JPS6115951Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、溶滓撹拌棒先端部を保護するための
カバーの改良に関する。

製鋼操業に必要な溶滓は各種のプロセスにより
処理される。その処理には撹拌操作が必要なこと
が多い。溶滓の撹拌は、通常、内部水冷構造を有
する鋼製撹拌棒を用い、行なわれるが、高温溶滓
と直接々触する先端部は摩耗および高温劣化によ
る損耗が著しい。これを防ぐために、先端部は、
25％Cr−12％Niまたは25％Cr−20％Niなどの耐
熱鋼からなるカバーで被覆したものも使用されて
いるが、従来のカバーは、表面に熱疲労クラツク
が発生み易く、短期間のうちにカバーとしての機
能を失つてしまう。

本考案は、撹拌棒先端保護カバーを、Nb含有
耐熱鋳鋼にて構成したことにより、熱疲労強度を
高め、高温使用における靭性劣化を少なくして耐
用寿命の向上を図つたものである。

本考案カバーを構成する耐熱鋳鋼のNb含有量
はベースとなる鋳鋼成分組成のバランスが考慮さ
れた上で定められるが、その使用条件（溶滓温度
約700〜900℃）下での熱疲労強度を十分なものと
するために、少くともＣ含有量の２倍量を必要と
する。たゞし、Nb含有量があまり多くなると、
成分バランス上の問題もあるので、含有量の上限
はＣ含有量の10倍量とするのがよい。より好しい
含有量は、Ｃ含有量の2.5〜８倍量の範囲内に求
められる。

本考案カバーのNb含有耐熱鋳鋼の具体例とし
て、(i)C0.06〜0.14％、Cr19〜23％、Ni30〜34
％、Nb0.5〜1.8％、(ii)C0.25〜0.35％、Cr23〜26
％、Ni23〜26％、Nb1.0〜2.0％、(iii)C0.3〜0.4
％、Cr23〜25％、Ni13〜15％、Nb1.0〜1.5％、
〓C0.4〜0.5％、Cr24〜28％、Ni34〜37％、
Nb1.0〜2.0％、を含む成分組成を有するもおが挙
げられる。

これらのNb含有耐熱鋳鋼の他の構成成分は通
常の耐熱鋳鋼のそれと異なるものではなく、例え
ばSiは0.5〜1.5％、Mnは0.5〜1.5％であり、不純
物であるＰは0.04％以下、Ｓは0.04％以下であ
る。また、前記成分のほかに、耐熱性、その他の
材料特性改善を目的として、適宜の合金元素を含
有するものであつてもよい。

本考案のカバーの形態は通常のそれと特に異な
るものである必要はない。第１図〜第３図に撹拌
棒の先端部の形状を例示する。１は内部に冷却水
流路２を有する撹拌棒本体であり、３は撹拌棒本
体を被覆するカバーである。カバー３は一般的な
鋳造法により、撹拌棒本体とは別体として製作
し、これを撹拌棒本体先端部に装着すればよい。
また、別法として、撹拌棒本体を中子とし、その
外周面をNb含有耐熱鋳鋼溶湯で鋳ぐることによ
り所要の層厚のカバーを形成することもできる。
カバーの肉厚は例えば10〜30mm程度であればよ
い。

本考案カバーを用いる撹拌棒先端部を被覆保護
することにより、製鋼操業に付随する高温溶滓撹
拌作業における撹拌棒の耐用命数は、カバーを使
用しない従来のものに比し、約100倍にも達し、
また通常の耐熱鋳鋼製カバーを用いた場合にくら
べても約10倍以上の耐用命数の向上をみる。

なお、本考案カバーは、溶滓のみならず、高温
（約700〜900℃）の溶融もしくは半溶融物質を対
象とする各種撹拌作業に使用される撹拌治具の保
護カバーとして有用である。

【図面の簡単な説明】

第１図は撹拌棒先端部を例示する縦断面図、第
２図はＡ−Ａ断面図、第３図はＢ−Ｂ断面図であ
る。 １：撹拌棒本体、３：カバー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. Nb含有耐熱鋳鋼からなる溶滓撹拌棒先端カバ
   ー。