JPS6114722Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、リフトシリンダ用緩衝装置に関す
る。

従来の装置は、第４図の如く、昇降ピストンａ
を内蔵するリフトシリンダｂの下端部に取付けら
れた本体ｃと、該本体に穿設された二本の流体供
給通路ｄ，ｅと、該両通路ｄ，ｅの遮断状態でピ
ストンａを極めて緩く下降させるため前記本体ｃ
に穿設された小径絞り孔ｆと、一方の通路ｄにそ
のピストン上昇方向の圧油流れのみ通すよう設け
られた逆止弁ｇと、他方の通路ｅに昇降可能に係
合し入口管ｈ側に通ずるポートｉを介して通路を
開閉するよう設けられた可動筒ｊと、該可動筒を
通路開方向へ付勢するためのばねｋとを具えたも
ので、前記ピストンａは、その下降端より少し手
前で可動筒ｊに衝突して通路ｅを遮断することに
より、ピストンａを極めて緩く下降させるよう構
成していた。しかしこの装置では、ピストンａと
可動筒ｊとが衝突して通路ｅが塞がれると、シリ
ンダ室ｌと入口管ｈ側との圧力差が大となり、可
動筒ｊが急激に入口管ｈ側へ吸込まれてピストン
ａより先に下降してしまい、ピストンａが下降端
に達したときに衝撃音を発生する欠点があつた。

本考案は、上記の点に鑑み、ピストンを円滑に
下降端に着床させ得るリフトシリンダ用緩衝装置
の提供を目的とするもので、その目的を達成する
ためにピストンと可動筒とが一体的に下降するよ
う可動筒の中央孔とシリンダ室とを連通する連通
孔が常に開放させて圧力差をなくすよう構成した
ことを特徴とするものである。

以下、本考案をフルフリー付三段マストに採用
した実施例を第１図ないし第３図に基いて説明す
ると、これは、固定マスト１に対して第一，第二
昇降マスト２，３が昇降可能に設けられ、ピスト
ン４を内蔵して先に伸長しかつ後に短縮する大径
の第一リフトシリンダ５と、ピストン６を内蔵し
て後に伸長しかつ先に短縮する小径の第二リフト
シリンダ７と、両シリンダ５，７に油圧ポンプ８
から圧油を給排する両シリンダ共通の給排管９と
が設けられ、前記第一リフトシリンダ５にそのピ
ストン４の上昇端の少し手前で油圧緩衝状態を生
ぜしめる第一緩衝装置１０が設けられ、前記第二
リフトシリンダ７にそのピストン６の下降端の少
し手前で油圧緩衝状態を生ぜしめる第二緩衝装置
１１が設けられたものである。

なお、前記第一緩衝装置１０は、前記第一リフ
トシリンダ５の上端部に固着されピストンロツド
用摺動部１２を有するシリンダキヤツプ１３と、
前記ピストン４下側の下室Ａを該ピストン４上側
の上室Ｂへ連通させるためピストンロツド１４に
穿孔された大径のＬ字形状連通孔１５と、該連通
孔とは別に前記上室Ｂと下室Ａとを連通するよう
前記ピストン穿孔された複数の縦孔１６とを具
え、前記連通孔の上室側出口１７は、ピストン４
の上昇端より少し手前で前記摺動部１２に没入す
る位置に形成され、前記縦孔１６に該孔をピスト
ン上昇時に閉塞しピストン下降時に開通する球形
弁子１８が介装されたものである。

そして、前記弁子１８は、前記縦孔１６の上部
の弁座１９に離着座可能に嵌合され、前記ピスト
ンロツド１４のピストン接合部に形成された切欠
２０及び該縦孔１６の孔壁の上端縁１６ａとの間
から抜出し不能とされる。また、前記摺動部１２
にオイルシール２１，２２及びブツシユ２３が嵌
着される。また前記連通孔１５は、下室Ａに連通
する大径縦孔部１５ａと、該縦孔部に連通して上
部から順に配される大径、中径及び小径の横孔部
１５ｂ，１５ｃ，１５ｄとから構成される。また
前記ピストン４には、スリツパ２４及びパツキン
２５が外嵌され、前記キヤツプ１３のピストン上
昇内壁には油溜１３ａが形成される。また前記第
一リフトシリンダ５の下端部に前記給排管９が接
続される。

一方前記第二緩衝装置１１は、前記、第二リフ
トシリンダ７の下端部に固着された筒形シリンダ
キヤツプ２６と、前記給排管９に接続される該キ
ヤツプ２６の給排口２７からの圧油をシリンダ室
Ｄへ流入するために中央部に大径、中径及び小径
の流入孔２８ａ，２８ｂ，２８ｃが形成され前記
キヤツプ２６の中央孔２６ａに内嵌された固定筒
３０と、該筒に上下動可能に内嵌され前記ピスト
ン６の下降端の少し手前で該ピストン６と衝突す
るよう配された上蓋３１付可動筒３２と、該筒の
中央孔３２ａとシリンダ室Ｄとを常に連通するよ
う該筒３２の側面に穿設された大径の連通孔３３
と前記可動筒３２を上方へ付勢する緩衝ばね３４
と、前記可動筒３２の中央孔３２ａと前記給排口
２７とを連通するよう前記固定筒３０の下部に穿
設された小径絞り孔３５と、前記キヤツプ２６の
給排口２７と前記シリンダ室Ｄとを連通する通路
２９を圧油のピストン上昇方向流れのみ開通する
逆止弁３６とから構成されたものである。

なお、前記可動筒３２は、小径上筒部３２ｂと
大径下筒部３２ｃとから成り、該下筒部は前記固
定筒３０の内壁に沿つて上下摺動自在とされ、前
記上筒部３２ｂは前記固定筒３０の内壁と一定の
間隙Ｅを有し、該上筒部に複数の前記連通孔３３
が配される。また前記逆止弁３６は、前記固定筒
３０の下端部に内嵌された筒形の弁子３７を有
し、該固定筒３０の下端部に形成された前記通路
２９を通る圧油を受けて上昇するために前記弁子
３７の外周部に傾斜面３８が形成される。そして
該弁子３７と前記可動筒３２との間に前記ばね３
４が介装され、前記可動筒３２は、自由状態でそ
の上蓋３１がピストン６の下降端より上側に位置
して前記流入孔２８ａ，２８ｂ，２８ｃを開孔
し、ピストン６により押下げられた没入状態で流
入孔２８ａ，２８ｂ，２８ｃを閉塞して絞り孔３
５のみを開通するよう位置付けられている。

なお、３９は圧油給排管９に設けられた昇降切
換弁、４０は油圧タンクである。

上記構成において、給排管９を経て第一，第二
リフトシリンダ５，７に圧油を供給すると、まず
シリンダ径の大きい第一リフトシリンダ５がピス
トン４を上昇させて伸長し、これに伴なつてフオ
ーク４１が第一昇降マスト２に対してピストン４
の上昇速度の二倍速で上昇する。そして第２図ｂ
の如くピストン４がその上昇端の少し手前に達す
ると、連通孔１５の出口１７が摺動部１２に没入
し始める。このため連通孔１５から上室Ｂへの油
の流入は除々に停止する。そしてピストン４はさ
らに上昇し、上室Ｂから油をピストン４の外周部
の僅かな間隙Ｆを通じて下室Ａへ逃がして油圧緩
衝状態を生じさせ、極めて緩やに上昇する。その
ため第２図ａの如くピストン４が上昇端に達して
シリンダキヤツプ１３と当接しても衝撃音がほと
んど生じない。

そして第一リフトシリンダ５のピストン４が上
昇端に達すると、第二リフトシリンダ７の給排口
２７側の油圧が急上昇し、圧油は、キヤツプ２６
の給排口２７から通路２９へ経て逆止弁３６の弁
子３７を押し上げ、弁子３７の中央孔３７ａより
可動筒３２の中央孔３２ａを経て連通孔３３から
シリンダ室Ｄへ流入し、ピストン６を押し上げ
る。そしてピストン６の上昇に伴なつて第二昇降
マスト３は上昇し、フオーク４１と第一昇降マス
ト２は一体となつて固定マスト１に対してピスト
ン６の二倍速で上昇して最揚高に達する。このと
き第二リフトシリンダ７の可動筒３２は、ピスト
ン６の上昇により第３図ｂの如くばね３４に押さ
れて上昇し自由状態となる。

次に最揚高から切換弁３９を切換えて給排管９
をタンク４０へ連通すると、まず油圧の高い第二
リフトシリンダ７から圧油が流出しピストン６が
下降し始める。即ち、圧油はシリンダ室Ｄから連
通孔３３を経て流入孔２８ａ，２８ｂ，２８ｃを
通つて給排口２７から流出される。そしてピスト
ン６が下降端の少し手前に達すると、第３図ａの
如く可動筒３２の上蓋３１に衝突してこれをばね
３４に抗して押下げ、流入孔２８ａ，２８ｂ，２
８ｃを順に閉塞するため、圧油は絞り孔３５を通
じて給排口２７へ流出され、油圧緩衝状態を生ぜ
しめてピストン６を極みて緩やかに下降させる。
そのため、下降端でシリンダキヤツプに当接して
もほとんど衝撃音を生じさせない。このときシリ
ンダ室Ｄと可動筒３２の中央孔３２ａとは連通孔
３３で常に連通されているため、両者間の圧力差
はほとんどなくピストン６と可動筒３２は一体的
に下降する。

そして第二リフトシリンダ７のピストン６が下
降端に達すると、次に油圧の低い第一リフトシリ
ンダ５内の圧油が排出され、ピストン４が下降し
始める。このピストン４の上昇端からの下降時に
は自重によりピストン４の上面４ａとキヤツプ１
３の内壁１３ｂとの間に僅かな間隙が生じただけ
で、下室Ａと上室Ｂとの間に圧力差が生じ、その
圧力差により弁子１８を押し上げて下室Ａから上
室Ｂへ圧油が急激に流入し、第２図ｃの如く迅速
に下降し始めて一定下降速度に到達し、ピストン
４の下降端でフオーク４１が最下降位置に達す
る。

このように、マスト２，３の上昇時には、第一
リフトシリンダ５の第一緩衝装置１０が作用して
昇降マスト２，３を順次円滑に上昇させ得、また
マストの下降時には、第二リフトシリンダ７の第
二緩衝装置１１が作用して昇降マスト２，３を順
次円滑に下降させ得る。

更に給排管９が破損した場合、シリンダ室Ｄと
給排口２７との圧力差が大となるため、油はシリ
ンダ室Ｄから給排口２７へ急激に流出する。その
ため、正常下降時には絞り効果を奏し得なかつた
可動筒３２の連通孔３３は絞り効果を奏し、シリ
ンダ室Ｄとの可動筒３２の中央孔３２ａとの間に
圧力差を生じ、可動筒３２が給排口２７側へ吸込
まれて少し下降する。その結果固定筒３０の流入
孔２８ａ，２８ｂ，２８ｃが順次閉塞され、可動
筒３２はばね３４の付勢力とバランスして停止す
る。そのため、油は絞り孔３５からのみ給排口２
７へ流出され、その流路抵抗によりピストン６は
一定速度で下降することになり、ピストン６の急
落下を防止できる。なお、このときの絞り孔３５
からの油の流出速度は、正常下降時に比して大で
あるため、ピストン６の下降速度は正常時より少
し速くなる。

以上の説明から明らかな通り、本考案は昇降ピ
ストンを内蔵するリフトシリンダの下端部に固着
された筒形シリンダキヤツプと、該キヤツプの中
央孔に内嵌された固定筒と該筒に上下動可動に内
嵌され前記ピストンの下降端の少し手前で該ピス
トンと衝突するよう配された可動筒と、該筒の中
央孔と前記シリンダのシリンダ室とを常に連通す
るよう該筒に穿設された連通孔と、前記可動筒を
上方へ付勢する緩衝ばねと、前記可動筒の中央孔
と前記キヤツプの鎖油給排口とを連通するよう前
記固定筒に穿設された小径絞り孔と、前記給排口
と前記シリンダ室とを連通する通路を圧油のピス
トン上昇方向流れのみ開通する逆止弁とから構成
されたものである。

従つて、本考案によると、連通孔が常に開放さ
れているため、ピストンの下降端の少し手前でピ
ストンと可動筒の衝突時にも可動筒の中央孔とシ
リンダ室とは連通状態で圧力差がなく、一体的に
下降することができ、また絞り孔により油圧緩衝
状態を生ぜしめてピストンがシリンダキヤツプに
当接するときに衝撃音の生ずるのを防止できると
共にシリンダの給排管が破損した場合にピストン
の急落下を防止でき、被荷役物が衝撃により損傷
するのを防止できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す略側面図、第
２図ａは同第一緩衝装置のピストン上昇端での作
動状態を示す縦断面図、第２図ｂは同ピストン上
昇時のピストン上昇端の少し手前での作動状態を
示す縦断面図、第２図ｃは同ピストン下降時の作
動状態を示す縦断面図、第３図ａは同第二緩衝装
置の可動筒の没入状態を示す縦断面図、第３図ｂ
は同可動筒の自由状態を示す縦断面図、第４図は
従来の緩衝装置を示す縦断面図である。 ４……ピストン、５……第一リフトシリンダ、
６……ピストン、７……第二リフトシリンダ、８
……油圧ポンプ、９……給排管、１０……第一緩
衝装置、１１……第二緩衝装置、２６……シリン
ダキヤツプ、２６ａ……中央孔、２７……給排
口、２９……通路、３０……固定筒、３１……上
蓋、３２……可動筒、３２ａ……中央孔、３３連
通孔、３４……ばね、３５……絞り孔、３６……
逆止弁、Ｄ……シリンダ室。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 昇降ピストン６を内蔵するリフトシリンダ７の
   下端部に固着された筒形シリンダキヤツプ２６
   と、該キヤツプの中央孔２６ａに内嵌された固定
   筒３０と該筒に上下動可動に内嵌され前記ピスト
   ン６の下降端の少し手前で該ピストン６と衝突す
   るよう配された可動筒３２と、該筒の中央孔３２
   ａと前記シリンダ７のシリンダ室Ｄとを常に連通
   するよう該筒３２に穿設された連通孔３３と、前
   記可動筒３２を上方へ付勢する緩衝ばね３４と、
   前記可動筒３２の中央孔３２ａと前記キヤツプ２
   ６の圧油給排口２７とを連通するよう前記固定筒
   ３０に穿設された小径絞り孔３５と、前記給排口
   ２７と前記シリンダ室Ｄとを連通する通路２９を
   圧油のピストン上昇方向流れのみ開通する逆止弁
   ３６とから構成されたことを特徴とするリフトシ
   リンダ用緩衝装置。