発量を極端に減
らすことができ、よりしや断性能の優れたパツフ
ア形ガスしや断器を提供することができる。又投
入やしや断動作時に固定電極と可動電極が摺動動
作する際や、両電極の接触始めや接触終りの時点
において、たとえアークが発生したとしても、他
方の機懐的に強い耐弧片により、固定電極の傷み
を最少に押えることができ、より寿命の長いパツ
フア形ガスしや断器を提供することができる。

また本発明を実施する場合、第１図乃至第３図
と同一部品に同符号をを記した第４図に示すよう
に電極と離れた周辺部に通電用電極を設けて既に
説明した固定および可動電極等をアーク電極とし
ても同様の効果をもつことはもちろんである。１
５は固定側通電電極、１６は可動側通電電極を示
す。

第５図に固定電極の他の実施例の断面を示す。
固定電極１先端部に機械的強度は弱いものの、ア
ークによる蒸発量の少ない材料からなる耐弧片２
を固定電極１先端部に設けた耐弧片３より突き出
させた形状とさせたもので、作用や効果は第１図
に示したものと同じであることは言うまでもな
い。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ及びｂは本発明に使用される電極部を
説明するための投入時及び開離時の断面図、第２
図は本発明の作用を説明するための電極周辺部の
断面図、第３図ａ乃至ｃは本発明の具体的実施例
と発生したアークの作用を説明するための断面
図、第４図は本発明の他の実施例を示す断面図、
第５図は本発明の固定電極の他の実施例を示す断
面図である。 １…固定電極、２…耐弧片、３…耐弧片、４…
可動電極、５…可動電極支え、６…耐弧片、７…
耐弧片、８…可動電極カバー、９…バネ、１０…
絶縁ノズル、１１…可動シリンダー、１２…固定
ピストン、１３…可動側排気路、１４…アーク。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 互に対向して配置される可動及び固定電極を
   備え、この可動電極が固定電極の外周面と摺動接
   触しながら互に接離し且つ両電極のしや断動作
   時、両電極間に発生するアークに対してパツフア
   シリンダ内の消弧性ガスを圧縮して吹付けるパツ
   フア形ガスしや断器において、前記固定電極の先
   端部に機械的強度の大きい耐弧材料からなる第１
   の耐弧片を設け、この第１の耐弧片の先端にこの
   第１の耐弧片よりも径が小さく且つアークによる
   蒸発量の少ない機械的衝撃に弱いカーボンを主体
   とした耐弧材料からなる第２の耐弧片を固着し、
   前記可動電極の先端部に機械的強度の大きい第３
   の耐弧片を固着し、可動電極内に配置した可動電
   極支えの内周面に第３の耐弧片よりもアークによ
   る蒸発量の少ない機械的衝撃に弱いカーボンを主
   体とした耐弧材料かなる第４の耐弧片を固着して
   なり、前記固定電極と可動電極の機械的摺動接離
   は、第１の耐弧片と第３の耐弧片のみにより行な
   わせるようにしたことを特徴とするパツフア形ガ
   スしや断器。 ２ 固定電極に設けた第１の耐弧片を可動電極と
   摺動接触する全範囲に固着し、可動電極先端部の
   固定電極と接触する全範囲に、前記第１の耐弧片
   と同材料の第３の耐弧片を固着した特許請求の範
   囲第１項記載のパツフア形ガスしや断器。 ３ 通電用電極とアーク電極とを備え、このアー
   ク用電極に耐弧片を取付けた特許請求の範囲第１
   項記載のパツフア形ガスしや断器。