JPS6115128Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、現場打ちコンクリートと結合一体化
して合成床版や合成外壁を作製するのに用いるプ
レキヤストコンクリート版（以下PCa版と記載す
る。）に関するものである。

一般に、PCa版と現場打ちコンクリートによつ
て、構造体としての必要強度を有する合成床版や
合成外壁を構築する場合、PCa版自体の断面性能
を確保するだけでなく、現場打ちによるコンクリ
ート打継部の結合力を確保することが必要であ
る。

このような条件を満たす合成床版等の作製用
PCa版として、従来ではもつぱらプレキヤストコ
ンクリート版の片面側にオムニア筋を埋設した所
謂オムニア版が使用されて来た。

しかし乍ら、これによる場合は、オムニア筋自
体が特殊な鋼材で且つ他数の溶接箇所を必要とす
る製造しにくに形状であるところから非常に高価
なものである上、オムニア版の成形に際して、所
要個数のオムニア筋を型枠内に互いに平行な複数
列に並べ、コンクリート打設時にオムニア筋の列
がずれることがないように位置決めするといつた
煩雑な配筋作業を必要とする等の欠点があつた。

このような現状に鑑み、本考案は、オムニア筋
に代え、平行な凸条を有する断面凹凸条の折版構
造とされたエキスパンドメタルを使用することに
よつて上筋の従来欠点を解消し、しかも、このエ
キスパンドメタルの形状、鉄筋の埋設位置及びプ
レキヤストコンクリート版の断面形状を工夫し、
且つ、プレストレスを導入することによつて、合
成床版等の表面近くでは鋼材量を多くし、肉厚中
央部では少なくするといつた無駄のない適切な鋼
材埋設状態が得られ、現場打ちコンクリートがエ
キスパンドメタルの凸条下側に回り込みやすく、
現場打ちコンクリートとエキスパンドメタルとの
付着が確実で打継部の結合力を増大でき、しか
も、軽量化が可能な合成床版等の作製用PCa版を
提供するものである。

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図、第２図は本考案に係る合成床版等の作
製用PCa版を示し、Ａは折版構造のエキスパンド
メタル、Ｂはプレキヤストコンクリート版であ
る。

エキスパンドメタルＡは、第２図、第３図に示
すように、ほぼ水平な頂面部分１とその巾方向両
端から斜め下方に折れ曲つた斜面部分２とからな
る凸条ａが前記斜面部分２の下端から前記頂面部
分１とほぼ平行に折れ曲つた谷面部分３を介して
プレキヤストコンクリート版Ｂの短辺方向に複数
個連続した断面凹凸条に折曲加工されており、前
記頂面部分１、斜面部分２、谷面部分３は、それ
らの折曲り角部ｂを避けて、つまり、折曲り角部
ｂにアングル状の板部が形成された状態に、ラチ
ス状を呈する網状に形成されている。また、これ
らの網状部分は、第３図に示すように、頂面部分
１と谷面部分３の網目を斜面部分２の網目よりも
細かく形成してある。

そして、前記プレキヤストコンクリート版Ｂに
は、前記エキスパンドメタルＡを、前記凸条ａの
上半部がプレキヤストコンクリート版Ｂの上面か
ら突出した状態に埋設すると共に、前記凸条ａの
長手方向適当間隔おきに配筋され、且つ、前記凸
条ａの高さの中程において前記斜面部分２の網目
に挿入された鉄筋４と、この鉄筋４と直交し（即
ち、プレキヤストコンクリート版Ｂの長辺方向と
平行に位置し）、且つ、前記各谷面部分２の上部
に所要本数（図面上では２本である。）ずつ配筋
されたPC鋼材５とを埋設し、PC鋼材５によりプ
レテンシヨン方式によるプレストレスを導入して
ある。また、プレキヤストコンクリート版Ｂの下
面には、前記凸状ａの直下位置に、前記谷面部分
３よりも上方にまで凹入した溝６を形成して軽量
化を図つてある。

上記の構成によれば、オムニア筋の代りにエキ
スパンドメタルＡを用いるため、合成床版等の作
製用PCa版を安価に製造できるばかりでなく、エ
キスパンドメタルＡが複数個の凸条ａを有する断
面凹凸条の折版であるから、凸条ａ相互の位置関
係が一定しており、コンクリート打設時における
凸条ａ相互の位置ずれを心配する必要がなく、配
筋作業の省力化が可能である。

また、上記のエキスパンドメタルＡは、折曲り
角部ｂが凸条ａの長手方向に連続した（網目を有
しない）アングル状板部となつているため、凸条
ａ長手方向での引張強度及び圧縮強度が大きく、
PCa版自体の断面性能を十分に確保できる。

そして、第４図に示すように、凸条ａと直交す
る所要本数の鉄筋（上筋）７を頂面部分１上面と
当接した状態に配筋し、コンクリートＣを現場打
ちして、現場打ちコンクリートＣとプレキヤスト
コンクリート版Ｂとが凸条ａにより一体化された
合成床版Ｄを構築した場合、合成床版Ｄの表面
（上面と下面）近くに位置する頂面部分１及び谷
面部分３は、肉厚中央部に位置する斜面部分２よ
りも網目が細かくなつているので、合成床版Ｄの
表面近くでは鋼材量が多く、肉厚中央部では鋼材
量が少なくなり、無駄のない適切な鋼材埋設状態
となる。それでいて、頂面部分１にも網目を有す
るため、現場打ちコンクリートＣが凸条ａ下側
（即ち、頂面部分１の下方）に容易に回り込み、
エキスパンドメタルＡとコンクリートＣとの付着
が確実で、打継部の結合力を十分に大きくするこ
とができる。

尚、鉄筋７は合成床版Ｄの短辺方向にのみ配筋
してあるが、格子状に配筋してもよい。鉄筋４は
溶接、結束等の手段により斜面部分２と固着して
おくことが望ましい。

以上のように、本考案によれば、高価なオムニ
ア筋に代え、エキスパンドメタルを用いたことに
よつて、合成床版等の作製用PCa版を安価に且つ
容易に製造できるだかりでなく、エキスパンドメ
タルを複数個の凸条が連続した断面凹凸条の折版
としたので、凸条相互の位置関係が一定してお
り、コンクリート打設時における凸条相互の位置
ずれを考慮せずに済み、配筋作業の省力化が可能
である。

また、折曲り角部がアングル状板部となつてい
るため、引張強度及び圧縮強度が大きくPCa版自
体の断面性能を確保できる。

しかも、頂面部分と谷面部分は、斜面部分より
も、網目が小さくため、合成床版等を構築した
際、その表面近くでは鋼材量が多く、肉厚中央部
では少ないといつた無駄のない適切な鋼材埋設状
態が得られ、それでいて、網目の存在により、現
場打ちコンクリートが凸条下側（頂面部分の下
方）に確実に回り込み、エキスパンドメタルと現
場打ちコンクリートとの付着が強固で、打継部の
結合力を増大し得る。

また、プレキヤストコンクリート版下面に溝を
設けて凹凸条の下面としたので、PCa版が軽量化
され、それでいて、プレストレスの導入により十
分な強度を確保できるのである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は合成床
版等の作製用PCa版の側面図、第２図は同上PCa
版の短辺方向での断面図、第３図は要部斜視図、
第４図は合成床版版の断面図である。 Ａ……エキスパンドメタル、Ｂ……プレキヤス
トコンクリート版、ａ……凸条、ｂ……折曲り角
部、１……頂面部分、２……斜面部分、３……谷
面部分、４……鉄筋、５……PC鋼材、６……
溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ほぼ水平な頂面部分とその巾方向両端から斜め
   下方に折れ曲つた斜面部分とからなる凸条が前記
   斜面部分の下端から前記頂面部分とほぼ平行に折
   れ曲つた谷面部分を介して複数個連続した断面凹
   凸状に折曲加工され、前記頂面部分、斜面部分、
   谷面部分が、それらの折曲り角部を避けて網状に
   加工され、且つ、頂面部分と谷面部分の網目が斜
   面部分の網目よりも細かく形成されているエキス
   パンドメタルと、前記凸条の長手方向所定間隔お
   きに配筋され、且つ、前記凸条の高さの中程にお
   いて前記斜面部分の網目に挿通された複数本の鉄
   筋と、前記谷面部分の上部に配筋された前記凸条
   長手方向と平行なPC鋼材とを、プレキヤストコ
   ンクリート版に、前記凸条の上半部がプレキヤス
   トコンクリート版上面から突出した状態に埋設
   し、前記PC鋼材により前記プレキヤストコンク
   リート版にプレストレスを導入すると共に、前記
   プレキヤストコンクリート版の下面には、前記凸
   部の直下位置に前記谷面部分よりも上方にまで凹
   入した溝を形成してあることを特徴とする合成床
   版等の作製用PCa版。